家電製品ミニレビュー
無印良品「スチール間接照明」
無印良品の「スチール間接照明」 |
間接照明とは、照明器具からの光源を直接目に触れないようにし、天井や壁面、床面からの反射光で部屋を柔らかく照らし出す、照明のテクニックである。その反射光は部屋全体にやさしく広がり、とても落ち着いた雰囲気を醸し出す。
だが、一般的な照明器具を用いて間接照明の効果を得るためには、光の向きを調節したり、設置場所に工夫を加えて、光をできるだけ目に直接触れないようにする必要がある。
ところが、この「スチール間接照明」なら、窓際や壁際にただ置くだけで気軽に間接照明の効果が楽しめるのだ。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | スチール間接照明 ミニ電球40W(口金E17) |
希望小売価格 | 5,899円 |
購入場所 | 無印良品ネットストア |
購入価格 | 5,899円 |
●消灯時はただの白い四角い物体
点灯していない時のスチール間接照明は、白一色のアッサリしたデザイン。一見して照明器具とは思えない表情だ |
正面も裏面も見比べても、表情は全く同じだが、側面に回ると、付属の口金E17タイプの40Wミニランプが顔を出した。ぱっと見では、これが唯一、照明器具であることが分かるポイントである。電球は上部と側面以外はスチールで覆われており、しかも電球は器具の中心より下部にあるため、直接光が届く範囲はかなり限られる構造をしている。
本体カラーはアイボリーに近い白色で、高級感のある梨地仕上げの塗装が施してある。色の印象から軽そうに見えるが、2mm厚のスチールでできているため、ずっしりと2kg強の重さがある。その重さを支える本体底面の4つのゴム脚は滑りにくく、器具を安定して置くことができる。
正面も裏面の区別がなく、どちらもまったく同じ表情 | 側面から見るとやっと電球が見え、照明器具だとわかる。電球は口金E17タイプの40Wミニランプが同梱されている | 底には透明なゴム脚が4カ所についている。コードは器具の真ん中から出ており、好きな方向に逃がせるようになっている |
光が乱反射しやすいよう、本体の外側も内側も梨地仕上げの塗装が施してある | 直径11mm、高さ6mmの滑りにくいゴム脚は、本体をしっかりと支える | 本体の底から伸びるコードにロータリー式の中間スイッチがついている |
●設置する器具の位置で、空間の表情が一変
器具を壁面にぴったりと寄せた状態で点灯させた。電球からの直接光が際立ち、光が器具の周りに集中している |
最初は本体を壁面のそばに設置したのだが、本体と壁面の距離が近いため、光が直接壁を照らした。器具の周りに光が集中しており、壁面の明るさのコントラストが強い。壁紙の凹凸もはっきりと見える。
今度は壁から離すと、直接光は届きにくくなり、器具内部で反射された光が柔らかく壁面を照らす。壁から20cmほど離したところ、器具からの直接光と器具内部からの反射光が、壁面上でマイルドにブレンドされており、柔らかき光が空間に広がっているのが感じられる。
つまり、同じ器具でも、置く位置によって部屋の見え方が変化する。たとえば、光を壁に強く映して、部屋のアクセントとして使うならば、器具を壁面に近づけて設置し、反射光で空間の広がりを求めるのであれば、器具は壁面から少し離す……というように、使う人の要求に合わせて使い分けられるのだ。
ちなみにランプは、40Wタイプとはいえ点灯中はとても手で触れない程熱くなる。しかし、電球と器具の距離は2cm以上も離れているため、器具の外側表面に触れてもほんのり暖かい程度。誤って触れても、熱による影響は問題ないだろう。
器具を壁面から10cm程離した場合。壁面を照らし出す直接光は少し弱まり、器具内部でできた反射光が壁面に広がりはじめている | 今度は壁面から20cm程離すと、器具からの直接光と器具内部からの反射光が壁面上でマイルドにブレンドされる。光が柔らかく空間に広がっているのが感じられる | 器具はそれほど熱くならない。点灯中でも器具に触れても全く問題ない程度 |
●室内の雰囲気をソフトにもシャープにも変えられる
