家電製品ミニレビュー
パナソニック「EVERLEDS 小型電球タイプ5.5W」
~抜群の性能を誇るE17口金用のLED電球
●小型電球並みに明るいLED電球が登場。で、使えるの?
パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ) 小型電球タイプ5.5W LDA6L-E17-A1/D」 |
このE17口金には、「ミニクリプトン電球」や「ミニランプ」といった、E17口金用の小型電球を取り付けて使用する。今回紹介するのは、E17口金用のLED電球「EVERLEDS(エバーレッズ) 小型電球タイプ5.5W LDA6L-E17-A1/D」(以下、EVERLEDS)である。
これまでにもE17口金に対応する小型LED電球はあった。しかしそのほとんどは明るさが不十分で、光色も悪い。E17口金用の電球形蛍光灯もあるが、電球自体が大きく、また調光器に対応しないものがほとんどで、小型電球の置き換えに現実的なものではなかった。
ところがEVERLEDSは、ダウンライト使用時に直下で40W相当という、小型電球並みの明るさを備えている。しかも、密閉器具にも取り付けられ、調光器にも対応しているという。もちろん、LEDならではの省電力と長寿命も備えている。
スペックだけなら完璧に見えるが、果たして小型電球からの交換に値するものなのか。その実力を探ることにする。
メーカー | パナソニック |
品名 | EVERLEDS 小型電球タイプ5.5W |
品番 | LDA6L-E17-A1/D (電球色 相当) |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入店舗 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 4,980円 |
※E17口金用ではこのほか、昼白色相当の「LDA6D-E17-A1/D」もある
●光は広がり十分な明るさ
右が今回採り上げるE17口金タイプのEVERLEDS。既に発売しているE26口金のEVERLEDSを小型化したような外見だ |
サイズは実測で40×72mm(直径×高さ)、重さは50g。E17口金用の40W型ミニクリプトン電球が35×67mm(直径×高さ)で、重さは14gなので、ひとまわり大きく重いことになる。ただし、E17口金の電球形蛍光灯「NEC コスモボール・ミニ40W形」と比べると、EVERLEDSのほうがコンパクトだ。
EVERLEDSをE17口金のソケットに取り付けて点灯すると、光源部を中心にまずまずの拡散性が確認できた。スポットライトのような形状を持つEVERLEDSだが、ソケット方向にもある程度の光が届いている。同社のE26口金のLED電球と同じだ。電球形蛍光灯のコスモボール・ミニよりも、遠くまでその明るさが届いている印象だ。
EVERLEDSの高さは72mm(左)で、40形ミニクリプトン電球(中央)の高さよりも5mm高い。電球形蛍光灯の「コスモボール・ミニ40W形」(右)の高さは87mmでもっとも多きい | EVERLEDSの直径は40mm。LEDの発光体が黄色く透けてみえる(左)。ミニクリプトン電球の直径は35mm(中央)。NEC コスモボール・ミニ40W形の蛍光管の直径は38mm(右) |
【ミニクリプトン電球:40W】 電球を中心に光りが球形に広がり、床面もしっかり明るい | 【EVERLEDS E17口金】 光源部を中心に広がっており、遠くまで光が届いている。細かく見ると、横方向や床面への広がりは苦手の模様 | 【電球形蛍光灯:40Wタイプ】 白熱電球のような拡散性は得られている。遠くまで明るさが届いていない印象も受ける |
光の広がり方が同じなら、明るさはどうだろうか。アームランプに取り付けて、高さ550mmの位置から照射したテーブルの明るさ(照度)を計測してみると、40W形のミニクリプトン電球が428lxに対して、EVERLEDSは310lxと、やや暗めの結果になってしまった。パッケージには「ランプ単体で小型電球25形相当の明るさです」としっかり記されてあり、この結果はいたしかたない。
それでも、テーブル面はとても明るく、新聞も問題なく読めた。器具から洩れる光の印象もミニクリプトン電球に近く、全体的には好印象。E26口金用のEVERLEDS(直下照度40Wクラス)は250lxだったので、それよりも良い結果が得られていることになる。
ちなみに、電球形蛍光灯は382lxで、ミニクリプトン電球とEVERLEDSの中間の明るさだった。ただし、この数値は明るさが安定した10分後のもの。一方のEVERLEDSは、LEDのため瞬時に明るくなる。この点は有利だろう。
【ミニクリプトン電球:40W 428lx】 | 【EVERLEDS E17口金 310lx】 |
