家電製品ミニレビュー

三菱「蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XWB10J」 前編

~いつものごはんがツヤツヤ&モッチモチ! 蒸気が出ない炊飯器
by 森 あつこ
三菱電機「蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XWB10J」

 キッチンが家の中心にある住宅が増えている。我が家もそうだ。家族の集まるリビングに接してキッチンがあり、リビングからはキッチンが丸見えの状態。ガスコンロからシンク、オーブンレンジ、果ては冷蔵庫まで(角度によっては冷蔵庫の中まで!)リビングから見えてしまう。

 そのため、キッチンの目立つ場所には、おしゃれな調理器具を置くようにしている。珍しいキッチングッズなどは、家族や来客とのコミュニケーションになっていい。「これは何?」と、会話がはずむことも多いからだ。

 一方、あまり人目に触れられたくない調理器具もある。我が家の場合、それは炊飯器だ。我が家の炊飯器はいつも布を被せられている。たとえば、急な来客時、私が一番にとる行動は「炊飯器に布を被せる」こと! 調理器具の中でも動かしにくく、ステンレスの冷たい外観と形が特に生活感を醸し出すからかも知れない。

 そんな我が家に、三菱電機の炊飯器「蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XWB10J」(以下、本炭釜)がやってきた。「蒸気レス」という言葉だけは知っていた。「蒸気が出ないから…安全」なこともよくわかる。しかし、だから「おいしい」理由が分からなかった。おまけに、価格は10万円を超える高級機種ときている。

 今日から2回に渡ってご紹介しよう。


メーカー三菱電機
製品名蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XWB10J
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格108,000円


蒸気が出ない=安全&置き場所が自由に選べる

 まずはこの炊飯器の基本的な操作やデザインを中心に見ていこう。三菱電機の炊飯器といえば、炊飯中に蒸気を出さない“世界初”の炊飯器「蒸気レスIH」が有名。今回紹介する「蒸気レスIH<本炭釜>」は、「蒸気レスIH」が更に進化して、操作性も向上した製品だ。

 そもそも、炊飯するのに、どうして蒸気が出ないのだろうか?

 炊飯器といったら、あの立ち上る蒸気が、まさに「今、ごはんを炊いています!」という印象がある。三菱電機のホームページによると、「蒸気を本体に搭載された水タンクに送って冷やし、水に戻すから」とある。

 たとえば…かまどでごはんを炊く光景をイメージしてみてほしい。

『はじめチョロチョロ 中パッパ 赤子泣いても蓋取るな』

 この極意は誰もが知るところ。かまどに火を着けてから、しばらくすると蒸気が出てくる。そのうちに、刃釜のフタからあふれるように出てくる水分。あれが、ごはんの「うまみ成分」なのだ。おいしいごはんを炊くために大切なことは、沸騰後の大火力と持続力。あの「うまみ成分」に、とことんこだわったのがこの炊飯器だ。

 蒸気レス機構を搭載していない従来の炊飯器では、ふきこぼれ防止のために、強火と弱火と繰り返しながら間欠的に加熱をしていた。この違いは本炊き時の総熱量でも分かる。従来品の総熱量は約94kcalに対し、「本炭釜」は約115kcal。できあがりは同じ白いごはんでも、炊飯方式によって総熱量が違うのだ。

 蒸気を出さず、吹きこぼれの心配がないから、炊飯時に発生したうまみ成分を蒸気と分離して保ち、蒸らし時にごはんに還元できるという仕組み。それを可能にしたのが、蒸気レスに搭載されている「連続激沸騰」という炊飯方式だ。

 「『蒸気レスIH』には蒸気口がなく、蒸気を外に逃しません。では炊飯時に発生した蒸気はどこへ行くのかというと、内蔵カートリッジを通ってタンクの中へ入ります。ここで水に戻すんです。しかもお米のうまみ成分は、カートリッジにしっかりキープしておいて、蒸らし時にごはんに戻します。蒸気口をなくしたことで、まったく新しい炊飯方式が誕生しました』」(蒸気レスIH<本炭釜>ホームページから)という。

