家電レビュー
象印のホーロー調理鍋は手作りと自動のいいとこ取り! 直火で焼き目つけられる
2025年4月18日 09:05
象印マホービンから、新しく「ホーロー電気調理なべ EL-NS23」(直販価格65,780円)が発売されました。特徴は、内鍋にホーロー鍋を採用し、直火での調理が可能なこと。特に、食材を炒めて香ばしさやうまみを引き出せる「焼き煮込み」コースを搭載している点が魅力です。さらに、アプリと連携することでレシピ検索が便利になり、日々の食事作りをサポートしてくれます。
試作機をお借りして実際に使ったところ、「自動の手軽さ」と「直火の美味しさ」を両立できる鍋だと感じました。詳しい感想をレポートします。
脂質を抑えたレシピなど、アプリ検索が便利
EL-NS23は、じっくり煮込みが得意な電気調理鍋です。かき混ぜ機能や圧力機能はありませんが、単なる煮込み鍋ではなく、直火で炒めてから煮込む「焼き煮込み」や、蒸し料理、炊飯、低温調理、ジッパー付き食品保存袋を使った「パック調理」など、多彩な調理に対応しています。
「いつものカレーを、よりスパイスの香りが効いた味わいに」「煮込みの肉にも、焼き目を付けたような香ばしさがほしい」といった要望に応えてくれる製品といえそうです。
本体サイズは28×30.5×23cm(幅×奥行き×高さ)で、最大調理容量は2.3L。最大6人前を調理できるサイズです。セット内容として、本体、ホーロー鍋、ふた、パックホルダー、パックホルダーカバー、計量カップ、レシピブック、パック調理ガイドが同梱します。
この調理鍋の大きな特徴のひとつがアプリによるレシピ検索。アプリでは、食材・ジャンル・栄養素・気分・調理時間などの条件からレシピを検索でき、自宅にある食材に合わせてメニューを考えられるのもポイント。栄養素に注目してレシピを探せるため、体調管理をしたい時の献立作りにも役立ちます。例えば、タンパク質をしっかり摂りたい時や脂質を抑えたい時など、目的に合わせたレシピを簡単に見つけられます。
冷蔵庫に入っている食材で絞り込むときも、イラスト付きのカードから選べるので直感的に使えます。鶏肉といっても「鶏ささみ」「鶏手羽元」「鶏ひき肉」など細かく分かれているので、より冷蔵庫の現状に合わせてレシピを選択できます。
操作は本体のパネルからも可能ですが、アプリの方がスムーズにレシピを選べるため、スマートフォンの操作に慣れている人にはアプリ利用がおすすめです。本体のボタンを何度も押す必要がないので、手軽にレシピを検索できます。
食物アレルギーのある人にも配慮されている点も特徴です。アプリを使うと、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の特定原材料8品目を登録でき、該当する食材を含むレシピを検索結果から除外できます。毎回レシピを見ながら細かくチェックする手間が減るので、食物アレルギーを持つ家族がいる家庭には特に便利だと感じました。
「焼き煮込み」コースで香ばしさアップ
一般的な自動調理鍋は、食材を入れてスイッチを押すだけで煮込み料理が作れるのが魅力ですが、「炒める」「焼き目をつける」「スパイスやにんにくの香りを立たせる」といった工程は、高い火力が伝わりやすい直火調理の方が向いていました。EL-NS23は、そんな自動調理鍋の苦手な点を補うため、ホーローの内鍋を採用することで直火調理を可能にしています。
最初に食材に焼き目をつけると、香ばしさが増し、見た目からして美味しそうに仕上がります。スパイスやにんにくの香りも引き立ち、より深みのある味わいに。焼き加減や煮詰め具合は自分で調整できるため、仕上がりを好みに合わせられるのも嬉しいポイントです。その後の煮込みはEL-NS23に任せられるので、火加減を気にする必要がなく、ほったらかしで煮込み料理が完成します。
ハウス食品のザ・カリーを使った専用メニューも用意。タマネギと肉を先に炒める工程があるため、タマネギを好みの具合まで炒めることもできます。スパイスの香りを引き出す加熱方法で、風味豊かなカレーが作れました。
ただし、ホーロー鍋はずっしりと重く、持ち手がないため、直火調理後に本体へセットする際はミトンが必須です。この点は少し扱いづらいと感じましたが、使い慣れれば問題ありませんでした。
