暮らし

[ダウン症児と私49]舌を縫った糸がない!心配をよそに元気すぎるユキト

おじいちゃんやおばあちゃんたちに支えられて、術後を過ごし始めたユキトくんとナナさん。今回は、自宅療養中に起きたハプニングに、状況が分らず慌ててしまったときのお話です。次回の診察は2週間後のはずでしたが、状況が分らず焦りが募ります。

 

手術後でも、食欲旺盛なユキトくん

ユキトの舌の傷は長さ2cmくらいあり、手術で細かく6針縫ってもらいました。手術後ユキトは、おじいちゃんの家に2泊させてもらい、昼間はおばあちゃんたちが、夜はおじいちゃんが徹夜でユキトの手を握って、舌の傷を触らないようにしてくれました。「ユキトは、1度寝てしまうともう起きないし、寝ると手で舌を触ることもないので、そんなにたいへんじゃないよ。それまでも軽く手をつないでいれば、すぐに寝るよ」とおじいちゃんは教えてくれました。そしていよいよ3日目の朝、弟を保育園に送ってから、ユキトを引き取りました。

ユキトは怪我をした日は何も食べられなかったのですが、次の日の朝にはヨーグルトやプリンを、お昼にはお粥などを食べられるようになりました。以前食べていた瓶詰めのお粥を再び買ってきて、手をつないだまま食べさせてあげると、よく食べました。お昼にお粥や柔らかいベビーフードをあっという間に食べてしまったので、晩ごはんは柔らかいごはんとカレーや、くたくたに煮た大根やニンジンのすり潰しを笑顔でパクパク食べてくれたので安心しました。夜も手を握ると、すっと寝てくれました。

 

翌朝、糸がなくなってる!?

しかし自宅へ戻った翌朝、口の中を見てみると舌を縫っていた糸がなくなっているのです。もともとは、術後の経過は2週間後に診てもらう予定だったのですが、このまま2週間も放っておけないと思い、慌てて病院へ話しました。私はすぐにでもお医者さんに掛かりたかったのですが、「熱、出血、痛がる様子がなければ、そのまま自宅で経過を診てください」と言われてしまいました。どうしても心配だったので、何とかお願いして、術後1週間目の日に診てもらうことになりました。あと4日間は、おじいちゃんやおばあちゃんの助けを借りずに、自宅でユキトの手を握って、頑張らなければなりません。

 

長く感じる日々

それ以降、1日1日がとても長く感じました。幸いにも、熱や出血はありませんでしたが、手術後の説明では「どんなに早くても糸が溶け始めるのは1週間過ぎてから」と言われていたのでやはり不安でした。しかし、舌に大きな傷があるものの、ユキトの回復は想像以上に早く、ケガをする前と同じようにごはん食べて、同じように元気いっぱいでした。あまりに元気すぎて、私はハイハイやつたい歩きをしようとするユキトに、手を離さず着いていくのが大変でした。おじいちゃん、おばあちゃんの手を借りながら、なんとか頑張って毎日を過ごし、やっと診察の日が来たのです。

 

再手術はなく一安心、でも複雑な気持ち

わたしは、糸が2日目からなくなり始め、3日後には完全になくなってしまったこと、とても食欲があり、すぐに今までと同じようにごはんを食べられるようになったこと、熱や出血は全くなく元気に動き回っていることを伝えました。先生からは「糸はなくなってしまったけど、傷はふさがりつつあるので再手術はしないで、このまま自然に治るのを待ちましょう」と言われました。再手術をしなくていいと言われたときは、「もうあの辛い思いをさせなくていい」と思ってホっとした気持ちと、「最低1週間は、傷をふさいでおかなくてはいけないと思っていたのに、大丈夫だったのかな?」と、2つの気持ちに揺れ動きました。

次回の通院は1カ月後と診察のなかで言われましたが、早く糸がなくなったことに不安があるのに、次に先生に会えるまでずいぶん時間が空くので心配になり、もう少し早めに受診したいと伝えました。でも、傷の治りが良いので、やはり1カ月後の受診ということになりました。舌をケガして1週間の間は、傷が心配でユキトの歯磨きが全くできていませんでした。そのことを伝え、歯磨きをしてもらってから自宅に帰りました。傷の治りが早いとは言え、自宅に帰ってもやはり手を離せないので、幼稚園、デイサービス、訓練はお休みして、また自宅でユキトと手をつなぐ生活が始まりました。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。