【電球形蛍光灯:40Wタイプ 328lx】 EVERLEDSよりも明るいが、点灯時は120lx。明るさが安定するまで10分ぐらいかかる | 【EVERLEDS E26口金 250lx】 同じく直下照度は40Wだが、E17口金よりも暗い結果だった |
●インテリアライトでも実用的
しかし、この明るさで果たしてランプとして機能するのだろうか?そこで、自宅にあるE17口金の照明器具に取り付けた。
結果を言えば、「実用的で、しっかり使える」ということがいえそうだ。
実例を紹介しよう。まずは、IKEAで購入したガラスシェードの付いた卓上ランプ「KROBY」に装着したが、セードの根元がわずかに暗くなるだけで、実使用で違和感がなかった。テーブルの一部を部分的に照らす器具なので、光の指向性が高いLEDにはもってこいの舞台なのかもしれない。細かいことを言えば、シェードを覗き込んだときに外見に違和感を感じるが、点灯してしまえば大して気にならなかった。
【ミニクリプトン電球:40W】 卓上ランプはIKEAで購入した「KROBY」 | 【EVERLEDS E17口金】 器具の持つ印象は変わらない | 【電球形蛍光灯:40Wタイプ】 |
【ミニクリプトン電球:40W】 装着時のようす | 【EVERLEDS E17口金】 外見の違いが気になるが、通常は卓上ランプ覗き込むような使い方はしないので、大したことではないだろう | 【電球形蛍光灯:40Wタイプ】 消灯時、スパイラル状の蛍光灯は電球が丸見えになる器具だとかなり目立つかもしれない |
今度は同じくIKEAで購入した、セード全体が光るインテリアライト「LAMPAN」に装着。電球を器具内に閉じ込める密閉タイプで、光の指向性が強いLED電球には苦手そうに思えたが、意外にしっかりと、器具全体がまんべんなく光り、器具の持つ雰囲気が損なわれることはなかった。LEDの性質上、シェードの上部に光が集まりやすい傾向にあるが、見比べて初めて認識できる程度で、実使用上はあまり問題ではなかった。
EVERLEDSを実際に使用してみてわかったのが、E26口金で直下照度が40WタイプのEVERLEDSよりも、演色性が良い。その色合いは、暖かみを残しつつ、赤みは少し抑えた白熱電球といったところ。食べ物はおいしそうに見え、観葉植物も自然な色合いに映る。2灯使用する器具なら、明るさも補えるので十分に利用できるだろう。
【ミニクリプトン電球:40W】 先ほどの「KROBY」に取り付けた使用例。さすがに色合いは良いが、器具が顔の近くにあると熱を感じる | 【EVERLEDS E17口金】 赤みが抑えられ、とても自然な印象だ。暖かみは残り、光色の偏り(色被り)もほとんど感じない。ただし、影は若干強めに出る | 【電球形蛍光灯:40Wタイプ】 やや黄色っぽい色被りが感じられる。ミニクリプトン電球ほどの熱はない |
ここで、悪い例も一つ挙げておきたい。EVERLEDSは、その電球らしからぬ外見のため、本体がはみ出すような器具に取り付けると、器具の雰囲気が大きく損なわれることがある。器具の大きさや材質などを考慮する必要があるだろう。また、横方向への明るさはあまり望めないため、電球を横向きや斜めに取り付ける器具では、適正な明るさが得られない場合がある。
【ミニクリプトン電球:40W】 セードと電球に一体感のあるデザインの器具に取り付けた | 【EVERLEDS E17口金】 同じ器具に取り付けると、同じ照明器具とは思えないほどちぐはぐな印象になってしまう |
●調光器に対応、無段階のスムーズな調光が可能
冒頭でも述べたが、本製品は調光器に対応しており、器具と市販の調光コントローラーを組み合わせれば、前述の照明器具でも調光できる。明るさを絞り込めば、就寝用のライトに応用するなんてことも可能だ。
調光は、100%の全灯からほのかな明るさまで、無段階にできる。しかし、調光器の目盛りが65%を下回った時点でLEDが完全に消えてしまう。多少の慣れは必要だろう。
100%(全灯) | 87.5%。ほとんどz全灯と変わらない | 75% | 65%でほのかな明るさになってしまう | 62.5%では完全に消えてしまう |
先ほどの密閉器具の「LAMPAN」を生活シーンに置いてみる。調光器の目盛りには完全にシンクロしていないものの、ミニクリプトン電球と同じように部屋の雰囲気を変える事ができる。気分によって明るさが変えられるのはやはり便利だろう。なお、今回用意した電球形蛍光灯は調光に対応していないため、写真は割愛する。
【ミニクリプトン電球:40W 100%(全灯)】 | 【ミニクリプトン電球:40W 50%】 | 【ミニクリプトン電球:40W 20%】 |
