コヤマタカヒロの男の料理道具!



2斤サイズのパンが作れて家族も大満足! お餅のおいしさに驚愕!

パナソニック「ホームベーカリー SD-BMT2000」

 パンが好きだ。どれぐらい好きかというと、おいしいパン屋さんがあると聞けば、県を跨いで買いに行くぐらいは全く苦痛じゃないレベルだ。そしてこれぐらいのパン好きになるとスーパーのパンにはちょっと満足できなくなってくる。

 そこで、今回はパナソニックのホームベーカリーの登場だ。しかもなんと2斤タイプ! 子ども3人を含む5人家族であるコヤマ家のことを考えてのチョイスだ。

メーカー名パナソニック
製品名ホームベーカリー
品番SD-BMT2000
購入場所Amazon.co.jp
購入価格30,491円

 まず、製品の基本的な機能をチェックしよう。パナソニックのホームベーカリーの現在のフラグシップモデルは、「SD-BMT1000」というモデルだ。今回使う「SD-BMT2000」はその2斤タイプということで、基本的な機能は共通となっている。

 前機種との大きな違いは、インバーター制御のDCモーターを搭載したことだ(以下、インバーターモーター)。これまでのホームベーカリーでは主にコストの関係などで、パン羽根を回すモーターにACモーターを採用していたため、一定の回転数でしか回せなかったのだ。しかし、インバーターモーターを採用することで、レシピや行程によって、低速で回したり、高速で回すことができる。この機能によって、全く新しいレシピが作れるようになっているのが魅力だ。

 では本体から見ていこう。2斤タイプということで、ボディサイズは正直いって大きい。実寸は、幅が25.6cm、奥行きが38.9cm、高さが38.2cmで、キッチン台において使うのはなかなか厳しい。キッチンのサイズによっては床置きとなるだろう。付属品は、パン羽根とめん・もち羽根、計量カップ(生種容器)、ミトンなどだ。

本体を横から見たところ。奥行きが大きいのがわかる
操作パネルは、本体上部前側に装備。液晶表示などは最小限なので、メニュー選択にはマニュアルが必須
自動投入できるイースト容器とレーズン・ナッツ容器。2斤タイプということでレーズン・ナッツは大きく、最大150gまでセットできる
細長い形状のパンケース
左がパン羽根、右がめん・もち羽根だ
生種容器とスプーン。スプーンは、イーストの軽量などで常用する
1斤タイプのSD-BMT1000とサイズを比較した。高さと幅はわずかな差だが、奥行きは大きく異なっていた

1回に小麦粉500gの2斤のパンを作る

 では早速パン作りに入ろう。仕事柄、ホームベーカリーを使う機会が多いのだが、そのほとんどが1斤タイプで、2斤タイプは初めてだった。当然ながら、一度に使う材料は倍になる。

 最初に作ったのが、インバーターモーターの搭載によって実現した「もちもちパン・ド・ミ」だ。小麦粉は430gもの量を使う。小麦粉とお湯を混ぜた湯だねペーストを作り、小麦粉やスキムミルク、バターなどと一緒にセットしていく。このあたりの工程は、1斤タイプの一般的なホームベーカリーと共通だ。

 せっかくなので、150gのレーズンもセットし、スイッチを入れる。すると、途中に何か操作をすることなく、約5時間後に「もちもちパン・ド・ミ」が焼け上がった。

強力粉をはじめとした材料をそろえる。1kgの強力粉が2回でなくなるのはちょっと驚き
耐熱皿に強力粉とお水を入れ、レンジにセットして湯だねを作り、パンケースに他の具材と一緒に入れる
レーズンとイーストをそれぞれの容器にセット

 この「もちもちパン・ド・ミ」はその名の通り、しっとりもちもちとした食感が魅力のパン。筆者宅では、焼け上がり、カットしたあと、子どもたちがかけより、一瞬で半分近くが食べ尽くされた。1斤しか作ってなかったら食べきっていたかもしれなかったが、2斤あるため、半分を翌朝にとっておくことができた。

約5時間ほどでパンが焼け上がる。パンケースから出してちょっと休ませる
パンをカット。2斤に対してレーズン150gなので少ないかと思ったが見栄えとしても十分だ

80分パンなら、早起きセットで間に合う!

