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【二十四節気16】雪が降り、年越し準備が始まる「大雪」
2017年 12月 7日 07:30
1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「小雪」の次は、日ごとに寒くなり雪が降る時季「大雪(たいせつ)」です。今回は、大雪とこの時季に行なう「正月事始め」や「お歳暮」にまつわる風習をご紹介します。外に冬景色が広がり、家族で温かい鍋を囲みたくなると、冬の代表野菜「白菜」が旬を迎えます。
池や川には氷が張り、全国的に冬景色が広がる「大雪」
12月上旬から始まる二十四節気の「大雪(たいせつ)」には、雪が激しく降るころという意味がありますが、日本の平野部では旧暦でもそれほど激しく雪が降ることはありません。実は二十四節気の発祥の地は中国の華北地方。日本の東北北部と緯度がほぼ同じでなので、二十四節気の時節の気候を表す名前は、日本の北部や山間部のような天候から付けられているのです。さらに新暦になり約1カ月早まったため、激しい雪はないものの、朝夕に池や川では氷が張り、霜柱を踏みしめてザクザクという音を楽しめるのが、この時期の特徴です。2017年の大雪は12月7日から始まり、次の節気「冬至」の前日まで続きます。
すすを払って門松立てて、「正月事始め」で年越し準備を
12月に入ると街はクリスマス一色ですが、古くから日本には「正月事始め」と言って、1年の汚れを払い清める「すす払い」や玄関先に「門松」を立てて新しい年を迎える準備を始める習わしがあります。この「正月事始め」は、二十七宿で吉祥日とされる「鬼宿日」が当時の太陽太陰暦で毎年12月13日だったことから、縁起の良いこの日に年神様を迎える準備をするようになりました。一方、神代タケミカヅチノミコトが2月8日に鬼退治に出掛け、12月8日に帰陣したという話から、12月8日が年神様を迎える事始めの日、また2月8日が正月事を納める日とされていたと、明治時代の文献に収められた法令に書かれています。現代では、新暦の12月13日を「正月事始め」とする地域が多いですが、8日を「正月事始め」とする地域も見られます。また京都の祇園には、12月13日に舞妓や芸妓が、お稽古事の師匠やお世話になっているお茶屋へ挨拶に回る風習が残っています。
冬の代表野菜「白菜」の水分をたっぷり摂って風邪予防
この時季に旬を迎える「白菜」は、漬物にして冬の保存食とするほか、火の通りが早いので鍋料理の定番野菜として活躍します。白菜の白い部分にある小さな黒い点々、気になる人も多いのでは?これはカビや病気ではなく、気にせず食べられるもので、ハクサイの生育段階に肥料の窒素を多く吸収したり、寒さなどのストレスを受けたときに出る「ゴマ症」呼ばれるものなのだそう。薬膳では、白菜に含まれる水分は体の冷えを防いでくれると考えられていて、寒い時季に鍋料理でたっぷりいただくのは、理にかなった食べ方なんですよ。
お世話になったあの人へ贈る「お歳暮」
年末が近づくと、日ごろお世話になっている方々へ感謝の気持ちを表す「お歳暮」を贈ります。年末に嫁いだ娘が実家へ、塩鮭、スルメ、数の子、塩ブリ、魚介類の干物などのお供え物を送っていたことが始まりです。お歳暮は、12月上旬から12月25日ごろまでに届くように贈りますが、地方によっては12月13日の正月事始めで家や仏壇がきれいになってから届けるというところも。お歳暮と言うと、年越しや正月に活躍する食品などがですが、かつては鮭やブリなどの出世魚が好まれていました。このうち鮭は「裂ける」をイメージする名前で縁起が悪いため、新しいワラで巻いて清めてから贈られるようになったのが「新巻鮭」です。現在お歳暮は、両親、親戚など身内のほか、仲人、先生、先輩、上司、取引先、知人、友人などお世話になった方に贈るのが一般的です。
まとめ
大雪の期間が過ぎ、平野でも雪の降る日が多くなる12月下旬に次の節気「冬至」を迎えます。二十四節気のなかでもよく知られている「冬至」ですが、初日に当たる日は、北半球では1年で最も昼が短くなります。次回は、冬至の由来と、ユズ湯を始めとする冬至に伝わる習わしについてご紹介します。お楽しみに!