家電製品ミニレビュー

ツインバード「SK-80」

~送料込み1,450円で買ったシンプルな加湿器
by 伊達 浩二
ツインバード「SK-80」

「わけあり」で破格の値段

 11月に入って、気温とともに湿度が下がり始めてきた。私の部屋の湿度計は20%以下を表わす「LO」を表示しっぱなしだ。そろそろ加湿器を用意しないと、朝起きたときに、のどの痛みを覚える季節だ。

 広い部屋でもないので、安価で使いやすそうな加湿器をさがしていたら、ツインバードの「SK-80」という製品を見つけた。なんと価格が1,000円を切る950円なのだ。送料が500円かかったが、それでも1,450円で収まってしまった。かなり格安の製品と言えるだろう。

 


メーカーツインバード
製品名SK-80
希望小売価格オープン
購入場所Amazon.co.jp
購入価格950円(送料500円)

 ツインバードのサイトで製品情報ページを見ると、これはホテル用に作られた製品で、すでに生産終了となっている。価格はオープンプライスだが、楽天市場などで調べると、以前は2,500円以上で販売されていたようだ。つまり、在庫処分で価格が安くなったらしい。

 そういう事情なので、いつ売り切れになるかわからない製品だ。また、以前の価格で売っている店舗もあり、店舗によって価格が大きく異なるので、購入時はご注意いただきたい。とりあえず、11月24日現在では、Amazonと楽天市場で950円で販売している店舗があることは確認している。本体色はクリームとホワイトから選べたので、ホワイトにした。

誰でも使える機能と表示

 到着した製品の外箱は、いかにも業務用を思わせる簡潔なデザインだった。

業務用機器らしいシンプルな外箱本体も組み立て済みで入っている

 中身もシンプルで、本体と取扱説明書と、樹脂製の板しか入っていない。取扱説明書によれば、この板は、同社のIHサーバーを置くためのものだそうだ。

 IHサーバーとは、ビジネスホテルなどにある、簡単なIH式の湯沸かし器のことらしい。つまり、ホテルのテーブル周りで、無駄なスペースを使わないように、この加湿器とIHサーバーを重ねておけるように考えられていたのだ。せっかくのアイデアだが、我が家では使い道がない。この板は、そのまま箱にしまってある。

本体正面本体右側面。警告と注意を告げるシールが貼られている本体左側面
本体背面。左下にサービスコンセントが用意されているサービスコンセントは500Wまでで、IHサーバー用とされている

 箱から出てきた本体は、かなり小さい。とくに底面積が小さく、新書版の本を一回り大きくしたぐらいで、机の隅に置いて使える大きさだ。困ったのは電源コードの短さで、約60cmしかない。つまり、机に置くと、床まで届かないのだ。これはホテルでは、コンセントが卓上にあるので、それを想定して、あえて短くしているのだろう。一般家庭で使用するときは、コードの長さを考えてテーブルタップなどを用意した方が良い。

 また、背面にはサービスコンセントが1個用意されている。これは本来はIHサーバー用のもので、それ以外には使うなと書いてある。自己責任になるが、ほかの電気製品でも特に問題なく使えた。場所が奥まっているので、使える機器を選ぶが、コンセントが足りないときには便利だろう。

電源コードは60cmと短いIHサーバーを置くための板が付属するが普通は使い道がない

 実際の本体は、製品情報ページの写真とちがって、使い方や警告のシールがべたべた貼られていた。つまり、ホテル用の製品なので、初めて見るお客さんでも間違いなく使えるように、シールで正しい使い方を知らせるようになっているのだ。しかも、日本語と英語の両方で書かれている。デザイン的にはシンプルさを損ねるが、使いやすさという点では優れた工夫だ。

 使い方は簡単で、本体中央の青い水タンクに水を入れて、「加湿/Steam」と書かれたボタンを押すだけで良い。

 水タンクは半透明で、水の量が確認できる。また、水タンクは本体から独立しており、蛇口の下に持って行けるので水が注ぎやすい。水の入れ方は、例によってシールにも書かれているので簡単だ。

