家電製品ミニレビュー

照明の楽しさが広がる、無印の“壁掛け式”LEDライト

無印良品「壁掛式LED照明」。壁に直接取り付けるインテリアライトだ

 一日の疲れを癒すリラックスタイムの明かりは、活動的な昼間のような明るさよりも、空間を優しく彩るものが似合う。そんな優しい空間を演出する明かりの1つとして、無印良品の「壁掛式LED照明」を紹介しよう。

メーカー無印良品
製品名壁掛式LED照明 GB13707P
購入場所無印良品ネットストア
購入価格9,800円

 最大の特徴は、「壁掛式」と製品名にもあるように、壁に直付する(ブラケット)タイプのLEDの照明器具だ。一時的にフックに引っ掛けるのではなく、付属の「石膏ボード用取り付けピン」や「木ネジ」を使ってしっかり固定できる。石膏ボード、木製の壁や木製の柱に取り付けられる。

 使い方は簡単で、本体から伸びるケーブルを引けば、点灯、消灯の他、2段階の調光ができる。光色は電球色。器具全体の明るさを表す全光束は280lmで、小型電球(ミニクリプトン電球など)の25W形相当以上だ。電源はコンセントから取る。

石膏ボードの壁なら、取り付けは案外簡単

開梱した様子。左から、本体、ACアダプター、付属の壁掛け用具一式。ACアダプターの寸法は82×52×38mm(幅×奥行×高さ)と少々大きめだ

 壁に直接取り付ける器具なので、先に取り付け方を説明しよう。

 器具は平たい円柱形で、大きさは200×67mm(直径×厚み)。本体は樹脂製で、器具のみの重さは約250gと軽く扱いやすい。本体から伸びる「スイッチケーブル」を引いて操作する。

 石膏ボードの壁に取り付ける場合は、以下の手順で行なう。注意点は、本体の「スイッチケーブル」を真下に下ろした方が見栄えが良いので、できるだけ水平に取り付ける事だ。

(1) 「壁掛プレート」を水平になるように、「石膏ボード用取り付けピン」を3つ使って仮止めする。
(2) 「石膏ボード用取り付けピン」1つにつき、付属の「ピン抜きプッシュ」で「ピン」6本を差し込む。残り2つの「石膏ボード用取り付けピン」も同じようにピンを差し込んで固定する。
(3) 「ピンカバー」を取り付ける。
(4) 「壁掛プレート」の引っ掛け部を本体裏側の溝に差し込み、本体を下方に下ろす。
(5) 取り付けが済んだら、スイッチケーブルの先のジャックとACアダプターのプラグを接続し、アダプターをコンセントに差す。

 取り付け工程はこの5つのみ。器具の取り付け位置をしっかり決めておけば案外簡単で、所要時間は10分程度でできた。ピン6本は、付属の「ピン抜きプッシュ」で「石膏ボード用取り付けピン」の"ピン孔"に沿って押し込むだけなので、たいして力も技も要らない。ちょうど、画鋲を壁に差す感覚でできた。

 木製の壁や柱に取り付けるならば、上記の(1)で、「壁掛プレート」の四隅の穴を使って付属の「木ネジ」4本で取り付ける。「壁掛プレート」を取り付けたら、(4)、(5)に進む。四隅の穴の距離は穴の中心から80×48mm(横×縦)だ。

 スイッチケーブルの長さは約2.3m、ACアダプターのコードは約1.5mある。コンセントまでの距離に配慮されている。だが、見栄えの点から、余分なコードを隠しやすい場所の取り付けが良さそうだ。

 なお、本体を取り付けると壁掛けプレートは完全に隠れてしまうので、必ずしも厳密な水平でなくても大丈夫。とは言え、もし水準器をお持ちなら(100円ショップでも手に入る)、利用すればより簡単に水平が求められるだろう。

「壁掛プレート」を水平になるように、「石膏ボード用取り付けピン」で仮止めする。もし水準器があればより楽にできるだろう(下)。※見やすいように、ピンは1つだけ使用して撮影している
「石膏ボード用取り付けピン」1つにつき、付属の「ピン抜きプッシュ」で「ピン」6本を差し込んで固定する(上)。3つの石膏ボード用取り付けピンを取り付けたあと、「ピンカバー」をはめ込む
「壁掛プレート」の引っ掛け部を本体裏側の溝に差し込み、本体を下方に下ろす。スイッチケーブルのジャックとACアダプターのプラグを接続する(右下)
取り付け完了
スイッチツマミを持って、ケーブルを引くと点灯する

