やじうまミニレビュー
【年末特別企画】やじうま年賀状ウォッチ
たくさん世に出ている年賀ハガキ。でも、うまく印刷するには、ハガキ選びが意外と重要になってくる。ちなみに写真はエプソン「カラリオ ミー E-810」を使いこなす我が母と娘 |
筆者はこれまでカシオとエプソンの“年賀状向け”プリンタをレビューしてきたが、そこで気になったのが、年賀ハガキの種類の多さだ。プリンタのレビューをするに当たり郵便局に買いに行ったのだが、お年玉懸賞付きのヤツだけで11種類も販売されていた。2011年用全体では、全国でなんと36億5千5百万枚が発行されるらしい。
そこで今回は、入手しうる限りの年賀ハガキを買って、それぞれの印刷の仕上がり具合など「年賀状」をレビューして、使い勝手を見ていくことにしよう。
いろいろテストしてみたところ、意外な真実が浮上! 実は、インクジェットの写真用ハガキは、写真を補正したほうがキレイだし、人物を印刷するなら普通のインクジェット紙より、ハガキに色が付いた「いろどり年賀もも」がよかったりと、目からウロコの結果が出た! 以下、とくとご覧あれ!
■こんなにいっぱいあるの? 年賀状のバリエーションをチェック
まずは、どんな年賀状が売られているのか、その種類を見ていこう。ちなみに、ここで取り上げる年賀状は、筆者が住んでいる神奈川県で購入したものになる。
【1】無地年賀ハガキ 普通紙 イラストだけの年賀状なら問題ないが、写真はコントラストが浅く、鮮明に印刷できない。切手部分の絵柄は“いかにも”っていうウサギ。 |
【1】無地年賀ハガキ 普通紙 50円
まず最初に紹介するのが、スタンダードな「無地年賀ハガキ 普通紙」だ。これについてはいまさら何も言うことはないが、いわゆる普通紙なので、インクジェットプリンターで印刷すると、発色が悪くなり、少しにじみができてしまう。プリントしたようすは、レビュー後半で取り上げる。
【2】無地年賀ハガキ(くぼみ入り) 普通紙 50円
基本的には、無地の年賀ハガキとまったく同じだが、宛名面の左下、通信面(写真などをプリントする真っ白い面)の右下に切り欠きがある。これは目の不自由なひとが上下を区別するためのものとなっている
【3】無地年賀ハガキ インクジェット紙 50円
インクジェット用紙に対応した年賀状。現在売られている年賀状の中では一番ポピュラーだろう。宛名面の右下に小さく「インクジェット紙」と印刷されているのが目印だ。普通紙に比べてにじみが少なく、白がくっきり印刷できるが、曇りガラスのようにしっとりとした仕上がりになるのが特徴。ただし、写真も小さすぎると目の光りがつぶれがちだ。
なお通信面に手書きで一言コメントを入れるには、ボールペンや水性サインペンを使うといい。油性ペンは引っかかり書きにくいだけでなく、インクもカスレやすい。
【4】無地年賀ハガキ インクジェット写真用 60円
こちらは通信面が光沢の写真専用用紙になっている年賀状。宛名面右下には「インクジェット写真用」と印刷されている。
インクジェットよりさらににじみが少なく、写真の細かい部分までつぶれずに印刷でき、光沢のある真っ白な紙なので色の再現性は年賀状で一番。全面写真にしたり、小さい写真を何枚も使う場合は、この年賀状が最適だ。
難点は、通信面に光沢の特殊加工が施されているので、“加工賃”の10円が加わり、価格は1枚60円となっている。去年、筆者宅近くの郵便局では12月中旬には売り切れになっていたので、お買い求めはお早めに。なお、手書きのメッセージを入れる場合は、ボールペンでも水性・油性サインペンでもOK。
【2】無地年賀ハガキ(くぼみ入り) 普通紙 下部の切り欠き以外は、無地の年賀ハガキとまったく同じ |
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【5】ディズニーキャラクター年賀 インクジェット紙 50円
ディズニーのキャラクターイラストをあしらった年賀状。去年は増刷がかかったという話も聞いた。無地の年賀状と同じ50円ながら、宛名面のディズニーキャラクタが可愛いこともあり、ファミリー世帯に人気らしい。昨年は近所の郵便局では早々に売り切れになっていたが、住宅街を避けてオフィス街の郵便局に行なったらあっさり手に入った。手書きのメッセージを入れる場合は、ボールペンか水性ペンを使うといい。
【6】ディズニーキャラクター年賀 インクジェット写真用 60円
これもディズニーの年賀状だが、ファミリー世帯は写真の年賀状が多いためか、光沢紙バージョンが追加となったようだ(筆者の記憶では、昨年はなかったハズ)。宛名面の一部がディズニーキャラクターになっているのみで、あとは無地のインクジェット写真用と同じ。価格も通信面の加工賃が10円加算され、1枚60円となっている。郵便局員さんに聞いてみたところ「これも早々になくなりそうです」とのことでした。
【7】いろどり年賀うぐいす インクジェット紙 50円
宛名面と通信面が薄いグリーンになっている年賀状。ごく薄いグリーンではあるが、人物の写真は印刷しないほうがよさそう。なぜなら、肌色が「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統になってしまう恐れがあるぞ(知らない人はアニメ版ヤマトを見てね)。おそらく、和風テイストがマッチする年賀状になるだろう。
【8】いろどり年賀もも インクジェット紙 50円
宛名面は薄い無地のピンクで、通信面はモモの花が吹雪いているような柄が入っている。人物を印刷すると少し赤ら顔になってしまうが、逆に健康的に見えていい効果になるかも知れない。なお「いろどり年賀」シリーズは、郵便局のネット通販では即日完売となったので、お買い求めはお早めに!
