趣味の節電道入門

第7回:節電扇風機のライバルは待機電力とスマホ!?

 夏場、エアコンの使用をなるべく減らして扇風機ですごす。もはや定番・常識レベルの節電対策だろう。エアコンの消費電力が数百~1,000Wなのに対し、扇風機は数十Wと、おおよそ1/10以下なので、実際に節電効果は高い。もはや枯れた家電と思われていた扇風機だったが、2011年以降、各メーカーから続々と新製品が投入されたのもご存じの通りだ。

 そして、省エネタイプの扇風機のパイオニアと言えるのが、バルミューダの「GreenFan」シリーズである。フルモデルチェンジされた最新モデル「GreenFan Japan」を購入したので、その節電性能を測定してみた。

バルミューダ「GreenFan Japan」。色はホワイト×グレーを選択。ポールの中央を取り外すとショートサイズの扇風機となる。デザインは、アウディのデザインを手がけたカー&プロダクトデザイナーの和田智氏が監修
内側の羽根が遅い風を、外側の羽根が速い風を発生させ、それがぶつかることで、自然と同じ「大きく面で移動する風」を作り出す。風が届く距離も最大で15mと従来の扇風機よりも長い

 「GreenFan Japan」の価格は37,800円(税込)。かなり“いいお値段”である。量販店の扇風機などでは、安いものなら3,000円を切る製品もある。その価格差は10倍以上。正直、節電を趣味としていなければ、買うことはなかっただろう。

 最小消費電力は1.5W。初代「GreenFan」の最小消費電力4Wから半減している。だが、「GreenFan」は節電のために開発された製品ではない。自然界の気持ちの良い風を再現することが、第一の目的だ。

 従来の扇風機の風は、羽根の回転に合わせて渦を巻いた状態で送られてくるのに対して、「GreenFan」では自然の風のように大きく面で送られてくる。これを実現したのが、内側と外側二段構造になっている独自の羽根「グリーンファンテクノロジー」であり、優しい風は身体を疲れさせることがない。発売された5月からたまに使っているが、とくにそよ風のような微風が気持ちいい。音もほとんどしないレベルだ。

 運転音は最小13dB。バルミューダの寺尾社長は、発表会の場でこの数値を「蝶2羽の羽ばたきと同程度」と説明していたが、これまで生きてきて蝶の羽ばたく音を聞き取ったことはない。まあ、蝶の羽ばたき音は、耳もとぐらい近くでの数値かもしれないが。

 ともかく、個人的には節電を目的として導入した「GreenFan Japan」だが、これまで気にもとめなかった扇風機の風に対してうるさくなりそうだ。健康と節約を目的に野菜中心の食生活に変えたら、野菜の味にこだわるようになったというような話で、いわば“風グルメ”の誕生である。

「GreenFan Japan」の実消費電力を計測してみる

計測に使用したのは、おなじみサンワサプライの『ワットモニター』。風量を選択し、安定してきたところの数値を記録した

 さて、「GreenFan Japan」の消費電力だが、カタログ等には風量ごとの記載がないので、実際に測ってみることにした。あわせて自宅に前からある扇風機、プラスマイナスゼロ「リビングファンXQS-V110」の消費電力も計測。ともに風量は4段階だが、当然機種により風量は異なる。だが、そんなことはどうでも良くなるぐらいの結果が出た。

・「GreenFan Japan」の消費電力

 最弱での消費電力は公称値(1.5W)を下回る1.3~1.4W。多くの家電の待機電力以下だ。上から2番目の風量5.5Wでも、iPhone充電中の数値(実測6.5W)よりも低い。昔、「モーターを使う家電は消費電力が大きい」と習った気がするが、とんでもない。スマホの充電用に電源を解放しているカフェに扇風機を持ち込んで使ったら確実に怒られるだろうが、「消費電力はスマホ以下なんです」と説明すれば許してもらえるだろうか。

・普通の扇風機

 ちなみに普通の扇風機(プラスマイナスゼロ「リビングファンXQS-V110」)の結果はこちら。もっとも弱い「微風(~)」の消費電力が20Wと、「GreenFan Japan」の最大風量15Wよりも高い! エアコンとの差にくらべれば、電気代に与える影響はしれているが、この数字を見てしまうとねえ……

プラスマイナスゼロ「リビングファンXQS-V110」。購入価格は8,000円ほどだったかと。機能的には普通だが、デザインもコストパフォーマンスも優れた製品だと思う
なぜか白い扇風機(「GreenFan Japan」)のリモコンが黒で、黒い扇風機(プラスマイナスゼロ)のリモコンが白。コンパクトなリモコンは邪魔にならないが見つからなくなる可能性も高い

小口 覺