家電製品ミニレビュー
Blueair「ブルーエア 450E」
Blueair「空気清浄機 450E」 |
「スウェーデンで生まれた世界基準の空気清浄機」として、日本でも2010年から販売が開始されているBlueair(ブルーエア)の空気清浄機を購入した。
購入したのは、21畳用とするミッドレンジの「ブルーエア 450E」だ。
メーカー | Blueair(ブルーエア) |
製品名 | 450E |
希望小売価格 | 79,800円 |
購入場所 | ヨドバシカメラ |
購入価格 | 79,800円 |
外形寸法は、500×275×590mm(幅×奥行き×高さ)。日本の一般家庭の中に置くと、あまりにも存在感があるサイズだ。見栄えを例えるならば、大型のワークステーションか小型のサーバーが家のなかにやってきた感じすらある。
ブルーエアのホームページでは、デザイン大国と呼ばれるスウェーデンで生まれた北欧デザインが特徴としているが、これだけの大きさがあると、デザインセンスを述べる前に、置き場所に首をひねってしまう。
パネルの蓋部分は金属製で、重厚な感じを受ける。設計の端々で、日本の家電製品にはない「重たい」雰囲気があるのだ。
だが、花粉やホコリの吸い込み効果はかなりのものを感じている。恥ずかしながら、筆者は今年2月から初めて花粉症というものを自覚しはじめた。ティッシュが手放せない日も続いたのだが、ブルーエア 450Eで「3(強)」モードで運転すると、確実にその症状が軽くなった。
購入してきたばかりの状態。タクシーのトランクにぎりぎり入る大きさだった | 外箱もきれいなデザインとなっている | 製品本体。まるで大きなサーバーがやってきたようだ |
付属している電源コード | 電源コードは底面から接続する | 8ページの日本語による説明書がついている |
製造は中国で行なわれている。ランプと穴がきれいに揃っていなかったり、加工が中途半端だったりといった点は、日本のメーカーの製品にはみられない部分だろう |
■機能はシンプルに空気を清浄化
最初はブルーエアを購入するつもりは、まったくなかった。
リビングで利用する空気清浄機が欲しくて量販店店頭を訪れたのだが、ブルーエアの機能は少しは調べていたものの、購入の第1候補にはあがっていなかった。それにも関わらず、ブルーエアを購入したのには理由がある。
それは、最も欲しい機能が、加湿でも、イオン発生機能でもなく、花粉対策のために、単に部屋の空気を浄化するという機能だったからだ。
実は、自宅のリビングには、すでに加湿空気清浄機とプラズマクラスターイオン発生機がある。加湿空気清浄機もシャープ製のものだが、すでに3年以上が経過しており、空気清浄機能は一世代前のものになっている。
シャープのプラズマクラスターイオン発生機と大きさを比べてみる | シャープの加湿空気清浄機が小さく見えるサイズだ |
最初は、これらを置き換えるつもりで、加湿機能を搭載したイオンによる除去機能を搭載したモデルを最有力候補として量販店店頭を訪れたのだ。
検討対象となるいくつかの商品を見比べていたときに、ちょっと離れた場所で、ひときわ大きな筐体が目に止まったのが、ブルーエアであった。
加湿機能やイオン発生機能を搭載していない点では、いまの日本のメーカーが投入する空気清浄機の流れとはまさに一線を画すものであり、機能もシンプルに空気を清浄化するだけだ。だが、部屋の空気を単に清浄化したいというのであれば、ブルーエアが持つ機能だけで十分だ。
「いかに速く、きれいな空気で部屋を満たすかということに注目して開発された製品」という説明にもうなづける。
部屋の空気を吸って、それを浄化した空気を放出するという感じが、実際の性能とともに、大きい筐体と、強い風量の組み合わせによって、直感的に感じることができるのも、空気清浄機には重要な要素であるということも新たに発見した。
■半年でフィルターを丸ごと交換するという発想
そして、魅力的だったのは、手入れ作業が簡単に済むという点だ。
日本のメーカーが発売する空気清浄機は、加湿機能搭載モデルが主流となっている。各社のラインアップのなかでも、最も空気清浄効果を発揮するのが加湿機能搭載モデルであることからもそれは明らかだ。実際、販売台数の7~8割を占めているといわれる。
だが、加湿機能を搭載した途端にメンテナンスの手間は一気に高まる。当然のことながら、加湿するための給水が必要になり、それに伴い、加湿フィルターなどの洗浄も必要になる。
また、集塵フィルターや脱臭フィルターなどの清掃も定期的に行なう必要がある。この掃除の手間は、かなり簡素化されてきているとはいえ、やはり面倒に感じる。
