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やじうまミニレビュー

岩谷産業「カセットガスストーブ CB-STV-2」

〜意外に使えるコードレスガスストーブ
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


今年は冬の節電を強化

岩谷産業「カセットガスストーブ CB-STV-2」

 東日本大震災以来、節電に努めているのだが、去年の冬はあまり効果が上がらなかった。どうも、個々の部屋で使っていたパネルヒーターや電気毛布などの補助的な暖房器具が消費電力を増やしていたようだ。東京電力管内では、9月に電気料金が値上げされているので、このままでは、すごい請求金額になってしまう。

 とりあえず、節電のために、自分の部屋で使う暖房器具を変えてみることにした。まず、石油ストーブを検討したのだが、自宅の周囲1km圏内にはガソリンスタンドがなく、灯油を手に入れるには、自宅まで配達してくれる業者に頼むしかないことがわかった。自宅周辺にあったガソリンスタンドは、ここ2〜3年で3カ所も廃業してしまっていたのだ。

 また、ガスストーブについては、部屋にガスの栓がないと導入できない。マンションなので、ガス栓を追加する工事も難しい。

 そこで思い出したのが、岩谷産業のカセットガスストーブだ。ポータブル型のガスコンロで使うカセットガスを燃料とするので、コードレスで使用できる。特に、昨年登場した「CB-STV-1」は、屋内専用で安全装備も備えており、店頭でも人気商品となっていた。単なる補助暖房器具としてだけでなく、震災に備えた防災用品としても、よく売れたようだ。

 購入するつもりで調べてみると、今年は「CB-STV-2」という型番にモデルチェンジされていた。大きな仕様変更はないようだが、細かく改良の手が加わっているようだ。火力はあまり強くなさそうだが、部屋全体を暖めるのではなく、補助暖房として使うつもりなので、とりあえず試してみることにした。

 希望小売価格は15,750円だが、通販では1万円を切る価格で販売されているところが多い。


メーカー名 岩谷産業
製品名 カセットガスストーブ CB-STV-2
希望小売価格 15,750 円
購入先 Amazon.co.jp マーケットプレイス
購入価格 8,380円

買う前に知っておきたい仕様

 到着したカセットガスストーブは、だいたい32×25×35cm(幅×奥行き×高さ)の箱に入っていた。厚みのある箱なので、実際よりも大きく見える。重さはそれほどでもなく、ストーブ本体が2.6kgなので、箱全体で4kg弱ぐらいだろうか。

暖房器具らしい赤みの強い外箱 「4つの安全装置」が強調されている
簡単で使いやすいという特徴を訴える ストーブ本体は大きめの発泡スチロールでしっかり囲まれている

 箱の中には、ストーブ本体と、カセットガス1本、取扱説明書が入っている。本体は組立済みで、すぐに使える状態だ。箱が大きいのは、大きめの発泡スチロールで、本体がしっかり固定されているからだった。

 取扱説明書には、Webの製品情報ページには書かれていないが、事前に知っておいた方が良いことがいくつか書かれていた。特に重要だと思われる3点を転載しておこう。

1)暖房の目安は、木造戸建住宅で3畳まで、コンクリート集合住宅で4畳まで(温暖地の場合)
2)使用可能環境は、気温がプラス5〜25℃の室内
3)連続燃焼時間はイワタニカセットガス使用時で約200分(気温20〜25度の場合)

 特に、使用できる室温が5℃以上であるのは重要で、寒冷地ではこの室温に達しない場合もあるだろう。理由は、カセットガスの温度が5℃以下になっているとブタンガスが十分に気化せず、点火しなかったり、火力が弱くなり、また不完全燃焼の原因となるためと説明されている。

 取り出した本体は、横幅、高さとも30cmほどで、写真で見ていたよりも小さく感じる。本体には、手提げもついているので、持ち運びは楽にできる。

付属のカセットガスとの大きさ比較 側面から見ると不思議な形をしている 背面の下にカセットガスが入る
大きめのガード(網)がついている 底面。大きな脚が安定感を与える 本体は軽く、女性でも手軽に持ち運べる

 全体の印象は、昨年型のCB-STV-1とあまり変わらない。それでも、3つ違う点に気づいた。1つは、脚の前半分が大きくなり、本体全体がやや上向きになったこと、2つ目はガード(網)が少し大きくなったこと、3つ目は本体色が変わったことだ。

