やじうまミニレビュー
Francfranc「SURIBACHI」
Francfranc「SURIBACHI」 |
刻みながら混ぜるといった調理には、もっぱら電動の小型ミキサーを使ってしまうこの頃。自家製ドレッシングも、ふりかけも、食材と調味料を入れてミキサーにかければわずか数秒で完成してしまう時代なのだ。
そんな筆者のもとに、インテリア雑貨店Francfranc(フランフラン)の「SURIBACHI」なる製品が届いた。箱を開けてみると、そこには木でできたすり鉢本体と、同じ素材でできていると思われるすりこぎ棒が1本入っていた。説明書などはなくただそれだけである。なんという時代への逆行であろうか。今回はそんな木製の「SURIBACHI」の使用感をお届けする。
メーカー | Francfranc |
製品名 | SURIBACHI |
購入場所 | 直販サイト |
購入価格 | 2,000円 |
「SURIBACHI」とローマ字になっているが、その名の通り「すり鉢」である。アカシアでできているという以外、特に変わったところはない。ただ、これまで筆者が想像するすり鉢といえば、細かい溝付きの焼き物だったが、「SURIBACHI」にはまったく溝がない。
本体は箱状の木で、サイズは170×120×70mm(幅×奥行き×高さ)。すり鉢部は、約100×50mm(直径×深さ)で削られているだけなのだ。果たしてこれでどこまですれるのだろうか。
パッケージ | アカシアの天然木製 | 裏側の様子 |
木目が美しい | 実際に使うときは左側に手を添えて全体を固定する |
■どの程度できるのか。ほうれん草のクルミ和えを作ってみた
まず手初めに試したのがクルミである。市販のローストクルミを適量「SURIBACHI」の中に入れ、すりこぎ棒を上から押しつけるようにしてみたところ、溝がないにも関わらず、結構細かく砕けた。ペースト状にするよりは、多少食感とクルミ本来の味も残したかったので、粗めな状態で止めた。砕いたクルミは茹でたほうれん草にあえて、醤油やみりんで味を調えたところ、とてもおいしいほうれん草のクルミ和えになった。
クルミを適量入れる | すりこぎ棒でするというより、上から押して砕く感じで | しばらくするとこのような状態に。かなり粒感を残している |
茹でたほうれん草に混ぜる | とても手軽に1品完成 |
溝がない木製のすり鉢を使うのは初めてだったが、適当なサイズな上、いきなりペースト状にならず、仕上がりをコントロールできるところがよさそうだ。日頃は機械任せだったため、忘れていた手作り感が味わえるところもかなり魅力だと感じた。
■定番の胡麻はどうか? 胡麻のふりかけを作ってみた
次に、すり鉢といえば胡麻だろう、というわけで、胡麻を使ったふりかけを作ってみることにした。材料はミキサー使用時によく使う、胡麻、いりこ、桜エビ、塩、青のりである。このうち、胡麻、いりこ、桜エビの3つを砕いてみた。
桜えびやいりこが余ったら、ふりかけにしてみよう | 桜えびを適量いれてみる | すりこぎ棒でゴリゴリと押しつぶす |
ほどなくしてこのような状態に | いりこは手強いか思ったが…… | あっさりと粉砕されてしまった |
すると、いずれも難なく粉砕できるではないか。乾燥して平べったくなった桜エビは若干時間がかかったが、上から押しつけてねじるようにすると細かくなった。いりこは普通にすりこぎ棒でグルグルと回転させるだけで面白いほどあっさり粉砕された。
胡麻にいたっては、押しつけるように回すと、ぷちぷちという独特の音をたてつつ、適度に砕くことができた。最後に、塩や青のりも加えてすべて混ぜれば、自家製ふりかけの完成。素朴だがお気に入りの味だ。
最後は胡麻を適量入れてみる | プチプチと音を立てながら胡麻が割れた | それぞれ適当な細かさで、するのを止めている |
塩や青のりも加えて混ぜ合わせる | 適度に粒感のあるふりかけが完成 | 塩味がたまらない |
