家電製品ミニレビュー

正確に段取り良く動き、着々と床を掃除するロボット掃除機

ミーレ・ジャパン「Scout RX1 SJQL0」

 高価だが、一度使ってみると期待を上回るほど満足度が高いのがロボット掃除機。このところ各メーカーから続々と発売され、選択肢が広がっている。その中から、今回はドイツの家電メーカー、ミーレ社の「Scout (スカウト) RX1 SJQL0」(以下、Scout RX1)をご紹介しよう。

メーカー名ミーレ・ジャパン
製品名Scout RX1
品番SJQL0
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格84,093円

 Scout RX1の特徴は、10個のセンサーとカメラを駆使した「スマートナビゲーション」で部屋の状況を分析し、並行ルートを自ら築いて、床全体を把握しながら効率良く自動で動くこと。

 ゴミは、左右2つのサイドブラシで集め、ローラーブラシでかき込み、DCモーターで吸い込みながら集塵する「トリプルクリーニング」方式だ。

 この2つの賢さと機能が合体して、床を隅々まで掃除してくれる。排気は2層のエアクリーンフィルターを通り、側面のスリットから静かに拡散されるのでホコリが舞いにくい。

 気に入ったのは、タイマーを搭載しているので、時間を設定しておけば毎日の床掃除を自動でやってくれる点だ。サラリとした床が毎日続くので、気持ち良く暮らせる。

 Scout RX1は一般的な掃除機のような強力な吸引で、絨毯の根元から掃除してくれるわけではないが、床の表面に毎日積もるようなゴミを除去してくれる。ロボット掃除機を使うのは初めてだったが、その仕事ッぷりにすっかり魅せられてしまった。

セットアップは簡単。工具も要らない

 Scout RX1の本体の大きさは、350×89mm(直径×高さ)の円筒形で、重さは2.9kg。フラットフォルムなので、家具の下の隙間が直径よりも広く、高さがあれば潜り込んで掃除してくれる。充電ステーションの大きさは、205×145×99mm(幅×奥行き×高さ)。すべての操作ができるリモコンが付属する。

 組み立ては簡単で道具も要らない。まず、2つのサイドブラシを左右間違えないように本体に差し込めば、本体の組み立ては終わり。

 あとは、ACアダプターを充電ステーション背面の内側に差し込むだけだ。ACアダプターは充電ステーションに格納できる。電源コードの長さは約1.5mで、格納すればコードの長さが調節できる。リモコンには付属の単4乾電池2本を取り付ける。

写真左上から、充電ステーション、掃除機本体、電源コード、コンセントアダプター、ACアダプター、サイドブラシ。写真には無いが、他に磁気ストリップが付属する。写真下は付属するリモコン。全ての操作ができる
2つのサイドブラシを左右間違えないように、本体の底に差し込む
充電ステーションの内側に、ACアダプターのプラグを差し込む様子(上)。本体側面に主電源のスイッチがある。その横にACアダプターのプラグの差込口があり、充電ステーションを使わなくても充電できる

 組み立てが済んだら、本体を充電する。充電ステーションを、前方1.5m以上、左右0.5m以上の範囲に障害物がない平らな床に置き、プラグをコンセントに挿すとステーションのランプが赤く点灯する。本体を充電ステーションの上に乗せると赤いランプが消え、本体の電池マークが緑色に点滅して充電が始まる。

 充電は、本体の主電源がON/OFFに関わらずできる。普段は主電源をいれたままでいいだろう。充電中の消費電力は15W前後だった。

 満充電に必要な時間は約2時間。満充電で2時間も連続使用ができ、カバーできる範囲は93畳(150平方m)にも及ぶ。掃除中にバッテリーが足りなくなれば、自ら充電ステーションに戻って充電し、再スタートする。

 最後の準備としてもう一つ。Scout RX1を入れたくない、または触れさせたくない家具や部屋など、進入禁止区域があるならば、付属の約1m分(42cm×2本、8cm×2本)の磁気ストリップを使用する。これらを床に貼る、またはラグ(厚さ10mmまでOK)などの下に敷いておけば、Scout RX1は磁気ストリップを避けてその先に進まなくなる。余裕をもって、禁止区域の10cmほど手前に設置するといいだろう。

設置した様子。充電ステーションは平らな床に置き、周囲に障害となる物は置かない。ラグぐらいならOKだ
禁止区域があるならば、付属の磁気ストリップを使用する。スカウトは磁気ストリップを避けてその先に進まなくなる