しかし、ブルーエアの場合は、半年に一度、フィルターそのものを交換すればいい。
ブルーエアのフィルターは、外側が紙であるために、その点ではやや安っぽさを感じるが、そのなかには、メッシュ状の金属が入り、さらに、3種類の異なるメッシュサイズの「3ステップ HEPA Silentフィルター」を採用している。
仕組みはこうだ。
大風量のファンが、空気中の花粉やウイルス、細菌、ハウスダストなどを吸引。これに、イオナイザーが電子を放出し、マイナス帯電させる。この空気を、静電気の力によって、プラスに帯電したフィルターの繊維に吸着する。
第1層では、花粉やホコリといった比較的粒子が大きなものを吸着し、第2層および第3層では、排気ガスや細菌、ウイルスなどを吸着し、直径0.1ミクロンまでの粒子では除去率を99.97%としている。これにより、きれいな空気を部屋のなかに排出するというものだ。ハイスピードによる除去を実現しながら、除去率を落とさないというバランスに力を注いだ開発コンセプトとなっている。
筐体の内部を空けたところ。中央部の白いのがフィルター | フィルターの交換は簡単にできる | フィルターの前面部はメッシュ状になっている |
フィルターの後ろ側。これによって直径0.1ミクロンまでの粒子では除去率を99.97%とする | フィルターを通ったきれいな空気は、ここで大風量となって部屋に放出される |
そして、ブルーエアでは、性能面や衛生面の観点から、フィルターは、掃除するよりも、交換するのが最も適しているとしている。汚れや目詰まり、磨耗などによってフィルターの性能が劣化することが避けられないのであれば、丸ごと交換して、最高の状態で空気をキレイにしようという考え方だ。
これが簡単なメンテナンス性にも直結している。これまで何台もの空気清浄機を使用してきたが、ここまで割り切った手入れの簡便さはほかにはなく、大きな魅力といえる。
■カタログなどの数値は最上位モデルの数値
ブルーエアのカタログやホームページで述べられている性能の多くは、最上位のブルーエア 650Eに関してのものだ。650Eは、39畳までを対象にした大型の製品で、直販価格で119,700円。家庭向けの空気清浄機としては一般的とはいえない。
ブルーエアの最大の特徴として訴求しているのは、米国家電製品協会(AHAM)が定めるCADR(クリーン・エア・デリバリー・レート=クリーンエア供給率)での世界最高の数値。花粉、粉じん、タバコ煙において、最高値を取得し、1分間に風船約1,150個分のクリーンエアを供給し、8.5畳を2.5分で清浄するという性能が自慢だ。だが、これらはすべてブルーエア 650Eのものである。
今回購入したブルーエア 450Eは、CADRは、カタログ上の数値では、650Eに比べて約半分となる数値を実現していることになる。
タバコ煙では、650Eが450以上の数値であるのに対して、450Eは240。同じく粉じんでは400以上が240に、花粉では450以上に対して240という数値に留まる。
それでも、ブルーエア 450Eは8畳の部屋を約4分で清浄する能力を持っている。短時間での空気の清浄感は確実に感じることができる。
■磁石内蔵型リモコンを添付
青い表示色となっている。右下の188は、フィルター交換まで188日という状態を示す |
操作パネルは本体の上部についている。
ディスプレイは青い背景表示となっており見やすいのだが、普段は消灯しているため、部屋を暗くしているときには、一度なにかしらの操作を行なわないと明るくならず、視認性が悪い。
表示されるのは、タイマー時間の表示やフィルター交換までの残日数、そして、ダストセンサーとニオイセンサーによって空気中におけるダストとニオイの粒子量をもとに表示する顔マークなど。そのほか、フィルター交換お知らせランプも用意されており、適切なタイミングで忘れずにフィルターを交換できる。あと何日持つのかというがわかっていれば、フィルターの追加購入の際にも便利だ。
一方で、簡単なリモコンがついているのはありがたい。しかもこのリモコンには、磁石が内蔵されており、本体や、磁石がくっつく別の場所に貼りつけておくこともできる。空気清浄機を離れた場所からリモコンで操作できるのは、ものぐさにはありがたい。
リモコンは内蔵している磁石によって本体にも張りつけられる | リモコンはボタン電池で動く。最初から予備電池が付属している |
ただ、かなり指向性が強く、Blueairのロゴがついている表面に対してのリモコン操作は問題ないが、裏面側に対してリモコンを操作しても、まったく反応しない。部屋の構造と放出口の向きの関係で、裏返しに設置しなくてはならないという場合には、リモコンは使えないという状況だった。
