家電製品ミニレビュー
100℃の熱風で食器やふきんを清潔乾燥! タイガーの食器乾燥器「サラピッカ」
by 藤原 大蔵(2016/4/25 07:00)
食器乾燥器は、使ってみるまでその良さがイマイチわかりにくい家電の1つかもしれない。だが、最近の食器乾燥器は「水切りカゴ」を置くスペースと変わらないほどコンパクトになっている。さらに価格も、ステンレス製の水切りカゴと大差ないのはご存知だろうか。
そこで今回は、タイガー魔法瓶の「食器乾燥器<サラピッカ> DHG-S400」を紹介しよう。
メーカー名 | タイガー魔法瓶 |
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製品名 | 食器乾燥器 サラピッカ DHG-S400 |
実売価格 | 10,600円(Amazon) |
サラピッカの特徴は、本体の内側から約100℃の熱風が吹き出して、清潔に食器を乾かせる点。コンパクトながら約6人分の食器が入り、まな板やふきんも乾燥できる。
大きさは502×372×376mm(幅×奥行き×高さ)。高さがあるので存在感はあるが、設置面積は一般的な水切りカゴとたいして変わらない。質量は4.4kgなので移動が必用な場合でも簡単にできる。コードの長さは約1.8m。
一般的な大きさの水切りカゴがラクに置ける作業台があるご家庭ならば、問題なく設置できるだろう。我が家のキッチンは小さいタイプなので、作業台の幅は460mmと狭いが、本体底の脚の間隔は417mmなので安定して載った。とは言っても、本体はプラスチック製なので、我が家の場合はコンロを使う際には移動は必要だった。
一般的な水切りカゴと変わらない設置面積
サラピッカの構成は、本体のほか、ステンレス製の「トレイ」、「食器カゴ」、「はし立て」、「ふきんかけ」の5点。食器カゴの大きさは、416×324×110mm(幅×奥行き×深さ)。トレイやカゴ類はいずれも載せるだけ、または引っ掛けるだけなので、扱いも手入れも簡単だ。
透明なプラスチック製の本体フタは、前フタ、中フタ、後ろフタの3枚に分かれている。フタを開くと、カゴの上は約120度開放されるので、大きな皿もラクに入れられる。
温風は、本体の内側にある「温風吹き出し口」から出てくる。本体底のAg抗菌フィルターで濾過した空気がヒーターで熱せられるのでキレイな温風が庫内に取り込まれる。
また、トレイに落ちた水は中央に集められ、本体底の「水受け」に集められる。水受けもAg抗菌加工を施したポリスチレン樹脂なので、清潔に保ちやすい。
使い方は、一般的な水切りカゴと大差ない。洗った食器を並べてフタをし、タイマーを回すだけと簡単。後は放っておくだけで終了する。1度のセットで、最大60分稼働できる。
相当量の食器が入るが、ダメなのもある
サラピッカが乾燥できる標準食器量は6人用となっている。その目安は、直径26cmの大皿が2枚、16~19cmの中皿に、小皿はそれぞれ6枚ずつ。茶碗、汁椀、湯のみ類もそれぞれ6個入り、箸やカテラリーも6人分入る。400×225×30mm以下のまな板ならば、食器と同時に乾燥できる。
なお、乾燥機にかけられない食器もある。熱に因る破損や変色が起こりうるものは入れられないとなっている。それらは「漆器」、耐熱温度が80℃以下の「樹脂製食器」、「カットガラスやクリスタルグラス」、「銀製」の食器類など。
今回は、標準食器量に記載されていたものに近い食器を4人分用意し、実際に食器カゴに並べてみた。
入れ方は温風の吹き出し口を避けるように入れるのがポイントだ。左側からお湯で洗った大きなお皿から順に入れ、まな板や湯のみ類は奥へ入れる。茶碗は右端から入れる。最後に、汁椀のボウル類を下向きにして載せる、といった具合だ。4人分の食器なので、かなり余裕で入った。転がりやすいご飯茶碗も、カゴのワイヤーと上手く噛み合い、安定して入れられた。
40分で4人分の食器全てもまな板も、スッキリ&気持良く乾いた!
