やじうまミニレビュー

ViV「Due」

~本格蒸し野菜がレンジでできるシリコンスチーマー
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ViV「Due」

 電子レンジを使って短時間で調理ができるシリコンスチーマーは、近頃ますます注目されている。私もつい最近、比較的安価で初心者モデル的な製品を初めて試したのだが、便利なのだ。火の通りが早く、スピーディーに料理ができるのがいい。油をあまり使わないで調理できるのもヘルシーでいいところだ。

 しかし、使っているうちに、もう少しだけ本格的で、もう少し大きいサイズの製品が欲しくなった。そこでネットなどで調べて、viv(ヴィヴ)というメーカーのシリコンスチーマー「Due(ドゥエ)」を買うことにした。中に敷く、すのこ状の「スチームトレイ」がついているのが特徴だ。



メーカーviv(ヴィヴ)
製品名Due(ドゥエ)
希望小売価格2,965円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,965円

しっかりした作り

 ドゥエは、シリコンケース、フタ、スチームトレイがセットになっている。材質はシリコン製で、マイナス30℃から、270℃の高温にまで耐える。ただし、直火やオーブントースターにかけてはいけない。

パッケージ上から本体、スチームトレイ、フタシリコン素材でやわらかいが、しっかりとした作り

 フタの裏には、「ピコ」と呼ばれる小さな丸い突起が並んでいる。食材から出る、旨みを含んだ蒸気がこのピコに反応してまんべんなく行きわたるので、おいしく仕上がるという。

 スチームトレイは、下に水を入れて蒸し調理に使うほか、食材の余分な水分や油を切る用途で使用する。ふたを含む本体サイズは135×260×75mm(幅×奥行き×高さ)。容量は1,000ccで、2~3人用の調理に適する。

 ViVでは、今回紹介するドゥエのほか、1~2人用の「ウノ」、3~4人用の「クアトロ」なども用意する。野菜をイメージしたパプリカレッド、キャロットオレンジなど5色のカラーリングがあるが、今回はレタスグリーンを選んだ。

 また製品には、取扱説明書を兼ねた16ページのレシピブックがついており、料理家の杉山アキコ氏による9種類のレシピが掲載されていた。

2~3人分の料理に適する。下に置いてあるのは30cm定規レシピブックレシピブックの巻末には、材料ごとの調理時間目安が掲載されている

野菜の蒸し料理を作る

 まずは、レシピブックの表紙にも掲載されている色鮮やかな野菜料理「蒸し野菜のバーニャカウダ」を作ってみた。バーニャカウダとは何かと思って調べてみたところ、「熱いソース」を意味するイタリア語だそうだ。にんにくとオリーブオイル、アンチョビを煮立てて作るソースのことらしい。ちなみにアンチョビとは、「塩漬けにしたカタクチイワシを発酵させたもの」だ。缶詰や瓶詰めで入手できる。

 じゃがいも、かぼちゃ、赤ピーマン、ラディッシュなどの野菜をレシピの指示通りに切る。火の通りにくい固い野菜は小さめに、火の通りやすい野菜は大きめに切るのがコツだ。

 スチーマーにお湯を大さじ2入れ、スチームトレイをセットする。そして最初にじゃがいもだけを入れて、フタをしたら600Wのレンジで2分半加熱する。そのあとで、残りの野菜を彩りよく盛りつけ、3分半加熱して、そのまま2分間蒸らしてできあがりだ。


 このフタは本体にピッタリと収まるので、蒸気を逃さず、調理効率がいいという。

蒸し野菜を作る。材料はじゃがいも、パプリカ、かぼちゃ、レンコンなどできあがり。短時間で高温調理をするので色が鮮やかだ
「バーニャカウダソース」の材料

 蒸し野菜に添えるバーニャカウダソースは、にんにくとアンチョビを使って作る。本来は鍋で煮て作るものらしいが、このレシピでは、ソースも電子レンジで作ってしまう。おろしにんにくと牛乳を耐熱容器に入れて加熱し、細かく刻んだアンチョビとオリーブオイルを混ぜる。アンチョビの塩気があるので、調味料はいらない。

