藤山哲人のモバイルバッテリー診断

MJTS「Model 816」

~タッチパネル式の電源で誤作動まったくなし! ロスも非常に少ない

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
MJTS「Model 816」

 今回紹介するのは、「MJTS」という会社が扱っている容量6,000mAhのモバイルバッテリー「Model 816」だ。同社は個性あふれるバッテリーを続々とリリースしているが、Model 816も例に漏れず、個性的な特徴を備えている。

 最大の特徴は、スマートフォンの操作感覚と同じ、タッチパネル式の電源スイッチを備えている点。ボタンやスイッチの出っ張りがなく、人の指で長押し(タッチ)しないと電源が入らないため、押しボタンスイッチのようにカバンの中に入れておいて勝手に電源が入ってしまうことがない。このタイプのスイッチを備えたモバイルバッテリーはほとんどないので、カバン内の誤動作に困っている人にはピッタリの製品だ。

メーカー名MJTS
品名・型番Model 816
バッテリー容量6,000mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ(幅×奥行き×高さ)67×122×12mm
重量153g
カラー・モデルシルバー、ガンメタリック、ブルー
販売価格3,700円程度
対応スマートフォンAndroid:○
iPhone:○
iPod:○
iPad:○

 また、スイッチがタッチパネル式のため、本体に突起がなく、シルエットが美しいというのも特徴の1つ。本体はアルミ素材を活かした高級感あふれるデザインで、アルミを染色したように見えるペイントも美しい(実際にはクリア系の塗料で塗装されておる)。スマートフォンとほぼ同じ大きさで、重ねて持ったときの違和感もなく、デザイン性を重視する人にピッタリだ。

この部分を長押しすると電源が入る。軽くタッチするだけだと残量表示のみ
USB - MicroUSBとUSB - Dockケーブルが同梱される
1A出力と2.1A出力の同時利用ができる

 出力用のUSBコネクタは2系統あり、片方はスマートフォン用の1A出力、もう片方はタブレット用の2.1A出力となっている。この2つは同時利用が可能になっており、タブレットとスマートフォンやスマートフォン2台の同時充電が可能だ。

この部分を長押しすると電源が入る。軽くタッチするだけだと残量表示のみ
USB - MicroUSBとUSB - Dockケーブルが同梱される
1A出力と2.1A出力の同時利用ができる
本体上面。左から1A出力のUSBコネクタ、本体充電用のMicro USBコネクタ、2.1A出力のUSBコネクタが備えられている。USBコネクタの差し込みは少しキツめだった
本体側面は、白いプラスチックのラインが見えるのみ
本体天面。黒いウインドウ部分には、青い4灯の残量計と、給電中であることを示す電源ONのサインが表示される
本体下部。角の丸みで青い色が少し変化して見える
本体上部から見て左側には、とくに何もない。全体的にシンプルなデザインだ
本体底面。丸みがあるデザインによって、陰影が映し出されている。アルミの素材感が高級感を出す。出力スペックの部分はもっと小さく印刷してもよかったかも?
■■注意■■

・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。

はじめは戸惑うが慣れれば使いやすい。通電時のみ点灯するパワーランプは便利!

 本体サイズは67×122×12mm(幅×奥行き×高さ)で、スマートフォンとほぼ同サイズ。本体は153gと少し重いが、Yシャツやジャケットのポケットにスマートフォンと重ねて入れても大丈夫だ。

 同梱のケーブルは20cm程度で、スマートフォンと重ねて充電するのにちょうど良い長さ。カバンの中で充電するにもちょうどいい。冒頭で述べた通り、一般的なモバイルバッテリーと違いタッチスイッチなので、カバンやハンドバッグの中で電源ボタンが誤動作することはまずない。

 残量表示をさせる場合は、タッチスイッチを軽くワンタッチするだけで、その右側にある4灯のLEDが光るようになっている。LEDは4灯あるので、残量が25%刻みで分かる。このように表示自体は分かりやすいのだが、タッチ式ゆえに、スイッチの場所が分かりにくいのが難点。スイッチ部分は黒い窓の右側部分の1cmほどで、購入直後はシールが貼ってあり、タッチする部分が分かりやすくなっているが、シールを剥がすと“あれ? どこだっけ?”となる。

 また、残量表示は軽くワンタッチでいいが、電源ONは3秒の長押しとなっている。マニュアルに長押しすることは明記されているが、あっさりとしか書かれていないので、初めて使うときは電源の入れ方に悩むかもしれない。さらに、指先がカサカサしていると、スマートフォンやエレベータのスイッチの反応が悪くなるように、本製品のタッチパネルの反応も悪くなる。

