家電製品ミニレビュー
三洋電機「Steaven」後編
三洋電機「スチームコンベクションオーブン Steaven SOB-VS10」 |
オーブントースターのようなコンパクトボディながら、過熱水蒸気を用いた減塩・脱脂調理にも対応している三洋電機の「スチームコンベクションオーブン Steaven(スチーブン) SOB-VS10」。今回は後編をお届けする。
前編では、手軽にできる蒸し料理を中心にご紹介した。スチームで焼いたトーストはとてもおいしく、ふかし芋や温泉たまごなどの蒸し料理も手軽にできるので、ほぼ毎日あらゆる料理に活用している。一度使ってしまうと手放せない便利さだ。
今回は過熱水蒸気を使って、減塩・減脂しながら調理ができるヘルシーな揚げ物、難しいスポンジケーキなどのお菓子作り、煮込み料理にも挑戦する。
■とんかつも鶏の唐揚げも照り焼きも、お肉がジューシー!
Steavenは最高約250℃にもなる過熱水蒸気による調理に対応している。過熱水蒸気で調理することで、食品の余分な脂や塩分をカットし、ヘルシーに仕上げることができるという。
しかし、気になるのはやはり味や食感だ。塩分が落ちすぎて味が薄くなってしまったり、ポソポソになってしまうのでは、いくらヘルシーでも食べる気分にならない。今回は、実際に我が家でよく作る鶏の照り焼き、唐揚げ、とんかつなどの揚げ物を、Steavenで作ってみた。
・鶏の照り焼き
鶏の照り焼きはレシピブックに紹介されているので、その通りに作ってみることにした。フォークで皮に穴をあけて、しょうゆ、みりん、砂糖、サラダ油に30分程度つけておく。角皿に薄く油を塗って皮を上にして置いておく。自動メニュー「4 鶏の照り焼き」を選び、モモ肉1枚なら2人分、2枚なら4人分を選ぶ。あとはスチーム有りにしてスタートボタンを押すだけだ。調理時間は19分。
途中、水蒸気で扉が曇ったが、仕上がりは皮に焦げ目がしっかりついていて、照りもある。角皿には脂が出ていたので、脱油効果も期待できそうだ。
今回は大きめの鶏肉1枚で試してみた | 鶏の照り焼きは自動メニューに登録されてあるのでおまかせ | できた! 皮に焦げ目がついている |
切って盛りつけてみたところ。皮がパリッとしていておいしそう |
食べてみてビックリ仰天! 中がとてもジューシーでやわらかい。ふだんフライパンで作っているが、こんなにふっくらできたことは一度もない。とてもおいしく、旦那も子供達も大感激だった。
「ヘルシー調理なら味は落ちても仕方ない」と思っていたのに、むしろおいしくできてしまって本当に驚いた。これはかなりオススメのレシピだ。
・唐揚げ
鶏の照り焼き同様、登場回数が多い鶏の唐揚げ。お弁当のおかずに入れることも多く、家族みんなが喜ぶ定番料理だ。
ふだん作るときは、唐揚げ粉をまぶしてから油で揚げている。油を扱うときは、油がハネるので、子供がいるときは注意が必要だが、オーブンでの調理は油ハネの心配をしなくていい。また、終わったあとの面倒な油の処理をしなくていいのも便利だ。
今回は唐揚げ粉を使用した。もも肉を4cm角に切り、唐揚げ粉を全体にまぶす。サラダ油を薄くぬった角皿に並べて、鶏肉2枚4人分を調理してみた。
唐揚げ粉をたっぷりまぶして並べる | 調理が終わった唐揚げは、予想外に脂が落ちていた。どろっとした脂がたくさん出ているのがわかる | 唐揚げ粉をまぶしすぎたのか、表面にちょっと粉っぽい部分がもあるが、お肉がジューシーでおいしい |
気になったのは衣の食感だ。上側はカリッとしているのに、下側は脂っぽくなってしまっている。これは、調理中に出た脂が角皿に溜まってしまっているため、角皿に接している唐揚げの下の部分が油っぽくなってしまうのだ。可能であれば、網のようなものを角皿の上に載せて、脂は下に落とすようにしてほしい。そのような網も一緒に付けて欲しい。
しかし、肉はとてもジューシー。照り焼き同様、感動するおいしさだ。鶏の唐揚げを上手に揚げるのは意外にむずかしい。揚げるといつもポソポソしてしまうが、Steavenで調理した唐揚げは、やわらかくふんわりしている。毎回、同じようにムラなくおいしくできるのもありがたい。
・とんかつ
とんかつはレシピブックに紹介されていなかったので自己流だ。他のフライのレシピを見ながら、我が家流のとんかつを作ることにした。
レシピブックによると、フライは「ヘルシーフライのパン粉」を先に作っておく必要がある。クッキングシートを敷き、パン粉を広げ、サラダ油をふりかけて混ぜておく。オーブン200℃で約6分加熱して混ぜ、さらにオーブン200℃で3~4分過熱し、よくかき混ぜる。これで完成だ。