 なるほど!蒸気を炊飯器の中の水の入ったタンクに逃がすような構造になっているわけだ。だから、炊いている間に蒸気は外に出てこないのだ。

 さらに、注目は「内釜」。約90日間、職人が1つ、1つ、ていねいに焼き固めて作ったという「本炭釜」だ。素材は、木炭や竹炭とは異なる炭素材料(純度99.9%)を使用。この「本炭釜」は釜全体が発熱して、均一的に熱が加わり、蒸気に含まれるうま味成分をごはんに戻して炊き上げる。外表面のみを発熱していた従来品と違って、内釜の厚み全体で発熱し、釜内を均一に加熱するという。

製品パッケージ製品本体本体背面。どの角度から見てもすっきりとしたデザイン
これがウワサの内釜。炭素材料99・9%、職人が1つずつ削り出した「本炭釜」だ。職人の手仕事、1点物の証であるシリアルナンバーが付いている。タンクの水は毎回交換すること!
スクエア型のスタイリッシュなデザインは、最新の携帯電話を思わせる。ふたにセンサーが付いている。炊飯中、炊飯量やごはんの湿度をチェック。

子供がいても安心の安全構造

 味だけでなく、安全性も高いのが本炭釜の良いところ。三菱の蒸気レス機構は、「高温の蒸気に触れる危険を防ぎ、収納家具などに結露せず、省スペースを実現するといういくつかのメリットを同時に達成している」として、キッズデザイン大賞にも選ばれている。

 たしかに、我が家でも小学生の姪や甥が遊びに来るときには「キッチンに入らないように!」「お釜に近づかない!」と言い聞かせてきた。この炊飯器は、安全性を考慮し、これまでの炊飯器にあったデメリット(蒸気によるやけどや蒸気のシミ、移動のしづらさ…など)をデザインの力で解決している。

 また、子供だけでなく大人にも使いやすい工夫があちこちに施されている。まずはメニューの選択や大切なお知らせを声で知らせてくれる「音声ナビ、さらに内釜の水量目盛りは見やすい「Vピタ目盛」を採用している。目盛りがV字になっていて、水位の視認性が高く、たとえば0・5単位の水加減もラクに合わせられる。

 本体のサイズは253×348×230mm(幅×奥行き×高さ)。写真のアメジストブラックのほかに、ルビーレッドもある。

タンクの水位目盛りに合わせて水を入れてセットする水を注いだ分だけ、消える▲マーク。合わせやすい米と水を入れた内釜をセットする
これが「Vピタ目盛」。V字目盛で水位の視認性が高まった。たとえば、0・5単位の水加減もラクに合わせられる好みの炊きあがりを選んで炊飯ボタンを押すだけらく楽アシスト。「特大ホワイトバックライト二重液晶&デカ文字表示」がこれ

もう隠しません!インテリア性に感激

 炊飯器というと、流線形というか、たまごのようにフタの手前部分が斜めにカットされたデザインが多いが、本炭釜はそれとは一線を画したスタイリッシュはスクエアデザインを採用している。これならどこに置いても恥ずかしくないし、蒸気が出ないので、家具を傷める心配もない――というわけで、置き場所を色々考えた。

 ちなみに、蓋を開けた時の高さも考える必要があるので、棚などに置くときは注意しよう。

我が家の先住炊飯器。いつも、布を被せられている。ちょっとかわいそう!?お気に入りの鍋「ル・クルーゼ」と一緒に。見せる収納も楽しめるキッチンの棚の上段に載せてフタを開けたところ。高さは70cm
棚の2段目に設置。蒸気が出ないから、家具や壁を傷める心配はなく、収納したままごはんが炊けるスクエア型のフタがつかえて、手が入れられない。このままご飯を盛るのは辛いかも。棚の高さは35cm棚の高さに注意して!!

ツヤツヤ&モッチモチのごはん!

 さっそくごはんを炊いてみると、仕上がりはツヤツヤ&モッチモチ! さすが最新技術を駆使した炊飯器! いつものお米なのに、食感が全然違っていてびっくり。

いざ、炊いてみよう炊きあがり!ツヤツヤ&ふんわりごはん。通常より時間をかけてじっくり炊く「匠芳潤炊きコース」を選択したさっぱりとした味わい。お米の甘みが口中に広がる

 後編では、白米だけでなく、人気の雑穀米や玄米など、さまざまな機能を試してみたい。特に節電を心掛ける今の生活の中では、「エコ炊飯」という機能も気になるところ。乞う、ご期待!





2011年4月11日 00:00