 このソースを加熱する過程ではフライパンでにんにくを炒めるときなどよりずっと強い匂いがするので、換気扇を回すなどの対策をした方がいいかもしれない。

 さっそく食べてみよう。まずは、ソースを付けずに野菜だけを味わう。それぞれの野菜にほどよく火が通っていて、じゃがいもはホックリ、れんこんはサクサクとした食感で、おいしい。カボチャも甘い。ラディッシュの赤い色も抜けていない。

 煮たりゆでたりする調理では、これほど野菜の風味や色を残して仕上げることは難しいだろう。スチームトレイで食材を蒸しているので、仕上がりが水っぽくなく、野菜本来の味が楽しめた。

 バーニャカウダソースは、アンチョビのクセとにんにくの香りをオリーブオイルがまとめていて、野菜につけて食べると、ちょっとオツな大人の味という感じだ。私はおいしいと思ったが、夫はダメだった。人によっては好みが分かれるかも知れない。

魚介の蒸し料理を作る

 次に、やはりレシピから「魚介のイタリアンハーブ風味」を作ってみた。

 エビ、イカ、アサリをスチーマーに入れ、塩こしょう、オリーブオイル、スライスにんにくを加えて3分加熱する。レシピに忠実に作るなら、イタリアンパセリ、ルッコラ、バジルの3種の生ハーブが必要なのだが、どれも近くの店では売っていなかったので、手持ちの乾燥ミックスバジルを使うことにした。

 3分経ってフタを開けると、ぱっと湯気が上がって、魚介類の香ばしい匂いがする。エビの赤が良いアクセントになっている。

 エビやイカは加熱しすぎると固くなりすぎてしまうが、今回はほどよく火が通って、プリプリしておいしい。ふっくらと加熱できるのが、シリコンスチーマーのいいところだ。

 一方、アサリは3分では完全にカラが開かないものが残ったので、あとで加熱し直して食べた。今度作るときは、まずアサリだけを短時間加熱してから、ほかの食材を入れて作ろうと思う。

 魚介にオリーブオイルやハーブで風味をつけたこの料理はとてもおいしかった。カラつきのアサリや、色鮮やかなエビで見た目にも華があって、ごちそう感も高い。

魚介のハーブ蒸しを作るできあがり。エビやイカがプリプリだが、アサリはちょっと蒸しが足らなかった

 ただ、食べているときに、「やっぱりエビやイカっていうと、お醤油とごま油かなんかでジャーッと味付けた方がおかずになるな」という思いがかすめたのもまた事実だ。

 デュエの添付レシピは、全般におしゃれな料理が多く、一皿の料理に使われる食材やハーブ、スパイスの種類も多い。デュエを使うことでおしゃれでヘルシーな、よりよいな生活をして欲しい、という生活提案的な意志を感じる。言い方を変えれば、気取ったレシピが多いということだ。

具入りオムレツを作る

 ここからは、レシピブックから離れて、自己流で具入りオムレツを作ってみることにした。

 まず、ハム、玉ねぎ、ピーマンなどを適当に細切りにし、塩コショウしてスチーマーで1分加熱した。野菜にしんなり軽く火が通った状態だ。ここに、やはり塩コショウした卵3個をかきまぜて流し込み、3分加熱した。

 できあがりは、卵の黄身と白身が入りまじった中にハムやピーマンの色がのぞいて、なかなか色鮮やかだ。

 仕上げにケチャップをかけて食べた。油を使っていないので、オムレツというより「蒸し卵」という感じだが、これはこれでふんわりしておいしい。パンにもごはんにも合うと思う。とにかく早くできるし、レンジにかけている数分間にほかのことができるので、忙しい朝のメニューに向いている。

 シリコンスチーマー愛用者のブログなどを見てみると、オムレツにスライスチーズを入れたり、冷凍食品のフライドポテトを入れたりしている人もいた。これらの具なら包丁を使わないから、さらに楽な調理ができそうだ。

オムレツを作るふわっとしたできあがりケチャップをかけて食べた
食洗機でも洗える

 ここで、手入れについて書いておこう。シリコンストーマーは高温に強いので、食器洗い乾燥機で洗うことができる。また、デュエは厚みがあって剛性が高いので、スポンジを使って手洗いする場合も普通の食器と同じように洗える。ただ、タワシや、研磨剤入りのクレンザーなどは使用できないので注意しよう。

