家電製品ミニレビュー
富士通「LEDなんでもランタン HGL2341F」
~単二/単三/単四電池がすべて使えるLEDランタン
by 伊達 浩二(2013/1/9 00:00)
複数サイズの乾電池に対応したLEDランタン
FDKが富士通ブランドで昨年の11月に発売した「LEDなんでもランタン HGL2341F」(以下、なんでもランタン)は、複数のサイズの乾電池に対応しているのが最大の特徴だ。具体的には単二/単三/単四の乾電池が使用できる。
こういう複数のサイズの乾電池が使えるLEDライトやLEDランタンは、昨年あたりから増えてきた。2011年の東日本大震災の直後は、全国的に乾電池が不足したという経験が影響しているのだろう。手元にある器具に合致した乾電池が入手しにくいという状況が続いたので、乾電池のサイズを選ばずに使えるLED照明器具への関心が高まったのだと思う。
FDKでは、今回紹介する「なんでもランタン」の前に「LEDなんでもライト HGN2340F-R」という製品を発売している。これも単二から単四まで使えるLEDライトだった。今回のランタンは、“なんでも”シリーズの第二弾というわけだ。
メーカー | FDK |
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製品名 | LEDなんでもランタン HGL2341F |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,480円 |
高さ20cmの手提げサイズ
最近は、手の平に載る小さなサイズのランタンも多いが、なんでもランタンは、そこそこ大きめのサイズだ。砲弾のような形をした本体の直径は10cm、高さはちょうど20cmある。重量は約350gで、片手でぶら下げて使うのにちょうど良いサイズと重さだ。
本体は、大きく分けて3つの部品から成り立っている。上の取っ手と透明な部分が「フード」、フードの中のLEDが取り付けられている白い部品が「LEDホルダー」、底の赤い部分が「本体」だ。
まず、乾電池をセットしてみよう。パッケージには、乾電池は同梱されていないので、別途用意する。使用できるのはアルカリなどの乾電池で、ニッケル水素などの充電池は対象外となっている。使用できる乾電池のサイズは単二/単三/単四で、いずれのサイズでも同じ大きさのものが3本必要となっている。
乾電池をセットするためには、フードを取り外す必要がある。フードにはネジが切られていて、本体に固定されているので、ぐるぐると回して外す。ネジの部分には防水用のOリングも装備されている。耐水性については取扱説明書などにも記述がないが、雨で濡れるぐらいは、まったく問題ない構造だ。
フードを取り外すと、白いLEDホルダーが見える。LEDホルダーは、2つのツメで本体に固定されているので、指で押して外す。これでようやく、本体の電池室が見える。
異なるサイズの乾電池を、どのように切り替えているのかと思ったら、とても意外な方法だった。単二/単三/単四のそれぞれにセットする場所が用意されているのだ。各サイズ3本分が用意されているので、なんと乾電池9本分の端子が用意されている。かなり複雑な構造だ。
電池は、薄い樹脂で保持されるようになっていて、乾電池をセットすると、この樹脂が微妙に広がる。例えば、単三乾電池をセットすると、樹脂が広がって単二と単四のスペースを狭めるので、サイズが異なる電池を同時にセットすることはできない。こういう設計にすることで、異なった大きさの乾電池ごとに専用の電池室を用意することなく、少ないスペースで3種類の乾電池を使い分けられるようになっている。
また、上記のような構造なので、単二/単三/単四を全部セットしておいて、切り替えるような使い方はできない。同様に、単二/単三/単四を1本ずつ混在して使うようなこともできない。
横方向に強い光、異様なほどの長寿命
とりあえず手持ちの単四形乾電池を3本セットし、明かりを点けてみた。本体にある電源スイッチはプッシュ式で、ON/OFFだけのシンプルなものだ。明るさの調整はできない。
LEDは大きめの1W級のものが1つ使われている。LEDは上を向いた形に配置され、LEDを取り囲むように半透明の筒が用意されている。LEDの光は、この筒に反射して周囲を照らす構造だ。LEDが1W級ということもあって、明るさは十分にある。光の色は白色だ。
見る角度によっては、筒を通してもLEDの光がまぶしく感じるときがある。もう少し筒を曇った感じの素材にした方が良いと思う。
この反射筒の構造のためか、光は本体の真横から、やや斜め上の方向をよく照らす。床に置くと、床の表面よりも、周囲の壁の方が明るい。斜め下方向はあまり照らしてくれないので、高いところから吊るすのには向いていない。テーブルの上や床の上に置いて使うことを想定しているようだ。停電の時に、部屋の中央に置いて部屋全体を照らすような用途に向いているだろう。
取扱説明書によれば、電池の寿命はアルカリ電池を使った状態で、単二で約40時間、単三で約10時間、単四で約5時間とされている。条件は、気温20℃で、連続使用した場合だ。
とりあえず寿命の短い順に計ってみようと思い、新品の単四形のアルカリ乾電池3本をセットした。電池の種別は、富士通の「R Spec」というスタンダードな製品だ。いつも自宅周辺のドラッグストアで8本セットが500円弱と安く売られている。
電源スイッチを入れて、点けっぱなしにしておいた。公称値で約5時間だから、10時間程度持てば十分だろうと思っていたが、なかなか終わらない。なんと、最終的には丸3日、つまり72時間以上点灯し続けていた。さすがに、最後はローソク1本分の明るさもなかったが、これだけ電池が持てば十分だろう。
このランタンはシンプルな構造で、あまり電源を操作していないらしい。乾電池を3本使用するので、LEDの供給する電気は昇圧していないし、逆にある水準以下に電圧が下がっても、カットして消灯することもしてない。まるで、以前の豆電球式のランタンのように、電池の電圧の変化に応じて、最初は明るく、最後は暗くなるのだ。
かなり暗くなっていくとはいうものの、公称値の10倍以上の時間に渡って点灯し続けているのは、防災用としては好ましい性質だ。今セットされている乾電池が最後の乾電池というような状況であれば、たとえ明るさが当初の数分の一以下であっても、真っ暗になるよりは点灯し続けてくれた方がずっとありがたい。
ただ、こういうタイプの製品は、明るさがゆっくりと変化していくので、いつ電池を交換するかというタイミングを判断するのは難しい。使用していて、ちょっと暗いなと感じたら、乾電池を交換するように心がけるべきだろう。
防災用品として家庭用に1台
なんでもランタンは、3種類のサイズの乾電池に対応するのが最大の特徴であり、これだけで十分に防災用品として推薦できる。特に、本体とは別にアダプタを必要とせず、いつでも3種類の電池に対応できるのが良い。
また、LEDの明るさは暗くなるものの、多少電圧が下がった乾電池でも使用できることは、防災用のランタンとしては評価できる。
デザインは、いわゆるランタンらしい形ではないが家庭用品らしいデザインではある。配光はもう少し、下方向を照らしてくれると、食事や読書の時に使いやすくなるだろう。
とりあえず我が家では、単二アルカリ乾電池を3本入れて、防災用品の棚に入れておくことにした。公称値で、約40時間以上持つ計算なので、実際には数日に渡って電池交換なしで非常用照明として役に立つことを期待している。その時点で乾電池が切れても、単三と単四が使えれば電池交換で困ることは少ないと思う。