家電製品ミニレビュー

ビタントニオ「ワッフル&ホットサンドベーカー」 後編

~プレートを取り換えて話題の揚げないドーナツも
by 阿部 夏子
ビタントニオ「ワッフル&ホットサンドベーカー」

 ビタントニオのワッフル&ホットサンドメーカーを、2回に渡ってご紹介している。前回は、ワッフルプレートを使って2種類のワッフルを作った。同じワッフルでも生地によって食感が全く違うというのは、ワッフルを自分で作るまで知らなかったことだ。

 さて、ワッフル&ホットサンドベーカーの一番の特徴は、プレートを取り換えることで色々なものが作れるということ。今回は、本体に付属する3つのプレートのうちドーナツプレートとホットサンドプレートを使って実際に調理してみよう。

小さなドーナツが一気に作れる「ドーナツ」

本体に付属する。3つのプレート。一番左がドーナツプレート

 まずはドーナツプレートを使って「揚げないドーナツ」を作ってみよう。ドーナツは本来、油で揚げて作るものだが、健康志向の高まりからか、昨年あたりから焼いて作るドーナツが注目されている。製法が違うので厳密にはドーナツではないのだが、真ん中に穴が空いた、あの独特の形は健在だ。

 ワッフル&ホットサンドベーカーのドーナツプレートでは、2種類の型がそれぞれ3つづつ。一度に6個のドーナツが焼けるようになっている。

 説明書には3種類のレシピが掲載されているが、その中から今回は、最もオーソドックスな「プレーンドーナツ」を作ってみた。材料は薄力粉、ベーキングパウダー、バター、卵、牛乳、砂糖。材料だけみると前回作ったアメリカンワッフルと変わらない。できあがった生地は、ホットケーキの生地のようでかなり柔らかい。ワッフルの場合は、このまま型に流し込めばいいが、ドーナツ型は型が小さいので、絞り袋を使う必要がある。

 絞り袋は、ケーキのデコレーションなどで使われることが多いお菓子の道具で、製菓コーナーには口金が付いた専用のものも売られている。ただ、今回は型に流し込むことが目的なので、専用のものをわざわざ用意する必要はないだろう。私の場合は、自宅にあった小さなビニール袋で代用した。

ドーナツ用の生地。ホットケーキの生地くらい柔らかいもの絞り袋に入れる。絞り袋は小さなビニール袋で代用した

 生地を袋に入れてから、袋の端をハサミで少しだけ切る。ここで重要なのは、生地を入れすぎないこと。生地を入れすぎると、生地を絞る時に下からだけでなく上からも生地が溢れ出てきてしまう。使う袋の大きさにもよるが、今回は4回に分けて生地を入れていった。

 生地は柔らか目ではあるが、生クリームなどのように滑らかなわけではないので、型に入れるのには、なかなか手間がかかる。プレートの型の中央には、山のような凸部分があるが、ここに生地をかけてしまうと、ドーナツの真ん中の穴が開かない。最初に作ったドーナツは、絞り袋の口が大きすぎてドーナツの真ん中まで生地で埋まってしまった。

最初は絞り口が大きすぎてしまったようで、ドーナツの真ん中の穴が無くなってしまった焼きあがり真ん中の穴がないので、見た目はドーナツというよりカステラのようだ

 絞り口を細くしてもう一度チャレンジしたところ、今度はうまくいった。完成したドーナツは、一口サイズでとてもかわいらしいもの。1つのプレートでプレーンなものと、波型の2種類ができるので見た目にも楽しい。味は小さなカステラ、小さなホットケーキといった感じ。作り方が違うのでドーナツとは言えないが、これはこれでおいしい。好みでクリームやチョコレートをトッピングしても良さそうだ。

袋を替えてもう一度チャレンジ今度は絞り口をかなり細めにした穴の部分をつぶさないように慎重に生地をおいていく
生地を流しこんだところ焼く前の状態。穴を残して生地をいれるのは、時間がかかる。6個の型に入れるまで2分ほどかかった
焼きあがり今度は真ん中に穴が開いたドーナツが作れたサイズは一口サイズだ

 今回は、プレーンドーナツと、プレーンドーナツの生地にココアパウダーを混ぜたココア味のものも一緒に作った。抹茶やナッツなどを混ぜて簡単にアレンジができるのも楽しい。

 型が小さいので、1回分の材料で約36個もできてしまう。これは、お子さんがいるご家庭のおやつや、お土産で持っていくのにぴったりだ。簡単に作れるとはいえ、これで立派な「手作りお菓子」として通用する。型を流し入れる時に少々手間がかかるが、真ん中に穴が開いていなくても、見た目はそれほど変わらない。時間短縮を狙って、真ん中に穴がないドーナツを作るのもアリだと思う。