水タンクは半透明で、水位がわかりやすい水タンクは取り外しできる水タンクを外した状態
本体の注水部。熱源の部分は、手の届かない内部にある蛇口へ持って行けるので水が注ぎやすい本体は逆さに立てることもできるので、洗った後の水切りがしやすい

 スイッチは1つだけなので、操作に迷うことはない。ボタンを押すと、約1分ほどで、蒸気が出始める。

スチーム式で多少の動作音。電気代は1日13円

 加湿方式はスチーム式で、お湯を沸かして湯気を出す方式だ。したがって、使用中は、お湯が沸くときのグツグツという感じの音が常にしている。スチーム式に、この沸騰音はつきものなのだが、この製品は音が大きめだ。水タンクの左側から蒸気が出るのだが、この煙突の空洞が共鳴するようだ。

 個人的には、この手の音は苦手ではないし、安眠をさまたげるものではない。しかし、昼間のオフィスで使うときは、隣の席の同僚に承諾を得た方がいいと思うぐらいの音量はある。寝室で使うと、寝付かれない人もいるだろう。

水タンクの左が蒸気吹き出し口、右が電源スイッチ。水タンクにも使い方が書かれている蒸気吹き出し口には水滴が見え、熱い蒸気が出る

 なお、スチーム式なので、本体が転倒するとヤケドなどの恐れがある。また、湯気も熱いので、本体の置き場所や周囲の環境には注意したい。逆に、蒸気は高温で殺菌されているし、室温を下げず加湿できるという利点があることを忘れてはいけない。

 水タンクは800mlで、加湿時間は約7時間とされている。実際に使ってみても、6時間以上は十分に動作した。

 カタログ値の7時間を基に計算すると、1時間あたりの加湿量は114mlとなる。小型の据え置き型で加湿量が200ml/hの製品で、木造3畳/プレハブ6畳用とされているので、この製品はせいぜい木造1.5畳/プレハブ3畳ぐらいの計算だ。部屋全体というよりは、机やベッドの周囲を加湿するぐらいの能力といえる。

 スチーム式で気になる電気代も見てみよう。電気代は85Wで、夜だけとすれば7時間使用するから、1日あたりの消費電力は0.595kWhということになる。普通は、1kwhあたり22円で計算するので、1日あたり13円ということになる。1カ月で390円という計算だ。個人的には、許容範囲だと思う。

 使い始めの初日は、蒸気からプラスチックっぽいにおいがしたが、2~3日でわからなくなった。マンションの7畳間である私の部屋に対して加湿量は少なめだが、適度に湿度は感じられるし、窓ガラスが結露するほどのパワーはないので、ほどが良いとも言える。

 なお、水タンクや本体の水路の掃除は、クエン酸洗浄が勧められている。クエン酸を溶かした水を入れて、沸騰させ、後ほど水を切るという手順だ。沸騰させるための熱源部分には、手が届かないので、間接的に洗うことになる。本体は逆に立てることができるので、水は切りやすい。

限界はあるが使える製品

 この製品には、加湿量の小ささや、大きめな動作音、電源コードの短さなど、いくつかの欠点がある。しかし、だから使えないかといえば、あまり広くない部屋を加湿するということだけ考えれば、これで十分ではある。とりあえず、自分の部屋の机に置いて使い続けてみるつもりだ。価格が価格なので、一冬使えば、十分に元がとれるだろう。

 また、使い方が簡単で、コストも安いので、これまで加湿器を使ったことがない人にも向いていると思う。一度、これを試しておけば、次にどんな加湿器を選べばいいかがはっきりわかるだろう。

底面積は新書版を一回り大きくしたぐらい卓上で邪魔にならない大きさ文庫本と比べると大きさがわかる



2010年11月25日 00:00