家電製品ミニレビュー
パアグ「ポカピカ」
パアグの「ポカピカ」吊り下げタイプ |
本格的な冬の到来で朝ふとんから抜け出るのが辛くなってきた。それと同じぐらいに辛いのが、冬のトイレと脱衣所の寒さだ。しかしここで紹介するストーブ付き照明、その名も「ポカピカ」を取り付ければ、寒さも吹っ飛ぶどころか快適空間に早替わりする。
取り付けは自分でもできるということなので、自宅に設置して本当に脱衣所やトイレが暖かくなるのかを試してみよう。
メーカー | パアグ |
製品名 | ポカピカ |
希望小売価格 | 20,475円 |
購入店舗 | Amazon マーケットプレイス |
購入価格 | 8,829円 |
■天井にヒーターを吊り下げる暖房器具。穴を開けて設置する点はご注意
取り付け前にコンセントに挿してテスト運転しているところ。実際には逆さまにして天井から吊り下げる |
まずポカピカがどのようなものなのかを取り付け前に見ていただこう。左の写真がそれだ。
写真はコンセントに挿したものなので、向きは逆さまになっているが、中心部に40Wの電球を備えており、それを囲むようにハロゲンヒーターが取り付けられている。要は「肉屋の揚げたてコロッケを保温しているケース」みたいなモンだ(笑)。
ハロゲンヒーターはそれ自体が発熱して空気を温めるが、同時に熱を伝える遠赤外線を出す。そのため寒い冬でも日光を浴びていると暖かくなるのと同様に、空気が温まらなくても照明の光が当たっているとポカポカと暖かいというわけだ。空気を温める電気ストーブでは暖かいと感じるまでに時間がかかるが、ポカピカならスイッチONした瞬間から暖かくなるのが特徴。
ポカピカのセット内容。自分で取り付けるためのフックや部品などがすべて揃っている |
しくみが分かったところで、セット内容を見てみよう。
ポカピカ本体は、28×12cm(直径×高さ)で、フライパンを2段重ねにしたぐらいの大きさだ。重さは1.6kgと見た目よりかなり軽く、この程度なら吊り下げられない天井はない。内部にはサーモスタットと温度ヒューズの二重の安全機構が設けられているので、加熱事故防止策も問題ないだろう。
ちなみに、サーモスタットとは、一定の温度以上になると自動的に電気が切れる機能のこと。本製品では、温度が下がると再び電気が入る自動復帰タイプとなる。温度ヒューズは、一定の温度を超えると、電気のヒューズと同じように金属が溶けて電気が消えるものだ。ヒューズは一度切れると交換しなければならず、この場合は修理扱いとなる。
電球は、電球のソケット側に反射板(レフ)を設けて光を一方向に集中させるレフタイプの電球を使用。口金はE17のミニレフ電球で、40Wの明るさという。
説明書では特に明記されていなかったが、LED電球は使わない方がいいだろう。というのも、長時間使っていると電球周囲の金属がかなり熱くなるからだ。また、適応電球は40Wまでなので、既存の照明が60Wだと、ポカピカに交換すると少し暗さを感じるかもしれない。
写真中央にある黒いコンセントと電球のソケットが組み合わさったものは、電球ソケットをコンセントに変えるアダプタだ。既存の照明のカバーを外し電球とアダプタを交換すれば、電球ソケットがコンセントに早替わりする。あとは本体から出ているコードを差し込めばいいので、取り付けはいたって簡単。ただし基本的に、天井にネジで固定するものなので、賃貸物件では注意して欲しい。
アダプタを電球ソケットに差し込むと、ソケットがコンセントになる | 天井への取り付けは本体のチェーンを天井に取り付けたフックに引っ掛ける |
天井への取り付けは、本体から伸びている2本のチェーンを、「?」型のフック(ヨート)に引っ掛けて天井から吊り下げるだけ。セットにはフックが2種類添付されているが、天井の材質や構造によって次のように使い分ける。
銀色のネジ部が短いフック | 天井が木材の場合 |
白いネジ部が長いフック | 天井が石膏ボードの場合 |
下地がない場所は、下の写真のような、太いねじ状の「ボードアンカー」と呼ばれるものとフックをあわせて使う
この太いネジ状のものが「ボードアンカー」。ネジや釘の使えない場所に使用する | ボードアンカーを石膏ボードに差し込んで、フックをねじ込むと先端が左右に展開して天井裏に引っかかる |
なおポカピカの消費電力はヒーターが400W、電球が40Wで計440Wとなる。トイレや脱衣所の屋内配線は、照明と壁のコンセントがまとめて20A(2,000W)のブレーカーにつながっている場合がほとんど。温水シャワー便座やドライヤーを同時に使う場合は、消費電力がブレーカーの範囲内(ほとんどの場合20A-2000W)になっているかをあらかじめ確認しておこう。
本体下部についているヒーターのON・OFFボタン。夏場はスイッチを切るだけでいい |
冬が過ぎヒーターがいらなくなった場合は、本体についている小さな押しボタンスイッチでヒーターをOFFにすることが可能。もちろんヒーターを切っても照明は点灯する。
■取り付けは重要なのでじっくり説明します
