藤山哲人のモバイルバッテリー診断

タブレットもOK! 3台同時に充電できるパワフルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
エレコム「DE-M01L-9045」

 エレコムのDE-M01L-9045は、モバイルバッテリーとスマートフォンを逐次充電できるのが特徴だ。残念ながら同時充電はできないので注意して欲しい。しかし、旅先などでは重宝するはずだ。なぜなら、出力ポートが1つしかないUSB-ACアダプターが1個あれば、接続を切り替えることなく、スマホとモバイルバッテリーを満タンまで充電できるからだ。

 たとえば、一般的なモバイルバッテリーを使ってスマホを充電している状態で、モバイルバッテリーの蓄電を始めた場合、たいていの製品ではスマホの充電が打ち切られ、モバイルバッテリーの充電が始まる。

 しかしDE-M01L-9045は、スマホのバッテリーが満タンになるまで充電を続け、そのあと本体の充電を開始する。逆に、本体の充電中にスマホを接続すると、スマホの充電が待機状態となり、本体の充電が優先される。DE-M01L-9045がフル充電されると、接続したスマホの充電が始まる。

 サイズは、スマホより一回り大きい程度で、厚みはスマホ2台分ほど。見た目ほどは重くなく、スマホと重ねても片手で持てる程度だ。

スマホの充電中に、DE-M01L-9045に充電器をつなげても、スマホの充電は継続される。スマホがフル充電になると、DE-M01L-9045の充電に切り替わる
タブレットも合わせて3台同時に充電ができるパワフルさ
メーカー名エレコム
品名・型番DE-M01L-9045
バッテリー容量9,000mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
75.5×155.5×16.3mm
重量230g
カラー・モデルブラックとホワイトの2色
実売価格6,678円程度
左側は2.4A出力のUSBポート。どんなタブレットでもこのポートで充電できる。中央の2つは2A出力で、スマホや小さめのタブレット用。合計出力が4.5A以内なら3台同時に充電できる。1番右は充電用コネクター
電源スイッチは、本体側面のくぼんでいる部分にある
ELECOMのロゴの左側にバッテリー残量計がある

スマホを4回充電OK! タブレットも合わせて3台同時充電OK!!

 まずは、内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマホ(ARROWS X F-10D)を充電したところ、ちょうど4回充電できた。

 このモバイルバッテリーには、2A出力が2系統、2.4A出力が1系統あるが、スマホや小さいタブレットは2Aに接続、充電に2A以上の出力を必要とする場合は、2.4Aのポートを使う。

 DE-M01L-9045は、3台同時に充電可能。スマホを2.4Aのポートで充電しても構わないが、合計出力4.5Aという制限がある。スマホ2台と小さめのタブレット1台を3台同時に充電する場合は、2.4Aのポートはタブレットに割り当てるといいだろう。

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製「ARROWS X F-10D」。内蔵バッテリーの容量は1,800mAh
充電実験に使ったのは2.0A出力のUSBポート
付属のUSBケーブルは10cm。カバンの中で充電するには短い

【スマートフォン充電テストの結果】
充電回数「4回」(7,200mAh相当)
※ARROWS X F-10Dの状態 Wi-Fi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録

 充電中はスマホと重ねて置けるが、ポケットに入れて充電するのは無理がありそうだ。カバンに入れての充電がメインになるだろう。その点を考慮すると、付属のUSBケーブルは10cmと短く、少し使いづらい。

【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクター数USB×3(2A×2、2.4A×1)
USB最大電流2.4A(3ポート合計4.5A)
充電ケーブル
(コネクター)
Micro USB(10cm)
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電2Aまでの機器×2と2.4Aまでの機器×1:○
(3台合計で4.5Aまで)

電流と電圧の安定性は悪いがロスは少ない

 たいていのスマホは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて1Aの電流を連続して流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 実用量は、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、モバイルバッテリー内部とスマートフォン内部の充電時のロスをさし引いた値となっている。つまり、実容量や実容量率の値が大きいほど高性能なバッテリーだ。

連続電圧変移
連続電流変移

 電圧はあまり安定しないようで、30分を過ぎたあたりで急激な落ち込みが見られた。はっきりした原因は分からないが、5時間を過ぎた辺りから徐々に電圧が下がっている点も不安定さを見せている。スマホによっては、充電モードに入ったり切れたりという事象が起きる可能性もあるだろう。電流も安定性はイマイチだが、スマホの充電が解除されることはなかった。

一般的なスマホなら、バッテリー残量計のLEDの数だけ充電できる(同時充電は3台まで)。ちょうどいい目安になる
電源ボタンは、誤操作を防止するためへこんでいる部分にある。長押しで電源ON/OFF。クリックで残量確認

 この実験結果を元に、実際の容量を計算したところ、表示容量9,000mAhの71%(およそ6,400mAh)だった。この値は、一般的なモバイルバッテリーに比べるとかなり良い部類に入り、非常にロスが少ないと言える。電流と電圧が安定していれば、文句のない製品だったのだが……。

実容量ロス率

 計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量9,000mAh
連続利用時の実用量6,425mAh(71%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格1,012円
充電回数(理論値)Android(1,500mAh):4.3回
Android(1,800mAh):3.6回
Android(2,000mAh):3.2回
Android(2,200mAh):2.9回
Android(2,500mAh):2.6回
Android(3,000mAh):2.1回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):4.3回
小容量タブレット(6,000mAh):1.1回
大容量タブレット(12,000mAh):0.5回
iPad mini(6,471mAh):1.0回
iPad(11,560mAh):0.6回

 なおバッテリー残量は、4個の青色LEDで示される。容量2,000mAh程度のスマホならおよそ4回の充電ができるので、4段階残量とピッタリ一致し使いやすい。

充電器に依存される充電時間は6~12時間

できるだけ公平なデータを取るために、これまで試してきたモバイルバッテリーと同じく、かなり古いUSB-ACアダプターを利用している。おそらくこれが原因で、充電にカタログスペックの2倍の12時間かかってしまった

 カタログスペックでは、1.8A出力のUSB-ACアダプターでおよそ6時間と記載されていた。しかし、実際に2A出力のUSB-ACアダプターで実験してみたところ、倍の12時間ほどかかってしまった。

 この結果は、いつも実験に使っているUSB-ACアダプターが、2、3年前に購入した旧式なため、DE-M01L-9045を急速充電モードにできなかった可能性がある。ただしマニュアルには、急速充電が可能な型番などは明記されていなかった。

 充電時間が6時間か12時間かで、使い勝手はかなり変わってくるので、できれば充電器を付属するか、別売して欲しいところだ。なおこの記事での評価は、実測値を優先し充電時間は12時間としている。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
付属充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)6時間(1.8A出力USB-ACアダプター利用時)
充電時間(実測)12時間9分
繰り返し利用回数500回

コンパクトで3台同時に充電可能! ガジェット持ちにオススメ!!

 まず充電に、2.0A以上の出力が必要なタブレットを使っている人にオススメしたい。また、このサイズで3台同時に充電できるというのも特徴だ。デジタルガジェット持ちには、ぜひオススメしたい。

 やや安定性にかける面と、充電時間が12時間なのか6時間なのかは試してみないと分からないという点は不安だが、3ポートで最大4.5A出力というパワフルさでマイナス面を補えるだろう。

【総合評価】
メーカー・品名エレコム DE-M01L-9045
ロスの少なさ ★★★★★(5)
持ち歩きやすさ★★★★☆(4)
単位容量の安さ★★★★☆(4)
充電の早さ  ★☆☆☆☆(1)
使い勝手のよさ★★★★☆(4)

藤山 哲人