家電製品ミニレビュー
ブラック&デッカー「高圧洗浄機 ワゴンプラス PW1700SPX」
ブラック&デッカー「高圧洗浄機 ワゴンプラス PW1700SPX」 |
高圧洗浄機という製品をご存じだろうか。日本、特に都市圏に住んでいる人にはかなり馴染みの薄い製品だろう。要は、水に圧力をかけて、その勢いで一気に汚れを落とすというための製品だ。
主な用途としては、庭や畑の水やりや、車やタイルの洗浄などがある。最初に“都市圏”と断ったのは、実は農家では農機具の洗浄などで多く用いられている製品なのだ。また、個人の住宅でも日本よりはるかに広い欧米では、住宅のメンテナンスに用いるものとして一般的だという。
今回取り上げる高圧洗浄機も、アメリカのメーカー「ブラック&デッカー」のもの。同社が扱う高圧洗浄機の中でも最上位機種にあたる「高圧洗浄機 ワゴンプラス PW1700SPX」だ。
メーカー | ブラック&デッカー |
製品名 | 高圧洗浄機 ワゴンプラス PW1700SPX |
希望小売価格 | 30,450円 |
PW1700SPXは、消費電力1,400W、最大吐出圧力9MPa、さらに1時間当たりの最大吐出量は360Lというハイスペックな製品。想像しただけでも威力はすごそうだ。代表的な用途としては、洗車やテラスの掃除、庭や畑の水やりなんかによく使用される製品だという。ここまで用途を羅列するとすでにお気づきだろうが、この製品、マンション住まいでの使用用途はあまりなさそう……1,400Wの勢いで水をばらまいても大丈夫な場所、水を使って作業をする場所があるところ。というのが、まずは使用条件といえそうだ。
というわけで、私が選んだ場所は実家。山あいという言葉がぴったりの実家ならば色々な用途で使えそう! というわけで親孝行がてら、実家の色々なモノ、場所をしっかり“洗浄”してきました。
■アメリカメーカーらしいデザイン、大きさ!
実測、350×270×740mm(幅×奥行き×高さ)の大きな製品パッケージ |
製品が届いて、まず驚いたのが本体の大きさ。外箱の大きさで、実測で350×270×740mm(幅×奥行き×高さ)。身長165cmの私の腰を軽く超える大きさだ。
本体は、パッキリとしたオレンジ色。まさにアメリカのメーカーらしいデザインで、外観はかなりオシャレ。大きさは、ちょっとしたキャリーバッグほどはあるだろう。ワゴンプラスという製品名どおり、本体には大きな車輪が左右に据えられているので、箱から出してしまえば移動は楽に行なえる。
本体裏面 | 左右には大きな車輪が設置されている | 本体上部には持ち手が設置されており、キャスターのように移動できる |
本体と付属の部品 |
ただし、使うまでの組み立ては簡単ラクラク! とはいかなかった……ブラック&デッカーの高圧洗浄機の中でも最上位機種、ハイスペックなこの製品。部品の数だけでも13個ある。本体は、水道に直接つないで水を取り込むスタイルなので、本体、水道とのジョイントという作業も含まれる。ただ、説明書が図入りで、親切丁寧な作りなため、作業工程そのものに迷うということはなかった。実際、組み立てにかかった時間は、撮影をしながらで約20分といったところだ。
部品の名称や、組み立て工程については文章で説明しても、余計に混乱してしまうと思うので、以下、写真で説明する。
まずは、水道ホースに専用のジョイントをつけるところから始める | ジョイントはネジ式で簡単に着脱可能 | 水道ホースにジョイントを取り付けたところ |
次に本体正面の給水口に本体用のジョイントを取り付ける | 先ほどの水道ホースを取り付ける |
次に水道にホースを取り付け、専用のジョイントで固定する | が、付属のジョイントは実家の水道の蛇口に会わなかった…… | 応急処置で針金を使ってホースを固定した。ただし、水道は全開の状態で使用するため、本来は専用のジョイントを使用するのがベター |
付属の高圧ホース。高圧の水を扱うだけあってホースは頑丈で、表面は固い | 本体裏面の吐出口にホースを取り付ける | 高圧ホースを取り付けた様子 |
高圧ホースをガンに取り付ける。水はこのガンで噴出を調整する | ガンの中央部分に設けられている高圧ホース取り付け口。赤いハンドルでホースの着脱を調整する |
本体には2種類のノズルが付属する。これらのノズルはガンの先端に取り付けて使用する | ガンの先端部分 | ノズルとガンの接続部分 |
■まずは洗車で、お手並み拝見
ノズルを取り付けた状態のガン。使用前に必ず、レバーを引いて中の空気抜きを行なう |