あとは一般的なフライの作り方と同じだ。小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけてアルミホイルを敷いた角皿に乗せ、230℃のオーブンで15分加熱した。
あらかじめパン粉をオーブンで焼いておく | 15分で出してみた。油で揚げたものより、焦げ方にムラがある | 中心まで火が通っている |
はじめにパン粉をオーブンで焼くのが少々面倒だが、焼きあがったとんかつはサクッとしている。鶏の唐揚げ同様、アルミホイルに接している部分は油っぽくなってしまうので残念だが、お肉がジューシーでとてもおいしい。
いつものように特価のとんかつ用豚肉を使ったのだが、旦那いわく「いつもよりお肉が甘くて、上質なお肉を使っているみたい」とのこと。衣の部分は少々不満が残るものの、肉のやわらかさ、ジューシーさは格別らしい。次回から我が家のとんかつはこれにしてほしいと言われて驚いてしまった。
子供達も、いつもより食べやすいとんかつに大喜びだ。油で揚げてないので、ヘルシーなのも嬉しい。
■蒸し料理でメインのおかずも
蒸し料理というと、ヘルシーでさっぱりしているイメージ。そのため、メインのおかずというよりも、前菜や副菜としていただくことが多いが、Steavenのレシピでは、食べ応えのあるメニューも紹介されている。
まずは、ささみとキャベツのさっぱり和えだ。作り方は簡単。キャベツとささみを耐熱性の平皿に広げて乗せ、「蒸す」120℃で約15分過熱し、続けて「蒸す」110℃で約15分過熱する。蒸し上がった後に混ぜて大根おろし、ポン酢をかけていただくだけ。
あっという間におかずの一品ができるので、忙しいときにはありがたい調理方法だ。野菜を蒸して、ドレッシングをかけるでも、野菜の甘みが引き立っておいしいだろう。
ささみは調理法によってはポソポソになってしまうが、蒸しているのでふっくら。野菜がたっぷりで、おなかにもたまるので、ダイエット中の方におすすめだ。
お皿に野菜とささみを乗せるだけ | 手動で「蒸す」を選び、時間を設定する。今回は15分 | これは1人分。さっぱりしていて、とてもおいしい。野菜がたっぷりで美容にもよさそう |
ただ、家族4人では、メイン料理としては物足りない分量だ。このレシピの場合、21cm~24cmの平皿に食材を盛って調理する。お皿にたっぷり乗せても、一度にできる分量は2~3人分。1人暮らし、または夫婦だけのご家庭なら、平皿に乗せて調理するレシピは便利に使いこなせるように思う。我が家では、サブのおかずや、お弁当用に活用できそうだ。
■Steavenで、ロールキャベツも!
Steavenでは、煮込み料理も作れる。レシピでは、煮込み料理をする場合、直径20cm~23cm、深さ3cmの耐熱性の皿を使うようにと指示があるが、このサイズの深皿がなかなか見つからず、見つけるのに苦労した。
レシピは付属のレシピブック通りに作った。はじめに、キャベツの葉8枚を電子レンジで加熱して、そのあと、具をキャベツで巻いていく。
あとは、クッキングシートで落としぶたをして、さらにその上からもフタをして角皿に乗せる。今回はちょうどいいフタがなかったため、シリコーンのフタを使ったのだが、隙間があいてしまったが、問題はなかった。
手動「煮る」の強で40分で煮込み、その後に弱で20分煮込む。煮込み終わるまで1時間かかるので、電気代が恐ろしい。ワットチェッカーで測ることにした。
Steavenの「煮る」メニューは、上下のヒーターとスチームで加熱していく。下のヒーターを中心に加熱し、仕上がり調節の強・標準・弱を使用することで、ガス火感覚で仕上げることができるという。煮込んでいる間、表面はフツフツしているものの、煮こぼれることはなかった。
深皿に並べてスープを入れる | フタは小さいが、問題なくできた | 煮崩れもなく、おいしそう! |
中まで火が通り、味が染みこんでいる |
仕上がりは、煮崩れることもなく、きれいな仕上がりだ。4人分のロールキャベツが1度にできた。味の方も満足。中はしっかり火が通っていて、味も染みこんでいる。やわらかくてやさしい味わい。家族にも好評だ。
気になる消費電力量は0.75kWhで16.5円。1時間でこの程度なら、長い煮込み料理でも安心して使えそうだ。
残念なのは、分量が少なめであること。4人分とのことだが、1つ1つが小さめなので、食べ盛りの子供では足りないように思う。分量がもう少し多めにできると嬉しい。ロールキャベツならガスコンロで煮込めば30分ほど煮込めばできてしまうので、調理時間はやや長く感じた。
ただ、煮込み料理を作っている間にコンロを長時間占有されず、火加減の調節をしなくて済むのはやっぱり気が楽。ふきこぼれも心配しなくてもいいというのも便利だ。
■スポンジケーキやプリンなどのデザートも!
