家電製品ミニレビュー

パナソニック「LED装飾電球 0.5W(電球色相当) LDC1LGE12」

~ミニLED電球を使い、お盆に備えて盆提灯をLED化

盆提灯もLEDの時代

 我が家には、一対の盆提灯がある。妻の実家から引き継いだものだ。

 盆提灯というのは、お盆の期間に戻ってくる先祖の霊の目印となるもので、13日の迎え火から、16日の送り火までの間、夕刻から朝まで点灯する。うちでは、7月にお盆を行なうので、そろそろ準備を始める時期だ。

今回使用した盆提灯
斜め上から見ると構造が良く分かる
火袋は吊り下げ式
台座の中央にロウソク型の照明器具がある

 昔は盆提灯の光源にローソクを使ったそうだが、現在ではローソク型の電球を使う照明器具が主力だ。E26やE17口金の白熱電球も使われているが、うちのはちょっと小ぶりなので、E12型口金のローソク型白熱電球を使用している。明るさは10Wのクリア型で、盆提灯用としては十分に明るい。

 しかし、LED電球に慣れた目で見ると、10Wのローソク型とはいえ、白熱電球の発する熱は大きい。光源の回りを囲んでいる覆いの部分である火袋(ひぶくろ)は和紙製なので、あまり熱いものが側にあると心配になる。盆提灯の取扱説明書にも、電球と火袋が触れないようにと書かれている。万が一、盆提灯本体が倒れた場合には危険なのだ。

 盆提灯を置いている6畳間の和室では、そんなに明るさを必要としないので、何年か前に、電球を5Wのローソク型白熱電球に交換した。明るさは落ちるが、熱がだいぶ抑えられる。これに交換してからは、安心して一晩中、点けっぱなしにしている。

「LED装飾電球 0.5W(電球色相当) LDC1LGE12」

 今年も、そのまま使うつもりでいたら、パナソニックからE12口金のLED電球が、この6月に発売された。6機種が登場したが、この中のCタイプというのがロウソク型で灯明型器具に適している。電球色相当と、昼光色があるが、盆提灯の雰囲気を考えて電球色相当を購入した。

メーカーパナソニック
製品名LED装飾電球 0.5W(電球色相当) LDC1LGE12
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格498円

0.5Wながら、5W白熱電球に迫る明るさ

 今回、購入したE12型LED電球のパッケージはブリスター型で、オレンジ色の台紙に「電球に似たあたたかいあかり」と書いてある。灯明などに使う製品なので、柔らかい雰囲気のデザインだ。

パッケージは、吊り下げできるブリスター型
台紙の裏面は注意事項が書かれている。調光器具と断熱材施工器具では使用できない

 電球は、頭が尖ったローソク型で、同じローソク型である5Wの白熱電球と、よく似たデザインだ。

 主な仕様は、消費電力が0.5W、全光束が10lm、色温度が2800K、定格寿命が40,000時間。本体サイズは20×53mm(直径×高さ)、重量は7.5gだ。

 なお、密閉型器具にも対応しているが、調光器具と断熱材施工器具では使用できない。シャンデリアなどで使用する場合は、確認が必要だろう。

一般的なE26口金LED電球との大きさ比較
口金の大きさもだいぶ違う。E26は直径26mm、E12は直径12mmだ
E12口金を備えた電球との比較。左から、LED小丸電球、今回のLED装飾電球、5W白熱電球、10W白熱電球

 E12型LED電球のサイズは、5Wローソク型白熱電球と、ほぼ同じ大きさで、交換しても違和感はない。10Wローソク型白熱電球と比べると、一回り小さい。

 以前レポートした、常夜灯用の「E12口金用LED小丸電球」と比べると、ほぼ同じサイズだが、光る範囲が異なる。小丸電球の方は、先の方が光るだけだが、今回のLED電球は全体が光る。

点灯しているLED電球。ローソクの炎の形をしている
交換して、使用している5Wのホワイトタイプ白熱電球
盆提灯に付属していた10Wのクリアタイプ白熱電球

 電球の明るさについて言えば、今回のLED電球は5Wの白熱電球に近い。さすがに10Wの白熱電球には及ばないが、提灯を浮かび上がらせるという用途について言えば、実用になる明るさがある。