ふりかけなので、完全に粉末またはペースト状にするよりは、形を残して風味を出しつつ、消化しやすい状態にしたい。これが「SURIBACHI」なら簡単にできたのである。電動では一瞬の出来事なので微調整はできないが、すり鉢なら、時間はかかるがそれぞれの素材を好みの状態に仕上げられる。しかも、木製の「SURIBACHI」には溝がないため、貴重な少量食材なのに溝に詰まってしまい……ということもなく、3種類の食材を連続して調理できた。ちょっと新鮮な驚きだった。
余談だが、この単純なふりかけに、柚子の皮を砕いた「ゆず一味」を少々加えると、ちょっと大人の味になってたまらない。ぜひお試しいただきたい。
■葉物はどうか? 紫蘇のドレッシングを作ってみた
溝がないので、葉物にどのような影響を与えるか。紫蘇(しそ)を使ったドレッシングを作ってみた。紫蘇は全く包丁を入れず、そのまま「SURIBACHI」に入れてみた。最初はすりこぎ棒が空回りするような手応えのなさだったのだが、徐々に圧縮されて小さな繊維の塊になった。これを先に作っておいたすり胡麻、お酢、みりん、砂糖、醤油、おろし生姜、えごま油少々と混ぜれば紫蘇ドレッシングのできあがりだ。
紫蘇の葉をそのまま入れてみた | 繊維の塊のような状態に |
すり胡麻、お酢、みりん、砂糖、醤油、おろし生姜、えごま油少々でドレッシングに | 茹でた牛肉とオクラにかけると美味。だだし紫蘇はやや塊状態だった |
包丁でカットするよりは紫蘇のエキスがしみ出しているような気がして美味なのだが、茹でた牛肉とオクラにかけたところ、紫蘇が塊っているのが確認できた。やはり繊維の分断までは及ばなかったのだろう。葉物をする場合は、先に適度に包丁を入れておいたほうがよさそうだ。
■枝豆はどうか? 枝豆とれんこんの和え物を作ってみた
すり鉢とはいえ、どうみてもこれで山芋をすれるようにはとても見えない。ならば、表面がツルツルした枝豆ならどうだろう、というわけで、塩ゆでした枝豆を潰してみることにした。
意外と楽に潰せるのではと思いきや、かなり手強い相手となった。半分に割れるところまでは簡単だが、枝豆の皮がすりこぎ棒の先端やすり鉢の底で滑ってしまい、その先になかなか進まないのだ。根気よく10分は上からたたき続けただろうか。8割ほど潰せた状態で断念。
塩ゆでした枝豆を適量入れる | 上から押しつぶそうとするも、なかなかうまく行かず! |
10分ほど格闘して、なんとかここまで到達 | 和え物はおいしかったが、剥いた枝豆は「SURIBACHI」には向かない食材だった |
潰した枝豆を、出汁やみりん、醤油少々とともに、茹でておいたれんこんと和えたところ、さわやかな1品が完成した。しかし作った当人は汗だくになってしまった。やはりツルツルしたものは「SURIBACHI」には難敵らしい。溝があり、摩擦が生じる焼き物のすり鉢のほうがよさそうだ。
■手作業だから好みの状態が作り出せる。ただし、すべりやすいものは苦手
「SURIBACHI」を使ってまず感じたのは、これぞ手作りという感覚が味わえるということだった。丁寧に潰したりすったりするのもまた一興。手間はかかるのに、粗さなどの加減を自由自在に調整できるせいか、不思議といやではないのである。少量作りたいとき、大きなすり鉢を用意しなくて済むし、電気を使わずに済むのも良い。
実は勢いで全部作ってしまった |
実は、ふりかけ、紫蘇のドレッシング、枝豆とれんこんの和え物は、連続して作った。ふりかけを作ったら、もっと何かを作ってみたくなってしまったのだ。洗いやすく、乾かしやすいという手入れのしやすさや、天然ゆえの風合いも楽しめるというのも、気分よく使えるポイントかもしれない。
枝豆のように扱いがむずかしい食材もあるが、たまに砕いたりする程度なら、この「SURIBACHI」1つで十分だろう。かけた手間の分だけ、おいしさをアップしてくれるに違いない。
2012年 9月 5日 00:00
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