家電製品ミニレビュー

アピックス「MINI RETRO FAN」

~レトロなデザインが新鮮な小型卓上扇風機
by 藤原 大蔵
アピックスインターナショナル「MINI RETRO FAN」

 この夏の節電対策として、東京電力管内では、エアコンの設定温度をできるだけ高めにするように呼びかけられている。

 そこで注目されているのが扇風機だ。多少温度が高くても、顔や首元に直に風をあてるだけで、暑さもずいぶんと和らぐものだ。

 今回紹介するのは、アピックスインターナショナル「MINI RETRO FAN(ミニレトロファン)」という卓上用小型扇風機。その名の通り、1960年代を思い起こさせるレトロ感たっぷりのパーソナル扇風機である。

 


メーカーアピックスインターナショナル
製品名ミニレトロファン AFM-310(GR エメラルドグリーン)
希望小売価格6,980円
購入場所yodobashi.com
購入価格5,980円

 

ミニサイズでも、どっしりとした佇まい。隅々までレトロな雰囲気が楽しい

 ミニレトロファンは卓上型の小型扇風機だ。面倒な組み立ての必要は一切なく、箱から出してコンセントに差し込めばすぐに使える。

 本体は、パール感のある爽やかなエメラルドグリーンのプラスチック製。羽根とモーターを覆う前後のガード、持ち運び用の取っ手は、メッキが施された金属製で、細部に至るまでレトロな雰囲気が味わえる。

アピックスインターナショナル「MINI RETRO FAN (ミニレトロファン)」エメラルドグリーン(GR)。懐かしさのある個性的なデザインだ後ろ姿もレトロな雰囲気が表現されている
ミニレトロファンの正面(左)と背面(右)。大きさは180x240x320mm(幅x奥行x高さ)で、メッキの施されてたパーツと、爽やかなカラーリングが個性的小型の扇風機にしては奥行きがある。本体内部に奥行きが10cm以上もあるモーターが収められている

 サイズは180×240×320mm(幅×奥行×高さ)。モーター部のほとんどがカバーで覆われているため、小型にしては奥行きがある。重量は約2.1kgとやや重めだが、台座についた4つのゴム足がそれをしっかりと支え、安定感がある。電源コードは太く(約6.5mm)無骨だが、扇風機全体の雰囲気によく合っている。

小型ながらも重さは2.1kgとどっしりしている。台座の底になる4つのゴム脚が安定して支える上から見ても表情豊か。台座のフチやつまみ類はプラスチックだが、メタリック塗装が施され、隅々までデザインされている上部にある取っ手は金属製。装飾的だけでなく手に馴染む形で、持ち運びがラクだった

扇風機に求められる最低限の機能はちゃんと備えている

 扇風機に求められる最低限の機能はちゃんと備えており、3段階の風量調節、首振り機能、羽根の上下風向角度調整などができる。

 操作はいたって簡単だ。台座中央にある「運転つまみ」を回すと、運転が始まる。風量は3段階で、運転つまみを回して、0(オフ)、1(弱)、2(中)、3(強)と調節できる。風量を切り替える毎に“カチッ、カチッ”という小気味良い操作感があり、表示もわかりやすい。

台座上にある運転つまみで、3段階の風量を調整する。つまみは小さいが操作しやすいデザインだ直径約15cmの3枚羽根。羽根は小さいが、大き目のモーターでパワフルな風を生み出す。前ガード、さらに後ろガードはプラスドライバーがあれば簡単に外れ、掃除もしやすい

 風量は意外とパワフルだった。3枚羽根の長さは約150mmと、さほど大きくはないのだが、本体内部に収められたモーターが大きいためか、力強い風量が生み出される。

 音は思いのほか静か。羽根が回転すれば風切り音は聞こえるが、小型扇風機にありがちなカン高いモーター音や、ヤワなプラスチックのきしみ音は無く、安定感がある。机の上に置いても振動は殆ど感じられなかった。


風量を切り替えながら撮影した。オフ(0)→弱(1)→中(2)→強(3)→オフ(0)の順番だ。下方向へはあまり風が届かない

 

 扇風機の定番機能である「自動首振り」の操作も簡単だ。モーターカバーの上にあるつまみを下に押し込めば作動し、つまみを上に引き上げれば止まる。首振り角度は約68度で固定されており、約8秒間で一往復する。風量が変わっても周期は変わらない。

