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薬剤なしで除草にトコジラミ対策 ケルヒャー洗浄機とスチームが解決!
2024年11月1日 14:05
「ケルヒャー」といえば、黄色い高圧洗浄機を思い浮かべるように、日本では家庭用製品の印象が強い同社。しかし売上を見ると、実際には家庭用製品と業務用製品とが肩を並べているという。
ケルヒャー ジャパン 代表取締役社長の大前勝己さんによると、同社の売上比率は55%が家庭用、45%が業務用製品。ただしグローバルではこの比率が半々となっており、日本でも今後、家庭用製品を伸ばしつつ業務用ではそれ以上の伸長を目指すとしている。
業務用製品には高圧洗浄機はもちろん、ロボット掃除機などもラインナップ。また、薬剤を使わず、作業員の負担も軽減する除草システムなども展開し、環境汚染や人手不足といった社会課題の解決にも取り組んでいる。今回はその一例を紹介したい。
薬剤なしで除草。トコジラミも高温スチームで
ケルヒャーが展開する温水除草システムは、温水高圧洗浄機を用いて100℃近い高温水で植物の根のたんぱく質構造を変異させ、育成を阻害する仕組み。除草剤は不要で、環境負荷の低減にもつながるという。なお、温水高圧洗浄機は通常の洗浄用途にももちろん使用可能だ。
冷めやすく、植物の表面にしか噴射できないスチームではなく、温水の状態で吐出して地中まで行き渡らせるのもポイント。根も枯れてしまうため再び生えてくることがなく、使うほどに雑草が減っていくそうだ。
刈刃などを使用しないため安全で、機械を使用しにくい石畳やブロック付近にも対応できるのもメリット。環境負荷に加え、作業員の負担も少ないのが特徴としている。
昨年末から大量発生のニュースをたびたび目にするようになったトコジラミも、ケルヒャー製品で対策できるとのこと。
こちらはスチームクリーナーを使って100℃のスチームを噴射することで、ダニやトコジラミ、それらの卵の駆除ができる。トコジラミへの効果は第三者機関で検証済みで、薬剤耐性のある、いわゆる「スーパートコジラミ」に対しても効果があるという。
温水除草同様に薬剤を使わず人体に無害なため、病院や学校、ホテルなど人が多く集まるところでも使用しやすい。さらに100℃のスチームにより、ウイルスやバクテリアの除去や除菌、油汚れなどの掃除も可能だ。
一度「トコジラミが出た」とSNSで拡散されると大きな打撃となってしまう宿泊施設などに対し、安心安全な対策法として提案している。
人手不足解消を目指してロボットに注力
商業施設や宿泊施設、ビルなどの清掃における人手不足解消には、床洗浄ロボットとロボット掃除機「KIRA CV 50」を紹介している。
夜間や管理者が不在のなかでも自立運転ができるため、例えば物流施設などの建設中、2階部分を作っている際に、できあがった1階部分の掃除をロボットが担うことで、人員の削減と大幅な効率化ができるという。
床洗浄ロボットは洗剤とブラシで床をこすり洗いするもので、ショッピングモールなどで利用される。一般的には床と水平方向に回転するディスクブラシを使用するが、これは小石などの異物を巻き込んだ際に自動で取り除くことができず、回転を続けて床を傷つけてしまうことがあるそうだ。
ケルヒャーの床洗浄ロボットは、床と垂直方向に動くブラシを採用。ブラシについたゴミは本体内のホッパーに回収されるため、床を傷つける心配がないとする。
センサーはLiDARを3つと、3D・赤外線カメラを4つ搭載。ガラスなどもしっかり認識して回避するという。実演では突然現れた人を検知して、ビタッと止まってみせた。
10月1日発売のロボット掃除機「KIRA CV 50」(998,000円)は吸引掃除のみを行なう。業務用LiDARを搭載し、20m先まで検知可能なため、広い空間でも自己位置を見失いにくい。
スマホアプリと連携でき、アプリにはマップを50個まで登録できる。複数台の連携にも対応し、マップの共有や遠隔操作も可能だ。
業務用のロボット掃除機はビルメンテナンス業界で注目を浴びているそうだ。同社はこれに加えて、小さな民宿やホテル、事業所などでも掃除の自動化のニーズに応えられるとしている。現在は販売のみだが、今後はレンタルなどの展開も視野に入れているとのこと。
このほか、高圧洗浄機を用いたクリーニングプロジェクトとして、これまで世界各地のモニュメントや歴史的建造物の洗浄を行なっている同社。国内では東京都・日本橋や広島県・平和記念公園などをキレイにしてきた。
11月4日からは佐賀県・岩屋川内ダムで、汚れを落としながらコントラストで絵を描く「ゴジラ in 佐賀 ダムアートプロジェクト Powered by ケルヒャー」もスタート。ダム竣工以来初となる大規模清掃に取り掛かる。
さまざまな業務ソリューションを展開するケルヒャー。代表取締役社長の大前さんは「日本の清掃機機市場は1,000億円以上の規模があると見ています。我々の1番の強みは、多様なカテゴリーを持っていること。我々にご相談いただければ、さまざまな製品、ソリューションを提案できると思っています」とコメントしている。