 また、Scout RX1はタイマー運転ができる。取扱説明書にのっとって、リモコンで現在時刻を設定しておく。

Scout RX1を運転させる前に「お膳立て」は必要

 充電が済んだところで早速スタート……! といきたいところだが、Scout RX1に思う存分掃除してもらう為のお膳立てが必要だ。動かせる椅子はテーブルなどから離し、Scout RX1が入りやすい隙間(約40cm以上)を作っておく。床を這うコード類は、巻き込まれないようにまとめておくこと。

 今回掃除する部屋の広さは、続きの2間(ダイニング10畳、リビング8畳)に、玄関までの廊下(2畳弱)の合計20畳。家具が置いてある分を差し引くと、実際の床面積は14畳(23平方m弱)ぐらい。レビューに当たり、家具の間をどのぐらい入り込んでくれるのか、あえて椅子をテーブルの下に入れたままにし、1週間以上床掃除をせずに挑んだ。

 Scout RX1は4つのお掃除モード(Auto/Spot/Turbo/Corner)がある。選択は、本体なら電源ボタンに触れる。リモコンでは、それぞれのダイレクトボタンを押して選ぶ。まずは、“通常のお掃除に向く”という「Auto」モードで始めてみよう。

スカウトを運転する前に、十分な隙間を開けておく(上)。床にコードがあると巻き込む場合があるので、床から離しておく
本体のディスプレイには、時刻、充電状態、掃除モードが表示される。本体は掃除モードの選択、スタート、一時停止が可能。リモコンはすべての操作ができる。運転を完全に停止したい時、ディスプレイが消えた時「Power」ボタンを押す

約25分で掃除が完了したAutoモード

 Autoモードを選択し、運転・一時停止ボタンを押していよいよ掃除を開始する。

 リモコンの運転ボタンを押すと、左右のサイドブラシが本体の内側向きに回り始める。すると、Scout RX1は充電ステーションから10cmほど後退し、180度クルリと方向転換したかと思うと、充電ステーションの反対側の壁に向かって直進し、掃除が始まった。

 1度反対側の壁面に軽く衝突すると、ほんの少しだけ戻り、壁と1cmぐらいの距離を保ちつつ、細かく方向転換しながら、衝突した位置から壁に沿うように移動する。1度衝突した所へは2度と当たらず、サイドブラシだけが当たるように距離を保ちながら着々と進んでいく。

 衝突した壁の位置から、本体直径の半分ほど(17cmぐらい)の距離を移動しきったところで、クルッと向きを変え、今度は最初のルートから17cm並行にずれたライン上を、充電ステーション方向へと進み始める。これらの動きが繰り返されて、掃除が進んでいく。

 感心するのは、家具などの障害物に当たった時の動きだ。ルートの軌道上に家具などの障害物があれば、その周りを沿うように進み、入れそうなら潜り込んで掃除する。その途中で並行ルートに対して直角に17cmほど移動したら、迷わず踵をかえすように並行ルートに戻り、黙々と軌道に乗って掃除が進められるのだ。

ラグの上を軽快に掃除するScout RX1
並行ルートを順守しながら掃除が進むイメージ画像

 軌道上にある段差もものともしない。2cm以内の段差なら、敷居、カーペット、ラグを軽々と力強く乗り越えて進む。単にスピードの勢いで進むのとは違い、段差の手前でスピードを落とし、じっくり確実に乗り越えて行く。

 そのため、乗り越える時に生じる「ガタガタガタッ」という騒音は抑えられ、転倒するような危うさがない。一方、4cm以上の落差のある玄関の土間は、ちゃんと認識して落下を回避する。

 掃除中の音はさほど気にならない。ラジコンのようなモーターの駆動音や衝突音は思いのほか小さいので、夜間でも運転できそうだ。

 Autoモードは、2部屋と廊下分、約14畳分の床面の掃除を25分で終了した。掃除が終わると充電ステーションにスルスルッと戻っていく。ステーションに到着すると自ら充電を始める。

 掃除ルートは、充電ステーションに向かって右半分を先に掃除し、終わると最初の場所に加速して戻り、残りの左側を掃除するという流れだった。ランダムな動きをせず、どこに進むか予測がつくので、他の家事をしながらでも運転できる。

