藤山哲人のモバイルバッテリー診断
パナソニック「無接点対応USBモバイル電源 QE-PL203」
~巻き取り式USBケーブル付き、ワイヤレス充電にも対応
by 藤山 哲人(2013/7/26 00:00)
当連載では先日、容量2,900mAhのパナソニック「QE-QL103」を取り上げた。スマートフォンを充電するための巻き取り式USB - Micro USBケーブルがセットになった便利な製品で、“革新的なモバイルバッテリー”と紹介した。
今回は、容量がQE-QL103の2倍の5,800mAhで、ワイヤレス充電にも対応した「QE-PL203」に迫ってみよう。
まず1つめの特徴は、QE-QL103に引き続き、スマートフォンが充電できる巻き取り式のケーブルアタッチメントが付いている点。しかも、QE-QL103に比べるとケーブルも長く、カバンの中でスマートフォンを充電するのにちょうどいい長さだ。本体と一体になるサイズとデザインなので、カバンの中のモノに引っかかったり絡まることがない。
第2の特徴はモバイルバッテリー本体を充電する際、本体を充電台の上にポンと置くだけでいいワイヤレス充電(無接点充電)に対応している点。ワイヤレス充電の方式にはいくつかあるが、本製品は現在一番ポピュラーなQi(チー)方式を採用する。Qiに対応した充電台であれば、スマートフォンに同梱されている充電台でも、他のメーカーが販売している充電台でも利用できる。
なお容量については、モデルチェンジ前の5,400mAhに比べて、同サイズながら400mAhほどアップしている。
メーカー名 | パナソニック |
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品名・型番 | 無接点対応USBモバイル電源 QE-PL203 |
バッテリー容量 | 5,800mAh |
サイズ | 90×64×24mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 165g |
カラー・モデル | ホワイト、ブラック |
販売価格 | 4,200円程度 |
対応スマートフォン | スマートフォン全般 |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
スマートフォンを2回充電。ケーブルはカバンに入れて使うのにピッタリの長さ
巻き取り式のアタッチメントにあるケーブルは、指先で簡単に引っ張り出せる。長さは10cm程度で,ケーブルはアタッチメントの真横から出ている。一般的なモバイルバッテリーに付属している15cm程度のケーブルと同じくらい使い勝手がいい。
本体サイズは90×64×24mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約165gと、やや厚みと重さがある。スマートフォンと重ねてポケットに入れて充電するというより、カバンの中で充電するという使い方がメインになりそうだが、その点このアタッチメントのケーブルは、ちょうどいい長さだ。しかも通常のケーブルは、バッテリー上部にコネクタが飛び出てしまうが、アタッチメントには突起がないので、カバンの中に入れても他のモノに引っかからず絡まない。
バッテリー容量が1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみた。その結果、スマートフォンがほぼ2回充電できる結果となった。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回」と「30%」(4,050mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
電源は押しボタン式のスイッチになっており、スマートフォンの電源を切った状態で充電した場合には、フル充電になってから5分後に電源が自動的に切れる。このあたりは、前回紹介したQE-QL103と同じ。一般的なモバイルバッテリーは自動で電源が切れるまで1分なので、5分間は少し長く電池容量がもったいないように思える。微弱な40mAを流した(スマートフォンの電源をONにして充電した)状態でOFFになるかを試してみたところ、自動で電源は切れなかった。
出力は2つのコネクタを合わせて最大1.5Aとなっているが、できればキリのよい最大2Aにして欲しかった。なせならスマートフォンの急速充電はおよそ1Aという場合が多く、1Aを確保できない場合は0.5Aで低速充電する。そのため本製品で2台同時充電すると、場合によっては2台とも急速充電できないという可能性もあるからだ。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 2 |
USB最大電流 | 1.5A(1,500mA、2コネクタ合計最大出力) |
充電ケーブル (コネクタ) | Micro USB - USB(アタッチメント式) |