 本体の角度が変わったのは、ストーブの前に座ったときに、顔などを暖めやすく、かつ、床を暖め過ぎないようにという配慮だろう。ガードは、本体よりもやや離れた感じになっており、熱くなっている本体に触れにくくするためと思われる。

 本体色は、昨年のメタリックグレーから、バイオレットシルバーに変わった。今年の色は、微妙に紫がかったグレーっぽい色だ。イワタニの直販サイト(Amazonと楽天にも支店がある)では、マカロンピンク、ワインレッド、マカロングリーンのカラーバリエーションも販売されているので、興味のある方はご覧いただきたい。

取り出してすぐに使える

 本体に触る前にだいぶ寄り道してしまったが、さっそく使ってみよう。本体以外に必要なのはカセットガスだけで、それ以外に乾電池などはいらない。

 使う前に、付属のカセットガスをセットする。本体の背面のパネル下半分が開くので、そこにキャップを外したカセットガスを入れる。パネル部分は、あまり立て付けが良くないが、ちょっと曲げるようにすると開けやすい。カセットガスの固定は磁石式なので、吸い付くような感触で固定される。

操作部分は、このダイヤルだけ。火力調整はできない ヒーターは奥まった場所にある 本体上部は熱くなるので触れないように書かれている
カセットガスに接するように黒いプレートがある。このプレートがカセットガスを温めることで気化しやすい温度になる カセットガスをセットした状態 カセットガスの固定は磁石式なので、レバーなどはなく、スッとくっつく

 点火は、本体の右側面にあるダイヤルで行なう。ダイヤルをON側に回すと、カチッと火花が飛んで、自動的に点火される。たまに1回で点火しないことがあるが、もう1度試すと点火する。今のところ、2回目で点火しなかったことはない。

 なお、ダイヤルはON/OFFのみで、火力の調整はできない。このストーブの出力は、1.0kWとされているので、一般的なカセットコンロの3分の1ぐらいの出力だ。

 ヒーターの部分をよく見ると、小さな炎があって、その炎でセラミックプレートを熱する構造だ。着火すると、セラミックプレートはすぐに赤くなる。

炎は斜め下からの青い炎だけで、それがセラミックプレートを暖めて赤くなる 上から見ると、バーナーの構造がよくわかる 着火部分の構造

 プレートからの輻射熱がある正面と、熱気が上昇する真上は、着火直後から暖かさを感じる。逆に、ストーブの左右方向は暖まる範囲が狭く感じる。このストーブは、器具の真正面と真上を暖める暖房器具だと思った方が良い。真上に向かった熱気は対流して、部屋全体を暖めてくれるので、左右が暖まりにくいこと以外は問題はない。

 なお、燃焼中は、本体の上部と、ガード(網)の部分は、触れないほど熱くなる。お子さんやペットが居る家庭では、誤って触れないように、ストーブガードなどを用意した方が良いだろう。

 ストーブ内には、圧力感知安全装置、転倒時消火装置、立ち消え安全装置、不完全燃焼防止装置などが組み込まれている。燃焼に問題があったり、本体が倒れたりした場合は、消火してくれるわけだ。ただし、やはり、火が燃えている器具なので、置く場所には注意が必要だ。安定した場所に置き、周囲に燃えやすいものが無いように注意したい。

 とりあえず、7畳ほどの洋室で、1時間使ってみた。ストーブの横方向にある机に置いた温度計は、20度から24度に上昇した。閉じた部屋であれば、7畳ぐらいの広さまでは部屋全体も暖まるようだ。立ち上がってみると、天井付近の空気がだいぶ暖まっているのがわかる。サーキュレーターが欲しいぐらいだ。

自室では壁近くに設置してみたが問題なかった 赤く光るので、焚き火のように落ち着く。床も一部光っている 玄関でも試してみたが、すぐに暖まる。1〜2畳ぐらいの空間が向いているようだ
  ただし、1時間燃焼させると、なんとなく息苦しさを感じて、部屋を換気したくなる。やはり、ガスが燃焼しているので、1時間に1回程度の換気は必要だ。最近は、換気の必要がない暖房器具ばかり使っていたので、ちょっとうっかりしていた。

 この時点で、ストーブの直前や真下の床を触ってみたが、ほんのりと暖かくなっているぐらいで、熱くはなっていない。昨年型に比べて、本体全体がやや上向きになっているのが有効なのだろう。

