家電製品ミニレビュー

±0「Fan」

~デザインと便利さを両立した小型扇風機
by 伊達 浩二

±0「Fan」
 大型家電店の店頭は、エアコンや扇風機の売り場が広げられ、すっかり夏本番だ。ここ数年で、夏を過ごすのにエアコンと扇風機を併用すると有効なことはかなり浸透してきたようで、扇風機の売り場が大きくなってきている。

 ±0(プラマイゼロ)の「Fan(ファン)」も、単体で涼をとるというよりも、エアコンと併用することを想定した小型の扇風機だ。

 一番の特徴は、このブランド共通の特徴である、シンプルなデザインだ。カラーバリエーションは5色あるが、いずれも本体、羽根、ガード(網)が同色でまとめられている。

 約2カ月間使った感想をレポートしよう。

メーカー±0(プラマイゼロ)
製品名±0 Fan
希望小売価格15,750円
購入場所直販ショップ
購入価格15,750円


やはりデザインに惚れる

本体正面。羽根は5枚羽根
 この扇風機を購入した動機は、やはり「デザイン」だった。なんせ、15,750円という扇風機としては破格の価格であり、惚れないと買えるものではない。

 デザインは、コロンとした「かわいさ」を意識したものだ。まず、全体がコンパクトな割に、30cmと大きな羽根を使っている。これは風量を確保するという意味もあるが、羽根の部分を頭と考えたときに、全体の等身が小さくなり、子犬のようなかわいさが出ている。

 この羽根を覆うガードは、モーター部分までカバーしており、横から見たシルエットに丸みを与えている。これも、かわいさを感じさせるポイントだ。

 本体カラーは白、黒、水色、緑、グレーの5色だが、去年の時点では、白、黒、水色の3色のみだった。今回は黒を選択したが、ほかの2色に比べて、より小さく見え、一体感が感じられたからだ。

羽根の直径は30cm。本体の幅はそれを少し越えるぐらい本体側面。羽根からモーターの部分にかかるガードのカーブが美しい本体背面。電源コードは直出し

操作はリモコンが便利

台座にある操作部
 操作部は台座の右側にある。下から、「ON/OFF」「SLEEP」「TIMER」「MODE」の順で、それぞれ電源/スリープモード(後述)/タイマー(1/2/4時間)/風量(弱/リズム/中/強)になっている。

 首振りの設定は機械式で、モーター部分のつまみを上げると70度の首振り、押し下げると固定になる。

 操作部分は、ちょっと手が届きにくい。特に、首振り運転をしていると、羽根やモーターがじゃまになることがある。首振り指定を除く、すべての操作はリモコンでできるので、こちらを使う方が実用的だ。また、リモコンを併用するためと思われるが、風量の切り替えが、弱→リズム→中→強の順に変わっていくなかから選ぶようになっている。やや面倒に感じるが仕方がないだろう。

 なお、リズムモードは自然に近いように、風量を切り替えるというものだが、私はモーターの回転音が変わるたびに気になってしまうので、まったく使っていない。

リモコン。ON/OFFボタンが離れた位置にありリモコンの方向が指先でわかる。暗闇でも操作できる
 リモコンはカード式で、ボタンは4つ。「MODE(風量)」、「TIMER」、「SLEEP」、「ON/OFF」と書かれている。操作方法は本体と変わらない。

 この「SLEEP」モードとは、単なるタイマー動作ではなく、設定した風量からだんだん風を弱くしていくという凝ったものだ。例えば、風量「強」でスリープモードにすると、設定時間の1/4は強で、続いて1/4を中で、残りの1/2を弱で運転して、電源を切るようになっている。ただし、「弱」のときはずっと弱で運転する。

意外と高い実用性

 使い始めてみると、意外にも実用性が高い。

 一番好きなのは、ファンの口径が大きく、風が柔らかいことだ。一見同じような製品に見える、サーキュレーターが、風量を重視して小さめのファンを使っているため、風が固く感じるのとは対照的だ。また、弱に設定していれば、風切り音も小さい。

 本体自体はコンパクトで軽量なので、家の中での移動にも向いている。ただし、それと引き替えの欠点もある。支柱が伸び縮みしないうえ、あまり上に向けることもできないので、高い位置に風を送るのはちょっと苦手だ。せめて、もうちょっと羽根を上に向けることができると良いのだが、そうするとバランスを取るために台座を重くしなければならないのだろう。製品情報ページでは、高い位置に送るときはテーブルなどの上に置いた形で紹介されている。視線に入っても邪魔にならない大きさとデザインなので、そういう使いこなしを考えるべきだろう。

使用中のようす首は水平位置から、この角度までしか動かない

 普段は7畳弱の寝室で使っており、弱に設定して、空気を撹拌していることが多い。就寝時は、本体を壁に向け、風が直接当たらないようにしている。エアコンを同じ温度に設定していても、扇風機が回っていると、明らかに涼しく感じる。

 入浴後は、強にして髪や身体に当てる。羽根が大きいので、強にすると充分が風量があり、湯上がりには気持ちが良い。

 就寝時の設定は、スリープモードも含めていろいろ試してみたが、風量「弱」で4時間タイマーという設定に落ち着いた。狭い部屋なのと、私が耳ざといせいで、「中」以上に設定すると羽根の風切り音が気になってしまうのだ。せっかくのスリープモードを生かせないのはちょっと残念だ。

 誤解のないように言っておくが、この製品が特にうるさいわけではない。寝室に置いて1カ月以上使い続けられたのは、エレクトロラックス「クラシックサーキュレーター」と、この製品だけだ。クラシックサーキュレーターほどの静かさはないが、ほかの扇風機やサーキュレーターに比べれば勝っている。ベッドの中からリモコンで操作できるのとタイマー機能の2点では、クラシックサーキュレーターより便利だと思う。

 ついでに、個人的わがままを言うとスリープモードが設定されたときは、本体のLEDが消えるようにしてほしかった。すごく明るいLEDではないのだが、真っ暗ならばそれに越したことはない。

デザインに惚れたら買って良し

 ここまで紹介してきたように、この扇風機は充分推薦できる製品だ。問題は、やはり価格だろうが、デザインに惚れたら買って良いと思う。実用性は高いし、タイマーもリモコン、首振りも、やはり有れば便利だ。

 ボディカラーは、今年からライトブルーとライトグリーンも登場したので5色から選べる。私は黒を選んだが、この色はガード部分のホコリが目立ちやすい。数カ月に1回ぐらいの頻度できちんと掃除をする必要があることは知って置いた方が良い。

2カ月で溜まったホコリ。黒は好きな色だがホコリが目立ちやすいモーターの部分もガードがかぶっているのでホコリが残るガードの留め金はプラスチック製で、外すたびに折りそうで怖い。普通に金属金具にして欲しかった



2009年7月14日 00:00