スマートフォンとほぼ同じサイズでケーブル長もちょうどいい
厚みもほぼスマートフォンサイズ

 とはいえ、数回も使えば、タッチと長押し、スイッチの場所は把握できる。あくまでも慣れの問題だ。

 実際にスマートフォンを充電してみたところ、1,800mAhのスマートフォンがほぼ2回半充電できた(1A出力のUSBコネクタ利用時)。詳細は後述するが、かなりロスの少ないモバイルバッテリーと言えそうだ。

・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回」と「40%」(4,374mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録

 本製品では他のモバイルバッテリーでは見かけない、非常に便利な機能がある。それは、モバイルバッテリーの電源がONになり、かつスマートフォンに電力を供給している最中のみ点滅するパワーランプだ。通常のモバイルバッテリーの場合、電源ランプはモバイルバッテリー自体の電源ONのみを示すが、本製品ではスマートフォンに給電している間だけ、本体の黒いウインドウ右側に、パワーランプが点灯される。給電がうまくできているか否かが、バッテリー本体を見て分かるようになっている。

スマートフォン充電中だと右側の電源マークも点灯する。バッテリーを見るだけでスマートフォンを充電中かが判断できて便利
本体の電源が入っていてもスマートフォンを充電中ではない場合、またはバッテリー残量確認中は右側の電源マークが点灯しない
【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数2
USB最大電流3.3A(3,300mA)
充電ケーブル (コネクタ)USB-Dock(Apple用) MicroUSB-USB(Android/本体充電用)
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電スマートフォン2台:○
スマートフォン+iPad2:○

電圧・電流ともに安定している上にロスも少ない秀逸さ

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

電圧はピタリと5Vで安定。文句なしの安定性
1Aコネクタにおける電流の出力。前半は850mAまで落ち込むことはあっても、後半は電池が暖まったのか、950mAで安定した。全体的に安定していると言える

 独自の測定器でテストした結果、電圧は文句なく5Vでピタリと安定。電流は前半多少のブレはあるものの、それでも安定した部類に入る。

 6,000mAhという表示容量に対する、実際にスマートフォンを充電できた実容量は、4,166mAhとなった。割合にすると69%で、ほぼ70%という非常に高い数値となった。ロスが非常に少ないバッテリーと言える。

実容量率は69%と、かなり高い。あと1%で70%の大台に乗ったのだが……惜しい

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量6,000mAh
連続利用時の実用量4,166mAh(69%)
連続実用量1,000mAh あたりの価格888円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):3.4回
Android(1,500mAh):2.9回
Android(1,800mAh):2.4回
Android(2,000mAh):2.2回
Android(2,200mAh):2.0回
Android(2,500mAh):1.7回
Android(3,000mAh):1.5回
iPhone 4S(1,432mAh):3.1回
iPhone 5(1,434mAh):3.1回
iPad 2(6,580mAh):0.7回
iPad 3(11,560mAh):0.4回
ソニー PSP(1,200mAh):3.6回
任天堂 3DS(1,300mAh):3.4回

充電性能は標準的な7時間半。寝ている間にフル充電する

充電時の電流は1Aなので、出力1A以上のUSB-ACアダプタで充電する。急速充電ができるスマートフォンなら、同梱のUSB-ACアダプタでも可

 充電器は同梱されていなかったので、2A出力できる市販のUSB-ACアダプタを使い充電したところ、カタログ上では7時間とあった充電時間は、実際には7時間半ほどかかるようだ。容量6,000mAhクラスのモバイルバッテリーとしては標準的で、就寝中に充電しておけば満充電になる。日中にスマートフォンを2回半充電できることを考えれば、モバイル機器のヘビーユーザーでも“使える”バッテリーと言えるだろう。

 また充電中は、内蔵バッテリーの電池残量が25%刻みで表示される。フル充電しなくても、とりあえず1回分だけ充電しておく、といった使い方もできる。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
添付充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)7時間
充電時間(実測)7時間24分
繰り返し利用回数500回

iPhoneはオーバースペック。2,000mAh以上のAndroidやミニタブレットに最適

スマートフォンとミニタブレットを使っている人は、便利に利用できるだろう

 タッチパネルによりすっきりとしたデザインのため、iPhoneユーザーが喜びそうだが、容量はiPhoneが3回以上も充電できるほどあり(6,000mAh)、若干オーバースペック気味。したがって、内蔵バッテリー容量が2,000mAh以上あるAndroidスマートフォンユーザーにオススメしたい。

 また2.1Aの出力端子を備えているので、iPadやAndroidタブレットの充電にも使えるだろう。特にバッテリー容量が4,000mAh程度の小さいタブレット端末なら、ちょうど1回分充電できる。

 ぜひ、タッチパネルの電源の使い心地を試していただきたい。

【総合評価】
メーカー・品名MJTS「Model 816」
ロスの少なさ ★★★★☆(4)
持ち歩きやすさ★★★★★(5)
単位容量の安さ★★★★★(5)
 充電の早さ ★★☆☆☆(2)
使い勝手のよさ★★★★★(5)

藤山 哲人

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