標準食器量6人分の乾燥時間の目安は50分となっていたので、40分にセット。運転中はゴーっという運転音はするものの、会話やテレビ視聴の妨げにはならない程度だった。ダイニングキッチンで運転していてもたいして気にはならないだろう。
運転中に排気口から出てくる空気で、部屋がジメジメするような印象は特に無かった。100℃の熱風は、あくまでも吹き出し口近辺の温度。本体は熱くなるが、触れられる程度だった。少し離れていれば、側に居ても不快な熱は感じにくかった。
40分が経過すると、タイマーがカチンと言って切れる。乾燥直後は食器類がまだ熱いので、取り出すのは30秒ほど冷ましてから。
仕上がりは自然乾燥よりも格段に気持ち良かった。湯のみ底の「糸じり」部分は水を切ってもどうしても水滴が溜まりやすいが、そこもスッキリと乾ききっていた。その他のお皿や茶碗類はもちろん、カトラリー類も木製のまな板も、バッチリ乾いていた。
特に雑菌が繁殖しやすい木製のまな板も、高温の温風で自然乾燥よりも早く乾燥できるので、「安心感」が違う。また、停止してから30分経っても食器の表面温度は40℃もあるので、食器を棚に片付ける際もどこか気持ち良い。
使い終わったら、本体の水受けに溜まった水を捨てる。200ccは余裕で溜められるので、必ずしもシンクの側に設置しなくてもよいのは嬉しい。
なお、運転中の消費電力は317W前後で、40分運転後の電気量は0.20kWhだった。1回の電気代は5円で、毎日使ってもひと月で162円程度の試算となった。
雑菌の温床となりそうな「ふきん」も素早く乾燥
サラピッカの1つの特徴で、ふきんの乾燥もできる。食器の上についでに広げたいところだが、ふきんのニオイが食器に移る場合も考えられるので、ふきんだけで乾燥する。
こちらの使い方も簡単だ。付属のワイヤー2本を食器カゴに取り付け、ふきんを広げるように吊るし、あとは食器と同じように運転するだけ。ふたを閉じて、タイマーを40分に合わせて運転した。
運転が終わって取り出すと、ふきんは自立するほど”カピカピ”に乾ききっていた。ここでは、ふきんの上に温度計を置いて観察した。運転後30分を過ぎた頃にはかなり乾いたようで、温度計は65℃を指していた。
噴き出す温風が100℃でも、庫内全体が100℃に包まれるわけではないので、サラピッカだけで完全な除菌ができるわけではない。だが、カビ菌の多くは60℃で10分ほど加熱すれば死滅すると言われている。また多くの細菌も水分が無く、60℃以上になるとほとんど繁殖しないと言われているので、自然乾燥よりも確実に清潔に乾燥できる。水切りカゴにつきものの、カビやヌメリなども発生しにくいだろう。
また、乾燥運転はできないが、フタを開けっぱなしにすれば、一般的な水切りカゴと同じように、鍋や調理器具の水切りができる。フライパン、寸胴鍋、小鍋、ボウル、ザル、レイドル、スパチュラ、ヘラなども簡単に収まった。
なお、カットガラスやクリスタルガラスは使えないとあったが、さほど厚みの変化の少ないガラス食器ならば、特に問題なく乾燥できた。乾いた様子はやなりスッキリと気持ち良い。
手入れはラクにできる。ステンレス製のトレイ、洗いカゴ、はし立てはまるごと洗いやすい。本体のトレイを載せる部分も、凹凸が少ないのでキレイに保ちやすい。2箇所の「ふた止めキャップ」を外せば、フタも分解でして丸洗いできる。キャップは手で簡単に外せた。
普通のステンレス製の水切りカゴを買うなら、食器乾燥器の方がお得感アリ
正直言って、「洗った食器は、食器カゴに放っておけば乾くのだから、食器乾燥器はあんまり興味ない」なんて思う1人だった。だが、ホカホカに乾ききった食器を触りながら感じるのは、高温で一気に乾かしたという安心感と、スッキリ乾いた食器の気持ち良さだ。ふきんもカリッと乾くのが嬉しい。
ただし、不満な点もあった。
我が家では直径26.5cmのお皿を頻繁に使うのだが、サラピッカの洗いカゴは2枚しかちゃんと収まらなかった。中皿(16~19cm)の部分に無理に入れると、フタに触れてしまう。食器がフタに触れた状態だと、食器の熱が伝わって、変形や故障の原因になるという。大皿が多い方は購入前に注意が必要だ。
安定性はイマイチだが、一回り小さい直径24cmならば中皿のところになんとか収まった。少々面倒ではあるが、「ふきんかけ」を利用すれば、倒れるのがかなり予防できる。
不満な点はあるものの、これは一般的な水切りカゴでも十分に有り得ること。手持ちの食器に、きちんとフィットする水切りカゴは滅多に見つからないからだ。それよりも、オールステンレス製の水切りカゴは1万円前後が当たり前なのに、サラピッカはステンレス製のトレイやカゴが付き、さらに乾燥機能がついている事を考えると、かなりお得感があるのではないだろうか。
サラピッカは、コンセントがあれば排水の心配もなく簡単に設置できる。これから6人分の食器が入る水切りカゴの購入を予定している方はもちろん、より清潔に食器類を保ちたいと考える方の買い替えとしてもオススメしたい。