やじうまミニレビュー

カメヤマローソク「故人の好物シリーズ」

~コーヒーや寿司、カレーをかたどった霊前用ローソク
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


カメヤマローソク「故人の好物シリーズ」

 故人の霊をなぐさめるために、仏壇や墓前に供え物をするのは広く行なわれている習慣だ。花や菓子を始め、果物や野菜の馬、盆提灯や白い紙を切り抜いた盆飾りなども、その例だ。

 今回紹介するカメヤマローソクの「故人の好物シリーズ」は、そういう供え物をロウソクで表現した製品だ。テーマとなっているのは、故人の好きだった飲食物で、現在では50種類以上のラインナップを揃える。中にはメーカーの許諾を得て、実際の製品そっくりに作られているものもある。

 私が購入したのは、寿司、カレー、さくら餅、お団子、大分むぎ焼酎二階堂、ミニジョッキ(ビール)、ホットコーヒーの7点だ。この7点はシリーズの発売初期から用意されており、シリーズのコンセプトが良く表れている製品だと思ったからだ。


メーカーカメヤマローソク
製品名故人の好物シリーズ
購入場所Amazon.co.jp
購入価格525円~

 シリーズはいわゆるロウ細工であり、精密で食べ物や飲み物の特徴をよくつかんでいる。カレーライスや寿司、さくら餅などは、食品サンプルを思わせるディテールの細やかさがある。

カレーライス寿司 Aセット。エビとホッキ貝のBセットもあるさくら餅

 また、大分むぎ焼酎二階堂は、メーカーの二階堂酒造のライセンスを得て、本物そっくりに仕上がっている。

大分むぎ焼酎二階堂ラベルが本物そっくりだ着火しても雰囲気がある

 お団子、ビール、ホットコーヒーは、そういうディテールを出しにくい種類の製品だが、それなりに雰囲気は出ている。ホットコーヒーには、香料が配合されているようで、コーヒーの香りがするほどだ。

ビールパッケージの裏に「いつもお仕事お疲れさま」とある。生きているうちに言ってあげたいジョッキは樹脂製だが、取っ手が光ってガラスっぽく見える
コーヒー着火するとコーヒーの色がそれらしく見えるこうして並べてみると、製品ごとに縮尺が異なることが分かる。寿司やカレー、二階堂ぐらい大きい方がディテールは似てくる

 ロウソクなので、着火もできるし、製品によっては危なくないように、ある程度燃えると、自動的に消化する芯を備えているものもある。

 また、霊前で火を点けずに、お供え物として置いておくこともできる。実際のフルーツや飲み物だと、冷めたり、溶けたり、傷んで不衛生になってしまうこともあるが、ロウ細工ならば、おいしそうな姿はそのままに、故人の霊前に好物を届けたという気持ちになれる。

 こうして説明すると、何もロウソクでなくても、いわゆる食品サンプルを供えれば良いと思うかも知れない。しかし、ロウソクは燃えてしまえばなくなってしまう。つまり、この世からなくなって、あの世へ届くのだ。だからこそ、供物として火を灯すローソクが必要なのだろう。このシリーズは、単なる食品を模した細工物ではなく、最後に燃やせるという一点を押さえることによって、故人の元へと届ける道筋を確保しているのだ。

お団子皿に置いたまま着火せず、必ず立てるように注意されているお団子はガラスビンに立てて着火した。そのまま供えるほうが良かったかもしれない

 ただし、お団子に火を点けるときは、注意が必要だ。ほかの製品では、そのままの状態で点火できるが、お団子の場合は、縦に立てた状態で火を点けるようにという注意書きがある。実際のお団子といえば、横に寝かせて盛られているものだから、お団子を立てて供えるのは難しい。我が家では結局、お団子をガラスビンに立てて着火した。

 ちなみにシリーズでほかに用意されているのは、カップヌードル、森永ココア、おはぎ、ずんだ餅、さくらんぼゼリー、いなり寿司、紅茶、かき氷(宇治金時/メロン/イチゴ)、さくらんぼ、盛岡冷麺、千福(日本酒)、牛丼、いくら丼、鉄火丼、ラムネ、シュウマイ、いちご牛乳、コーヒー牛乳、牛乳、桜茶、桜餅(関西風)、お好み焼き(広島風/大阪風)、プリン、どら焼き、鍋焼きうどん、信州そば、おでん、明太子ごはん、たこ焼き、芋焼酎、とんこつらーめん、ペプシコーラ、おしるこ、おはぎ、水菓子(桜/金魚/紅葉)、クリームあんみつ、冷やし中華、ラーメン横町、讃岐うどん、メロン、フルーツの盛り合わせ、もみじ饅頭、梅酒、シャンパン、ウイスキー、ワイン、ワンカップ大関、甘酒、麦焼酎、緑茶、森永ミルクキャラメル。さらに、人間用だけではなく、愛猫用にキャットフードのブランド「黒缶」のお線香とキャンドル、愛犬用にドッグビスケットも用意されている。

暗くした部屋の中でロウソクを見つめていると、いろいろなことが思い出せる

 ロウソクが燃えている間は、その食べ物や飲み物が好きだった人のことを思い出してあげると良いだろう。誰かがその人のことを覚えている間は、この世からいなくなっていても、その人は生きていると私は思う。思い出してあげることで、また少しの間、その故人は私たちに寄り添っていてくれるのだ。






2012年 3月 7日   00:00