家電製品ミニレビュー

パナソニック「ラムダッシュ ES-LV92」

~独自の5枚刃システムで驚くほど早く剃れる!
by 滝田 勝紀

“冬枯れの芝生”みたいなヒゲを新型ラムダッシュで一掃!

パナソニック「ラムダッシュ ES-LV92」。鏡面仕上げでスタイリッシュなデザイン

 いきなり自分事で恐縮だが、一般男性と比較して、自分はヒゲが薄い。最近では巷の高校生でも、どんだけボーボーなんだ? ってぐらい獣化した子も増えた気がする。が、自分はヒゲトリマーやらメンズグルーミング系にまったく縁がないまま、30代も終盤を迎えようとしていた。

 実は昔からヒゲには憧れがあり、“剃ったら濃くなる”という微妙に都市伝説に近い話を真に受けて、電気シェーバーで必要以上に剃る日々を続けていた。だが、まあ、なかなか効果は現れない。ちょっと伸ばしてみると、数日経つ頃には、なんか、あごと鼻の下あたりが“冬枯れの芝生”みたいに生えて、結局、全部剃ってしまうという日々を繰り返している。

 決定的だったのは、以前、某男性美容研究家さんに取材した際、「ヒゲを濃くする方法ってないんですか?」と聞いたところ、基本的には遺伝的なものなので、なかなか難しいと、つれない返答をされてしまったこと。そんなわけで、最近ではヒゲを生やしたダンディーなおじさんになるのは諦め、数年前に購入した安いモデルで、毎日しっかりと剃るようになっていた。

 さて、前置きが長くなったが、そんな折に家電Watch編集部から一本の電話が。「その“冬枯れの芝生”みたいなヒゲを、今回お渡しするラムダッシュで根こそぎ剃って、現実を直視してください! うじうじした男はモテませんよ」と。後半二言ぐらいの余計なコメントは気になったが、モテるかどうかは抜きにして、ともあれパナソニックの新型シェーバー「ラムダッシュ ES-LV92」を受け取った。


メーカーパナソニック
製品名ラムダッシュ ES-LV92
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格33,700円


 まずは開封の儀。安いモデルは髭剃り単体とAC充電コードに、巾着みたいな袋が入っているぐらいなものだが、さすがはフラッグシップモデル。そういった基本セットに加え、専用の全自動洗浄充電器や謎の液体類もしっかり同梱されている。ちなみに、謎の液体類はヒゲ剃りを充電器に挿したまま自動できれいにしてくれる洗浄液のことだが、とにかくまずは付属品の充実ぶりに驚いた。

 さらに追い打ちを掛けたのが、ラムダッシュの5枚刃モデル用に別売りで用意されている専用ハードケースの存在。これはキャンペーン期間中に、対象商品を買った人の中から、抽選で当たるという特製ハードケースらしいが、その表面にはなんと! 彦根仏壇職人による名入れ&蒔絵が描かれている。たとえば、旅先などにラムダッシュを持って行きたい場合、鏡面の髭剃り本体に傷をつけることなく保護する役割だが、もはやこのケースでも剃れるんじゃないか? と思い込んじゃうぐらい豪華な逸品に、ひとりテンションが上がるのだった。

専用ハードケース。中央に蝶の蒔絵が描かれているシェーバー本体以外にも付属品も同梱専用の全自動洗浄充電器。奥行き9.3cmで一般的洗面台にもスッキリ置ける。設置サイズは歴代最小だという
液晶のブルーで美しく、クールで清潔感溢れる印象毎日のお手入れは専用の全自動洗浄充電器に本体を差し込むだけ5枚刃への進化により、肌への接触面積が拡大。接触圧力が分散される

びっくりするほど早く剃れる!

