家電製品ミニレビュー
シャープの“蝶の羽”扇風機はついつい昼寝したくなる心地よさ
by 阿部 夏子(2014/6/2 07:00)
そろそろ扇風機が気になる季節。今年も様々なタイプの扇風機が並ぶが、私が選んだのはシャープの「プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG-N」だ。高さを自由に変えられるいわゆるリビング扇といわれるタイプの製品だが、今年のモデルはとにかく風の質にこだわっている。
メーカー名 | シャープ |
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製品名 | プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG-N |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 25,750円 |
扇風機の風の質が問われるようになったのは、ここ最近の話、バルミューダやダイソンが高級扇風機を発売し、その後東日本大震災による節電の影響もあり、それらの製品がバカ売れ、その後慌てて国内大手電機メーカーがこのジャンルに参入してきたという経緯がある。高級扇風機というジャンルではバルミューダやダイソンに遅れを取っているような印象があったが、今回シャープの製品を使ってみて、やっぱり日本の家電メーカーってスゴイ! と素直に感動してしまった。
蝶の羽からヒントを得た7枚羽根
では、シャープの扇風機ではどのような風の質アプローチをしているかというと、まずは大前提として、省エネで静音性に優れたDCモーターを採用している。そして、とにかく羽根の形状にこだわっているのだ。
その違いは目で見てすぐに分かる。ゆらゆらと波打っているような形は普通の扇風機とは明らかに違う。これは、数千kmを飛ぶと言われるアサギマダラ蝶の羽からヒントを得たという形。言われてみると、確かに蝶の羽に見える。
一般的に、心地良い風を作り出すためには、羽根の数が多い方が良いと言われている。風を絶え間なく送り出すことができるため、風の切れ目が少なくなるからだ。このアプローチを実践しているのが、例えば東芝の扇風機、今年の新製品では9枚羽根を採用している。では、7枚羽根のシャープの扇風機はどうかというと、羽根の枚数ではなくて、羽根の形状でこの問題を解決。羽根にくびれとうねりをつけることで、7枚羽根でも14枚相当の波とムラが少ない、連続的な風を実現しているという。
長時間使い続けていても疲れないから、毎日ヘビロテ
実際に使ってみて、まず驚くのはその静かさだった。
PJ-D3DG-Nは実に32段階の風量調節に対応しているのだが、最初の10段階では、付けているのが分からないほど静か、次の10段階でああ運転しているなとわかる程度、最大風量でも近くで普通におしゃべりできるし、リビングで使っていてもテレビの音量を上げる必要は感じなかった。
そして、やはり風の質の良さだ。
風の質を言葉で説明するのは本当に難しいのだが、あえていうと風の塊ではなく、面でくるようなイメージ。うちわで風をあおぐと顔の一カ所だけに風がきて、時にはそれが息苦しくも感じることもある。一方、シャープの扇風機では扇風機のある方向、全体から面で風を感じることができる。
「扇風機ならしっかり風を感じたい!」「暑さが収まったらすぐに電源を消す!」という考えに縛られていた貧乏性の私にしては意外なのだが、シャープの扇風機を使い始めてからというもの、最も弱い風に設定して、数時間運転し続けるという使い方をしている。室内に常に新鮮な風が吹いているような心地よさを味わえるからだ。
この心地よさは我が家の家族にも好評。中でも最も恩恵を受けているのは、愛犬かもしれない。運転を開始するとすぐに、特等席をゲットして、そのままお昼寝タイムに突入というわけだ。
昼寝や就寝時、扇風機を長時間付け続けいて、風で体力が奪われてダルい、体の一部だけ冷え切ってしまった、という経験をしたことがある人は多いかもしれないが、PJ-D3DG-Nではそんな心配はない。長時間付け続けていても、不快感を感じることはなく、時には付けていることを忘れてしまうこともあるくらいだ。
みはり機能は熱中症予防に
PJ-D3DG-Nの魅力は風の質だけではない。
就寝時に段階的に風量を下げる「おやすみモード」に、タイマー機能、チャイルドロックなどそれこそ盛りだくさんなのだが、その中で私が便利だと思ったのはプラズマクラスターの搭載と、室内が高温・高湿状態になると、光と音で知らせるという「みはり機能」との2つだ。
まずは、シャープのお家芸でもあるプラズマクラスター。PJ-D3DG-Nでは、適用床面積約10畳のプラズマクラスター7000を搭載している。
プラズマクラスターは、これまで何度も使ったことはあるのだが、室内に犬がいる状態で使ったのは今回が初めて。予想以上に効果を実感することができた。
例えば朝起きた時、帰宅したとき、室内に漂う犬の体臭や粗相をしてしまったときのニオイが漂っているときは、PJ-D3DG-Nのプラズマクラスターモード(シャワーモード)のスイッチをON。最大風量に乗せて、プラズマクラスターを室内に届けてくれる。消臭スプレーのように、あっという間にニオイがなくなる! というわけではないが、30分も経つと室内に漂っていた嫌なニオイが気にならなくなる。
室内にニオイが漂っている状態では、心地良い風だろうが、体に負担がかからない風だろうが、風に当たりたいとは思わない。PJ-D3DG-Nでは常に運転中はプラズマクラスターを放出しているため、日常的なニオイ対策が可能だ。
もう1つ便利な「みはり機能」は、センサーで室温を検知して、室内の状態を色と音で知らせるというもの。通常時はランプの色は緑だが、温度と相対湿度から室内の状態を検知、警戒レベルが上がるとランプの色がオレンジ、赤、赤いランプが点滅に切り替わる。この機能が優れているなと思うのは、扇風機を使っていない時でも室内の状態を検知しているということ。
ランプの色から「あ、エアコンつけないと」「水を飲んだ方が良い」など、自分で注意することができる。自宅で過ごす時間が多い高齢者や小さい子供のいる家庭で便利な機能だ。
大手メーカーならではのさすがの使い勝手
日常的に使う製品として、使い勝手も忘れてはならない大事なポイントだ。
PJ-D3DG-Nは、取り扱い説明書を読まなくてもすぐに使えるような配置が魅力。本体の高さを調節するボタンはたぶんここにあるだろうな……というところにあるし、首の角度調節は手動で行なえる、ガードの上には持ち運び用の取っ手があるし、操作ボタン類は全て台座にある。小さい時に使っていた扇風機のイメージを裏切らない使い勝手を実現している。
デザインは特別、奇抜なところはないのだが、実は本体カラーがすごく気にいっている。写真だと白に見えるかもしれないが、実はこれ「ゴールド系」。ゴールド系といっても写真のとおり、かなり白の分量が多いベージュのような色で、たまたま自宅のフローリングの色とほぼ一緒だったこともあって、すごく馴染みが良かった。購入する際はぜひ、店頭で色を確認してもらいたい。
風の質プラスαの機能が魅力
風の質という点では国内大手メーカーの扇風機は一歩遅れをとっている……と思っていたが、PJ-D3DG-Nを使ってその印象は覆された。風の質が良いのはもちろん、充実した機能に、使い勝手まで満足度の高い1台だ。みはり機能や、日本語表記など高齢者に嬉しい機能も充実しているので、両親へのプレゼントとしても最適だろう。