もやしと薄切り肉のせいろ蒸しを作る

 次に、松田優作が好んだということで別名「優作鍋」ともいわれる、もやしと薄切り肉のシンプルな蒸し鍋を、デュエで作ってみた。

 まず、スチーマーにスチームトレイを敷き、もやしをこんもりと盛りつける。その上に豚の薄切り(しゃぶしゃぶ用が望ましい)を広げて敷き、日本酒と黒コショウをかけて、4分間加熱した。

 これをポン酢で食べる。薄切り肉にほどよく火が通り、下に敷いたもやしがしゃっきりしておいしい。もやしからは意外に水気が出るが、スチームトレイの下にたまるので水っぽくならない。これもまったく包丁を使わないシンプル料理なので、手軽に何か一品というときによさそうだ。

もやしと豚薄切り肉の蒸し物を作るできあがり。ポン酢で食べるもやしから出た水気は、スチームトレイの下にたまる

肉まん、しゅうまいを蒸す

 シリコンスチーマーは、電子レンジを使う調理器具だが、単にあたためるのではなく「蒸す」ことが得意だ。

 そこで、市販の肉まんやしゅうまいを蒸してみた。スチームトレイの下に大さじ2杯のお湯を入れ、食材を入れて蒸す。まずは肉まんだが、とてもうまくいった。

 レンジで普通ににチンした肉まんは、温かくてそれなりにおいしいのだが、表面ががカサカサしてしまう。デュエで蒸した肉まんは、表面がしっとりして、皮のおいしさがよくわかる。デュエの高さは75㎜なので、専門店の大きな肉まんだと頭がつかえるかも知れない。しかし、手近のコンビニなどで買える普通の肉まんなら、十分使えるだろう。

 しゅうまいも、やはり皮がしっとりして、せいろで蒸したような仕上がりになった。デュエは、電子レンジのあたため機能だけでは出ないおいしさが出せていると思う。本体とフタの両方がしっかりとした作りで、フタの密閉度が高いのが功を奏している。

肉まんを蒸す。しっとりした仕上がりで、皮のおいしさがよくわかるしゅうまいを蒸す。せいろで蒸したような出来上がり

本格料理も、手軽な日常料理やあたためも

 デュエのレシピ集を最初見たとき、おしゃれな料理や凝った料理が多いので、正直引いた部分があった。手順に細かい指定があったり、入手が難しい具材も多いので、あまりレシピに忠実にと考えると負担が大きい。

 大まかなご意向はうかがっておいて、細部はアレンジするくらいの気持ちで向かうのがいいと思う。多少アレンジしても、作ってみれば結局おいしい。

蒸し野菜を、主菜のつけあわせとして出した例

 たとえば、最初に作った蒸し野菜は、副菜やつけ合わせとしておすすめだ。ソースを作らなくても塩だけで、野菜の味がわかっておいしい。野菜をレンジで加熱している間に、フライパンなどで主菜を調理することで、主菜副菜とも同時にアツアツが出せる。

 また、カレーのトッピングとして盛りつけると、専門店の「野菜カレー」みたいな一皿になる。お店ではトッピングの野菜はフライヤーで揚げてあることが多いが、こちらは油を使わないのでヘルシーだ。

 あるいは、もやしを蒸しておいて、ラーメンのトッピングにするのもいい。もやしは、ゆでるとどうしても水っぽくなっておいしくないが、スチーマーで蒸すと具合よく仕上がるのだ。あり合わせの材料で作るオムレツのような、普段使いの料理もおいしくできるし、肉まんなどのあたためにも有効だ。

 シリコンスチーマーを新しく買ったからといって、いつも凝った料理ばかりしているわけにはいかない。日常的な、普段使いの調理器具として便利に使っていくのがいいだろう。

 デュエは、シリコンスチーマーとしては高くない価格でもあるし、毎日の料理ツールとしておすすめできる。毎日使いこなしていくうちに、なくてはならないキッチンツールになるだけの素質は充分あると思う。



2010年 11月 24日   00:00