【EVERLEDS E17口金 100%(全灯)】 | 【EVERLEDS E17口金 75%】 印象では半分ぐらいの明るさになる | 【EVERLEDS E17口金 70%】 調光70%以下で、かなり光を絞り込んだ印象。常夜灯に使えるほどほのかな明るさが演出できる |
●初期購入費はかかるが、小型電球からの取替えなら確実にオトク
さて、LED電球といえば白熱電球や電球形蛍光灯よりも省エネな点が大きな特徴。EVERLEDSではどのぐらい電気代が安くなるのだろうか。それぞれの電球をワットチェッカーにつないで、消費電力を計測した。
パッケージには5.5Wと記されているにもかかわらず、LDA6L-E17-A1/Dの消費電力の実測値は4W。40W形ミニクリプトン電球は、小さいながらも全灯で35Wとなるため、EVERLEDSの8.75倍の電力を消費する。つまり、LED電球1個の電力で小型電球を8~9個点灯できてしまうことになる。なお、電球形蛍光灯の消費電力は7W。EVERLEDSの1.75倍になる。
【ミニクリプトン電球:40W 35W】 | 【EVERLEDS E17口金 4W】 | 【電球形蛍光灯:40Wタイプ 7W】 |
【ミニクリプトン電球:40W】 明るさを最大に絞り込んでも3Wの電力を消費する | 【EVERLEDS E17口金】 調光70%あたりで「0W」と、測定不能になる |
この実測値をもとにコストを計算してみると、EVERLEDSの1年間の電気代と電球購入代の合計は5.236円。これは、40W形ミニクリプトン電球を2年使い続けた維持費(5,154円)に近い。しかも、ミニクリプトン電球ならその間、3個の取替えが必要だが、EVERLEDSなら長寿命のため、さらにその先5年近くも使い続けられる。つまり、小型電球を使用しているならば、今すぐにEVERLEDSに取り替えても、損はないだろう。
一方、電球形蛍光灯の維持費と比較するとEVERLEDSの分は悪い。EVERLEDSの1年間の維持費が983円に対して、電球形蛍光灯は748円と、その差は235円。もし現在、電球形蛍光灯を問題なく使っているのであれば、無理にEVERLEDSに取り替える必要はないだろう。ただしEVERLEDSは、電球形蛍光灯よりも演色性が良く、点灯した瞬間から電球本来の明るさが得られるという大きな利点がある。小さいながら調光器にも対応しているので、器具の幅も広いというメリットもある。
電球 | ミニクリプトン電球 40W形 | 電球形蛍光灯 40W形 | LED電球 EVERLEDS E17口金 |
品番 | LDS100V36W・W・K | EFD10EL/7-E17-C2 | LDA6L-E17-A1/D |
電球1個の値段 (Amazon.co.jp) | 240 円 | 850 円 | 4,980 円 |
定格寿命 | 2,000 時間 | 8,000 時間 | 20,000 時間 |
実測消費電力 | 35 W | 7 W | 4 W |
1日8時間使用した場合の 寿命日数 | 250日 (約8カ月) | 1,000日 (約2年9カ月) | 2,500日 (約6年10カ月) |
1年間で必要な電球個数 (365日×8時間÷定格寿命) | 1.46個 | 0.365個 | 0.146個 |
1年間の電球代 (1年間で必要な電球個数×購入価格) | 350 円 | 310 円 | 727 円 |
1年間の電気代 (365日×8時間使用) | 2,227 円 | 438 円 | 256 円 |
1年当たりの維持費 (1年間の電球代+1年間の電気代) | 2,577 円 | 748 円 | 983 円 |
ここで注意してほしいのが、EVERLEDSの定格寿命は20,000時間である点。E26タイプでは40,000時間のものが多いが、E17口金のEVERLEDSではその半分となってしまう。ミニクリプトン電球の2,000時間、電球形蛍光灯は8,000時間よりも長いので、長寿命であることには間違いはないのだが、E26口金タイプほどではない、ということをお忘れなく。
●抜群の性能、E17口金では“一人勝ち”状態
ミニクリプトン電球とほぼ変わらぬ大きさを実現しながら、高い演色性、調光器への対応、大幅な省電力と長寿命……E17口金でここまでの性能が実現できる製品は、現時点でEVERLEDSのみ。“一人勝ち状態”と言っても過言ではないだろう。大幅に消費電力を抑え、小型白熱電球と遜色ない使い心地が味わえる、非常に完成度の高い小型LED電球だ。
長い目で見ればコストがカットできるのは間違いないので、家庭に小型電球を使っている照明器具があれば、まず一つ購入してみてはいかがだろうか。
2009年12月25日 00:00
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