 上下の風向きは、羽根のある本体上部と台座の結合部分を支点とし、約26度の範囲内で調節できる。首の角度を決めたら、風向調節つまみを軽く締めて固定する。

上下の風向きは約26度の範囲内で調節する。卓上で使うには十分な傾き範囲だろう首振りのオン・オフは、モーター上にある首振りつまみで行う。作動中はつまみが自転する

風は広範囲に広がらないが、スポットライト的な風は卓上ではむしろ便利

  風量を切り替える動画を見た方は既にお気づきかもしれないが、ミニレトロファンの風は前ガードの下方向や横方向にはあまり届かない。羽根の直径が小さく、風の広がる範囲が限られているのだ。

 これがリビングルーム向けの扇風機なら欠点と捉えるところだが、机上で使う場合むしろ好都合だ。なぜなら、風がむやみに広がらなければ、机上にある軽い紙類が飛ばされないからだ。安心して「強」モードの風にあたりながら作業ができ、周囲への“風害”も起きにくい。


自動首振りを作動した様子。角度は約68度で固定されており範囲は選べない。風量を変えても周期速度は変わらなかった風の広がる範囲を撮影した。コヨリが風になびく様子から、風は正面の上方向に集中し広範囲には広がらない

 

インテリアに表情を作りながら、涼風を独り占め

 扇風機の基本性能がわかったところで、実際の生活シーンにおいて、ミニレトロファンを使ってみよう。

スペースに限りがあるデスクトップにも収まりよく設置できる。風が下に行かないので書類が飛ばされず、胸元や首を集中的に涼風があてられる重厚な雰囲気の家具や、民芸調の家具と組み合わせても相性が良い。趣味のスペースをさらに魅力的に彩ってくれる

 デスクに置くにはピッタリだ。台座はA5程のサイズしか占有しないので、幅が900mmに満たないデスクの上で、27インチのディスプレイの横に置いてもちゃんと収まった。手元の書類が風に舞う事もないので、自宅だけでなく、オフィスでも使えそうだ。棚などの狭い奥行きにも安定して置ける。

 ミニレトロファンの有機的なデザインと色合いは、PCの硬く取り澄ました雰囲気を和らげる印象がある。その一方で、重厚なイメージの家具とも相性が良かった。個性の強いデザインなので、趣味のスペースを彩るアイテムとしても活躍してくれるだろう。

 ちなみにこの扇風機、夏場のピアノの練習にも重宝する。一般的な扇風機は風が強いため、パラパラと勝手に楽譜がめくれてしまい設置場所に気をつかう。しかし、このミニレトロファンなら、あまり風が広がらないので、楽譜も風でめくれず、快適に練習が続けられた。

  小型でもしっかりとした風量があるので、リビング扇としても使えた。1.5m離れた場所から風量を「弱」で運転すると、柔らかいながらも風はしっかりと届 く。場所を取らないので手狭な部屋にも良いだろう。ちなみに、太めのコードは取り回しが多少やっかいなので、小さな台に載せるとコードの始末もしやすくな り、見た目のバランスも使いやすさもアップするだろう。

 

ピアノの練習は結構汗をかく。正面から風をあてても、そばの楽譜がめくれ上がらなかった。夏場でも快適に練習ができるだろう小さな扇風機だが、リビング扇としても活用できるほどパワフル。場所を取らないので、小さな部屋の扇風機としても十分活躍するだろう

風量を「強」にした時の消費電力は9W。「中」「弱」は8Wだった

 ミニレトロファンの消費電力を測定してみると、「強」で9W。一日8時間使用した電気量は0.07kwh、電気代は1.58円と安い。1ヶ月毎日同じように使った電気量は2kWh、電気代は50円にも満たない試算となった。ちなみに「弱/中」の消費電力は8Wで、一日8時間使用した電気量は0.06kwhで、電気代は1.41円だった。

ありがちな“安っぽさ”がない雰囲気のある扇風機

  電気代も安く、それでいてスポット的にパワフルな風が得られるミニレトロファン。タイマーやリモコンは無いので、手の届く場所に置き、暑くなったら運転、涼しくなったら切るという、シンプルな使い方が向いている。

 価格は、小型のわりには高価に感じられるかもしれない。しかし、扇風機としての実力は十分にあり、メッキが施されたパーツや細部のディテールに至るまで、作りが全体的に丁寧。小型扇風機にありがちな「安っぽい」印象がなく、その価格も納得がゆく。それに、手元に置くだけでなんだか嬉しく、人に見せびらかしたくなるぐらいの所有する楽しみがある。

 この夏の節電に備え、自分の部屋や仕事場用に扇風機の購入を考えている方もいらっしゃるだろう。その候補として、ミニレトロファンを検討してみてはいかがだろうか。






2011年6月1日 00:00