左が5Wの白熱電球、右が0.5WのLED電球
色合いの違いが分かりやすいように、カメラの露出を変えてみた。左は赤っぽく、右は緑っぽいのが分かる
電球単体で見ると色合いの違いが小さく見えるが、背景のふすまの色を見ると、火袋を通した時と同じ傾向なのが分かる
火袋を通しても、ローソクの炎の形が分かる

 実際に電球をとっかえひっかえして比べてみると、いつまでも熱くてさわれない白熱電球と、一定以上に温度が上がらないLED電球の温度差はびっくりするほど大きい。LED電球ならば、夜間でも安心して点灯して置ける。温度と消費電力だけで考えればLED電球のほうが優れている。

 しかし、色合いに関しては改善の余地がありそうだ。10W型ローソク球や5W型ローソク球の白熱電球が赤みのある暖かい色合いなのに比べると、LED電球は緑成分が多いクールな感じがする。

 電球単体で色を見ている限りでは、そんなに大きな差とは感じない。たぶん、白熱電球と並べなければ、LED電球とは気が付かないだろう。しかし、盆提灯の火袋を通して見ると、白熱電球とLED電球の色合いの差がはっきりと分かる。

左を10W白熱電球と交換してみた。光量の差がはっきり分かる
ふすまの上部を見ると、2つの電球の光量の差が大きいことが分かる
10W白熱電球を使用すると火袋全体が明るく見える
やはり白熱電球との色合いの違いは大きい
左の白熱電球と比べると、右のLED電球は色合いが異なる

 LED電球も単体で見ていると、涼しい感じが夏に向いているという気もするが、白熱電球と並べると緑成分の強さが、違和感を感じさせる。お盆らしい雰囲気という点では、白熱電球の方を好ましいと思う人が多いと思う。見慣れた落ち着きのある灯りという点では、白熱電球のほうが優れている。

 こうやって実際の器具に取り付けて試してみると、装飾電球にとって光の色合いが、とても重要なものだということが、よく分かる。白熱電球という、人が見慣れた灯りがライバルであり、比較の尺度が感性なのだから、なかなか大変だと思う。

 特に盆提灯は、和紙製の火袋を通して光を見る照明器具なので、むき出しのローソク型照明器具などに比べると差がわかりやすいのもLED電球にとっては不利だ。繰り返すが、むき出しの器具で単体で見た場合には、違和感を感じない水準なのだ。

 では、多数の電球をむき出しで使うシャンデリアなどの用途では、この色合の違いが、どう反映するのか興味のあるところだ。機会があれば試して見たい。少なくとも、白熱電球とLED電球を混ぜて使用すると、すぐに分かってしまうだろう。今のところ避けた方が良さそうだ。

E12型にもLED化の波

 E12口金のLED電球は、主戦場であるE26口金やE17口金の市場に比べると後回しになっていた感じがある。パナソニックや東芝などの大手メーカーは、E12では常夜灯用の小丸型電球があるぐらいで、装飾用途の製品は出していなかった。

 6月に発売されたパナソニックのE12装飾電球は、ローソク型のCタイプ以外にも、小丸電球型のTタイプがあり、電球色/昼光色/青色/クリア(透明)とタイプも揃っている。それなりに力が入っているのだ。

6月に発売された製品の1つ「LED装飾電球 0.5W(青色) Tタイプ」。小丸電球型でブルーの発色
同じく「LED装飾電球 0.7W(クリア) Tタイプ」。小丸電球型のクリアタイプ

 大手メーカーが、この分野にも乗り出してきたことで、節電に有効なLED電球が使える範囲がますます広がる。また、E12型LED電球を使用した器具も、面白いものが考えられそうだ。

 今回の盆提灯のような特殊な用途では、まだ白熱電球に及ばない部分もあるが、歴史の浅いLED電球なのだから、伸びしろも大きいだろう。装飾用途のローソク型電球について言えば、さらに白熱電球に近い灯りになることを期待したい。

伊達 浩二