 SD-BMT2000が搭載したインバーターモーターにより、実現したもう一つのレシピが「80分パン」だ。これは、1斤タイプのSD-BMT1000では60分パンとして掲載されているレシピ。パンのサイズが大きくなる分、若干時間は延びているが、より短時間で作れることに違いはない。

 作り方は普通のパンと比べるとかなり特殊だ。まずは35~40℃前後のぬるま湯を用意し、そのお湯でイーストを溶く。このときにかなりのイースト臭がするので、苦手な方はマスクをするなり、がんばって息を止めるなりしておこう。そして、具材を投入したパンケースに、溶いたイーストとぬるま湯を最後に投入してスタートする。あとは、80分待つだけだ。

ぬるま湯を準備する。イーストを溶く分と、パンケースにセットする分が必要なので、300cc以上は沸かしておく。温度は水を加えて調整すると早い
イーストの量を量りここにぬるま湯を加えて溶く
イースト、ぬるま湯以外の材料をパンケースに投入する

 ホームベーカリーにはこれまでもクイックブレッドコースなど、より短い時間で作れるコースを用意していた。しかしその多くが、イーストではなく、ベーキングパウダーを使うレシピのため、パンのような膨らみはなく、食感は詰まったケーキのようだった。

 だがこの80分パンは、イーストを使っていることもあり、パンらしいふわふわとした食感が得られる。もちろん、お湯を使って強制的に発酵させているため、通常コースと比べると、膨らみは少ないが、80分で焼けるのは本当に便利。イーストの準備などを含めても1時半でできるだろう。家族よりもちょっと早起きすれば、朝食にも間に合わせられそうだ。もっと短時間で! と考えるなら、60分で焼ける1斤タイプを選ぶといいだろう。

できあがった80分パン。膨らみは少ないが、ちゃんとパンの色をしている
通常のパンほどではないが適度に気泡もできており、膨らんでいるのがわかる。食感もちゃんとパンだ

具入りパンやチョコ入りクイックブレッドもおいしい

 SD-BMT2000は、パナソニックのホームベーカリーの中でもフラグシップモデルの一つなので、搭載している機能は非常に多い。しばらく使っていた間に特に評判がよかったのが、大きめの具材をたっぷりと入れた具入りパンだ。

 SD-BMT2000では、通常の具材の投入コースのほかに「粗混ぜ」モードを用意している。これは、形の崩れやすい柔らかい具材などを混ぜるコース。通常の具材コースよりも投入後に混ぜる回数が少ないため、具材の形をキープできるのだ。

 オリーブやチョコレートなど様々な具材を試したが、特に子供にも人気だったのが、ベーコンとチーズ。1~2cm幅に切ったベーコンと、キャンディチーズを半分にカットしたものをレーズン・ナッツ容器にセット。(チーズは食感をしっかり残したいので、手で投入する)。あとは好きなコースで焼くだけだ。できあがったパンはちぎると、ベーコンとチーズの香りが漂う優しい味だった。

市販のベーコンとキャンディチーズを用意。溶けやすいチーズだと原型が残りにくいので注したい。キャンディチーズそのままのサイズの場合は手動投入の方がいい
容器にベーコンとチーズをセット。ぎちぎちに入れると容器が開かないこともあるので注意したい
メニューをセットする。「選択/混ぜ」ボタンを押して粗混ぜを選ぼう
完成したパン。外にもわずかにベーコンの姿が見える
カットするとチーズやベーコンがさらに見える。見た目は少なくみえるが食べてみると十分な量だった

 続いてクイックブレッドを作る。これもパン代わりと考えると違和感があるが、こういうケーキだと考えれば、決して悪くない。個人的には好きな味だ。今回は、チョコチップとココアパウダーを両方プラスしてみた。

 作り方やレシピは、通常のパンとは全く異なっている。プレーンヨーグルトなども入り、前述の通り、ベーキングパウダーで膨らませる。途中、練り行程の途中ではパンケースの縁についた粉を落とす必要もある。

 ただし、約1時間10分ほどでできあがるため、ブランチメニューやお菓子代わりにもいい。付属のレシピブックにはいろいろなアレンジメニューも掲載されていたが、食事よりの具材よりは、お菓子よりの具材を入れる方が向いていると感じた。

まずは、卵と牛乳を混ぜて、指定の分量を用意する
プレーンヨーグルトも投入。このあたりも通常のパンのレシピと違うところだ
食感がケーキ風というのはベーキングパウダーを使う点に加えて、このバターの量。70gほど投入する
今回はチョコ味にするので、チョコチップを投入。この後ココアパウダーも入れた
数分回したあとにパンケースの粉落とし。この行程がすんだら、1時間ほどノータッチになる
できあがったチョコクイックブレッド。甘みと苦みが両方立った大人の味になった

恥ずかしながら初体験のおもち作りに挑戦!