■AUTOにしておけば部屋のなかは常に清浄に
運転スピードは、1(弱)、2(中)、3(強)から選べる。外から帰ってきた時には、まず「3」にするのがいいが、「AUTO」モードにしておいても。ダストセンサーとニオイセンサーが関知して、自動的に「3」で動作することが多い。センサーの感度が想像以上に敏感なのには驚く。とりあえず、AUTOにしておけば、常に部屋のなかの空気はきれいにしておくことができるだろう。
ただ運転音には注意だ。
1で動作させている際には、カタログ上では28dbと静かであり、日常の生活のなかではまったく気にならないほどだ。2でも36dbとテレビを視聴していてもあまり影響はない。しかし、3にすると53dbへと一気に跳ね上がり、テレビの音声をいつもより上げる必要がある。
ブルーエア 450Eを、ちょっと離れた場所で3で運転させて、テレビのボリュームを落としていたら、テレビの声が聞こえない代わりに、まるでテレビから砂嵐の音が出ているのかと錯覚したほどだった。
筐体の大きさは冒頭にも触れたとおりだが、重量は約15kgもあって持ち運びには辛い。両側にはハンドルがあるので、両手でそれを使って持ち運ぶことになるが、あまり移動させることは考えたくない。
上位モデルのブルーエア 650Eは、16kgと1kgしか変わらないのにキャスターがついている。ぜひ、450Eにもキャスターをつけてほしかった。
本体側面。吹き出し口の方向を考えて設置する必要がある |
また、ブルーエア450Eでは、空気が横方向から入り、横方向から抜けていくために、左右のスペースは空けておかなくてはならない。日本の家庭環境を考えると、この両側を空けるだけのスペースを確保しなくてはならないというのは、難しいかもしれない。
また、部屋の構造上、どうしても空気の吹き出し口の方向をリビングの広い方に向けたい場合には、吹き出し口方向を考えて設置しなくてはならない。横方向に吹き出し口を持つ設計は、大きな開口部から空気を吸い、新鮮な空気を吐き出すという点でいいのだが、設置方向を選ぶという点ではデメリットといえるかもしれない。
■丸ごと交換というフィルターの考え方はいいのだが
今回の購入したプルーエア 450Eも、購入価格は79,800円と、国内メーカーの空気清浄機の上位モデルよりも割高だ。
気になるのは、交換フィルターの価格も割高となっている点だ。ブルーエア 450E用のフィルターは8,400円。これを半年ごとに交換するとなるとやはりある程度の出費を覚悟しなくてはならない。また、除臭カーボンフィルターを搭載したニオイフィルターでは15,750円もする。
本体購入と同時に、予備用のフィルターを購入した。この保管場所にも苦労する |
また、フィルターの購入店舗が限られていることも気になるところだ。
現在、ヨドバシカメラやビックカメラのほか、西武百貨店やそごうなどの一部百貨店に限られた販売となっており、あとはブルーエアの直販サイトでフィルターを購入するしかない。量販店店頭でも、「交換フィルターを一緒に購入していきますか」と、事前の購入を勧めるあたりにも、流通網での不安を感じさせるやりとりだった。
ただし、量販店での説明によると、24時間動作した場合に関して半年間で交換するというのが目安とのことであり、使用しない時間を考慮すると1年ぐらいは使えるのかもしれないという。
だが、説明書には、「24時間365日の運転をしてください」と書かれており、やはり常に動作させて、半年間で交換するということを前提とした使い方を想定しているようだ。なお、24時間動作させた場合の電気代は、650Eのデータによるとスピード1の場合で1日約15円。それほど大きなコスト負担ではない。
■空気清浄機能に特化するのであれば
総合的にみてみると、空気を清浄するという点での効果には満足している。花粉症初心者にとっては、ブルーエア 450Eに助けられている部分は大きい。
先にも触れたが、ブルーエア 450Eの前に立つと、たくさんの空気を吸い込み、大風量できれいな空気を吹き出すということを実感できて心強い。筐体の吹き出し口の前にいると、2のスピードでも寒い日は、吹き出す風が冷たく感じるぐらいの勢いだ。
乾燥が気になる時は、これまで利用していた加湿空気清浄機を利用したり、プラズマクラスターイオン発生機を併用できる点も、国内メーカーの空気清浄機でなくてもいいという選択に至った理由の1つだ。
空気を清浄したいという機能だけに特化した製品が欲しいのであれば、ブルーエアを選択肢の1つに加えてみるのも、いいかもしれない。
2011年4月5日 00:00