家電製品ミニレビュー
シチズン「超音波洗浄器 SWS701」
~洗浄槽が交換できるコンパクト超音波洗浄器
by 伊達 浩二(2013/3/8 00:00)
コンパクトで、ちょっと変わった超音波洗浄器
メガネをかけている人はメガネ屋さんの店頭にある超音波洗浄器はおなじみだろう。水に漬けたメガネに超音波を当てることで、レンズやフレームの汚れを落としてくれる機械だ。
超音波洗浄器は、水を超音波で振動させることで、水中に小さな気泡が発生し、この気泡がはじけるショックで汚れが落とすという原理になっている。その特徴は、小さなブラシなどでも届かない微細な部分にも泡が届いて洗ってくれることだ。メガネのフレームの鼻パッドを支える部分などは、超音波洗浄器が得意とするところなので、メガネ屋さんで使われていることが多い。
メガネ以外にも、腕時計の金属バンド、アクセサリー、CD/DVD、T字カミソリ、シェーバー(電気カミソリ)の刃などが、超音波洗浄器が得意とする対象だ。
今回紹介するシチズンの「SWS701」は、本体がコンパクトで洗浄槽が交換できるという、ちょっと変わった超音波洗浄器だ。何を洗うのに向いているのか、いろいろ試してみた。
メーカー | シチズン |
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製品名 | 超音波洗浄器 SWS701 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 6,664円 |
小さくて分離できる洗浄槽
SWS701は、その箱を見た段階で、これまで見たことのある超音波洗浄器よりも、ずっとコンパクトであることがわかる。男性なら片手でわしづかみにできるぐらいの大きさだ。
箱の中には、キャリングケースというかポーチが入っていて、その中に超音波洗浄器本体とACアダプターが入っている。普段は、この黒いポーチの中に全部入れて置けるし、旅行先などにも持ち歩きやすくなっている。ポーチの大きさは直径が12cm強、高さが11cm強なので、カバンに入れて持ち歩ける大きさだ。重さは本体とACアダプターをポーチに入れた状態で520gしかない。
ポーチから取り出した本体は、白く清潔感のある色だ。大きさは男性の手のひらに載るぐらいで、本当に小さい。電源はACのみだが、付属のACアダプターも、パソコンの周辺機器用のようなコンパクトなタイプだ。
しかし、コンパクトなことは良いことだけではない。洗う物を入れる洗浄槽は、横幅が9cm弱、縦が7cm弱しかない。通常の超音波洗浄器が想定しているメガネやCD/DVDなどは入らない。
なお、普通の超音波洗浄器では、洗浄槽が本体に固定になっているものが多いが、このSWS701では洗浄槽が分離できるようになっている。また、洗浄槽だけ「TANK-SWS701」という型番で別売もされている。価格はオープンプライスで、Amazonでは4,000円弱ぐらいで売られている。
シンプルな操作
とりあえず、この小さな洗浄槽で洗えるものを、いろいろ洗ってみた。
ACアダプターを本体につなぎ、洗浄槽に水を入れ、洗う物を洗浄槽に入れて、本体のボタンを押すと洗浄が始まる。洗浄槽が外れるので、直接、蛇口から水を注ぎたくなるが、それは電極を痛める恐れがあるので禁じられている、コップなどで水を注ぐようにしたい。
動作音は静かだ。“ヴィー”というかすかな音がするだけなので、夜間でも問題なく使える
適当な時間が経過したら、もう一度、ボタンを押すと洗浄が止まる。タイマー機能はないので、時間管理に時計やタイマーなどを使う必要がある。ここも、SWS701が変わっているところで、一般的な超音波洗浄器ではあらかじめタイマーで洗浄時間を設定するものが多い。
本体をコンパクトに、操作はシンプルにしたいという意図が強く感じられる。なお、動作を止め忘れていても5分経過すると自動的に止まるオートストップ機構がついている。