 消火するときは、レバーを消火に回すだけで消える。消火時には、ガスの匂いを感じることがある。狭い場所で、頻繁に点火/消火を繰り返すような使い方だと、気になるかもしれない。

1時間当たり約30〜50円の燃料費

 取扱説明書によれば、イワタニ製のカセットガス1本で、約200分、つまり3時間20分使用できるという。とりあえず、カセットガスを3本試してみたが、3時間18分〜3時間25分ほど連続使用できた。だいたいカタログ値どおりだと思って良いだろう。

 なお、ガスが切れたときは、きちんと消火され、ガス臭さも感じない。当たり前だが、きちんと動作するので感心した。

 もう1つ感心したのは、カセットガスをきれいに使い切っていることだ。使用済みのボンベの重さを計って見ると、2本が105g、もう1本が106gで、ほぼ揃っている。手で振ってみても、カラカラの状態で、使い切っていることがわかる。

 これは、カセットガスストーブの本体内に、放熱プレートが設置されており、使用中のカセットガスを温めるようになっているためだ。点火中のカセットガスは冷たくなっており、暖めないと気化しにくく、ボンベ内にガスが残ってしまうのだ。

 コストパフォーマンスについても見てみよう。私の自宅周辺のスーパーでは、イワタニ製カセットガス3本組は、498円で販売されている。通販では、もう少し高いところも安いところもあるが、これぐらいが日常的な価格のようだ。

 1本当たりの使用時間を3時間20分、3本組の価格は498円とすると、1時間当たりのガス代は49.8円となる。だいたい、50円というところだ。1kWの電気ストーブ(1時間当たり約22円)と比べて、ほぼ2倍ぐらいのコストとなる。

純正のイワタニ製カセットガス。3本組で499円だった 自宅周辺では一番安かった日本瓦斯のカセットガス。3本組で299円だった

 もちろん、カセットガスがもっと安く入手できれば、コストは下がる。自宅周辺で探したところ3本で299円というのが一番安かった。日本瓦斯という会社の製品だ。他社製のカセットガスを使用するのは自己責任になるが、カセットガスの仕様は共通化されているので、リスクは低いと考えて試してみた。

 日本瓦斯のカセットガスは、ガスの内容量はイワタニと同じ程度入っていた。3本ともストーブで試してみたが、1本で3時間12分〜3時間29分燃焼した。燃焼後のカセットガスは空の状態で、きれいに使い切られており、機能的には問題ないようだ。

 燃焼時間を、イワタニと同じ3時間20分として計算すると、1時間当たり29.9円となる。だいたい、30円というところだ。まだ電気ストーブには届かないが、だいぶ安くなる。

持ち運べる利点は大きく、節電にもなる

 ここ数年は、エアコンを始めとする電気製品を主力に暖房してきたので、火を使う暖房器具は久しぶりだった。それで実感したのだが、部屋の中で赤い火が燃えているというのは、なかなか良いものだ。実際には炎というよりもセラミックプレートからの光なのだが、かなり気分は出る。

 一方で、換気が必要ということを忘れやすい。たいした火力ではないのだが、それでも一部屋で1時間ほど使っていると、気分に影響が出てくる。夜間に使っているときは、うっかり寝入らないように注意している。

 別の良い点としては、軽くてコードレスなので、どこでも使えること。寒い玄関や洗面所などでも、すぐに暖まるので、とてもありがたい。燃料であるカセットガスが取り扱いやすいのも良い所だ。とくに、ガスをきれいに使い切ってくれるので、ボンベを捨てるときに余計な手間がいらない。

 暖房器具としては、これ1台で部屋の暖房がまかなえるわけではなく、補助的な存在だ。また、使用温度の制限も寒冷地では制限になるかもしれない。

 この製品を買うだけの金額を出せば、安いクラスの石油ストーブは買えるので、部屋全体を暖めるとか、寒冷な場所で使う場合は、そちらの方が向いているだろう。また、カセットガスストーブは、運用コストでは1kWクラスの電気ストーブに劣る。電気ストーブと違って、定期的な換気の必要もある。

 しかし、冬の暖房需要によって、東京電力の電力需給は逼迫気味。管内の住民としては、多少の差額はあっても、このストーブを活用して、節電に励もうと思っている。





2012年 11月 29日   00:00