やじうまミニレビュー
新富士バーナー「キッチン香房」
新富士バーナーの鍋型スモーカー「キッチン香房 ST-125」 |
主婦として料理をひと通りこなしているつもりだが、今まで敬遠していたのが「燻製」。専門的な知識が必要で、初心者には難しそう……という先入観があったからだ。
しかし、最近は家庭で使える簡易スモーカーが数多く販売され、気軽に楽しむ人が増えているようだ。旦那と娘が燻製好きなので、ここは新しいことにチャレンジしてみるか! と、燻製初心者でも楽しめそうなスモーカー「キッチン香房ST-125」を購入した。
メーカー | 新富士バーナー |
製品名 | キッチン香房 ST-125 |
希望小売価格 | 4,600円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,940円 |
この「キッチン香房 ST-125」は、キッチンのコンロで直接短時間のスモークができる鍋型スモーカー。調理時間が短い「熱燻法」向きの器具で、基本的にはその日食べきる分だけを作ることになる。
ちなみに燻製には、(1)熱燻法、(2)温燻法、(3)冷燻法という3つの調理方法がある。熱燻法とは、80~120℃で食材をあぶりながら、10分~2時間程度スモークするというもの。チキンや魚などを丸ごと調理するなど、手軽にできる点が特徴となる。アウトドア料理として利用されることが多いが、調理した燻製は保存に向かない。
(2)の温燻法は50~80℃で、食材の水分を飛ばしながら1~2時間程度スモークする。数日間から数週間保存がきくため、保存食としての燻製を作るには一番スタンダードだ。最後の冷燻法は、熱を加えずに長時間燻煙のみをかける方法で、温度管理が非常にむずかしく、上級者向きとなる。
このキッチン香房では、チーズ、かまぼこ、ソーセージ、ベーコンといった加工品なら、スモーク前に醤油などを塗り、コンロで3分ほど火をかけるだけで香り付けができるという。燻製では本来、生の素材を燻製するには、事前にソミュール液(塩水にハーブやこしょうなどを足した燻製液)やピックル液(塩だけでなく、醤油やみりんなどを足した燻製液)を作り、食品をしばらく塩漬けにする必要がある。これにより、保存性が高まると共に、うまみが凝縮されるわけだが、本製品は本当に3分間だけでちゃんとスモークできるのだろうか。チャレンジしてみよう。
■燻製の王道! チーズやソーセージ、ゆで卵で試す
本体サイズは21×16cm(直径×高さ)とコンパクト。コンロに置いても邪魔にならない大きさだ。本体のハンドルは折りたたみできるので、収納もラクだ。
本体は鍋型。ハンドルがついているので便利 | 折りたためるので収納時もコンパクト |
網は凸部を上にすると取り外せる | フタのツマミは木製なので、熱くならない |
選んだスモークチップは「さくら」。500g入りで298円。キッチン香房なら15回は使える |
燻製を始める前に用意しなければならないのが、木を細かく刻んだ「スモークチップ」だ。これを燃やすことで煙を出すのだが、ホームセンターに行くと種類がたくさんあり、悩んでしまった。
調べてみたところ、一番ポピュラーなのが「さくら」の木でできたスモークチップだそうだ。香りが強く食材の臭みを取りマイルドな味に仕上げるそうで、主に肉類に向いているという。今回はこのスモークチップを使う。
最初にスモークチップを一握り(約30g) 鍋の中に入れ、燻煙網を置いてから、好きな食材を並べる。あとはコンロに乗せ、弱火で数分加熱し、食材が飴色になれば出来上がりだ。
記念すべき最初のスモークは、チーズ、ちくわ、かまぼこだ。取扱説明書では、醤油、みりんで作ったタレを食材に塗り、2時間ほど放置して乾燥させておくという。
用意した食材。まず最初はかまぼこ(左上)とちくわ(右上)に挑戦 | ハケでたれを塗って、そのまま置いておく |
フタには隙間が開いており、余分な煙が逃げていく |
準備が完了したのでフタをすると、フタと容器の隙間が5mmほど空いている。余分な煙を外に逃すため、完全に密封しないよう、網が特殊な形状になっているのだ。あとは、チップに火をつけた後、弱火で燻煙をかけ、食材が飴色に色付いたらできあがりだ。
数十秒で、煙がモクモクと立ち上がる。燻煙をかけすぎると、食材が焦げ茶色に変色し苦くなってしまうので、見極めがなかなか難しい。3分ちょっとで全体的に飴色になったので取り出した。燻製らしい、いい色に仕上がっている。
スモーク中は、フタの隙間から煙りが立ち上る | フタをとったところ。あっという間に出来上がり |
3分ほどでこんなにいい色に! |
こんな短時間でちゃんとできるのか不安だったが、とてもおいしい! 食材は手頃なものばかりだが、高級感のある味になった。かまぼことちくわはお酒のつまみに最高だ。