次に試したのは、子供が大好きなスイーツ。自宅で作るスイーツというと、クッキーやケーキなどの焼き菓子が中心になってしまうが、Steavenならプリンなどの蒸し菓子も作れる。
・プリン
プリンは、工程自体はそれほど、複雑ではないのだが、蒸し器を出すのが面倒で、我が家ではほとんど作っていないメニューだ。
最初に、電子レンジでカラメルソースを先に作り、牛乳、砂糖、卵、バニラエッセンスを混ぜて濾し、カップに入れる。あとは、角皿中央に濡らしたペーパータオルを敷き、アルミホイルをかぶせて「蒸す」90℃で約25分過熱する。
蒸し器を使うとモワッと出てくる蒸気に気をつけなければならないが、その心配はいらない。予熱いらずで、時間が短縮できる点も嬉しい。
予熱なしでOK。プリンにアルミホイルをかぶせて入れる | なめらかで甘さ控えめ! あっという間にできる手作りプリン |
できあがったプリンはとてもなめらか。ひっくり返してみると、表面に少し「す」が見えるものの、食べるとザラザラした感じはなく、ほどよい甘さで卵の香りが口に広がる。
娘は市販のプリンは食べないが、このプリンはとても喜んで食べていた。砂糖を少し減らしたのだが、自然な甘さで食べやすいらしい。このように分量を調整できるのも手作りおやつのよいところだ。
蒸し器を使わず、こんなに簡単にプリンができてしまうのは、小さな子供がいる親として非常に嬉しい。
・小さめのスポンジケーキ
温度調整に気をつけなければならず、むずかしいのがスポンジケーキだ。一般的には、オーブンの温度を上げて、庫内がしっかり温まってから焼かなければ失敗する。Steavenは予熱の必要がないというが、本当にうまくできるのか心配だ。
直径12cmの小さめなスポンジケーキを作ってみることにした。これはレシピブックに掲載されていたものではなく、いつも作っている我が家流レシピである。
余熱をしないで「オーブン」160℃で約20分。みるみる膨らんでいく。いつも作っているケーキより、高さがあるほどだ。上に遠赤外線ヒーターがあるので、ぶつからないか心配だったが大丈夫だった。
焼き上がったスポンジケーキを見ると、庫内の温度にムラがあるのか、少し傾いていた。また、ふくらみすぎて遠赤外線ヒーターに近付いてしまい、上の部分が少々焦げてしまった。
予熱なしでちゃんと焼けるのか不安だったが…… | こんなにちゃんと膨らんだ! いつも作るスポンジケーキよりふわっとしている | ふくらみすぎて遠赤外線ヒーターに近付いてしまい、上が見事に焦げてしまった |
焦げてしまった上の部分を少し切って、クリームをデコレーションした。いつも作っているスポンジケーキよりも、フワッとしていて口当たりがよい。「予熱なしでスポンジケーキが膨らむわけがない!」と全く期待していなかったが、予想外の仕上がりで驚いてしまった。
短時間で焼きあがるので、面倒なスポンジケーキが思い立ったときに作ることができる。オーブンを使うより手軽で、ケーキ作りの頻度も上がりそうだ。
デコレーションしてからみんなで食べた。スポンジがふわふわだ。家族にも好評! | 背が低いケーキならムラなく焼ける |
なお、ホットケーキミックスを使った背の低いスポンジケーキも焼いてみた。こは、ムラなくきれいに焼けている。庫内の上下にヒーターがあるので、背の高いシフォンケーキのようなスポンジは不向きだ。
・アップルパイ
お菓子作りの最後はアップルパイだ。紅玉が余っていたので煮てから、冷凍パイシートに包んで「オーブン」200℃で20分焼いた。ちょうどよい焼き色がつき、ふくらんできる。角皿にクッキングシートを敷くのを忘れ、取り出すときにくっついてしまったが、サクサクしていてとてもおいしい。
これも予熱なしでできるので、あっという間にできてしまう。ちょっとしたお菓子作りも、Steavenがあれば簡単にできる。
