藤山哲人のモバイルバッテリー診断

100V電源も出せる1kgオーバーのモバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
ルックイースト「Power-Pond Connect LE-CNT40K」

 今回紹介するのは、普段は大容量のモバイルバッテリー、でも、いざというときには、家電も動かせる超コンパクトな非常用電源にもなる、ルックイーストから発売されている「Power-Pond Connect」だ。容量は40,800mAhと超大容量で、サイズも幅が14cmと大きく、重さは約1kgと重い。

メーカー名ルックイースト
品名・型番Power-Pond Connect LE-CNT40K
バッテリー容量40,800mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
140×75×40mm
重量1,089g
カラー・モデルブラック
実売価格31,000円程度
右側がモバイルバッテリーユニットで、左側がコンセントユニット。合体させるとコンセントと同じ100Vが取れる

 本体は、モバイルバッテリーユニットと、コンセントと同じ100Vを作るコンセントユニットの2つに分かれている。

 モバイルバッテリーとして使う場合は、バッテリーユニットだけを持ち歩いてもかまわない。いざという場合やパソコン用の電源として使う場合は、モバイルバッテリーユニットにコンセントユニットを合体させると、壁コンセントとほぼ同じ、AC100Vが取り出せる。

 なお、飛行機には、持ち込み可能なモバイルバッテリーの容量制限(国により若干異なる)がある。本製品は、たいていの国で2台まで機内持ち込みが可能だ。

【モバイルバッテリーユニット】
本体上部。タッチセンサー式の電源スイッチとデジタル表示のバッテリー残量計がある
右側面には、2.1Aまで出力できるUSBコネクタが2個、充電コネクタが1個装備されている
コンセントユニットとの接続部分を左側面に備える
上面。Power-Pond Connectの刻印が入っている。他のPower-Pondシリーズのように、文字自体はバッテリー残量計になっておらず、ライトも光らない
下面にはスペックが表示されている

スワイプスイッチとデジタル残量計を装備。ガジェット好きに◎

 実際にスマートフォンを充電してみると明らかに大きく、重量も1kgほどあるためクルマやバイクで移動する人向けだ。また、手提げのカバンではかなり重量を感じるので、少なくともトートバックに、できればリュックに入れて使いたい。

モバイルバッテリーユニットだけでも重たい

 あまりに大きいので、カバンの中のものがスイッチに触れて誤動作しそうな感じがする。しかし本製品は、電源がタッチセンサーになっているので誤動作はほとんどしない。スマートフォンのスワイプのように、スイッチ部分に触れて、指先を左右に動かすと電源をON/OFFできる。

矢印部分のOFFに指を置き、ON側にスワイプする(指を滑らせる)と電源が入る
タブレットとスマートフォンを2台同時に充電できる
バッテリー残量計は、デジタルの数値とグラフで表示される。また、出力中の電圧も表示されるところがガジェット好きにはたまらないだろう

 タブレットとスマートフォンの2台同時充電も可能で、どちらも急速充電が可能だ。

 デジタル表示式のバッテリー残量計は、見やすい。2台同時に充電しているときは数字の減り具合を見ることで、残りの利用時間を感覚的に把握できる。現在出力中の電圧が0.1V単位で表示される機能は、デジタルがジェット好きには魅力的に見えるだろう。

大型タブレットを2回充電するなどヘビーな用途に

 このバッテリーは、「超」がつくほど大容量なので、スマートフォンを何回充電できるかを実際に試すのが難しい。

 そこで、独自の測定器で連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 まず製品の安定性の指標となる電圧と電流のグラフを見てみよう。

 実用量は、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。

 実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能なバッテリーといえる。

連続電圧変移

 40,800mAhと大容量なので、20時間近いグラフになっているが、その間電圧は、5.30V~5.35Vを維持して安定している。

 USBの規格では、電圧の範囲が4.75V~5.25Vとなっているので、0.1V~0.05V高い値。しかしスマートフォンを充電したが、故障、異常な発熱などは一切見られなかった。