左がプレーンドーナツ、右がココアドーナツ一度にたくさん作れるのでお土産にもちょうどいい。会社に持参したところ、まずまず好評だった。手軽に食べられる一口サイズなのも良い

具だくさんのホットサンドが作れる

 次にプレートを変えて、ホットサンドを作ってみよう。用意するのは8枚切りの食パンと、中に入れる具。具は好みで用意すればいい。今回は、ハムと茹で卵、とろけるチーズを用意した。

 耳を切り落としたパンの表側にバターを薄く塗って、プレートに置いたら、具を載せて、パンを載せたらあとは蓋を閉じて3分ほど焼くだけ。密封状態で加熱するので、あっという間に焼きあがる。

耳を落とした8枚切りのパンに好みの具を載せるその上にパンをもう一枚載せて、蓋を閉める。写真は2分ほど焼いたところ焼きあがり。加熱時間は4分ほどだ

 私はホットサンドが好きで、自宅でもよく作るのだが、ワッフル&ホットサンドベーカーは、私が持っているホットサンドメーカーに比べ、具を多めに入れても周りにこぼれるということがなかった。普段使っているものは、プレートの深さが浅いのか、ちょっと具を多めに入れるとすぐに周りに溢れてしまう。今回のようにチーズなどを入れると周りにチーズが溢れだして、焦げてしまうのだ。

 ワッフル&ホットサンドベーカーでは、プレートの外側にスペースが用意されていることもあって、本体の周りに具がこぼれるということが全くなかった。また、普段使っているものに比べて、プレス(押しつぶす)力が弱く感じた。ここらへんの差は好みによるもので、ホットサンドはしっかりプレスしてあって、パリパリな方が好きという人はプレスが強いもの、ふわっと仕上げたいという人には今回のワッフル&ホットサンドベーカーがいいかもしれない。

 私個人の好みでいうと、具をたくさん入れたい派なので、今回のワッフル&ホットサンドベーカーが気に入った。プレスがそれほど強くないので、中の具もふんわりと仕上がっている。

焼きあがり中の具がつぶれることなく、ふっくらとした仕上がり

ワッフルメーカーの大本命!

使用後のプレート。表面にはフッ素加工が施されていて、汚れは簡単に落とせる
 構造自体は単純だが、使ってみての不満は一つもなかった。本体はがっしりとして安定感があるため、調理中に不安を感じることもなかったし、加熱中でも本体が触れなく熱くなるということもなかった。

 プレートの表面にはフッ素加工が施されているため、生地がくっついてしまうこともなく、手入れも簡単にできる。プレートを取り外して手入れできるので、生地が、溝に入り込んでしまって取れなくなってしまうというようなこともない。

 使い心地に関しては文句ないが、唯一プレートの置き場所には頭を悩ませた。プレートは金属製で、形状が複雑なので、乱暴には扱えない。それなりに場所も取るので、置き場所がなく、結局購入時の段ボールに収納していた。

 最近はホットプレートでも、プレートを変えることで色々な料理を楽しめるという製品が登場しているが、ホットプレートでは、専用のケースを付属することで、収納の問題を解決している。この製品はプレートが替えられることがキモなので、ぜひ解決してもらいたいところだ。

ビタントニオでは、全8種類のプレートを用意している

 なお、別売りのプレートとしては、たいやきが作れる「ポワソンプレート」、アイスクリームのコーンとしても使える薄型クッキーが焼ける「ピッツェルプレート」、ミニサイズのタルト型が焼ける「タルトレットプレート」、イタリア風のパンが焼ける「パニーニプレート」など、全8種類のプレートが用意されている。価格は全て2,626円。

 感心したのは、多機能さだけに重点を置いているわけではなく、仕上がりもしっかりと本格的なものであるということ。お店で食べるホットサンドやワッフルにも全くヒケを取らない。「手作り」と聞くと、急にハードルが上がってしまうイメージがあるが、ワッフル&ホットサンドベーカーを使えば、本当に簡単に本格的なものが作れる。

 ワッフルメーカーや、ホットサンドメーカーというと、専用の機器というイメージが強いが、ビタントニオでは、プレートの種類を複数用意することでそのハードルを一気に下げている。使い心地、ラインナップ、共に家庭用ワッフルメーカーの大本命として、自信を持っておすすめできる製品だ。




2010年8月5日 00:00