【7】いろどり年賀うぐいす インクジェット紙 宛名面も通信面も薄いグリーンになっている。切手のデザインが純和風なので、和風テイストなイラストが合いそう | 【8】いろどり年賀もも インクジェット紙 宛名面は無地の薄いピンク、通信面は桃の花が吹雪いているような柄入りのピンクとなる。人物は通常のインクジェット用紙よりキレイな肌色になるぞ |
【9】絵入り(寄付金付き)全国版 普通紙 55円
年賀状ソフトなどを使って印刷する人は、この年賀状を使う人はマズいないと思うけど、念のため紹介しよう。超有名な画家さんが描いたウサギのイラストが通信面の右下に入っているが、正直に言ってこのレイアウトはデザインしづらい(笑)。上半分に写真を印刷しても、絵と写真の間に微妙な隙間ができるので、高度なデザインテクニックを要する。
ちなみに通常の年賀状より5円高くなっているが、2円が印刷代、3円が寄付金となっていて、社会福祉や青少年の育成のために使われるとのこと。
なお「いろどり年賀」シリーズ同様、郵便局のネット通販では即日完売となっている。デザイン難しいのにっ!
【10】絵入り(寄付金付き)地方版 普通紙 55円
先の年賀状は全国の郵便局で購入できるが、こちらは全国各地の郵便局でのみ販売される“地方版”。写真は神奈川県内で販売されているものだ。地方によって絵柄やイラストの大きさも違うので、実際に買ってみてからデザインを考えて欲しい。
【11】カーボンオフセット年賀 インクジェット紙 55円
通常のハガキより5円高くなっているが、これを地球温暖化防止を推進するプロジェクトに支援するというもの。紙やハガキを作る工程で排出した二酸化炭素を、これで相殺しようということからカーボンオフセット(二酸化炭素 相殺;Carbon dioxide Offset)と呼ばれている。要はエコロジーなハガキということだ。
あまのじゃくな筆者は、「ハガキを作った張本人の郵便局が自分の財布から一銭も出さずに、ハガキを送る人から5円を徴収するのか?」と穿った見方をしてしまうが、そういう筆者のような人には正直向かないだろう(笑)
カーボンオフセットのはがきの特徴としては、先に挙げた寄付金付きタイプと違い、インクジェットプリンタに対応している点だ(寄付金付きは普通紙)。ただし、通信面は薄い緑のドット状の模様も入っているため、人物の印刷には不向きかもしれない。
以上が、今回購入した11種類の年賀状だ。しかし、このほかにもいくつか展開されているようなので、紹介しておきたい。
【12】ディズニーキャラクター年賀(香りつき) 普通紙 10枚セット700円
毎年すぐ売り切れてしまうディズニーのキャラクター年賀状だが、今年は香りつきタイプの年賀状が発売されている。ただしネット通販と、ごく一部の郵便局でしか手に入らないレアアイテムだ。バラ売りはなく10枚セットで700円。用紙は普通紙となっている。
発売している郵便局などは、郵便局の年賀ハガキのWebページを参照していただきたい。ウチの近所では売っていなかった
【13】エコー年賀 インクジェット用紙 45円
年賀はがきを安く済ませたいなら、宛名面に広告が入った「エコーハガキ」がお勧め。通常は50円するが、広告代の5円が差し引かれ、45円で買えるというもの。ただし、広告があるぶん、差出人を印刷する場所が通常よりも上になる。そのため、エコーハガキに対応していないプリンタや年賀状ソフトもあるため、差出人を通信面に印刷したり、宛名を横書きにするなどして対応するのが良いだろう。
これも近所の郵便局で売られていなかったので、今回は使用していない。
■普通紙とインクジェット紙とインクジェット写真用の使い分け
というわけで、13種類の年賀状を紹介してきたが、大きく分けると、紙の種類が、普通紙/インクジェット紙/インクジェット写真用に分類されることが分かった。そこで、写真やイラストを印刷して、それぞれにどのような違いがあるかを見てみよう。
<ご注意>
このレビューでは、エプソンの年賀状プリンタ「カラリオ ミー E-801」(4色インク、5,760×1,440dpi)を使用しています。同社の6色インク機や、他社製プリンタで印刷した場合は、これとは仕上がりが異なる場合があります。また印刷した年賀状をスキャナーで取り込んでいるため、掲載している画像が、実際のハガキの仕上がりとは異なって見える場合がります。
3パターンの違いは、以下の写真とキャプションをご覧いただきたい。