クッキングシートを敷き忘れてしまった。これも予熱なしで大丈夫 | サクサクのパイが完成! | 冷凍パイシートがあれば、すぐにできる |
■グリル機能は、「上火」を選べて便利
かなり大きいピザ。買ってから時間がたってしんなりしていたが、パリッと焼けた |
最後に試したのは、グリル機能だ。まず、試したのはピザ。大きめのピザを焼き上げるのは、「グリル両面」で7分。表面がカリッとしていて、とてもおいしい。オーブンで焼くのは余熱などが面倒だが、トースター代わりとして十分使える。
次に試したのは、食卓の登場回数が多いグラタンだ。レシピブックによると「オーブン」機能で焼くと書いてあったが、焦げ目だけつけたかったので「グリル 上火」で15分。焦げ目がきれいについた。トースターのようにサーモスタットがきいて途中できれることもなく、時間がかからないのは嬉しい。
「グリル上火」でおいしそうな焦げ目が | サーモスタットですぐにヒーターが切れるオーブントースターより便利。こんがり焼けている |
■コンパクトでお手入れ簡単。スチームが汚れを浮かせるのでさっと落ちる
ダストトレーは水が溜まる。毎回、必ず掃除をする |
使ったあとの、お手入れも手間がかからない。スチームを使うとダストトレーに水が溜まるので、スチーム機能を使ったあとは、必ず水を捨てておく。庫内はスチームを使っているので、使用後にさっとふけば汚れは落ちる。
また、スチーム配管に残った水も本体の自動メニュー「14 排水」で排水することが可能だ。その後はダストトレーの食品カス、油、水などを捨て、きれいに洗う。
煮物や揚げ物など、ふきこぼれや飛び散りが気になる調理をしても、庫内の汚れは少なく、濡れたふきんでさっと拭けば汚れは落ちてしまうので、すぐにきれいになる。製品自体もコンパクトなので、奥まで手が届き、お手入れがしやすい。
なお、製品自体は小さいが、設置する際には、後面6.5cm、側面4.5cm以上、上面30cm以上の空きスペースが必要とある。購入の際は、しっかりサイズを測ってスペースを確保していただきたい。
■煮る、焼く、蒸す。料理のレパートリーが広がる!
使ってみて、何より嬉しかったのは、多機能なのにコンパクトであるというところ。小さいのに、焼いたり、煮たり、過熱水蒸気を使ったヘルシーな調理ができるので、とても便利。色々作ってみたが、どれもハズレなくおいしく仕上がった。
くれぐれも、注意したいのは、Steavenには電子レンジ機能ははないということだ。我が家のように電子レンジは別に使用しており、オーブントースター代わりに導入を検討する方に、おすすめしたい製品だ。
今回、メーカーさんからお借りしたのだが、お借りしている間は、我が家のオーブントースターを使わないようにしていた。不自由を感じるかと思ったが、手軽に使えるのでまったくストレスを感じなかった。予熱の必要がなく、ふだん使っているトースターと同じように気軽に使えるからだ。
さらに、蒸し器の代わりにもなるので、レパートリーが広がってとても楽しかった。中華まんをおいしくあたためたり、プリンをさっと作ったり、温泉たまごを添えたり……ちょっとしたことに活用できる。スポンジケーキなども余熱不要で気軽に作れるのも嬉しい。
スチーム「入」で焼いたトーストがおいしいこと! |
個人的に感激したのはパンのトースト。スチーム機能を使ったトーストは、中はもちもち、外はこんがりで、一度この味を知ってしまったら後戻りできない。
Steavenをお返しした後、家族からは「あのヘルシーとんかつが食たい」「またプリンを作って」など、色々リクエストされて困っている。コンパクトなので、置き場所も確保できる。すっかりハマってしまったので、我が家では購入決定!
2011年2月22日 00:00