やじうまミニレビュー

タカラトミーアーツ「スマート飯」

~手を汚さずにどこでも食事できる究極のファーストフード
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


 タカラトミーからまたキワモノ(失礼!)のグッズが発売された。その名は「スマート飯」。ちなみに「飯」は「めし」ではなく「ハン」と読む。まぁ、ちょっと苦しいけど「スマートフォン」にかけているらしい。

タカラトミーアーツのスマート飯。定価は840円だが、実売は700円台といったところ。オレンジ色の女性向けモデルもある下のダイヤルを回すとおにぎりが繰り出してくるハイテク弁当箱、それがスマート飯だ

 見た目は消火栓や某国の手榴弾に見える筒だが、このスマート飯は弁当箱なのである! 時代劇では竹筒にごはんを入れて旅する武士を見にするが、スマート飯は現代版にハイテク化されているのが特徴だ。

 このスマート飯、中にごはんを入れ下にあるダイヤルを回すと、口紅やスティック糊のように中に入れたごはんが迫り出し、手を汚すことなく片手で食事できるという未来を先取りしたアイテムだ。

 ちょうど高級炊飯器のレビューをやっているので、コレで炊いたウマいごはんを使ってスマート飯のスマートな食事を紹介しよう。


メーカータカラトミーアーツ
製品名スマート飯
希望小売価格840円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格840円


見せてもらおうか! スマート飯とやらの実力を……

 こういったキワモノはマズ使ってみるのがセオリーってことで、ふりかけごはんをスマート飯に詰めて、どんな感じなのかを見てみよう。

(1)スマート飯をバラす

(1)スマート飯は大きく3つのユニットで構成されている

 この機器は、3つの大きなユニットで構成されている。1つはごはんをシールド(保護)する「カウルユニット」で、ロックレバーを解除すると2つに開くようになっている。内部は樹脂製のしゃもじのような突起がたくさんあり、ごはんの“射出”をスムーズにしているようだ。

 もう1つは「射出ユニット」で、ダイヤルを回すことでカタパルトがゆっくり上に持ち上がり、ごはんを“射出”する。

 最後は、射出口の「セーフティーカバー」だ。これにより誤射や、外部からの異物混入を防いでいる。

(2)ごはんを装填する

 スマート飯にはさまざまな「ごはん」という名のウェポンを装填できるが、ここではわかめ入りの混ぜごはんを装填してみた。装填できるごはんの量は、お茶碗に半分~7割といった感じだ。あまり入れすぎると飯詰まりの原因になるので、塩梅が難しい。

(3)カウルユニットを閉じロックレバーで固定する

 カウルユニットは素早く閉じないと、ごはんがでろ~んと落ちてしまうので注意されたし。最後にロックレバーを持ち上げて、装填完了だ。

(2)まずはごはんを装填。写真は盛りすぎた……左右のごはんを少し減らした方がいいようだ(3)素早く閉じて、ロックレバーを持ち上げカウルユニットを固定

(4)射出口のセーフティーカバーを閉じる

 カウルユニットを閉じると若干はみ出してしまうごはんもあるが、セーフティーカバーで押し込みながら回転させるとロックがかかる。

(5)射出ユニットを差し込む

 最後に射出ユニットから出ている捧を、カウルユニットの中央に差し込み、すべて押し込んだら回転さえてユニットをカウルに固定する。

(4)射出口のセーフティーカバーを取り付ける。上下どちらににも付けられるので天地無用仕様だ(5)射出ユニットを反対側から差し込む。これで中のごはんが圧縮されおにぎりになる

 これで戦闘準備は整った。さっそく試射してみよう。

まずセーフティーカバーを外し、射出準備をする射出ユニットのダイヤルを回し、カタパルトを押し出すおにぎり状になったごはんが射出口から出てくるので、ガッツリほお張る。子どもがメッチャ喜んでる!

 これまでにないハイテクおにぎりに、筆者はもちろん子どもも大喜びだ。手が汚れることもなく、片手でカロリーメイとをほおばる感じで、おにぎりが食べられるのはかなり便利だ。

おにぎりなんて自分で作ったことネーよ! という戦闘員でも簡単に作れる

ごはんは炊飯器から直接よそってもOK。火傷することはない。ちなみにごはんは「しゃっきり」モードで炊いている。「もちもち」モードよりもスムーズに射出できるからだ

 スマート飯が凄いのは、ごはんを盛っただけでおにぎりが簡単にできてしまう点だ。筆者は家族の夕飯も作る主夫であるが、おにぎりだけは初心者で三角おにぎりすら作れやしない。しかしスマート飯を使うと、人生初めてのおにぎりでも簡単に作れる。

 食べるときに、まったく手が汚れないばかりでなく、おにぎりを作るときも手がまったく汚れることなく、熱いご飯で作っても火傷することもない。スゲー! 感動したっ!

