家電製品ミニレビュー

東芝「ピコサーキュ F-CM18X」

~空調に部屋干しに活躍、梅雨→夏の新たな必需品
by 正藤 慶一

東芝ホームテクノ「ピコサーキュ F-CM18X」
 関東地方は6月中旬から梅雨入りとなったが、それ以降、いかにも梅雨といった感じのジトッとした空気に困っている。外へ出れば汗がどっと湧き、体中がベトベトとして気持ちが悪い。おまけに洗濯物を干しても、突然の雨降りでうまく乾かず、イヤなニオイを発している。唯一の幸せは、エアコンの空調がしっかりと行き届いた、カラッと涼しい室内にいる時だけだ。

 しかし、我が家はエアコンの恩恵にあまりあずかれないでいる。エアコンは寝室に1台あるのだが、その隣のリビングにはなく、寝室が冷すぎる一方でリビングはそこまで冷えない、というバランスの悪いことになっている。

 ここで活躍する家電が「サーキュレーター」。扇風機よりもさらに強力な風でエアコンの冷気を循環できるし、おまけに洗濯物に風を当てることで、部屋干しにも使える。まさにこの時期にピッタリの家電製品だ。

 今回は、そんな梅雨から夏に掛けて重宝するサーキュレーターとして、東芝の「ピコサーキュ F-CM18X」を紹介することにしよう。

メーカー東芝ホームテクノ
製品名ピコサーキュ F-CM18X
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,223円

ファン中央のロゴにもあるように、除菌・脱臭効果のある「ピコイオン」の発生機能を備えている
 この製品、サーキュレーターとしては珍しく、除菌・脱臭効果のあるイオンを発生できる点が特徴。そのイオンとは、東芝の空気清浄機や冷蔵庫にも搭載されている「ピコイオン」。微細な水に包まれた、強い酸化力を持つ活性酸素のことで、空気中のウイルスや菌の除菌や、繊維の奥に潜んだニオイ成分を分解する効果があるとされている。こうしたイオン系の機能は、目に見えないため“ホントに効いているのかよ”となりがちだが、実際はどうなのだろう。さっそく使ってみたい。

 本体サイズは258×319mm(直径×高さ)で、サーキュレーターとしては並の大きさだ。しかし、台座部がしっかりとしているため、全体的にはやや大きめの印象を受ける。台座の上にある円筒状の部分が、モーターやファンなどがセットになった送風部。羽根ガードは細くきめが細かいため、指などはまったく入らない。羽根による事故の心配はおそらく無用だろう。オフタイマー(1/2/4時間)とオンタイマー(2/4/6)も備えており、両方の併用にも対応している。角度は6段階に調節できるが、扇風機のような首振り運転はできない。また、羽根ガードは解体できない。

送風部の角度は6段階に調節可送風部を上に向けた状態スリットからはモーターが確認できる

 電源を入れる前に、ピコイオンを発生するための準備が必要になる。その準備とは、台座部内の「ピコイオン発生ユニット」を取り出し、ピコイオンを発生するために必要な水道水を、ユニットのタンクに入れるというもの。この水に高電圧を加えることで、ピコイオン(OHラジカル)を作り出す仕組みになっている。他社のイオン機能だと、パナソニックの「ナノイーイオン」や、シャープの「プラズマクラスターイオン」のように、空気中の水分を使ってイオンを発生させるタンク不要のものもあるが、これらとはちょっと勝手が違うことになる。

本体背面部にピコイオン発生ユニットが格納されているピコイオン発生ユニット写真のトンガリ部分に高電圧をかけ、水をOHラジカルに変える仕組みだ

まずはエアコンのある寝室にピコサーキュを設置し、リビングに冷気が送れるかを実験
 ピコイオンユニットに水を入れたら準備が完了。本体の電源ボタンをONにすれば、運転がスタートする。運転パワーは弱/中/強の3種類だが、中と強は「ゴオー」と強烈な運転音がするので、通常は音が静かでパワーも十分な「弱」で問題ないだろう。

 まずはエアコンと併用したところ、さっそくサーキュレーターの効果が出た。サーキュレーター不使用時のリビングは、気温が29.9℃で湿度が60%だったが、サーキュレーター使用時だと、気温は29.7℃、湿度が44%と、特に湿度に大きな差が出た(数値はエアコン使用から1時間後のもの。エアコンの設定温度は28℃、ピコサーキュの運転は弱)。もちろん、部屋の“カラッと”感は、サーキュレーター使用時の方が高い。さっそく効果アリである。

 だが、肝心のイオン機能についてはピンとこなかった。ピコイオンは水に包まれているためか、風がややヒンヤリしている気はするが、イオンの力で空気がキレイになったかどうかはよくわからなかった。

こちらはサーキュレーターなしのリビングの温度と湿度。使用開始から1時間後、温度・湿度ともにやや下がっているサーキュレーターを使用した際の、リビングの温度変化。温度・湿度とも、サーキュレーターなしの場合よりも下がっている

部屋干しで使用したところ、衣類が完全に乾き、イヤなニオイもしなかった
 一方で、部屋干しの際には、ある程度の効果はあったように思えた。というのも、部屋干しは洗濯物が乾きにくく、生乾きで菌が発生し、イヤなニオイの原因になることが多いが、ピコサーキュを使ったところ、衣類は完全に乾き、イヤなニオイはほとんどしなかった。ピコイオンが繊維に入り込んで、ニオイ成分を取ってくれたのかもしれない。

 実はこのところ、洗濯物がうまく乾かず、乾いてもニオイが発生してしまい困っていた。しかし、ピコサーキュを使って乾かしたところ、まったく臭わなくなった。疑い深く見れば、イオンのおかげというよりも、強力な風を当てたことでしっかり乾かせたことの効果が大きいかもしれないが、いずれにせよ、本製品を使ってイヤなニオイの発生が防げたのは確かである。

 部屋干しの際にマイナスなのが、首振り運転ができないため、送風範囲が狭いところ。たくさんの衣類を乾かそうとすると、端の方は恐らくまったく乾かないだろう。私が試した限りだと、シャツでは7~8枚が限界ではないだろうか。大家族やまとめ洗いを好む人には向きそうにない。しかし逆に言えば、少人数世帯や毎日こまめに洗濯する人には、ちょうど良いかもしれない。

 なお、前述の通りピコイオンの発生にはタンクに水を入れる必要があるが、約1カ月使ったところ、まだまだタンクには多くの水が残っていた。加湿器のように頻繁に水を取替える必要はない。

 ピコサーキュは、空調や部屋干しなど、梅雨から夏にかけての暮らしの悩みを1台で解決してくれる便利な製品だ。もちろん、秋の長雨や冬の暖房時にも使えるので、夏だけとはいわず1年中活躍してくれるだろう。エアコンの冷気がうまく届かない人、衣類の生乾きのニオイに困っている人で、サーキュレーターを持っていないという人は、購入すれば確実に暮らしが豊かになることだろう。



2010年7月1日 00:00