 スタートから充電ステーションに戻るまで、迷走、意味不明な重複、挟まって出られない、落下……という不具合が起こらず、手助けも一切要らず、完全に任せきりにできた。ダストボックスを外して中を確認すると、1度のAutoモード運転で、綿ボコリ、細かな粒状のゴミなどが、想像以上にたっぷり溜まっていた。

段差は乗り越え、家具の下に入り込んで掃除が進んでいく様子(上)。4cm以上の段差は落下せずに回避する
集塵量は0.6Lのダストボックスは、片手で簡単に外せる(上)。Autoモードで1週間分のゴミがたっぷり取れた

意思さえ感じられる動きが可愛い

 感心するのは、Scout RX1が並行ルートにのっとって、通過していないスペースへ確実に移動しながら掃除が進む事だ。まるで意思が感じられるように、忠実に床の形状に沿って、家具の下、その周辺をなぞるように迷わず掃除が進む。

 その秘密は、室内ポジショニングシステム「スマートナビゲーション」にある。上向きの「カメラ」が進みながら部屋の状況を分析し、掃除ルートを作成するという。

 Scout RX1の前方の側面には、7つのセンサーが組み込まれた車の“バンパー”のような「追突防止装置」が半周ほど囲み、障害物に当たると感知してScout RX1が少し後ずさりし、障害物と一定の距離を保ちながら進む。底には3つのセンサーがあり、転倒と落下を確実に回避する。

 段差をものともせずにグイグイ進む姿はパワフルだ。Scout RX1の底には1個の前輪、後方に2個の駆動輪が組み込まれている。駆動輪は直径70mm、幅21mmの大型のもので、車輪の周りはキャタピラーのような凹凸の付いたゴムが外周を覆っている。サスペンションも利き、フローリング、カーペット、ラグ、段差をものともせず、滑らずに力強く突き進む動力を生み出している。

画像左上から、スマートナビゲーションを構築するカメラ、側面の7つのセンサー、底には3つの転倒/落下防止センサーがある。追突防止装置はクッション性がある(右)
前輪のほか、直径70mm、幅21mmの大型の駆動輪が力強い動力を生む(上)。ローラーブラシ幅は175mm。ブラシは柔らかい

 小さな段差を乗り越える時は力強く、大きな段差に出くわせばクルッと踵を返し、見事に落下を回避した時は思わず拍手! 状況に合わせて臨機応変に対応する緩急ある動きが頼もしく、可愛らしく映った。掃除が終わった時には、つい「ご苦労様でした!」と言葉が出てしまった。

「Corner」モードは、より丁寧な仕上がり

Autoモードの忘れ物。画像左下の矢印の箇所はスルーしてしまった。廊下のカーペットの上に、糸くず、髪の毛が残っていた(右)
CornerモードはAutoよりも丁寧に掃除する(左下)。掃除の最後に部屋の外周を一周する(右上)。Autoモードで見落とした廊下の糸くずと髪の毛は消えていた(右下)

 Autoモードの結果は概ね満足できたが、完璧ではなかった。床をよく見てみると、Scout RX1が入れそうな間隔があっても、家具の脚が混み入った場所は通過したり、通過しても髪の毛や糸くずが残ったりする事があった。

 そこで、より丁寧に仕上げられるという「Corner」モードに切り替えて、Autoと全く同じ条件で再び運転してみた。

 Autoと大きく違う点は、時間と丁寧さだ。掃除時間は、スタートから充電ステーションに戻るまで約40分となり、倍近く時間がかかる。その分、潜り込めそうな場所には必ず潜り込むようになり、障害物の周りもより時間をかけて丁寧に掃除するようになった。

 さらに、Autoで描いた軌道に、新たな軌道が追加される。Autoとほぼ同じ軌道で床全体の掃除が一旦完了すると、並行ルートで方向転換した場所(点)を繋ぐように(線)掃除する動きが加わったのだ。掃除の最後に並行ルートが解除され、床面の壁際、角、家具の外周に沿って、ぐるりと部屋と家具の周りを一周してから掃除が終了する。

 時間をかけて丁寧に仕上げた分、Autoよりも格段に仕上がりが良い。Autoでスルーした場所にも潜り込むようになり、取り残したゴミも消えていた。ラグに残ったローラーブラシの痕跡を比較すると、Autoよりも丁寧に掃除しているのがハッキリと見て取れる。