 さて、おにぎりには塩味をつけないとならないが、その塩すら手に付けることもなく、いったんお茶碗にごはんをよそって塩を混ぜて混ぜる必要もない。スマート飯にごはんを盛るときは、直接炊飯器からごはんをよそい、その上に塩を軽く振るだけでいい。これで口に含んだとき塩とごはんが混ざり合って、立派な塩おにぎりになるのだ。また好みで、ほんだしや粉末状の昆布だしなどを塩替わりにふれば、だしの風味が効いたおにぎりができる。

筆者から取っておきのアドバイス。濡らしたティースプーンで成型すると、おにぎりの完成度が倍増するこの状態で塩や粉末だしを振るだけで塩味が付けられる。食べるときだけでなく、作るときも手が汚れない

 さらにスマート飯はスパイの持つアイテムのように、シークレットキャップがついている。なんとセーフティーカバーが二重になっていて、この中にトッピング用のごま塩やお手拭きなどを隠し持てるのだ。

シークレットキャップが付いており、結構大きなお手拭きでも収納できる折り畳めば、キャップにスッポリ収まる。「食べるときは手が汚れないから、お手拭きは必要ないだろ?」という意見は棚に上げておく

ふつうのおにぎりにはできないマルチレイヤーおにぎりも可能

 さてふつうのおにぎりは、たらこならたらこ、昆布なら昆布というように、1つのおにぎりで1つの具材しか味わえない。しかしスマート飯の細長さを利用すると、食べていくうちに具が変わるマルチレイヤー(階層)化が可能だ。

 たとえば写真のように上のほうには焼きたらこ、下のほうには鮭フレークを入れれば、1本で2度おいしいおにぎりとなる。ハイテクだ!

おにぎりをマルチレイヤー化してみた。レイヤー数に制限はないので、好きなだけ階層化できるシークレットポケットには白ゴマを入れた。最初は「たらこ with ゴマ」の香ばしいおにぎりを堪能半分食べると鮭フレーク味に変化。思わず「鮭キターッ!」となる

 さらにこのマルチレイヤーを応用すると、ごはんとおかずをいっぺんに食べることも可能。兵士が食べる「ミリタリー飯」よりもスーパー合理的な屋外食ができる。

 作り方は簡単。レンジでチンするお弁当用のおかずを使い、ごはんとおかずを交互に入れるだけでいい。ポイントはカウル左右のごはんとおかずを互い違いにすることだ。これでおかずだけ、ごはんだけ射出されることなく、常におかずとごはんを同時に食せる。

左側は冷凍食品のミニメンチカツ、右はミニとんかつ。カウルの左右を互い違いにするのがポイントだまずはメンチカツとごはん。食べていくと、とんかつが現れて、とってもハッピー♪

 スマート飯が凄いのはこれだけじゃない。お茶碗半分程度のごはんじゃ物足りないという場合は、複数のスマート飯を作り、これを連装しドッキングして持ち歩けるという点だ。

 装弾数には制限はないので、どんなに大食漢であっても満腹になるだろう。もちろんバラで持ち歩くことも可能で、ベルトにつける携帯電話ケースなのどにスッポリ収まるので、スマホに乗り換えて使わなくなった携帯ケースを有効利用したい。

これが連装弾だ! とはいっても、実はこの写真は合成。キワモノだと思っていた(笑)ので1個しか買っていなかったのだ。申し訳ない!スマホに乗り換えて使わなくなったフィーチャーフォンのケースにスッポリ収まる。腰に付けて歩くと、個人的にはかなりカッコイイ

メンテナンスはオーバーホールで簡単・キレイに

 食べるものを入れるスマート飯だけに、メンテナンスには十分注意したい。先に3つのユニットから構成されていると説明したが、ユニットはさらに分解することができるようになっている。

 オーバーホール、つまり部品単位まで細かく分解すると、以下の写真のようにバラバラになる。少し手間がかかるのは、カタパルトの捧の部分。先端の押し出し機構が分解できるように、捧の先は2股になっているが、ここにごはんが詰まってしまうので、必ず爪楊枝で清掃したい。