意外だったのが、インクジェット写真用の年賀状は、うまくプリントできない場合がある点だ。確かにコントラスト(色の対比)の強い写真が印刷できるのだが、インクジェット用と見比べると、日焼け気味の肌色になってしまうことがある。
インクジェット写真用を使う場合は、たとえ写真が明るすぎたり暗すぎない写真(難しく言うと「露出が適正な写真」)でも、プリンタの設定を少し明るめにしたり、パソコンの画像加工ツールで補正をかけた方が、自然な肌色を再現できるだろう。
また、イラストもコントラストが高めに出る。油絵やアクリル絵の具で描いたような絵には最適だが、水彩や色鉛筆で描いたようなものは、“ギラギラ感”が出てしまうことになる。もし後者のようなイラストを使う場合は、イラストの彩度(鮮やかさ)を少し下げるといいだろう。逆に、赤/青/黄といったビビッドカラーを際立たせたいという場合は、たとえイラストのみの年賀状でも、インクジェット写真用が最適だ。
逆にインクジェット紙用は、ほぼ画面で見たままのイメージが印刷てきる点が良い。パソコンモニターのディスプレイの輝度やコントラストが標準の状態なら、本当にそのままの感じで出てくる。パソコンを使ってプリントする場合は、無理して写真用を購入しなくても良いんじゃない? と思う。
一方イラストは、少し落ち着いたイメージになる。パステルや水彩などには最適だが、油絵やアクリル系絵の具の場合は、もとの絵より色が沈んで見える。こんなときは、イラストのコントラストや彩度を少し上げて微調整するか、インクジェット写真用を最初から使ってしまおう。
普通紙用の場合は、イラストのみの年賀状で使うのが良い。というのも、写真は補正しないまま印刷すると、色が違って出てくることがあり、例えるなら「新聞広告の写真」のような色合いになる。これにはもう少し説明が必要だが、先の写真で背景をに注目してもらいたい。インクジェット紙やインクジェット写真用は、背景がグレーとして印刷されているが、普通紙は茶色になってしまっている。
もし普通紙に写真を印刷するなら、コントラストとカラーバランスの調整が必要だ。これはかなり面倒な作業になるので、写真を使うならインクジェット紙を使うのが手っ取り早い。なにせハガキの値段は、普通紙もインクジェット紙も同じ50円だからだ。
これは「絵入り(寄付金付き)全国版」だが、写真の色合いは実際とは異なり、新聞に印刷されているような感じになってしまう | 「絵入り(寄付金付き)地方版」。こちらも普通紙なので、色合いがおかしくなってしまう |
通信面に使うイラストや写真によって、どの年賀状を使うと良いかは、おおよそ次の通りだ。
プリンタ印刷 | 手書きコメント | ||||||
写真 | イラスト | 文字 | 鉛筆 | ボールペン | 油性サインペン | 水性サインペン | |
普通紙 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
インクジェット紙 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | × | ○ |
インクジェット写真用 | ○ | △ | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
■人物なら「もも」、風景写真はら「うぐいす」――意外と使えるいろどり年賀
さて、ここでハガキに色がついている「いろどり年賀」と「カーボンオフセット年賀」にスポットを当てたい。写真を印刷する場合、意外と普通の年賀状よりも色が良く出ることがあるのだ。詳しくは、次の写真を見ていただきたい。
通常のインクジェット紙はがき | 【いろどり年賀もも】 肌色は通常のインクジェット紙に比べて、格段にキレイな色に仕上がる。人物の写真を全面に印刷するなら、通常のインクジェット紙より「もも」を使ったほうがワンランク上の肌色が再現可能だ |
「いろどり年賀もも」のポイントは、人物に最適!という点だ。全面を人物にしたり、上半身のアップを載せたりという場合は、通常のインクジェット紙より肌色がキレイになる。ももの花吹雪模様が顔に被ってしまっても、とくにアザのように見えることもなかった。イラストも、暖色系なら花吹雪が効果的に見えて、普通のインクジェット紙よりもお洒落に見える。
ただ、白いワイシャツなどには花吹雪の柄が写り込んでしまい、シミのように見えてしまうのは難点。海や空、山といった風景写真にも、柄が写り込むため不向きだろう。またイラストの場合も、寒色系との相性は良くなさそうだ。