まず、シェーバーの刃やT字カミソリの刃を試してみた。これらは、細かい部分があるので、ブラシや水洗いだけではきれいになりにくい。最初は2分ほどで試してみたが、かなりきれいになる。とくにシェーバーの外刃は隅々まできれいになり、特有の匂いも消える。専用の洗浄装置などない安いシェーバーほど、超音波洗浄器のありがたみがわかるだろう。なお、シェーバーの外刃は洗いすぎると刃こぼれすぐので洗浄時間は1~2分に留めるようにと取扱説明書に記されている。
次に、家人のアクセサリー類を洗ってみた。なお、べっ甲などの表面硬度が柔らかいものや接着/接合したものは洗ってはいけないとされている。
洗浄槽が小さいので、指輪やイヤリングは大丈夫だが、ネックレスはぎりぎりの大きさなので、重ねるようにして入れる形になる。宝石の場合、洗浄時間は30秒以下、金属装身具でも1~2分とされているので、長時間洗い過ぎないようにしたい。今回は廉価なものなので、ジャブジャブ洗ってみた。大きな石の表面よりも、小さな部品の方が、きれいになったのがわかりやすい。
なお、超音波洗浄器で洗ったものは、そのまま布などで水気を拭き取るのではなく、流水などですすぐと良い。超音波の効果で、固まっていたホコリなどが落ちやすくなっているので、水で流すと、さらにきれいになる。
取扱説明書には、歯ブラシ/串/万年筆のペン先/バリカンの刃/腕時計の金属バンド/ナイフ/フォーク/缶切り/印鑑/パイプなどが洗浄対象として記されている。ただ、歯ブラシやナイフ、フォーク、パイプなどは、SWS701の小さな洗浄槽には入らないので、先端だけ入れることになる。これらが目的であれば、大きな洗浄槽を持つ、ほかの機種にした方がよさそうだ。
義歯の洗浄に最適
結局、いろいろ試した結果、一番ふさわしい用途だったのが「義歯」、つまり「入れ歯」だった。洗浄槽の大きさ、形とも、まさにピッタリと納まる。きっと、設計当初から、義歯の洗浄を想定していたのだと確信してしまうほどだ。
洗浄力も十分で、洗った義歯を口に入れると、すっきりとした澄んだ印象を受ける。入れ歯洗浄剤を使った時のような、やや人工的な香りもなく、真水の味が分かる。
義歯の表面もそうだが、土台にかぶさる金属部分や、隣の歯にブリッジする細い金属部分などの洗いにくい部分がきれいになるのが良い。つまり「ブリッジ」と呼ばれる部分入れ歯にも有効だ。
超音波洗浄器本体も、洗面台に置きっぱなしになっていても恥ずかしくないデザインだ。あえて言えば、フタのスモークの度合いは、もう少し濃いほうが良いだろう。今の状態だと、中に入っているのが何であるか見えてしまう。
洗浄槽が交換できるという、本機の特徴も、義歯用と考えると、大きなメリットになる。たとえば、夫の義歯と妻のアクセサリーを同じ洗浄槽で洗うのは嫌かもしれない。また他人の義歯を洗った洗浄槽で自分の義歯を洗うのには抵抗があるからだろうから、1人に1つにしたいだろう。
ただし、本体が6千円台なのに、洗浄槽が4千円もするので、洗浄槽を買い足すのならば、もう1台洗浄機を買ってしまっても良いと思う。
いっそのこと、SWS701をベースに義歯洗浄専用機種を作ってしまうのはどうだろう。超音波洗浄器ではなく、「Super Sonic Dentures Cleaner(SSDC:超音波入れ歯洗浄器)」とか、「超音波デンタルクリーナー」と名乗って、歯医者さんのルートで販売すると売れるかもしれない。高級電動歯ブラシのようなマーケッティング手段だ。
専用品にして、義歯用とカミングアウトすることで、ユーザーもかえって買いやすいと思う。堂々としていたほうが恥ずかしくないものだ。また、最初から交換用の洗浄槽をもう1個付けた家族用セットを作るとか、オートストップの時間も汎用的な5分じゃなくて、義歯に合わせた2分にするとか、いろいろと新しい道が拓けそうだ。
大人の人へのプレゼントに
本機のコンパクトさは女性にも喜ばれる特徴だ。たとえば、指輪とイヤリングを洗うには十分な大きさで、ネックレス類もワイヤーで形が固定しているもの以外は入る。今回は試していないが、化粧用の細い筆などもきれいになるだろう。普段は、ポーチがあるので、片付けやすいし、人の目にもつきにくい。
男女を問わず、大人へのプレゼントとして検討の対象になる製品だ。父の日、母の日、誕生日のプレゼントなどに良いと思う。