組み立てが終わったところで、今度は実際の使用準備だ。まずは、水道の蛇口をひねって、つぎにガンの安全ロックを外しレバーを握り、中の空気を抜く。ここまでやってから初めてコンセントを入れ、本体のスイッチをONにする。あとはガンのレバーを握ればノズルの先端から、高圧の水が噴き出す。とかなり細かく説明したが、この手順は絶対に守るようにしたい。特に最初に水道の蛇口をひねるというのは使っているうちに忘れがちなところ。また、ホース内部の空気を抜かないままガンのレバーを握ることは、故障の原因にもなるというので、必ず確認しよう。
また、何度も言うようだが、この製品の水圧は9MPa。使うときは、必ず周りを確認して、特にお子さんやペットなどはそばに近づけないようにしよう。
と、ここまで準備、確認したところでさっそく使ってみよう。まずはちょっと薄汚れた父親の愛車掃除から取りかかった。指示通りの手順を踏んで、いざ、レバーを握ってみると、「ブワーッ」という音と共にすごい勢いの水が先端から噴き出した。車の窓ガラスが割れちゃうんじゃないか、とちょっと心配になるくらいの勢いにまず驚いた。これはちょっとした洗車場の設備ぐらいの水流がある。
まずは父の愛車を洗車しよう。青なのでややわかりにくいが、泥やホコリがついている | 側面の泥よけ辺りも汚れている | さっそく、洗浄開始! すごい勢いの水がガンの先端から噴き出してきた |
ターボノズルで洗車している様子 |
組み立ての際にも説明したとおり、PW1700XSPでは2種類のノズルが付属し、3種類の噴射形態を選択することができる。最初に試したのはターボノズル。説明書では、「高圧な水が回転しながら噴射され、効率的な洗浄ができます」とある。実際に水流を見てみると、勢いがすごすぎて、回転しているかどうかまではなかなか確認できない。ただし、車体に水流を向けてみると、その勢いで泥や、汚れがみるみる落ちていく。なるほど、高圧洗浄機ってこうやって使うものなのか――と改めて認識した瞬間だった。
水流の勢いがスゴイ割に手元がぶれず、疲れを感じない |
次に、感心したのが、勢いの割に手元に反動が来ないということ。確かに手元を確認しながら、しっかりとガンを持っている必要はあるが、しばらく持っていても、疲れるとか、力を入れすぎて手が痛くなるというようなことはなかった。機能はかなりダイナミックだが、これならば女性でも充分使いこなせるだろう。
次にノズルをパリアブルノズルに交換して、水流を替える。バリアブルノズルでは先端を回すことで噴射角の切り替えができる。先端部分を覗いてみると、仕組みは意外と単純で、金属の板で水流を調節しているようだ。水流の種類は「拡散」「直噴」の2種類。拡散では、水が扇形のように広がるので、広い面を一度に洗浄したいときや、庭や畑などの水やりに便利。直噴では、名称どおり、水が一直線に勢いよく噴射される。一部を集中的に掃除したい時に便利だ。
拡散の設定にしたバリアブルノズルの先端 | 直噴の時は真ん中にすき間が出来ている |
まずは、直噴で、汚れが気になるタイヤのホイール部分を掃除。ターボノズルを使った時とは、まず音が違う「ブワーッ」というよりも「ゴー」といった音。まさに一直線に狙ったところに水がいく。ホイール部分など細かい場所を掃除するにはうってつけといった感じ。ここでもやっぱり、操作のしやすさが光った。すごい勢いの水が自分の思うままの場所にきちんといくので、使っているときのストレスがない。
直噴でタイヤのホイール部分の汚れを集中的に落とす。水は一直線で、狙った汚れを逃さない! といった感じだ | 洗浄後のホイール。溝や縁部分の汚れまですっきりと落ちた |
最後に、拡散で車のフロント部分の汚れを洗い流す。幅広い面に一度に水流を向けることができるので、ガンをほとんど操作しなくてもあっという間に汚れが落ちていく。小型車のフロント部分ならちょっと角度を変えるだけですぐに洗浄できる。
拡散に設定して車のフロント部分を一気に洗浄する | 水は扇状に噴出している |
3つの水流をそれぞれ試してみて、洗車に一番向いているは、最初に試したターボノズルだと感じた。ターボノズルでは、水に回転をかけているため、車体に水を掛けたときに表面で水流が起こり、汚れが巻き込まれるような気がするのだ。特に汚れが付きやすい、タイヤの泥よけ部分などの汚れもすっきりと落ちた。
■拡散でタイルの汚れを落とす
拡散で玄関前のタイルを洗浄 |