全体的な概要を説明したところで、設置作業にとりかかるが、ポカピカの設置はやや手間がかかるため、丁寧に説明させていただく。
まず設置のために使うものは次のような工具だ。必須なもののほか、あると便利なものも含めている。
・プラスドライバー(石膏ボードでボードアンカーを使う場合)
・ペンチやプライヤー(「?」型のフックがねじ込みにくいときに使う)
・下地探し工具(石膏ボードの場合)
下地探し工具とは、石膏ボードの裏側にある下地(骨組み)を探す道具で、1,000円程度で買える針式の「ワンプッシュ」と呼ばれるものが有名。頻繁に工事をする人の中には、電子式の「壁裏センサー」と呼ばれる機器を持っている人もいるかもしれない。
こちらが「ワンプッシュ」と呼ばれる、下地を探すための工具。石膏ボードの裏に下地がないと手ごたえがなく、ワンプッシュの針が貫通するが、下地があると途中で止まる | これが「壁裏センサー」。下地がない場合は左右端のランプが2つ点灯し、下地に近づくと中央よりのランプが付く。下地の真上では写真のように中央の赤ランプが点灯する |
天井の材質や消費電力を確認できたら、ポカピカを取り付ける。前述の通り、天井に穴を開ける点にはご注意。ここでは写真を中心に、その工程を見ていただこう。
(1)取り付け前の照明。カバーを回転して取り外す | (2)電球も取り外してソケットのみの状態にする。台座そのものは外さなくてもOK | (3)下地探し工具で下地の有無を確認する |
天井が石膏ボードの場合は、フックを取り付ける位置に下地があるかどうかを下地探し工具で調べよう。工具がない場合は、天井を叩いたときの音で調べる。「コンコン」という高い音がする場所には下地があり、「ボスボス」と低い音がする場所には下地がないと聞き分けられる。
天井が木材の場合も、叩いた音で判断できるが、それよりも釘を探すのが一番だ。天井の板を止めている釘は、一般的な釘に比べて平らな頭の部分が非常に小さく見づらいが、注意してみると等間隔で一直線に並んでいる釘を見つけられるはず。その釘のライン上に下地が通っているので、そこにフックを取り付けよう。
なお電球ソケットにアダプタを差し込み、そこに本体のコンセントを差し込むため、天井とポカピカの間が10~20cmほどできる。さらに本体の高さ12cmあるので、2m40cmの天井高があっても照明の下部は、2m10cmまで降りてくることになる。トイレなら問題ないが、脱衣所だと手を伸ばしたときに照明に振れてしまう恐れがあるので注意。こんなときは、照明から10cmほどずらした位置に本体を取り付けると、コンセントと照明がぶつからず、もう少し上に取り付け可能だ。
(4)石膏ボードで下地のない場所は、ネジのようなボードアンカーを石膏ボードにドライバーでねじ込む | (5)ボードアンカーの穴に、ネジの長い「?」型のフックをねじ込む | (6)石膏ボードで下地がある部分は、ネジ部の長い白いフックをそのままねじ込む。木材の場合は、銀色のネジが短いフックを使うこと |
実はここで大失敗をしてしまった。次の写真のように、ボードアンカーを入れたものの、根元まで入らない部分があったのだ。そのため天井には、無残な穴がいくつも空いてしまった。
壁裏センサーで「下地なし」と判断された部分にも関わらず、ボードアンカーが入らなかったのは、ウチの天井が右下の図のような構造になっているためののようだ。
天井に空いた無残な穴。やっちまったー! | 下地材がこのように入っていて、壁裏センサーは「下地なし」と誤判断してしまいボードアンカーが入らなかった |
石膏ボードの天井の下地の構造は、石膏ボードメーカーの吉野石膏のWebページに詳しく解説されているので、取り付け前に一読しておくことをオススメする。
また自宅の天井の下地がアルミ製なのか木製なのか調べるには、たいていお風呂に点検口があるので、そこから内部を確認するのが良い。木製の下地なら取り付けは簡単だが、アルミの下地だとかなり苦労するだろう。なおこの記事の最後には、天井に開けた穴の修復方法も合わせて掲載している。
話が少し逸れてしまったが、取り付けの続きに戻ろう。
(7)ソケットにアダプタを差し込む。440Wと消費電力が多いのでしっかり差し込むこと | (8)フックに本体のチェーンを引っ掛ける | (9)アダプタに本体のコンセント差し込む。これで取り付け完了だ |
取り付けが終わり、脱衣所の照明のスイッチを入れると、照明が点灯すると同時に、日光のようなポカポカとした暖かさを感じる。
壁のスイッチをONにすると、照明がつくと同時に暖かい | レフ電球なので40Wにしては明るいが、天井側は光が回らないので、やや暗くなる。また色調が60Wの電球に比べかなりオレンジ色になる |
ただ、インテリア性がコレっぽちもない点は難点だ(笑)。まあトイレや脱衣所で使うものなので、筆者は気にならないが、家族がどう思うかは性能次第といったところだろう。
■風呂上りの「さぶサブ寒~いっ!」とさよならでポッカポカ!
