家電製品ミニレビュー
エレクトロラックス 「KaffeTe」
KaffeTe(カフェテー) オーシャンブルー |
仕事中でも、コーヒーや紅茶は毎日欠かせない筆者。カップがカラになれば、キッチンのコーヒーメーカーでおかわりし、また仕事場に戻るという行為を毎日繰り返している。コーヒーだけならこれだけで済むのだが、紅茶を作るとなると、ポットを用意し、お湯を沸かす……など、さらに手間がかかってしまう。
そこで今回は一台でコーヒーも紅茶も楽しめる製品を試してみようと、エレクトロラックスの「KaffeTe(カフェテー)」を購入した。価格は約1万円と、一般的な製品に比べると高価ではあるが、結論を言えば、それに見合うだけの便利さが実感できた、大変魅力的な製品であった。
メーカー | エレクトロラックス |
製品名 | コーヒー&ティーメーカー KaffeTe(カフェテー) |
型式 | ECM1000 (オーシャンブルー) |
希望小売価格 | 10,500 円 |
購入店 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 10,500 円 |
カフェテーは全部で3色のバリエーションがあるが、今回は深い海の鮮やかな色をイメージしたという“オーシャンブルー”を選択した。このほかに、カカオ豆の色をイメージした“チョコレートレッド”、たくましい大地の色をイメージした“ストーングレイ”もある。どれもナチュラル・アースカラーを採用している。ちなみに「カフェテー」という名前は、スウェーデン語でコーヒーを表す"Kaffe(カフェ)"と、紅茶を表す"Te(テー)"が一緒になったのが由来だという。
●「A4サイズ用封筒」に置けるほどコンパクト。使用手順を考えたパーツも魅力
カフェテーの特徴は、最大の特徴は、給水タンクが表に出ていることだ。普通のコーヒーメーカーの給水タンクは、本体内部に埋め込まれていたり、材質や色を変えている場合が多く、どちらかというとあまり表に顔を出さないような扱いである。しかしカフェテーは、給水タンク部もグラスジャグと同じようなデザインとなっているため、どの方向から見ても常にスッキリとした印象が楽しめる。
本体サイズは、グラスジャグ(コーヒーサーバー)の取っ手などの突起部を含んで280×127×210mm(幅×奥行き×高さ)。しかし底面積は237×125mm(幅×奥行き)と小さめで、A4サイズの封筒(長形3号。235×120mm)が隠れる程度。設置面積がとてもコンパクトなので、仕事用デスク上や、テーブル上に置いても邪魔にならない。ちなみに消費電力は450W、給水タンクの容量は約450mlとなっている。
正面図。グラスジャグと給水タンクがほぼ同じ形で並んでいる。正面の赤いスイッチが電源 | 背面からは電源コードが飛び出している |
給水タンクのある右側面。給水タンクもグラスジャグもほぼ同じ形状をしたガラス製で、とてもスマートな印象 | 上からみても必要最小限のパーツが見えるだけ。とてもシンプル |
給水タンクのフタには窪みがある。抽出した後、コーヒーフィルター(画像左)もティーフィルター(画像右)をジャグから外すのだが、その窪みに安定して置く事ができる。素晴らしいアイデアだ |
たとえば抽出後、取り外したコーヒーフィルターまたはティーフィルターが安定して置けるよう、給水タンクには窪みが用意されている。またグラスジャグの底部分は、熱伝導が良く保温しやすいステンレス素材だったりする。さらに本体には、底面には滑りにくいゴムが4カ所ついており、グラスジャグの抜き差しをしても本体がずれにくく安定感がある。シンプルに見えて、実はしっかりと便利な機能が備わっているのである。
左側はコーヒー専用フィルター、右側が紅茶(お茶)専用フィルター。どちらも洗えば何度でも繰り返し使えるパーマネントタイプのフィルターだ | グラスジャグは、取っ手とグラスの間に十分な隙間があり、手に馴染みやすい。またグラス上部はプラスチック、底は熱伝導の良いステンレス製で耐久性が向上している | グラスジャグの開口部は75mmと大きめ。手を底まで入れて洗える |
給水タンクのフタは取り外せる。透明なガラス製なので、水の量も一目ではっきりわかる | 付属するメジャースプーンは、コーヒーと紅茶の両方で使用するため小さめ | グラスジャグを保温プレートから外すと電源が自動的に切れ、抽出中ならお湯も止まる仕組みとなっている |
●コーヒーの抽出はごく一般的。飲みやすい温度にできあがる
では、実際にコーヒーを淹れてみよう。抽出手順は一般的なドリップコーヒーとさほど変わらない。タンクに適量の水を入れ、フィルターにコーヒーの粉を入れ、電源スイッチを入れればグラスジャグにコーヒーが抽出される。ただし、紙フィルターは使用せず、また、グラスジャグにフタをしてきちんと保温プレートに乗せないと電源が入らない仕組みになっている。