操作は超簡単、なかなか明るい

 操作は至極簡単だ。前述したように、スイッチツマミを持って、ケーブルを軽く引くだけで点灯、減光、消灯する。スイッチツマミを引く毎に「点灯(High)」→「点灯(Low)」→「消灯」、となる。スイッチを引くと「カチン」と鳴り、操作感が小気味良い。スイッチは左右、手前に約20度の余裕があるので、無理なく操作できる。

 明るさは小型電球の25W相当以上で、結構な明るさがある。作業用の照明器具ではないが、直下50cm、Highの明るさで約300lxあり、直視するには眩しいほどだ。Lowにすると約110lxになり、明るさがマイルドになる。本体内部には20個のLED素子が並び、High、Lowのいずれも全てのLEDが光る。

点灯の様子。スイッチツマミを引く毎に「点灯(High)」→「点灯(Low)」→「消灯」となる
50cm直下の明るさは、Highで約300lx。25W形相当の小型電球程度の明るさだ
内部には20個のLEDが並ぶ

くつろぎの時間に明かりの彩りを添える。ベッドサイドの照明としても魅力的

 居室なら、くつろぎの時間を演出する多灯照明の1つとして活用するのがいいだろう。くつろぎには、照明を煌々と照らすよりも、少し暗めにした方が心地良いと言われている。だが、1灯の器具の明るさを単に抑えるだけでは、部屋全体が薄暗くなるだけで味気なくなりがちだ。ところが、本製品を壁面に1灯加えるだけで雰囲気がガラリと変わる。

 あえて視覚に触れやすい横方向からの柔らかな光を加えるのは、多灯照明の1つのテクニックだ。部屋全体の明るさを抑えても、柔らかく輝く明かりが視線に入るだけで、薄暗さ感が消え、まるでホテルのような居心地の良さが演出できる。殺風景になりがちな壁も、温かみのある表情が浮かぶ。

リビングルームの棚の上に取り付けた様子。殺風景な壁面に明かりの表情が加わり、部屋全体の明るさを抑えても心地良いくつろぎの明かりが演出できる
器具正面は多少眩しいが、側面の光はとても優しい

 廊下や玄関などの狭い空間なら、1灯だけでも必要な明るさは十分確保できる。壁面からの光は床に強い影が落ちないので、天井からの照明とは違った、落ち着きのある雰囲気が演出できる。調光できるので、就寝時の常夜灯にも適している。

 本製品はインテリアライトだが、ベッドサイドの実用的な明かりとして活用するのも大いにアリだ。壁面に直接取り付けられるので、何よりも照明器具を置くスペースが要らない。枕元に近い場所に取り付けてHighで点灯すれば、軽い読書ができるほど明るい。頭の後ろから照らされるので、眩しさも無く至極快適だ。スイッチコードを引くだけで点灯/消灯できるので、布団の中に入ったままでも簡単に操作でき、暗闇の中でもスイッチを探しやすいのも良い。このような使い方もかなり気に入っている。

玄関前の廊下の様子。天井光は全体的に明るくはなるが、面白みに欠けるかもしれない
本製品のみを点灯した様子。全体の明るさは天井光には及ばないが、横方向からの光は、狭い空間ならば1灯だけでも親しみやすく落ち着いた雰囲気が演出できる。
明るさが変えられるので、常夜灯としても利用しやすい
ベッドサイドにもピッタリだった。枕元に直接取り付ければ、就寝前の読書にも活用できる

電気代はひと月、わずか16円

 本製品はLEDなので、電気代が安い。消費電力をワットチェッカーで計測すると、Highの明るさは3W、Lowは1Wだった。毎日8時間点灯すると仮定し1カ月の電気代を試算すると、Highは16円、Lowは5円にすぎない。消灯時、ワットチェッカーでは計測不能だが、取扱説明書によると、待機電力は1W消費するという。試算では年間で64円だ。

 LEDの光源寿命は40,000時間と長いので、1日8時間の使用で、10年以上活用できる。点灯中の光源部は熱を感じず、ノイズも無い。AMラジオにノイズも入らなかった。

 なお、器具を壁に直接取り付ける以上、取り外した時に壁や柱に傷が残るのはどうしても避けられない。特に、賃貸物件の場合は十分な考慮が必要だろう。

 価格はハッキリ言って高い。無印良品の照明器具の中でもとりわけ高価で躊躇するが、確実に取り付けられるブラケットはそうそう見当たらないのも確かだ。インテリアに印象的な光の演出ができ、照明を楽しむシーンがより広がるので、選ぶ価値は十分にあるだろう。

消費電力はHighが3W、Lowは1Wだった。消灯時は計測不可能だった
壁に直接取り付ける器具という性格上、取り外すと傷が残るのは避けられない。承知の上で取り付けよう
高価ではあるが、大きな工事も要らず、気軽にブラケット照明が楽しめる製品は数少ない

藤原 大蔵