また鍋はフッ素コーティングではないため、直火の場合、加熱の仕方によっては焦げ付きやすくなります。ガスコンロで使う鍋と同じように、火加減を調整しながら炒めると失敗しにくいです。なお、食器洗い乾燥機の使用はできません。
煮魚やゆで卵も簡単に
調理時間が30分以内のレシピで重宝したのが「いわしの梅煮」。鍋にいわしをならべ、ショウガや調味料をかけてセットすれば約30分で完成です。
煮魚は、パサパサになったり煮詰めすぎたりすることがありますが、本機はシンプルに材料を入れてスイッチを押せば出来上がるのでラク。落とし蓋も不要です。
味は美味しいのですが、骨は口に残ります。圧力鍋で作った時のように骨ごと食べられる……とまではいかないため、避けながら食べました。
半熟卵もできます。卵は室温に戻してから使いますが、おまかせで8個まで半熟卵が同時に作れるので(総調理時間は15分)、味付け卵の作り置きや朝ご飯に重宝しました。
また、蒸し料理もできるのでホットサラダや肉まんのあたためなどにも重宝します。
洗い物が減る「パック調理」
EL-NS23には、市販のジッパー付き食品保存袋(大きさ、耐熱温度に指定あり)を使って調理できる「パック調理」コースがあります。食材と調味料を袋に入れてセットすれば、湯煎でじっくり加熱できるため、ローストビーフなどの低温調理にも最適。袋ごと調理できるので、出来上がったら盛り付けて袋を捨てるだけ。洗い物が少なくなるのが嬉しいポイントです。
特に便利だったのがポテトサラダ。じゃがいも、たまねぎ、ベーコンなどを袋に入れてセット。調理時間は85分間で、終わったら袋の上から好みの大きさにつぶし、冷めてからマヨネーズやきゅうりを加えて仕上げます。マヨネーズで汚れた袋もそのまま捨てればいいので、後片付けがとてもラクでした。
パックホルダーがセットできる範囲なら、2種類の料理を同時に作ることも可能です。ただし、調理時間が異なるレシピを組み合わせると、先にできた料理を取り出す手間が発生するので、同じ時間のレシピを選ぶのがポイントです。
冷凍保存したものも凍ったまま調理できます。その場合は、調理時間が少し長くなります。今回作った「かぶとひき肉あんかけ」の場合、15分くらい長く調理しました。
鍋ごと保存&直火で温め直しが可能
EL-NS23のホーロー鍋は、そのまま冷蔵庫で保存でき、温め直しも直火で可能です。特に、カレーやシチューは電子レンジで温めるとムラができやすいですが、直火なら混ぜながら温められるので、最後まで美味しく食べられます。
ごはんは炊けるけど、こびりつく
ごはんも炊けます。ただ、象印の炊飯器のような歯応えと甘みが魅力的なご飯ではなく、少しかための口当たりのあっさりとしたご飯です。また、炊いた後はごはんがこびりつくので洗い物がちょっと大変です。メインの炊飯器というよりは、サブ的に使うほうが向いていると思いました。
レシピの相談ができる自動調理鍋。時短よりもひと手間を重視
本機は使いやすいアプリが便利でした。今はできませんが、アプリでレシピを検索する際、苦手な食材や代替食材の提案などをしてくれるようになるといいな、と期待しています。
また、調理法からもレシピを検索できるようにしてほしいと思いました。というのも、パック調理を2品同時に作る場合は、2品の調理時間が同じレシピの方が効率良く作れます。現状ではレシピブックで同じ時間のレシピを探して作っていますが、「パック調理」で検索できて、さらに調理時間で絞り込めたらもっと活用できそうです。「蒸し料理をしたい」などという時にも目当てのものがすぐ見つけられます。
ほかには、食材のところで調味料(例えば、スイートチリソースなど)が選べると、使い慣れない調味料に挑戦した時も残さず使えそうです。こちらも今後実装されるといいなと願っています(ちなみに「調味料」という選択肢はありますが、これは塩麹や白みそを作るためのものです)。
EL-NS23は、「自動調理鍋の便利さ」と「直火調理の美味しさ」を両立させた調理鍋です。手軽に本格的な煮込み料理を作りたい人、洗い物を減らしたい人はもちろん、アプリを使って、残り物や調理時間、摂りたい栄養素など自分の状態と環境に寄り添った提案をしてほしい人にとって、魅力的な製品だと感じました。