粉とフィルター、水を用意して電源スイッチを入れると、コーヒーの粉に均等にお湯が行き渡るよう、ドリップレバーの先の1カ所からお湯が出てくる。450ccの量なら5分30秒程でコーヒーができあがる。
コーヒー粉をフィルターに入れたら、フィルターの6カ所の切り込みにあわせて、グラスジャグのふたをセットする | フタをしたフィルターを、そのままグラスジャグに差し込む | そして、グラスジャグを本体にセットする。下の写真のように、ドリップレバーがきちんと持ち上がっていれば正しくセットされている |
カフェテーのプラスチック部分は拭き取りやすいツルツルな仕上げ(写真上)。ジャグのフタは頻繁にドリップレバーと擦れるため、キズの目立ちにくい梨地仕上げになっている(写真下)。余談であるが、こんなところにもデザインの良さを感じてしまった | コーヒーの抽出が終わったら、グラスジャグのフタをしたまま、フィルターだけを給水タンクのふたの上に置き、コーヒーをカップに注ぐ |
今回はローストの浅い酸味が若干あるすっきりとした味わいの豆を使用。抽出中から部屋に良い香りが部屋に広がった。できあがったコーヒーも期待通りマイルドでコクがあり、さわやかな酸味も感じられておいしい。タンクには25℃の水を使用したのだが、抽出直後のコーヒーの温度は75℃ととても飲みやすい温度だった。できあがりの温度がとても飲みやすいこともあって、ついついもう一杯と手が伸びてしまった。
抽出したコーヒーを保温する際には、グラスジャグにふたをする必要がある。というのも、ふたをせずにグラスジャグを保温プレートに戻しても電源が入らないからだ。もちろん、コーヒーは保温し続けると味も香りも落ちてしまうので、長時間の保温は避けておこう。
保温するためには、電源を入れたままの状態で必ずグラスジャグにフタをする。通電させるためにドリップレバーを上げなければいけないからだ | こちらはフタをしないで本体にセットしたところ。この場合、ドリップレバーが下がったままなので、保温ができない |
ちなみに我が家のキッチンに置いてある、10杯まで抽出可能な大型コーヒーメーカーに450ccの水を入れ抽出したところ、3分50秒で保温状態になった。でき上がり温度は74℃と、カフェテーとほぼ一緒。小型機種と大型機種を比べるのはフェアではないが、カフェテーは抽出速度が遅めだ。
この差は消費電力にある。我が家の大型コーヒーメーカーの消費電力は1,000W。一方のカフェテーは450W。つまり、カフェテーは消費電力が低い分、ゆっくりとコーヒーを抽出するタイプと言っていいだろう。
遅いからといっても、コーヒーメーカーの場合はデメリットとはならない。コーヒーはゆっくりと85℃位のお湯で抽出すると、コーヒーの甘さとコクを引き出すと言われているのだ。できあがったコーヒーがおいしく感じられたのはそのせいかもしれない。
1杯 (112.5 cc) | 1分36秒 |
2杯 (225 cc) | 2分55秒 |
3杯 (337.5 cc) | 4分03秒 |
4杯 (450 cc) | 4分55秒 |
完成時(保温状態になった時) | 5分30秒 |
●紙フィルターは禁止……でも淹れてみたい!
できあがったコーヒーは、味は問題ないのだが、実は見た目には納得がいっていない。というのも、ペーパーフィルターよりあきらかに目の荒いパーマネントフィルターを使用しているため、コーヒーが若干濁ってしまうのだ。パーコレーターで淹れたコーヒー程ではないものの、注いだコーヒーの表面には薄い油膜が浮いている。カップの底に細かな粉も残り、最後の一口が少々ざらついてしまう。ストレートで飲む場合、ちょっと気になる人もいるかもしれない……いや、正直に言うと筆者はとても気になってしまった。ついでにいえば、ペーパーフィルターのように、かすをフィルターごとポイッと捨てられないのもわずらわしい。
付属のフィルターでも十分おいしいのだが、紙フィルターに馴染んでいる筆者にとっては、もう少し見た目に透明感が欲しいと思ってしまう | フィルターは丸洗いでき、何度も使えるのは便利だ。しかし、かすがどうしてもフィルターに残り、洗う際にシンクを汚してしまう煩わしさがある |
実はカフェテー、紙のフィルターには対応していない。取り扱い説明書にも「ご注意」として「本機に付属のコーヒーフィルター以外は使わないでください。ドリップされたコーヒーがあふれ、故障の原因となります」とハッキリと記されている。
しかし、せっかくならカフェテーでも満足するコーヒーが飲んでみたい。どうしてもペーパーフィルターをセットし、コーヒーを淹れてみたい欲求が頭をもたげてしまったのだ。……というわけで、ここであくまで自己責任のもと試してみようと思う。
1~2杯用のペーパーフィルターをフィルターに軽く押し付けながら成型すると、いとも簡単にピタリとはまった |
カフェテーの前にドッカと座り、もし溢れ出るような事があったらすぐに電源を切れるよう体勢を整えて電源を投入。コポコポという音とともに抽出が始まった。大丈夫だろうか……と緊張していたが、粉があふれる事もなく、こちらの心配をよそに、全く穏やかにコーヒーが抽出されたのだった。
