家電製品ミニレビュー

三菱電機「ふとん乾燥機 AD-U70LS」

~花粉で外に干せない布団と服を室内でスッキリ乾燥

三菱電機「ふとん乾燥機 AD-U70LS」

 その日は突然やってきた。ふとした瞬間から、くしゃみが止まらなくなり、鼻はムズムズ、目はショボショボ。あぁ今年もか……と空を仰ぎながら、マスクを装着する。憎くきスギ花粉の到来だ。

 今年は花粉の飛散量の多さも手伝って、特に症状がひどい。症状を抑えるには、薬で対処するほかに、とにかく花粉に触れないようにすることが有効だと言われている。

 だから、花粉の飛散が収まるまでの約1カ月間、衣類や布団はなかなか外に干せない。そこで、今年は三菱電機の布団乾燥機「ふとん乾燥機 AD-U70LS」を購入した。

メーカー三菱電機
製品名ふとん乾燥機 AD-U70LS
購入場所Amazon.co.jp
購入価格9,635円

 AD-U70LSに決めたポイントは、布団だけでなく衣類や靴など、色々乾かせる点。一般的な布団乾燥機だと、意外と布団専用のものも多いのだ。AD-U70LSは、衣類用の乾燥袋や、ロングブーツを乾かすためのアタッチメントが付属している。この汎用性の広さが購入の決め手となった。

 まず本体のスペックを確認しておこう。本体サイズは275×160×329mm(幅×奥行き×高さ)で、本体重量は2.8kg。本体の端は丸みを帯びており、片手でも持ち歩けるコンパクトさだ。外観はツルッとした質感の塗装が施されており、カラーはブラウンのみ。

製品パッケージ。店頭で買ってもそのまま持ち帰ることのできる大きさだ
本体背面には吸気口を搭載
側面。本体は丸みを帯びたデザインで、ツルッとした塗装のため、指紋は目立ちやすい

 本体背面下部には、吸気口が配置され、「銀ナノアレルパンチフィルター」を搭載している。空気中のホコリやダニを吸い込まないようにするためだ。

本体背面下部には、四角い吸気口を搭載
「銀ナノアレルパンチフィルター」で、空気中のホコリやダニを吸い込まない
本体底面

 本体上部の蓋を開けると、ホースが収まっている。ホースは最長90cmまで伸びる。

本体天面には取っ手が付属する
天面の蓋を開けると、ホースが収まっている
ホースを縮めた状態
最長90cm伸びる

 付属品の乾燥袋「エアマット」は薄手のナイロン素材。これ1枚で、布団を乾燥させたり、衣類を干す際のカバーとなる。エアマットのサイズは120×200cm(幅×長さ)で、ちょうどシングルサイズの布団と同じくらいである。使わない時は畳んで、本体内に収納できる。

付属の乾燥袋「エアマット」
本体内にはエアマットを収納できるスペースも用意されている

布団をふっくら乾かせる

 それでは布団を乾燥させてみよう。敷布団の上にエアマットを広げ、ホースを装着する。装着口にはマジックテープが付いており、ホースをしっかり固定できる。エアマットには、枕を入れるポケットが用意されており、ここに枕を入れれば、布団と一緒に乾かせる。

エアマットを置いた様子
枕を入れるポケットに枕をセットすると、一緒に乾かせる
ホースはマジックテープでしっかり固定できる仕組み

 エアマットの上に掛け布団をかけたら、準備が完了だ。本体前面の操作用ダイヤルを回して、運転を開始する。

ダイヤル式の操作ボタン。シーズンごとに、乾かしたいものの目盛りにダイヤルを合わせると、自動でタイマーが設定させる

 操作用ダイヤルは、左側に夏モード、右側に冬モードを備える。それぞれ布団用や衣類用、靴用といった目的ごとに目盛りが用意されているので、乾かしたいものに合わせて設定すれば、あとはそれぞれ決められた時間通りに送風する。

 具体的には、冬モードでは、眠る前に布団の足元を温める「あたため」、布団や枕を乾燥する「綿・羊毛・羽毛」、ダニを退治する「ダニ退治」、衣類や靴を乾かす「ランドリー/ブーツ(革・合皮)」の4つがある。夏モードでは、布団と靴類を乾かす機能の2つを用意し、運転終了前に送風の時間を設けて、熱気取りをして仕上げるという。

 今回は冬モードで、「綿・羊毛・羽毛」を選んで布団と枕を乾かした。運転時間は約60分。操作はシンプルでわかりやすい。

 温風はすぐに吹き出し、エアマット内の空気の通り道が膨らんだ。試しに温風に手を当ててみると、思っていたほどアツアツの風ではない。我が家の1,200Wのドライヤーの「high」時のほうが熱いと思う。これくらいの程よい温風ならば、長時間風を当てていても、布団や衣類の生地を傷めにくいだろう。