しかし、チーズはちょっと燻されすぎて渋くなってしまった。もう少し時間を短くしたほうが良さそうだ。1~2分でも十分だろう。
次に、あらかじめ湯通ししておいたソーセージ、自作のピックル液に漬けておいたゆで卵と一緒にスモークしてみた。ゆで卵は味をつけたほうがおいしそうなので、あらかじめ醤油とみりんと塩で適当に作ったピックル液に、昨晩からつけておいたのだ。ついでに、塊ベーコンを厚めに切ってスモーク。チーズは1分ほど軽くいぶすだけにしてみた。
どれも本格的で、本当においしい。ベーコン、ソーセージはジューシーで、噛むと脂がジュワッと出てくるのだが、しっかりスモークの香りがして、やみつきになりそうだ。半熟にしておいたスモーク卵も絶品だ。燻製好きにはたまらないだろう。
今度は卵とソーセージをスモーク | おいしそうな飴色に |
半熟卵のスモークは絶品! | 余っていたちくわ、ベーコン、チーズも再度スモークした | 左側のチーズはちょうどよかったが、右側のチーズは苦かった。チーズは軽くスモークするだけで十分だろう |
■アジの開き、たくあんもスモークすると絶品
こんどは、たくあんのスモークに挑戦。ネットで調べてみたところ、スモークするとおいしいとのことだった。たくあんは近所のスーパーで売っている一般的なものを用意した。
調理前に、たくあんの水分をキッチンペーパーで拭き取ってから、我が家のカーポートの影で紐につるして2時間ほど干しておいた。きちんと水分を蒸発させたほうが、おいしくできるそうだ。
水分がすっかり蒸発したたくあんを3分ほどスモーク。それほど色は変わっていないが、やりすぎてチーズのように苦くなってしまったら悲しいので、そのまま上げてしまった。
食べてみてビックリ! スモークの香りが加わっただけで、こんなにおいしいとは!! おかずにもおいしいが、お弁当に入れても最高。これは期待していなかったが、簡単なのでぜひリピートしたい燻製だ。
カーポートの影でぶらさがるたくあんはちょっとシュール… | たくあんは3分ほどスモークしても、ほとんど色は変わらないが、味はスモークの香りが加わって最高! |
最後に、アジの開きが余っていたので、ついでにスモークしてみた。こちらは3分ほどスモークしたが、色はほとんどつかず、見た目はほとんど変わらない。
これも、とてもおいしかった。脂にスモークの香りが染みこんで、いつものアジの開きとは印象が全く違う。アジの開きに飽きていたら、軽くスモークすると新鮮かもしれない。子供達にも大好評だった。
干物は特に味付けする必要がなく、すぐにスモークして食べられるので気軽にできる。簡単なので、ぜひ試していただきたい。
アジも3分ほどスモーク。小さめのアジでも、シッポが飛び出てしまった | これもまたなんというおいしさ! スモークたくわんと一緒にいただきます |
■初心者でも燻製が楽しめるスモーカー
使用上の注意としては、調理後の煙に注意していただきたい。スモークが終わってフタをあけると、煙がモワッと出てくる。その煙を一瞬でも浴びると、髪の毛、洋服などが燻製臭くなってしまう。お出かけ前などは絶対にやめたほうが良い。また、お気に入りの服を着てのスモークは避けることもおすすめしたい。さらに、換気扇も「強」をお勧めする。
また鍋が小さいので、一度にスモークできる食品の量は少ないが、2~3分あれば1回のスモークが完了するので、続けて何回か作っても、それほど時間はかからない。ただし、スモークチップは焦げてしまうので、こまめに交換したほうが香りが付きやすい。また、数回スモークしたらコンロの火を消して、鍋が熱くなりすぎるのを抑えるのが良いだろう。
ちなみに、今回はコンロを使った調理法をご紹介したが、火のない場所でも、熱源に「スモークスティック(スモークチップよりも長時間煙を出す棒)」を使えば調理可能。この場合、熱が低めの「温燻法」になるため、コンロよりも時間がかかるが、アウトドアなどでは重宝するはずだ。
ダンボールや中華鍋を使ってスモーカーを作ることも可能だが、一から作るのは面倒だし、難しい。しかしこれなら、思い立ったときにキッチンでさっと作ることができるので、本当に便利だ。また、すべて丸洗いできるので手入れもラク。収納時に場所をとらないのも嬉しい。
生肉から時間をかけてじっくり燻製していく……といった使い方はできないが、市販のベーコンをスモークするだけでもとてもおいしいので、燻製初心者の私にとっては十分。気軽にできる燻製で家族みんな大喜びだった。
お酒のつまみにも、おやつにもおいしい自家製スモーク。燻製は難しいと思っていたのだが、これなら実に簡単だ。みなさんも「キッチン香房」で、ぜひ手軽な“スモークづくり”にチャレンジしていただきたい。
2010年 11月 22日 00:00
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