結果、見事に透明感のあるいつものコーヒーができあがった。舌触りもスムーズで、とてもおいしい。カップの底に細かな粉も残らず、最後の一滴までおいしくいただけた。そして後片付けは、コーヒーのかすがペーパーごとポイッと捨てられるのでやっぱり楽だった。
なぜペーパーフィルターを使っても大丈夫だったのか。これは恐らく抽出のスピードが関係しているからだろう。一般的な2~5杯のコーヒーメーカーの消費電力は500~650Wのものが主流に対し、このカフェテーの消費電力は450Wと消費電力が低め。そのためか、最大450ccの場合も、5分前後かけて比較的ゆっくりと出てくる。中挽き以上の豆を使用するのであれば、ペーパーフィルターを通して抽出したとしても、出てくるお湯がその速度に追いつくことはなかったようだ。
とは言っても、これはあくまで筆者の条件であって、使用する豆やフィルターによっては溢れてしまうかもしれない。紙フィルターを使う際はあくまでも自己責任の上で、ということを付け加えておきたい。
●紅茶もハーブティーも緑茶もOK。茶葉によってフィルターを上げるタイミングに注意
コーヒーについてはこれまで。次に紅茶を淹れてみよう。用意するものは水と茶葉。茶葉は付属のメジャースプーンで計量し、最小量の112cccの場合は0.5杯、最大量450ccの場合は2杯入れると説明書にあった。
抽出手順はコーヒーとほぼ同じ。唯一違う点は茶葉用のフィルターを使うことぐらいだ。コーヒーフィルターと同じように、ティーフィルターも給水タンクのふたにある窪みに置く事ができる。保温に関してもコーヒー抽出時と同じ扱いだ。保温状態になったら、グラスジャグを本体から取り出し、フィルターを軽く振って取り出す。フィルターを持ち上げて水分をよく切ってから、給水タンクのふたにある窪みに置いておく。これで完成だ。
ティーフィルターは、フィルターの底がグラスジャグの底に届くぐらい深い | お湯が徐々に溜まり、フィルター内で葉が浮き沈み(ジャンピング)している | 抽出後の茶葉。葉がしっかりと開いているのがわかる |
でき上がった紅茶は香味が非常に良く、見た目も透明感があってとてもおいしい |
アドバイスとしては、葉は大きめで、蒸らし時間の長いものを使用すると良いだろう。というのも、水タンクいっぱいの450ccを入れた場合、できあがるまでが約5分と長い。そのため、フィルターを上げるタイミングが遅れると、葉の小さいタイプではストレートでは渋すぎる紅茶ができてしまう。逆に言えば「渋めの方が好き」という人は、葉の小さいものは合うだろう。お好みの茶葉、葉の量、濃さを調節し、自分の好みに合った味を探すのも楽しい。
また紅茶以外にもハーブティーや緑茶も楽しむ事ができる。ハーブティーの場合なら、茶葉の量は多めがオススメ。メジャースプーン2杯で作ったところ、少々物足りない味になったので、その倍入れても良さそうだ。抽出後も保温しておけば、じっくり蒸らす事ができるので、おいしいハーブティーが楽しめる。
反対に緑茶の場合は、茶葉の量は少なめでも大丈夫。メジャースプーン1杯の茶葉だけで作ってみたが、とてもおいしかった。もともと緑茶は少し低めの湯で抽出するもののため、緑茶独特のすっきりとしたほのかな甘みが引き出されたのだろう。
後片付けはティーポットで紅茶を淹れる時とほぼ一緒。フィルター内の茶葉を捨て、取り外しのできる部品を水洗いする。乾いたら本体に戻して完了だ。
●仕事場でもベッドサイドでも……カフェテーは生活に新しいスタイルを運ぶ
カフェテーで一度にできるコーヒーや紅茶の量は、普通のコーヒーカップなら3杯強、マグカップなら2杯分。2人以上で楽しむには少々物足りないため、主にパーソナルユーズとしての使用が向いているだろう。デザインの良さを考えると、デスクやテーブルの上、窓辺の棚、はたまたベッドサイドなど、目に触れやすい場所にこそ置くべきかもしれない。
キッチンで大量のコーヒーまたは紅茶を作ったものの、時間が経過して味が落ちてしまい、それを注ぎに何度もキッチンを往復する……というのは、もはや過去のスタイル。今では、カフェテーを仕事部屋に置き、新鮮でおいしいコーヒー/紅茶を味わっている。コポコポと音を発しながら徐々にでき上がってゆく過程は見ていても楽しいし、抽出中は仕事部屋に良い香りが漂い鼻をくすぐる。カフェテーを仕事場に持ち込んでからと言うものの、ますますコーヒーや紅茶を飲むことが楽しくなった。その日の気分で、コーヒーのほか、好きなお茶をより気軽に楽しめるというのも嬉しい。
「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」という五感に喜びを与えて、新しいライフスタイルを提案するもの――ちょっと大げさだが、それが筆者にとってのカフェテーだ。
2009年 5月 27日 00:00