混み入ったテーブルと椅子の下を、回り込みながら丁寧に掃除する

障害物が多いと苦戦する「Turbo」、特定の範囲を掃除する「Spot」

Spotモードで1畳程の洗面所の床を掃除する様子。段差を認識し回避する。障害物が少ないと2分もかからない

 なお、Auto、Cornerの他に通常の半分の運転時間で運転してくれるという「Turbo」モードもある。Turboで運転してみると、実際に20分近くかかった。これは、Autoよりも5分程度早いに過ぎない。

 半分の時間にならなかったのは、床の上に配置された家具の数が多かったからかもしれない。掃除した部屋には椅子だけでも5脚、テーブルは2台点在している。それらの脚の周りを掃除するだけで、時間を大幅にロスする。Auto、Corner、Turboを全て試し、どの程度掃除してくれるかを把握して、状況に応じて使い分けるといいだろう。

 もう一つ、「Spot」モードがある。このモードは特定の狭い範囲(1.8平方m)を重点的に掃除してくれるモードだ。この時は、Scout RX1に掃除させたい場所へ持っていく必要がある。掃除が終わると自動で止まり、充電ステーションが視認できる場所なら、自動的に戻って充電が始まる。

 そこで、約1畳の洗面所に持って行き、Spotモードで掃除をさせてみた。何も置いていない1畳の床面は、たった2分弱で終わってしまった。ここは充電ステーションから離れているので、終了するとスタートさせた位置に戻って止まった。満足感のある仕上がりだった。

Spotモードでも丁寧に仕上げていく様子。並行ルートの様子がわかる

生活を変えるロボット掃除機・Scout RX1

タイマーを設定すれば、毎日自動で床を掃除してくれる。掃除モードも設定できる。一度その便利さに慣れてしまうと止められなくなる

 便利なのはタイマー機能だ。一度設定すると、解除するまで毎日繰り返し運転してくれるので、きれいな床が毎日続く。自宅で仕事をする自分の場合は、目覚まし時計代わりに活用している。一般的な掃除機と違い、ラジコンのような駆動音なので目覚めの音としてはさほど気にならないし、ベッドから這い出す頃には、掃除が終わって床はスッキリしている。

 Scout RX1を毎日使うようになって、自分自身にも変化が現れた。Scout RX1を効率良く運転させるために、床に自然と物を放置しない「クセ」が身についたのだ。必然的に部屋がスッキリと片付きやすくなったのは、嬉しい変化だ。しかもサラサラの手触りの床が毎日続く。「期待を上回る高い満足感が得られる家電」という評判は、こんなところにもあるのではないだろうか。

弱点はあるが、毎日床がスッキリしてかなり満足!

 満足度が高いScout RX1ではあるが、弱点もある。円筒形という形状から、部屋の角へは入り込めない。ブラシの長さも1本5cmなので、部屋の角には必ずデッドスポットができてしまう。

 また、ラグとラグの間にできた窪みも不得意で、ローラーブラシの幅以下の窪みに入り込んだゴミは、どのモードでも取りきれなかった。吸引力は強力ではないので、絨毯の根元に溜まるような微細なチリは取りきれない。

 とは言え、あくまでも床専用と割り切れば、気持ち良い状態が毎日続く。日々の軽い床掃除はScout RX1に任せておけば、掃除機がけが楽になり、時間も大幅に短縮できるのは間違いない。

 手入れも簡単だ。普段はダストボックスの中、フィルター、周辺を別の掃除機で吸い取ればホコリを巻き上げずにあっという間に終わる。静電気防止剤が練りこまれているのか、ダストボックス以外、微細なチリが付着する事も無かった。

 ブラシ以外は、道具を使わずにバラバラにできるので、メンテナンスも難しくない。ローラーブラシに絡まった髪の毛を取る専用のクリーニングブラシは、充電ステーションに格納できるので失くす心配もないだろう。

スカウトの弱点。部屋の角の5平方cmぐらいはどうしても届かない(上)。ラグと絨毯の窪みに挟まった髪の毛は取り除けなかった
マイナスドライバーが必要なサイドブラシ以外、簡単に分解できるのでメンテナンスは簡単だ。本体側面、底に静電気による微細なチリはほとんど付着しなかった

 Scout RX1は、床全体を毎日スッキリとキレイに保ってくれる、強力な家事ロボットと断言できるほど、満足感はかなり高い。

 共働きの方はもちろん、少しでも家事の時間を減らしたい方にもオススメしたい。高価だが、床掃除を任せながら、他の事が同時進行できる開放感、勝手に掃除が終わる便利さは、一度手にしたら間違いなく手放したくなくなるだろう。

藤原 大蔵

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