残量インジケータ | 3色1灯式 (緑:60%以上、オレンジ:30%以上、赤:30%以下) |
自動電源OFF | あり |
同時充電 | スマートフォン2台:○ |
実容量率は標準以上。出力は2,900mAhモデルとそっくり
独自の測定器を用いて、連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
独自の測定器でテストした結果、電圧は文句なく安定。電流も、前半は850mAを割り込むところも見かけられるが、後半は900mAを中心に±50mAで安定している。若干電流が低めな点が気になるだけで、実用上はまったく問題なく安定した電力を供給するだろう。
前回のQE-QL103のグラフと見比べると、とても似ていて面白い。20分あたりで850mAまで落ち込んで、1時間経過すると950mAに持ち直すところまでそっくりだ。
表示容量5,800mAhのうち、実際にスマートフォンへ充電できる実容量率は64%。標準より少し多いといった感じだ。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
---|---|
バッテリー表示容量 | 5,800mAh |
連続利用時の実用量 | 3,722mAh(64%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,128円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):3.1回 Android(1,500mAh):2.7回 Android(1,800mAh):2.3回 Android(2,000mAh):2.0回 Android(2,200mAh):1.8回 Android(2,500mAh):1.6回 Android(3,000mAh):1.4回 iPhone 4S(1,432mAh):2.8回 iPhone 5(1,434mAh):2.8回 iPad 2(6,580mAh):0.6回 iPad 3(11,560mAh):0.4回 ソニー PSP(1,200mAh):3.4回 任天堂 3DS(1,300mAh):3.1回 |
充電時間はワイヤレス充電も有線充電も同じ。しかしワイヤレス充電は便利
本体内蔵のバッテリーを充電するに当たり、ワイヤレスとMicro USBコネクタから充電する場合の時間差が心配だったが、いずれも6時間15分で変わりはなかった。およそ6,000mAhのバッテリーの充電時間としては平均的だろう。
Micro USBコネクタから充電する場合には、1つ注意が必要。巻き取り式アタッチメントのUSBコネクタは左右に非常に大きいため、USBハブに差し込むと、左右のコネクタをふさいでしまう。ただし、コネクタが縦に並んでいる場合は、ふさいでしまわないように切り欠きが設けてある。
バッテリーから話はずれるが、ワイヤレス充電は一度使うと便利でやめられなくなる。今回テストに使用したスマートフォンはQi規格に対応しており、しかも購入時には充電台もセットになっている。Qiに対応していれば、メーカーがどこであっても、この充電台に置くだけで、バッテリーが充電できてしまう。これはとてもラクだ。モバイルバッテリーやスマートフォンのMicro USBコネクタは、手荒に扱うと緩んだり、ガタが来て接触不良になってしまう恐れがあるが、ワイヤレス充電ならそもそもコネクタを使わない。
今回使用した充電台は、充電したい機器を中央に置く必要はないため、台の上ならどこにおいてもかまわない。あとは充電器が自動的にモバイルバッテリーの位置を検出して、自動的に充電を開始する。もし複数のバッテリーを置いた場合は、1本ずつ順番に充電してくれるのだ。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | Micro USB |
同梱充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 6.5時間 |
充電時間(実測) | 6時間16分 |
2,000~2,500mAhスマートフォンを2回充電するのに最適
バッテリー残量計が色による3段階表示という点に加え、2つのコネクタ合計の最大出力が1.5Aという点を考えると、複数のスマートフォンを持ち歩く人向けというよりも、1台のスマートフォンを2回充電するためのモバイルバッテリーとして使うのが良いだろう。中でもスマートフォン内蔵のバッテリー容量が2,000~2,500mAhという場合にはピッタリだ。
また、Qiによるワイヤレス充電にも対応しているため、Qi対応の充電台やスマートフォンを持っている人にもオススメしたい。
メーカー・品名 | パナソニック QE-PL203 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★★★☆(4) |
単位容量の安さ | ★★★★☆(4) |
充電の早さ | ★★★☆☆(3) |
使い勝手のよさ | ★★★★☆(4) |