 さて、いよいよ実際に使ってみることに。まずはいつも使っている安いモデルと同じような感覚で、しっかり、丁寧に、繰り返しあごや頬、喉周りなどを剃り上げる。ここでまずは、いつもの髭剃りとの大きな違いに気づく。ヒゲがビックリするほど速く剃れる! その秘密はやはり5枚刃で、髭剃り部の面積が大きいことだろう。

 いわゆる“冬枯れの芝生”状態だったヒゲは、ゆっくりとあご、頬、喉周りをひと剃りするだけで、ほとんど消えてしまった。パナソニックの説明によると「5枚刃システム」により肌への設置面積を大きくするとともに、負担も低減するというが、たしかにその通りであった。

自分はヒゲが薄い。ところどころ剃り残した長い部分も。“冬枯れの芝生”みたいだ約30秒くらい剃っただけで、ここまでキレイに剃れる

 ラムダッシュの首振りヘッドの可動域の広さも剃り味に関係する。顎が丸い人も長い人も大きい人も小さい人も、さらにはケツ顎の人だって、顔形状に関わらず、しっかりとヘッド部分が広い面積で密着するので剃り残しがない。片手で持って、顎の下を頬まで左右いったりきたりしながら剃り続けると、ヘッド自体がさまざまな角度に暴れ続ける。だが、ラムダッシュは「前後約25°、左右約20°の密着トレースヘッド」は、かなり大きなヘッドにも関わらず、小回りが効くのも、思いのほか剃れる要因の1つだろう。

首も大きく可動するので、どんな角度でも肌へ密着するもみあげなどを揃える場合も使えるキワゾリ刃。LOCK位置に合わせるヘッドが固定できる

細かなギミック満載で、細部までこだわった使い心地

 剃っている時の音も気持ちがいい。音が直接剃り味に関係するかは剃っている際は分からないが、他のシェーバーと比べて、その甲高い音はパナソニックがシェーバー専用に開発したリニアモーターの音。内刃をダイレクトに高速駆動することで、切れ味をさらに高めたとのことで、剃り味がいいことだけは十分体感できるが、音によりさらにその剃り味が高いような気がするのは不思議だ。

 さらに細かな部分をみていくと、ヘッド表面の各5枚刃を覆うメッシュ部分も外側2列の計4列に対し、中央だけ形状が違うのも気になる。外側はそれぞれ細かな穴が無数に空いているのに対し、中央は、いわゆる“ギザギザ”な形状。メッシュ上にある無数の穴はヒゲがそこに入ると、しっかりと剃れるという仕組みはだいたい予想がついたが、中央のギザギザはいったい? あらためてパナソニックの説明を読むと、このあたりの刃も見た目以上にものすごいこだわりがあることが分かった。

新開発の「くせヒゲリフト刃」。一度の往復でヒゲを根元から剃るという(写真はパナソニックのホームページから引用)

 まずは外側2列の計4列。シェーバーの命である刃ということで、パナソニックはラムダッシュに新開発の「くせヒゲリフト刃」なるものを採用。特に従来のシェーバーだと剃り残しがちだった、顎下やノド部分などのヒゲをしっかりカットする。しかもヒゲというのは決まった方向を向いているのではなく、その生え方には癖がある。だから、一方向に動かしても、剃れるヒゲと剃れないヒゲがある。そういった剃れないヒゲまでも、しっかりと立たせて、一度の往復で根元から剃れる「くせヒゲリフト刃」も興味深い。こちらはメッシュ部の内側2列に備わる特徴だが、一方、外側の2列にも「フィニッシュ刃」という特徴があるらしい。こちらは深剃りを追求する刃だが、最薄部41μmの刃が、ヒゲの根元にもぐりこみ、しっかりと深剃りしながらも、60μmの厚刃が、肌が内刃にふれないようガードするとのこと。

5枚刃の中央には、ギザギザの「スリット刃」を配置。長いヒゲをしっかりとカットするという(写真はパナソニックのホームページから引用)

 また、肝心の中央のギザギザ部分は「スリット刃」と呼ばれるもの。これは長いヒゲをしっかりとカットするもの。ヒゲは当然だが、数日間生やし続けると長くなるもの。普通のシェーバーだと、その長いヒゲを剃るのがこれまた面倒。なぜならメッシュ部分の穴に長いとヒゲの先端が上手に入らず、メッシュで押し付けることで、ヒゲが寝てしまい、上手に剃ることができないからだ。だが、このラムダッシュの場合、長いヒゲも取り込みやすいスリット構造の刃を組み合わせたことで、メッシュ状の穴に入らないヒゲも、しっかりと取り込みカットする。

 ただ、あまりにもあっさり剃れてしまったので、思わず嬉しくなり、ついつい調子にのってそりすぎてしまうことには注意。肌が弱めな自分は、ややヒリヒリしてしまった。その後、クリームなどでケアしたので事なきを得たものの、とにかく毎日剃り続けるなかで、ラムダッシュは軽く肌を滑らせるだけでOK。それで十分剃れるということが身を以て実感できたのだった。

