ぷーこの家電日記

第497回

衝撃的にハマった食材と衝動的に出かけた旅行が最高だった

私は数年に1度、「えー!? これってそんなに美味しかったっけ?」と雷に打たれたように感動する食材に出会う。それなりに長い間生きてきたし、その食材も何度も何度も食べてきたはずでよく知っている味だし、美味しいことも知っていたはずなのに、何が起きたか分からないほどの感動に襲われるのだ。

数年前はゴボウ、そしてさらに数年前はスナップえんどう、食材でなくて料理だと、もう30年以上経つけれど、当時どちらかといえば苦手だったカレーがある日いきなり止まらない程美味しく感じ、それが自分でも不思議すぎて三日三晩何杯もおかわりしながら食べ続けて、親を驚きと困惑に包んだことも覚えている。

そんな感じで、いまだに数年毎に「なじゃこりゃー!」と驚き、大好物になる食べものが発見されて面白い。そして今年また、そんな雷に打たれた系の食材に数年ぶりに出会ってしまった。

それは「芋づる」である。さつまいもの地上に伸びる長い葉っぱの茎部分、それが芋づるだ。元々芋づるは美味しくて好きだった。でも何せ下ごしらえが面倒だし、スーパーなどでは並んでいないので中々食べる機会はない。趣味で家庭菜園はしているけれど、さつまいもを育てると結構場所を取るので、狭い畑で色々な種類の野菜を育てたい私はさつまいもを育てないのだ。

なのでしばらく食べていなかったけれど、ちょっと前に借りている畑にいる時、別の利用者の人がさつまいもの収穫をしていて、ツルを片付けていた。どうせ捨てるならと思い「これ頂いてもいいですか?」と聞くと「好きなだけどうぞどうぞ」と快く答えてくれたので、チョキチョキと芋づるをカットして持ち帰らせてもらった。

あまり欲張っても皮剥くのが大変だしなと思い、理性的な量を持ち帰って、ちまちまと皮を剥いてきんぴらにした。1口食べた瞬間、雷に打たれたような感動で箸が止まらなくなってしまった。「もっと欲張ればよかったー! こんなに美味しいならば根こそぎ持ち帰ればよかったー!」と物凄く欲深く後悔(笑)。あのシャキシャキっとした食感がもう堪らない止まらない。芋づるがどれだけ美味しいかを語っても中々共感してくれる人もおらず、「え? 食べられるの?」と知らない人も多いくらい。

そんな中、農業をしている友人のSNSから芋堀りイベントのお知らせが流れてきた。芋づる欲も最高潮。季節も最高。久々に友人に会いたい!

そんな前のめりな気持ちと勢いで「行きます!」と手を挙げて、芋掘り遠足に行ってきた。大人の遠足は新幹線移動である(笑)。友人は笑って「芋づるにそんな魅力があるとは」とまさかの遠征に驚いていた。もちろん友人に会いたい気持ちが1番で、たまたま芋掘りイベントが開催されるタイミングの良さが私を後押ししたにすぎない。普段からも旅行に出たいなとか、あそこに行きたいなとかはよく考えるのだけれど、何せ出不精な上に不安症。計画立てているだけで疲れてしまうし、日程が近づくにつれて「何で約束しちゃったんだろう」と憂鬱度が増してしまう気質である。なので、逆に前日の勢いと衝動だけで出かけた旅行は不安になる暇もなくて、「楽しい」以外に何もない旅行になった。

東京から新幹線と電車を乗り継いで行ったのは愛知県は渥美半島の先の方。温暖な気候で農業も盛んで海も山もあって本当に素敵なところだ。リュックには畑で使っている長靴と手袋とやる気と乗り気をパンパンに詰めて、ワクワクの遠足。大人と子供合わせて10数人で思いきり芋を掘って、それはそれは楽しい時間を過ごした。私が「芋づるが美味しくて!」とあまりにも熱弁するものだから、ノリの良いみんなも一緒になって芋づるを黙々と集めてくれる(笑)。畑で頂いたお昼ご飯は美味しすぎて何だか泣きそうになっちゃうし、入れてくれたコーヒーも頂いたお菓子も、感動という言葉では表せないくらい幸せだった。

芋掘りが終わった後は、友人とドライブ。久々に会った気は全然しないけれど、初めて見る景色や場所に、自分が今どこにいるのか分からなくなるというか、日常と非日常が入り乱れて本当に不思議な気分。計画性は全く無く、ノリや勢いだけで動いてしまう自分の性格が嫌になることの方が多いけれど、今回で自分のこの気質が悪くないなというかちょっと好きになった。ノリは大事! 勢いは貴重!

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、日も暮れてとうとう帰宅の時間。駅まで送ってもらった後は、また別の友人が待っていてくれて、軽く飲み交わしてから帰路に着いた。体はめちゃくちゃ疲れているのに、楽しすぎて脳みそが元気すぎて車内ではほぼ寝ることもできず、自宅に着いた時は完全に体力の限界で倒れるように寝たのでありました。

翌朝起きてからはひたすらに芋づるの皮剥き。何時間剥いても剥いても減るそぶりを見せない芋づるの量に軽くクラクラしながら、ひたすらに剥いていく。欲の皮をパンパンに突っ張って大きなエコバッグを持って行った私の戦利品である。数時間ひたすらに皮を剥きながら、「この集中力を別の場所で発揮できないものか」と呆れながら、食い意地に勝るものはないのだと自覚する。そして頑張った甲斐もあり、念願の芋づるだけでお腹いっぱいになるほどの芋づるのきんぴらを食べた。

やっぱり衝撃的な美味しさ! これからは大好物の秋の味覚として毎年の楽しみにしたいなと思っているし、また衝動的に勢いで遊びに行きたいなと思っているのであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。