やじうまミニレビュー

SUZUKI「屋内風力発電キット Windy」

~風力発電の特徴を作って学ぶ発電キット
by 藤山 哲人


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


SUZUKI「屋内風力発電キット Windy ECO-101」

 東日本大震災からおよそ1年。震災の影響による電力不足で太陽光発電が注目されているが、それとともに話題に上がるのが風力発電。風の力で風車を回し発電する、クリーンエネルギーのひとつだ。

 そんな風力発電のしくみや長所・短所などを、模型を作りながら楽しみ学べるのが、今回紹介する「屋内風力発電キット Windy ECO-101」だ。

 メーカーは、子ども用の楽器や理科教材などを手がけているSUZUKI(鈴木楽器製作所)。学習用の模型なので、小学4年生の娘と一緒にキットを作ってみよう。


メーカーSUZUKI(鈴木楽器製作所)
製品名屋内風力発電キット Windy ECO-101
購入店舗ネット通販
購入価格5,880円


「なぜだろう?」という子供の科学の芽を伸ばすナイスな設計

 本製品は模型ではあるものの、部品数は少ない。本体の発電部は完成されており、それに羽根や土台を組み合わせる“半完成品”となる。風車を回し、発電部の内部のモーターを回転することで、発電する仕組みになっている。

 パッケージには4枚の羽根が同梱されており、好みに応じて2~4枚の羽根を付ける。羽根を取り付ける際には、ネジと六角形のナットを使うので、ドライバーを別途用意する必要がある。

 娘からは「羽根を何枚にすればいいの?」と聞かれたが、「実際の風力発電は羽根が何枚ついているかを調べてみたら?」とアドバイスすると、教科書や子供向けの百科事典を調べて「みんな3枚になってるから、私も3枚にする」。さすがに理科教材を作るメーカー製だけに、考える機会を与えるキットになっている。

丸い土台と金属製の支柱、発電機の部分は完成品。羽根を取り付けて全体を組み立てる真剣に組み立て方を読む娘。小学校の高学年なら少し親がアドバイスするだけで作れるだろう

 羽根の枚数が決まればあとは組み立てていくだけ。娘は工作好きなのだが、はめ込むだけで完成するアニメのロボットのプラモデルとは勝手が違うようで、ネジを押さえながらナットをはめる作業に手間取っていた。工作慣れしていない場合は「ドライバを押し込みながら回す」というアドバイスが必要かもしれない。

 羽根はネジとナットの2つで固定する。風車の中心となるパーツには、ナット用の溝が刻まれているので、ナットを締めるためのスパナは必要ない。この点はなかなか考えられている印象だ。

ネジを押さえながらナットをはめる作業に少し手間取っていたようだ軽く止めたネジをドライバで締めていく
プラスチックにナットの溝が掘ってあるので、ナットを固定するためのスパナは必要ないできあがってみると、かなり大きいのでビックリ

 30分もすると風力発電は完成。コレが意外に大きく、羽根全体の直径は33cmと、扇風機並みに大きく、高さも羽根の先端まで42cmほどある。これだけ大きな羽根を回すとなると、小型扇風機では風量が不足しそうなので、納屋からリビング用の扇風機を引っ張り出してきた。

 完成した風力発電機だが、1つミスをしていた点がある。それは、羽根の裏表を間違えてつけてしまったこと。逆に取り付けると、羽根に当たった風が両端に逃げてしまうので、扇風機を近づけても羽根がほとんど回らない。

娘が最初に組み立てた羽根には実はミスがあった。表裏が逆で、この状態だと羽根に当たった風が両端に逃げてしまう扇風機に近づけてもほとんど回らない

 つまらなそうにしていた娘に1つアドバイス。「紙で作った風車って、前から息を吹くと回るけど、後ろから息を吹いたり、後ろ向きにするとどうなる?」と教えてやると、ピンときたようだ。さっそく羽根の向きを正しい方向に設定。さらに、羽根の枚数も4枚に増やし、扇風機に向けると、今度は目にも止まらぬ速さで羽根が回り出した。

風車を例にアドバイスしてみた。羽根が裏表逆になっているのに気づいたようだ
羽根の裏表を直して、風車と同じ4枚の羽根に改造し始める風力発電機の羽根がビュンビュン回った。娘も大喜びだ

風力発電所が風の強いところに設置されている理由が分かる

 このキットの特徴は、この風車の回転で、LEDを光らせたり、内蔵の電子オルゴールを鳴らせるという点だ。回転する羽根の速さは目に見えないので、LEDの明るさやオルゴールの音程やテンポが変わることで、どれだけ発電できているかがわかるようになっている。

 また、扇風機の運転モードを強や弱にしたり、扇風機に近づけたり遠ざけたりして、風車の回転スピードを変えることでするとどうなるか? など、いろいろな実験ができる。

 

羽根の回転に応じてLEDの明るさが変わるようになっているスイッチを切り替えて、LEDの点灯と、LEDの点灯と電子オルゴール音を切り替える。内蔵の小型電池を充電して後ろの「DC」から出力することもできる扇風機の強さを変えたり、風力発電機と扇風機の距離を変えてみると、どれだけ発電できるかが目と耳で確かめられる
 

 

扇風機の風で風力発電を回すと、オルゴールが鳴り、LEDが光る
外部出力端子で電気の出力も可能。扇風機から数センチのところまで近づけると、3.6Vほど発電できた

 また、外部出力端子もついており、電気の出力も可能だ。メーカーのWebページによれば最大出力は0.4Wとのことだが、電圧を測ってみたところ、3.6Vほど出力できたので、電流は0.111A(111mA)という計算だ。ん~、電力的にはなかなか厳しそうだが、小型のラジオやLED式の懐中電灯ぐらいなら動かせそうだ。ただしこれは扇風機を最強にして、かなり近づけたときの値なので、台風でも来ない限り、ラジオは鳴らせそうもない。

 それを考えると、実際の風力発電が、山の上や海岸付近の強い風が常に吹いているところに設置されている理由が分かるような気がする。


ちょっと高いが、子どもの科学の眼と芽を育てるキットとしてオススメ

 6千円近くもするので、購入にはちょっと尻込みしてしまうかもしれないが、好奇心旺盛な子どもの科学の芽を出すきっかけになるだろう。最近の小中学校の理科の授業はほとんど実験をせず、理論だけの勉強なので、科学の楽しさを知るいいチャンスになるだろう。電気やモーター、電流と磁石などについては、小学校高学年から中学2年生辺りの理科や科学で習うので、ちょうどそのぐらいの子どもがいる家庭にはオススメだ。子どもの「なぜ? どうして?」に答えたり、一緒に考えたりすることで、コミュニケーションの一端にもなるだろう。

 もちろん、筆者のように心が少年のままの大人になっちゃったヒトが買って、あれこれ使い道を考えるというのも面白いだろう。





2012年 2月 29日   00:00