連続電流変移

 電流は、後半の3時間でわずかな落ちが見られるが、17時間に渡り950mAという高い値で安定していた。電流、電圧ともに高いレベルで安定しているといえるだろう。

 この結果を元に、実際にスマートフォンを充電できる実容量を計算したみたところ、21,491mAh(53%)となった。一般的なモバイルバッテリーは6割程度はあるので、本製品はわずかにロスが多い。

実容量ロス率

 各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合、()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量40,800mAh
連続利用時の実用量21,491mAh(53%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格233円
充電回数(理論値)Android(1,800mAh):11.9回
Android(2,000mAh):10.7回
Android(2,200mAh):9.8回
Android(2,500mAh):8.6回
Android(3,000mAh):7.2回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):14.3回
小容量タブレット(6,000mAh):3.6回
大容量タブレット(12,000mAh):1.8回
iPad mini(6,471mAh):3.3回
iPad(11,560mAh):1.9回

 40,800mAhの超大容量モバイルバッテリーだけに、スマートフォンを10回前後充電可能だが、ややオーバースペック気味。大型のタブレットを、およそ2回充電するものとして考えるといいだろう。

ノートパソコンの100V電源として使うと3時間駆動OK!

 非常用の電源として使う場合は、バッテリーユニットとコンセントユニットをドッキングさせて、電源を入れるだけでいい。コンセントユニットには差し込み口が1つあり、最大で90Wの電力が取り出せる。これなら、ノートパソコンとLED電球、もしくは蛍光灯のデスクライト、ラジオぐらいなら同時に動かせる電力だ。

ユニットを合体して電源を入れると100Vが取り出せる。最大出力は90W
実験に使った60Wの白熱電球は、1時間半明かりを灯せた
左は商用電源のコンセントの波形、右は本製品のコンセントから出力される電気の波形

 コンセントの電気を調べたところ、電圧は111.4Vで、壁コンセントより1割高めで波形も異なっていた。壁コンセントとまったく同じ電気ではないので、誤動作する機器も中にはあるかもしれない。しかし、ACアダプタを使うノートパソコンやLED電球、ラジオなどは問題なく動作するだろう。

 なお、どのぐらいの時間使えるかを60Wの白熱電球で調べたところ、およそ1時間半だった。消費電力が30W程度のノートパソコンなら3時間程度使える計算になる。

約5時間でフル充電の超高速充電

 専用ACアダプタが同梱されているので、高速充電ができるのが特徴だ。40,800mAhという大容量ながら、カタログスペック上の充電時間は7時間。実際に測った充電時間は5時間と、超急速充電だった。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタ専用コネクタ
付属充電器(仕様)専用ACアダプタ
充電時間(カタログ値)約7時間
充電時間(実測)4時間57分
繰り返し利用回数500回

大型タブレットもしくは非常用の100V電源として有用

100Vを出力しながらスマートフォンも充電できた

 40,800mAhという容量と1kg超の重さを考えると、タブレットを2回充電するためのモバイルバッテリーとして利用するようなヘビーな用途に向いている。

 100Vのコンセントユニットを使えば、ノートパソコンのACアダプタ用の電源としても使える。一般的なノートパソコン用のモバイルバッテリーは、機種ごとのジャックが必要になるが、本製品はコンセントから電源を取れるので機種に依存しないのも良い。

 また、緊急時の非常用電源や、キャンプやアウトドアでの電源としても、ある程度、役に立つだろう。

【総合評価】
メーカー・品名ルックイースト Power-Pond Connect
ロスの少なさ ★★☆☆☆(2)
持ち歩きやすさ★☆☆☆☆(1)
単位容量の安さ★★★★★(5)
充電の早さ  ★★★★☆(4)
使い勝手のよさ★★★☆☆(3)

藤山 哲人

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