先ほどのテスト点灯では、かなり暖かく感じたが、実際に風呂に入って暖かさを体験してみることにする。脱衣所の電気をつけ服を脱ぎ始めると、確かに暖かい。頭や肩、首、腕辺りまでは、冬の天気のいい日に家の中でひなたぼっこしているような、ほんのりとした暖かさが感じられる。ただ、足元は自分の影になってしまうので、遠赤外線が届かず寒いままだ。メーカーでは、まずトイレに使って欲しい旨を謳っていたが、確かに座った状態なら太ももあたりまで暖かくなるだろう。
決定的に違うのは風呂上がりだ。30分ほどして風呂を上がったが、寒さのみじんも感じない。冬の風呂上りは「おおおーっ! さむさぶ寒ーーーいっ!」と声を張り上げて、暖房が効いている部屋まで駆け込むが、ポカピカを使えば、脱衣所で着替えてもぜんぜん寒くない。デザインはイマイチだが、機能はハイグレード!
試しにどのぐらいの温度になるかを測ってみたところ、次のグラフのようになった。なお、温度計は床から1m、ちょうど肩くらいの高さに置いている。
ポカピカを浴室の脱衣所で使った場合の、時間毎の温度変化。温度計は床から1mの場所に置いている |
温度計の分解能が0.5度単位なので階段状になっているが、近似曲線(図中オレンジ色の線)で表せば、電気をつけた瞬間からグングン温度が上がっているが分かる。
実際に肌で感じる温度は、測定値よりも高い。赤外線が当たる部分は、点灯直後でもほのかに暖かを感じるので、体感温度は25度はあると思われる。
そして断然に違うのが風呂上りだ。お風呂に30分入っている間、ポカピカを点けっぱなしにしておくと、脱衣所の気温は27℃まで上昇する。これはもう春の陽気だ。風呂あがりに脱衣所で着替えをしてもまったく寒くないわけだ。1時間も風呂に入る人だと気温は30℃近くまで上がるので、逆に暑さを感じるかも知れない。
このポカピカは、脱衣所やトイレを寒さの地獄から開放してくれる救世主となること間違いない。
■おまけのコラム:天井の穴開けに失敗してもほとんど見えなくなる補修キット
D.I.Y店の壁紙コーナーに置いてある壁に穴の補修キット。壁紙の色に合わせて5色が用意されている |
さて失敗して開けてしまった天井の穴は、市販のキット「クロスのすきまをうめる」「クロスのすきまをうめる」「クロスの破れ穴を隠す」を使うと簡単に修理できる。価格はいずれも400~500円ほど。
「クロスのすきまをうめる」は、穴に液剤を流し込みドライヤーで熱を加えると膨張して膨らむというもの。まずはこれで穴を埋めてから、シール状の「クロスの破れ穴を隠す」でクロスの破れたところを補修。最後にシールの上から「クロスのすきまをうめる」を薄く塗って周りとなじませるようにすればいい。
実際の手順は、次のようになる。
(1)穴に「クロスのすきまをうめる」を流し込む。柔らかすぎて垂れてしまう場合は指につけて塗りこんでいくといい | (2)付属のヘラで平らになるようにならす | (3)ドライヤーを当てて乾かしつつ膨張させる |
(4)「クロスの破れ穴を隠す」を適当な大きさに切る。クロスの凸凹が復元できるのでまわりになじみやすい | (5)シールを貼ったままだと色が違うので目立ってしまう |
(6)もう一度「クロスのすきまをうめる」を薄く塗り、ドライヤーをかけ色と段差をなじませる | (7)これでほぼ見えなくなった。遠くから見れば多少色が違っていたり段差があっても大丈夫 |
今回は3つの穴を修復したが、だいたい30分で作業が終わった。もし失敗しても、簡単に補修できるので嘆く必要はない。
■高血圧やお年寄りに最適! 冬の脱衣所とトイレに春を呼ぶ
取り付けから実際の使用まで試してきたが、ポカピカの機能性はかなり高い。これならイマイチのデザインも、まあ許してやろうという感じだ。
家族の感想も聞いてみたが、みな口をそろえて「お風呂上りが寒くない」と評判だ。80歳近いオヤジとオフクロにも試してもらったが、「これは血圧が上がらなくていい」と好評。暖かい風呂場から寒い脱衣所に出ると、寒さで血管が収縮して血圧が上がってしまうからだ。高血圧をわずらっていたり高齢の方には、ぜひオススメしたい製品だ。
もちろん脱衣所やトイレの寒さがタマラン! という方にもオススメ。販売店によって価格の差が大きい商品なので、安い店を探して購入するといいだろう。
2012年11月30日 00:00