拡散で洗車しているときに、ふと目に入ったのが我が家の玄関の入り口のタイル部分。泥や、細かいゴミなどでかなり薄汚れた印象になっている。これは、水の勢いで落とせそう、とさっそくタイルに、ガンの先を向けて掃除を開始。
ここで見逃せないのが本体の移動のしやすさ。本体重量は7kgあるが、キャスターがついているお陰で、ちょっとした移動が楽に行なえる。操作性のみならず移動も楽にできるというのは、女性には嬉しいポイントだ。
結果は一目瞭然。泥やゴミなどを洗い流してすっかりピカピカになった。玄関の入り口ぐらいのスペースならば、それこそ3分ほどで汚れを洗い流すことができる。ただ、忘れてはならないのは、洗い流すことはできても、ゴミは消えないということ。水の勢いで、場所を移動させるだけなので、そのあとにゴミの処理をするのを忘れないようにしたい。
洗浄前。泥やゴミで汚い感じになっている | 水の勢いで泥やゴミを一気に洗い流してすっかりきれいになった |
■直噴の勢いで、高い場所の掃除をしよう
次に、目をつけたのは家の壁。築20年にもなると、壁もだいぶ汚れてくる。山の麓に立っているような実家では、特に虫や蜂の巣が目立つ。特に蜂の巣は根がしっかりしており、一度駆除してもその後がくっきりと白壁に残ってしまっている。高い場所に作られるものなので、簡単に掃除もできず、そのままになっていた。
外壁の隅の方には、虫が巣を作った後が目立つ | 特に厄介なのが蜂の巣のあと。ちょっと位の水流ではまず落とせないほど、しっかり根を張っている |
そこで活躍するのが親孝行娘と高圧洗浄機のコンビというわけだ。一直線に水が噴射する直噴の勢いでしつこい汚れを落としてみよう。
さっそくノズルをセットして、レバーを引く。この時に注意したいのは、あらかじめ、目標位置にガンを向けた状態でレバーを引くということ。拡散やターボノズルならまだ、水の勢いも一点に集中しないが、直噴の場合はヘタをしたらガラスでも割りかねない勢い。特に家の壁などを掃除するときはしっかりと狙いを定めたい。
さて、結果はというと、予想通りというか、当たり前というべきなのか、約2mほどはある壁までしっかりと水流が到達して、汚れがどんどん落ちてくる。蜂の巣なのか、泥なのか、なにやら黒い液体がだらだらと垂れてきて、おもわず目をそらしたくなったほどだ。
2m近い高さのある場所でも、しっかり水の勢いが届く | しばらく立つと何やら黒いドロドロとした汚れが落ちてきた…… | 途中くじけそうになりながらも、なんとか最後まで洗浄終了。これには父が大喜びだった |
「高圧洗浄機? ホースで充分じゃん」と思っていた方。断言しよう、ホースでいくら先をすぼめてもこうはいきません。ここまでの高さをこれだけの威力を保てるのは高圧洗浄機ならでは。気になっていた汚れがすっきりと落ちて父も上機嫌だった。
■片付けはやっぱりちょっと面倒かも
洗車、玄関前のタイル、壁掃除。と、ここまでやって実質的にかかった時間は、40分ほど。まぁ家の壁については、気になる2箇所ほどをやっただけなので一概には言えないが、普段掃除できない場所をスッキリ掃除できたので満足度はかなり高い。
と、ここからは片付けの時間だ。やはりというか、想像通り、片付けはちょっとめんどくさい。毎日のように使うというならまだしも、たまに使うという用途では、水道の蛇口からそのたびにホースを取り外す必要があるからだ。また、本体とガンをつないでる高圧ホースも取り外して、完全に乾かしてからしまうようにとある。
また、部品も多いので管理もしっかりとしたいところだ。
■郊外のおうちや農作業、ガーデニングに
今回レビューした以外にも用途はまだまだ考えられそう。女性でも使える汎用性も大きな魅力だ |
用途や、パワーを考えると、誰にでも勧められるという製品ではないが、高圧洗浄機ならではの使い途というのは、いくつかありそうだ。実際、うちの父親は意外なほど食いついて、訪ねてきた知人にも自慢げに説明していた。
うちの実家のように、車やバイクを所持、持ち家、庭ありというような条件ならば、いくつも使い途は考えられそう。農作業用の本格タイプと比べるとパワーは劣るだろうが、その分3万円以下で買えるという価格も魅力。女性でも使える汎用性も見逃せない。更にブラック&デッカーではこのほかに2万円以下の普及クラスも揃えている。
家の壁やタイルなど自分1人で掃除しようとするとかなりの重労働で時間もかかる。作業の効率化を図りたいという人には、ぜひ注目してもらいたい製品分野だ。
2009年5月29日 00:00