器具の置き方で、その光の表情が変わる事はお分かりいただけただろう。次は、実際の部屋における活用法を探ってみようと、部屋の窓際に置いてみた。
我が家のリビングルームの窓にはロールカーテンが取り付けているのだが、その前に本製品を設置した。すると、天井面、壁面の一部、ロールカーテンが間接照明で照らし出され、反射光が部屋に柔らかく広がった。
次は同じ場所で、ロールカーテンを開けたまま使ってみた。窓の外は真っ暗だが、本製品を使うことで、窓枠が強調され、部屋の印象がシャープになった。暗い窓にはスチール間接照明本体の姿も映りこみ、アクセント的な要素も加わっている。単純にカーテンを開けただけでも、先ほどとはまた違った部屋の印象を楽しめた。
カーテンを閉じた状態で、窓際の棚の上に置いた。カーテン、天井、壁の一部が照らし出され、その反射光が部屋に柔らかく広がっている | カーテンを開けると、窓枠が光りで強調され、部屋の表情がシャープに変わる |
今度は、寝室の窓辺に設置し、“光のカーテン”を作ってみようと思う。
筆者は夜になっても厚手のカーテンを使わず、薄手のカーテンしか閉めたくないタイプだ。厚手のカーテンでは、部屋の雰囲気が重苦しい印象になってしまう。とはいっても、さすがに外からは見られないようにはしたい。
そこで、薄手のカーテンをライトアップするように、スチール間接照明を置いた。このようにカーテンを明るく照らしだすと、窓の外からは室内が見えにくくなる効果が得られる。実際に、ベランダに出て外から中の様子を伺ってみたが、中では器具から漏れる光と、それに照らし出されたカーテンしか見えなかった。何しろ、この室内ではカーテンが一番明るいのだ。というわけで、薄手のカーテンでも目隠し効果が期待できる“光のカーテン”が作り出せた。
寝室の窓辺に置いた例。カーテンのドレープ(たるみやヒダ)が光により強調され印象的だ | 窓の外側から室内を見たところ。器具から洩れる光とそれに照らし出されたカーテンしか見えず、室内の様子はほとんど伺えない |
●省電力の光源に付け替えて消費電力を抑える
ところで、同梱されているミニランプは40Wの白熱電球。スチール間接照明は、メインの照明器具として使う事が多い事を考えると、消費電力が気になるのは避けられない。
そこで省電力タイプの光源として、電球形蛍光灯とLED電球をつけてみることにした。用意したのは、40Wタイプの電球形蛍光灯「コスモボールミニ」(NEC)と、10WタイプのLED電球「パラトン」(三菱電機オスラム)。いずれもE17口金となっている。
取り付ける前に気になったのが、ランプ自体のサイズ。ミニランプは背の高さが35mmだが、一方でコスモボールミニは67mm、パラトンは70mmと、約2倍のサイズとなっている。しかし、本体に十分な高さがあったため、どちらも器具の中心付近に光源がとどまった。心配は杞憂に終わった。
同梱されている40Wのミニランプ | 40Wタイプの電球形蛍光灯(NECのコスモボールミニ)を取り付けた場合 | 10WタイプのLED電球(三菱電機オスラムの「パラトン」)を取り付けたところ |
明るさは、コスモボールミニに関してはほぼ同じ。光の広がり方に大差はなく、ミニランプ同様に使えるだろう。パラトンは10Wタイプという事もあり暗めだが、スチール間接照明を常夜灯や、サブ的に利用する場合には向いているだろう。
肝心の消費電力はもちろん少ない。40W形ミニランプの消費電力が36Wに対し、コスモボールミニは7W、パラトンは1.6Wと、それぞれ約1/5、約1/18となっている。
木製のテーブルの下に置き、足元灯として利用した例。発熱量の少ない電球形蛍光灯なので、熱がこもりにくい。また、器具の形状もあって、不快な強い光がソファに座っている人へ届かないというメリットもある |
単品での利用はもちろん、アイデア次第で家具などと組み合わせても、空間を演出する器具として活用できる製品だ。余計な装飾をそぎ落とし、徹底して間接照明器具としてデザインされているため、インテリアと合わせやすいのだ。
部屋に置くだけで、難しい工夫をする事なく、気軽に間接照明を取り入れられる。部屋の雰囲気の変わり具合を楽しみながら、生活空間をもっと豊かにしてみてはいかがだろうか。
2009年7月7日 00:00