「いろどり年賀うぐいす」と「カーボンオフセット年賀」は、薄い緑色をしているので人物には不向き。とくにカーボンオフセット年賀は、柄は顔などに被ってしまうとシミやソバカスなどに見えてしまうので、人物写真用の年賀状としては避けたい選択肢だ。
しかし、海や空、山といった風景写真を使う場合は、以下の写真を見てわかるとおり、通常のインクジェット紙より味のある色合いに仕上がるというメリットがある。
【いろどり年賀うぐいす】 イラストはさほど色が変わったイメージがないが、写真は緑がかっている | 【カーボンオフセット年賀】 うぐいすと同様、写真が緑がかり、さらにドット状の柄も入っている。これが顔などに来てしまうと、シミやシバカスのように見えてしまう。人物写真には不向きだ |
通常のインクジェット紙はがき | 【いろどり年賀うぐいす】 通常のインクジェットに比べると空の青に深みが出ている。また山の明るい緑が鮮やかな仕上がりに。雲はそれほど緑ががって見えないから不思議 | 【カーボンオフセット年賀】 緑のドット状の模様があるが、風景写真ではまったく目立たない。寒色系の写真なら、うぐいすまたはカーボンオフセットがお勧めだ |
このように寒色系や緑が中心の写真なら、いろどり年賀うぐいすやカーボンオフセットを使うと、より深みのある色合いに仕上がる。写真の良さを活かすのであれば、これを選ぶのが良いだろう。ただし、雪景色のような真っ白なものは、ハガキの地の色がそのまま出てしまうのでご注意。
カラー年賀の種類 | 人物写真 (暖色系) | 風景写真 (寒色系) | イラスト (暖色系) | イラスト (寒色系) | 文字 (黒) |
いろどり年賀もも | ◎ | △ | ○ | △ | ◎ |
いろどり年賀うぐいす | × | ◎ | △ | ○ | ◎ |
カーボンオフセット | × | ◎ | △ | ○ | ◎ |
■宛名先面の印刷の違いはナシ。でも差出人の高さに注意
最後に、宛名面にも触れておこう。通信面にはインクジェット紙やインクジェット写真用があるが、宛名面はどの年賀ハガキも普通紙になっている。プリンタの設定では、「普通紙」を選んで高速に印刷したほうが、かえってキレイに印刷できちゃったりする。
無地年賀ハガキ 普通紙。なお、くぼみ付きも同様の結果になるため省略 | 無地年賀ハガキ インクジェット紙 | 無地年賀ハガキ インクジェット写真用 |
絵入り(寄付金付き)全国版 普通紙 | 絵入り(寄付金付き)地方版 普通紙 |
たいていの年賀状ソフトは、無地の年賀状に合わせて差出人の領域が設定されている。今回紹介したほとんどの年賀状は、既定の設定値でかまわない。が、「いろどり年賀もも」と「カーボンオフセット年賀」の2つに限っては、切手部分の印刷が大きくなっているので、領域を小さくしたり、2文字ほど空白を入れるなどの工夫が必要になるかもしれない。
いろどり年賀もも インクジェット紙 | カーボンオフセット年賀 インクジェット紙 |
今回は現物を入手できなかったが、エコー年賀ハガキは下部に大きく広告が入っている点にご注意。差出人は通信面に印刷し、宛名は横書きにするなどの工夫も必要だ。
なお書き損じた年賀ハガキは、年賀状販売期間中に限り1枚5円の手数料を支払うと交換してもらえる。年賀状の発売期間を過ぎてしまうと、基本的には「普通ハガキなどに交換できない」と郵便局のWebページでは案内しているが、局によっては交換してくれる場合もあるらしい。また年賀状を購入した後に不幸があった場合は、手数料なして普通はがきや切手に交換してもらえるようになっている。いずれの場合も、郵便局の窓口などで相談してみるといいだろう。
というわけで、ひとクチで年賀状といっても、いろいろ長所や短所があることが分かっていただけただろう。このレビューを元にビシッと決まった年賀状を作って、幸先の良い1年をスタートしていただきたい。
年賀状の元旦配達の期限は、毎年12月25日ごろ。年末のドタバタに加えクリスマスも控えているので、できれば22日か天皇誕生日の23日までには出したいところだ。年賀状プリンタを駆使して、さぁ! がんばって書くぞー!
2010年 12月 2日 00:00
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