 

カウルユニットは2つに完全分離できる射出ユニットは、4つに分解してオーバーホール
射出口のカバーユニットは2つに分解できる
ここ(写真中央部)にはごはんが詰まってしまうので、爪楊枝でメンテすることをお忘れなく
 

 

アイディア次第で使い方は無限大。「スマートパン」にもなる

 さて名前こそスマート飯だが、ごはんにこだわる必要は一切ない。試しにやってみたのが「スマートパン」だ。

8枚切りの食パンがちょうどいいサイズ。耳を落として2つに切り、カウルに装填。マーガリンを塗って、焼いたソーセージなどを2つに切って並べる好みで色々トッピングしてもいい。ここではピクルスを乗せてみたおにぎりと違うのは、射出機構を挟み込むようにして、カウルを閉じること。こうしないと具材が大惨事になる

 さて実際にカタパルトから射出してみると、いい感じにホットドックが迫り出してくる。隠しポケットに仕込んでおいたマスタードをつけながら食べるとさらに美味。

シークレットポケットにはマスタードを入れて完成シークレットポケットは密閉性が高いので、粘度の高いマスタードなら漏れない。食ってみると、ウマイッ!

 これを応用すればサンドイッチなどもできるほか、おやつ用にホットケーキを携帯することも可能だ。ただ1つの弱点は、完全防水仕様ではないため、水分か多いと染み出してカバンなどが惨事に見舞われることだ。ツナや野菜などはよく水分を切って、マヨネーズはポテトサラダ用の硬めのものを使うといいだろう。トマトもぜひ入れたいところだが、コイツばかりは水分が多くスマート飯には不向きである点に注意されたし。

 さらに片手で食せるというアドバンテージは、晩酌の際にも強力な武器となる。たとえば下の写真のような自作のおつまみを作れば、ビールジョッキ片手にチーズカマボコでも食らうようなシチュエーションで、ワンランク上のおつまみを食べながらナイトライフを満喫できるだろう。ちょっとずつ繰り出しでチビチビやるもよし、はガブっ!と一口いって、ビールで流し込むも良し!

オリジナルのおつまみにもチャレンジ。まず外側には、半分に切ったハムを2~3枚重ねて敷く次に半分に切ったスライスチーズ、スティック状に切ったキュウリやにんじんなどを載せ、軽くマスタードとマヨネーズを塗る
お好みでオリーブなどをあらかじめカタパルトの捧に差し込んでおいて合体させるオリジナルおつまみのできあがりだ。深夜番組でも見ながら、片手にスマート飯のおつまみ、もう片手にビールジョッキなんていかが?

 そのほかスマート飯サイズに合わせて大根を切り、細いおでんを作り繰り出してもいいし、ちくわなどを使ってチーズちくわ&キュウリなんてメニューもできるはずだ。

猛烈にオススメするのはプログラマー

 タカラトミーによれば、勉強や仕事をしながら、車や自転車を運転しながら、スカイダイビングしながら(えっ!?)と、ランチの新たなソリューションを提案している。筆者も多くの人にオススメしたいところだが、ここはピンポイントにプログラマーにオススメしたい!

ディスプレイを見ながら飯を食べられるので、最も過酷な他人の書いた「ワケ分っかんネーよ!」なコードでも、頭の中できっちりトレース(プログラムの処理の順序を追跡すること)ができる。バグ退散!
 まずプログラマーは、システムの納期が近づくと猛烈に忙しい(おもにクライアントからの不条理な追加機能と、「再現性:稀」に○が付いている、ごくたまにしか発生しない不具合の原因究明)。それこそ寝食忘れて作業しなければならないばかりか、プログラムコードから目を話せない。なぜなら一度目を離すと頭の中でシミュレーションしていた動作がリセットされちゃうのだ。

 そんなときの最強バディ(仲間)がスマート飯。画面から目を離すことなく、手も汚れないのでキーボードがベタベタになることもない。デバック(バグを取り除くこと)の効率は格段に向上する。世のプログラマーよ! スマート飯は電卓並みに必須アイテムだ!

 毎日が忙しく過ぎゆく現在、スマートに時間とランチ代を節約できる究極のファーストフードがスマート飯だ。この無限の可能性を秘めたアイテムで、時間と世間の荒波を乗り切れ!






2012年 10月 1日   00:00