 また、これはさらなる実感レベルの話なので、全員に当てはまるか分からないが、ヒゲが生えるのが遅くなった気がする。毎日剃っていても、たまに朝寝坊とかして、身支度を整えると、ヒゲを剃り忘れることがある。そうすると、剃らないまま2日目の夜を迎える頃には、なんとなく長めのゴマみたいな肌触りになるのだが、ラムダッシュで剃り始めてからは、その長めのゴマが短くなった気がする。まさにヒゲが生えるのが遅くなったような感覚だ。おそらく剃っている時がいつものシェーバーと比べて深剃りなので、肌表面にヒゲが表れるまで、一般のシェーバーで剃った時よりも時間が掛かるからだろう。翌日の肌触りの感触が変わったのは確実だ。

全自動洗浄充電器で毎日のお手入れも楽々

剃り終わった後、カバーを外して内刃を見る。周囲にはヒゲカスがいっぱい。不潔

 一方、ヒゲを剃りを使い続けて、一番面倒くさいのがそのお手入れだ。自分が通常使っている安いシェーバーはまず、ヘッドカバーを外し、そちらを洗うと同時に、付属のブラシなどで、刃の周りについたヒゲカスを落として行く。洗面台はそのカスが散乱し、なんだか不潔だなと思いながら、最後に水で洗い流すのだが、たまにその洗い流すのを忘れることがあり、そのたびに妻に小言を言われ、肩身の狭い思いをすることもしばしばだ。

 が、このラムダッシュはフラッグシップモデルであり、専用の全自動洗浄充電器が搭載されていることを忘れてはいけない。全自動で洗浄してくれて、充電までしてくれるという優れものだ。とはいえ、充電はいいとして、本当に洗浄は大丈夫なのだろうか? 洗浄用の液体と水をカートリッジに入れたまではいいが、上から覗いた限りでは、ヒゲ剃りの表面部分と液体はセットしたところで、そのままでは直接触れることはない。内側に穴が空いているから、おそらくそこから、カートリッジ内の液体が吹き出すという仕組みは予測がつくが、本当にそれでキレイになるのだろうかと、洗浄する前は疑心暗鬼だった。

洗浄機能にはモードが2つあり、洗浄+乾燥モードと、いつも通り手で分解して洗った後に使う乾燥モードがある。当然、面倒くさがりな自分はラムダッシュを置くだけの“洗浄+乾燥モード”を選択、そのまま実行してみた。セレクトというボタンを押すだけ。この時同時に充電してくれるというのも快適だ。

 実行し出すと、2~3分後にブーブーと音が鳴り出す。そして、液体がチョロチョロと流れる音がかすかに聞こえる。先端部分が差し込まれている中を覗いてみると、今まで差し込んだだけの時にはなにもなかった空間が、いつのまにか液体で満たされていることが分かる。なるほど、これでラムダッシュのカバー部分はもちろん、内側の刃までが液体に浸されると同時に、おそらく通電している状態のラムダッシュ自体の刃をブーブー定期的に動かすことで、それらの刃に付着したヒゲのカスをすべて落としているということが予想される。

 クリーンモードを10分ぐらいに渡り繰り返したのち、今度は乾燥モードへ。乾燥モードは風で乾かしている音が聞こえるだけで、見た目にはまったく面白くない。しかも80分ほどずっと同じように乾かしているだけなので、詳細を語る必要がないほどだ。

カートリッジを専用の全自動洗浄充電器から取り出し、洗浄液と水をカートリッジに入れたら、再びセット洗浄+乾燥モードをスタート洗浄+乾燥ののち、充電も完了
すっかりヒゲカスもなくなりきれい。新品同様にブラシなどもきれいに水洗いできる

 というわけで、フラッグシップモデルならではの至れり尽くせり感を1カ月ほど味わって後は、もう今までの安いモデルに戻ることができなくなってしまった。たかが髭剃りとはいえ、毎日のことなので、ちょっとした使い勝手の差がストレスになる。今回このラムダッシュを使って、毎日使うものは少々お高くても良い物を選んだ方が良いと言うことを再確認。レビュー後すぐにラムダッシュ購入に走ったのはいうまでもない。






2012年11月13日 00:00