1kgのもち米を用意。これで作れるのは7合(もち米980g使用)まで。筆者は残っていたもち米があったので8合分作った

 ホームベーカリーでおもちが作れることは、以前から知っていた。しかし、1斤タイプのベーカリーでは、あまりリアリティもなく、実際に試すことはなかった。しかし、2斤タイプで最大1升のおもちが作れるとなれば、これは試すしかないと考え、実際におもちを作ってみた。用意したのは1kgのもち米。これに備蓄のもち米をちょっとだけ足して、約8合分(もち米1120g)のおもちづくりに挑戦した。

 と気張ってみたが、ホームベーカリーでのおもち作りは、拍子抜けするほどにやることがなかった。もち米を軽く洗ったあと、30分ほど脱水してパンケースにセット。もち米の分量にあった水を投入するだけだ。

 このときに注意したいのが、重さの計測だ。筆者はパンを作るときなどの計測は、パンケースを計りの上に直接置いてはかっている。しかし、8合もの量のおもち作りとなると、もち米と水だけで1,870gとなり、上限2kgのはかりではパンケースごとの計測ができなかった。より余裕のあるはかりを用意しておきたい。

もち米を洗ってざるにあける。もち米は通常のうるち米のように研がなくていい
パンケースにもち・うどん羽根をセットする
もち米をパンケースに投入。さらに指定された量の水を追加する。おもちの食感の好みによって、水の量は調整できる
突き行程に入ったおもち。最初は米粒が見えているが、だんだんとなくなっていく

 餅作りの工程は非常にシンプルだ。季節によって70~80分ほどもち米をふかしたら、アラームが鳴るので、ふたを開けてスタートボタンを押す。すると、もち・うどん羽根が回り始め、おもちを突き始めるのだ。見ている限りでは、パン生地などと比べて、おもちがあまり動いていないように見え、これでちゃんと突けるのかなと不安だったが、10~15分ほど突くと米粒感もなくなりしっかりとおもちになっていた。

 あとは、片栗粉を振った大きなまな板などに、おもちを取り出し、しっかりと粉を振りながら、一口サイズにちぎっていく。なかなかに熱いが、柔らかいうちにと思って無心にちぎっていった。できあがったのは、一口大で60個を超える大量のおもち。ちぎっている最中は食べきれるかな? とちょっと心配になったが、それは完全に杞憂だった。

 カウンターキッチンの向こうから、「おもち、おもち」と叫ぶ娘たち。この柔らかいおもちがよほど美味しかったのか、何度も何度もおかわりを求めてくる。普段食べさせている市販の角餅なら、2つ分も食べれば満足なのに、この突きたてのおもちは、軽く倍以上は食べ、そのままおもちが晩ご飯になってしまったほどの人気だった。

 その後、半分ほどは冷凍したものの、もともとおもちが好きな妻や子供たちからは、「また、あの突きたてのおもち食べたいね」とせがまれる始末だ。

8合分のおもちをまな板へ。これを一口サイズにちぎっていく
できあがった大量のおもち。子供たちにはさらにこれらを2~3等分して与えていく
おもちの食べ方は様々だが、筆者宅では醤油ベースが人気。また、おもちのお茶漬けもたまらない

2食分のパンが一度に焼けるのが楽

 SD-BMT2000が自宅にある間、パンを約16斤分ほど焼き、さらにおもちも8合分突いた。使ってみて感じたのは、大きいからこそ、一度に食べきることのないサイズが作れるということだ。

 筆者宅の子供はまだ幼稚園から乳児のため、それほどの量は食べないが、それでも、4歳児と2歳児がトーストなら、2枚は食べる。すると、1斤サイズだと焼き上がりに食べたら、残りは1/4程度ということが多く、ホームメイドのパンを食べたいときはその都度焼く必要が出てくる。しかし、2斤タイプなら、一度で食べきることはないため、翌日の朝などにトーストして食べることができた。

 また、大量のおもちが作れるのもうれしい。今回8合分作った感覚でいけば、最大量の1升分を作れば、正月に食べる分のおもちが一気にできそうだ。

 SD-BMT2000は本体サイズが大きいため、マンションなどの小さなキッチンでは置き場所に困ることも多いだろう。しかし、大きいパンが焼けるのはそれだけのメリットがあるのも事実。1斤タイプでこまめに焼くか、2斤タイプで1斤焼くかは、ライフスタイルや家族構成によって変わるだろう。これからまだまだ大きくなる3人娘がいる筆者の家では、2斤タイプのSD-BMT2000の利点を強く感じた。


コヤマタカヒロ

1973年生まれ。大学生の頃にライターデビューをして現在17年目。パソコンからAV機器、デジタルガジェット、白物家電などの電気が流れる製品と、その関連サービスを中心に執筆活動を展開する雑食系のデジタルライター。一般商品者目線で、最新テクノロジーを伝え、完成品はできる限り自分で試して記事にすることを信条にしている。