温風を送ると、エアマットが膨らむ
掛け布団をかけて、運転が終わるまで放置すればいい
布団はふんわりホカホカの仕上がり。思わずダイブしたくなる

 仕上がった布団はふんわりとして、ホッカホカだ。敷布団の上に横たわると、とても気持ちいい。さすがにお日様の匂いまでは再現できないが、これだけふかふかしていれば、リフレッシュした気分になる。特に眠る前に布団を乾かすこことで、布団が温まり、眠りにつきやすいので一石二鳥である。

衣類も靴も、乾燥できる

 布団以外に、衣類や靴類も乾かせるのが、AD-U70LSのいいところ。まず衣類を乾かす際には、布団用と同じエアマットを使うのだが、その際にあらかじめエアマットを変形させておく必要がある。エアマットにはサイドにジッパーが付いていて、ここを閉じると傘状になり、そのまま衣類をかけたハンガーにかぶせられる。

エアマットは、サイドのジッパーをあげると、衣類の乾燥用のカバーに変形する。1枚で、布団にも衣類にも使えるのは便利だ
ハンガーをかける穴
こんな感じで、衣類をかけたハンガーにかぶせる

 ハンガーにかぶせたら、エアマットにホースを装着。マジックテープでしっかり固定できる。最後に操作ダイヤルを冬モードの「ランドリー」に設定。あたたかい空気が衣類の下から吹き上げ始める。

ホースの差し込み口には目印が付いているので、わかりやすい
ホースを装着。マジックテープでホースの先を固定できる

 運転時間は120分で、運転終了後は衣類がパリッと乾いていた。これまで室内干しの際は三菱電機の「衣類乾燥除湿機 MJ-100FX」を使用していたのだが、それに比べると、一部の衣類にシワが残ってしまった点が残念だった。シワの理由は、高温で、短時間で温風を吹き上げるからだと思われる。とはいえ、これはアイロンの手間を惜しまなければ済む話だ。除湿機に比べたら、この布団乾燥機は圧倒的に本体がコンパクトで場所を取らないので、重宝している。干した衣類からは、生乾きの嫌なニオイもしないのも安心した。

エアマットにホースをセットした状態
運転中。衣類乾燥にかかる運転時間は約120分

 一方、靴の乾燥は、ホースを靴に取り付けて行なう。ホースの先端は二股に分かれているため、スニーカーやショートブーツにそのままはめられるようになっている。筒の長いロングブーツには、専用のアタッチメントをホースの先に取り付けることで、形を崩さずに、奥まで風を送れる。

先端が二股になっていて、そのまま靴を挟める
スニーカーも乾かせる。ただし靴を乾かすときは、操作ダイヤルの下にある「ふとん・ランドリー/ブーツ(革・合皮)」切り替えスイッチを、ブーツ側に設定する。「ふとん・ランドリー」では温風、「ブーツ(革・合皮)」では常温の風を送る。上履きなど高温で乾かしたいものは、「ふとん・ランドリー」に設定する

 アタッチメントはプラスチック製で、自在に伸縮する。試しに膝丈のブーツに取り付けたところ、靴底まで先端が届いた。これなら、さまざまな長さのブーツに対応できる。

専用のアタッチメント
ブーツの長さに合わせて伸縮する
ロングブーツに取り付けた。アタッチメントはブーツの形を保つ「ブーツキーパー」の役割を果たし、ブーツを安定して立てておける

 AD-U70LSを使うまでは、布団乾燥機は単機能で汎用性の低い製品だと思い込んでいた。だが、こうして使ってみると、大いに役立つことがわかった。花粉を恐れて、泣く泣く室内に干していた布団も衣類も、靴まで一緒に手軽に乾かすことができるのだ。

 使い勝手の面では、本体のコンパクトさも魅力だ。我が家の寝室では既に、花粉対策用にダイキンの加湿空気清浄機をフル稼働させているため、そこにさらに衣類乾燥用の除湿機を置くのはスペース的に厳しい。その点、AD-U70LSなら、出しっぱなしにしていても気にならないくらい、コンパクトサイズである。布団を出したり畳んだりする寝室では、小型で動かしやすいほうが理にかなっている。欲を言えばハンドルがもっと持ちやすければ良かった。

 このほかメリットとしては、エアマット1枚で布団と衣類の乾燥に対応する点。他社の布団乾燥機で布団や衣類を乾かせるものは、布団用の乾燥袋と衣類用の乾燥カバーが2枚に分かれているものもあるが、収納時にかさばることを考えたら、1枚で済むほうが使いやすいと思う。

 現在販売されている各社の布団乾燥機と比較すると、AD-U70LSの価格は高めの方だが、これだけいろんなものが乾かせるということと、わかりやすいシンプルな操作性には、満足できた。

 花粉症を患う方は、これから辛い症状が1カ月以上続くのはしんどいと思うが、同居する家族の方々も洗濯物の取り込みなどに配慮せねばならず、苦労されていることと思う。そんな時にこの布団乾燥機があると、極力花粉との接触を避けることができ、役立つだろう。

 もちろん花粉対策だけではない。これから季節が移り替わって、じめじめする梅雨や夏場には布団を乾かし、また寒くなる頃には寝る前に布団をあたためてくれるだろう。布団乾燥機は、通年で使える商品なので、まだ使っていない方は検討されることをお勧めしたい。

小林 樹