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100均材料で、意外と簡単!「織り機」から作る「手織りのコースター」

「布を織る」と言うと、専用の道具がないとできない気がしますが、単純な仕組みの織り機なら、自分でも作れるんですよ。今回は簡単な「手織り機」とそれを使った「コースター」の作り方をご紹介します。作った織り機は何度でも使えますし、材料も100円ショップで手に入る物がほとんどなので、糸の組み合わせを変えて、自分だけのオリジナルの布をたくさん作ってみませんか。

 

「手織かたそうもく」の活動

鳥取県で、草木染めや型染め、手織りした布を作ったり、その布でポーチなどを作っています。今回ご紹介する手織り機で、今後、毛糸を織ったスマホケースやコードフォルダー、くるみボタンなどの作り方を紹介していく予定です。minneやCreemaで私たちの作品が見られますので、よろしければどうぞ。

 

minne  https://minne.com/@teorikatasm
Creema  https://www.creema.jp/c/teori-katasoumoku

 

準備するもの

織り機(材料と道具)

  • 額縁:1個(1辺が21cm以上の正方形のもの)
  • 釘:80本(頭の直径が3mm以下のもの)
  • PPバンド:幅1.5mm×長さ15cm、3本(梱包用の黄色や白の硬いテープ) 
  • ヘラまたは薄いモノサシ(長さ15cmくらいのもの)
  • クシ(歯が一列でなるべく細かいもの)
  • 金づち
  • ハサミ

 

コースター材料

  • 経糸(たていと):切れにくい糸(今回はタコ糸)
  • 緯糸(よこいと):刺しゅう糸

 

織機の用語では「たていと」を「経糸」、「よこいと」を「緯糸」と書きます。これから説明をするときに使うので、覚えておいてくださいね。今回、緯糸に刺しゅう糸を使いましたが、毛糸やリボンなどどんな糸でもかまいません。慣れてきたら、いろいろな糸で試してみるのも楽しいですよ。

 

額縁を利用して織り機を作る

今回は、額縁を使って手作り織機を作ります。まず、額縁から背板とアクリル板を外して周囲の木枠だけにします。木枠4辺のうち上下の辺に、経糸を掛ける釘を打っていきますので、釘の位置に印を付けていきましょう。木枠の上下の辺に、木枠の幅を3等分する2本の線(写真左上)と、辺の長さの中心へ印を付けます。中心から左右に6cmを測ってそれぞれ印を付けましょう(写真右上)。次に2本の線へ、木枠の中心から6mm間隔で印を付けていきます。このとき上下の線で、印が3mmずつずれて互い違いになるように気を付けましょう(写真左下)。この印に釘を打てば、手織り機の完成です。釘を打つときは、深く打ち過ぎて貫通しないよう気を付けましょう。

今回、織り機の幅は12cmにしました。こうすると、出来上がった布の幅は約10cmになります。手織りでは、織っていると幅が狭くなる「織り縮み」という現象が発生しやすいので、織り機の幅は出来上がりより1〜2割広めに設定します。

 

経糸を張る

織り機に経糸を張っていきます。経糸の端を結んで直径2cmくらいの輪を作り、上辺の1番右の釘へ引っ掛けます(写真左上)。糸をピンと張ったまま、下辺の1番右端の釘に糸を掛け、Uターンして戻り、上辺の右から2番目の釘に引っ掛けます。この作業を繰り返し、下辺の1番左の釘まで来たら、たるまないように気を付けながら糸を結んで固定します。どの糸も同じ強さで張っているのが理想です。

 

PPバンドで経糸を安定させる

次に、ヘラか薄いモノサシで、経糸を1本おきに拾って(写真左上)、経糸をヘラの上下に分けます。端まで拾い終わったら、ヘラをぐっと立てて(写真右上)、上下の糸の間に空間を作ります。この空間にPPバンドを1枚入れ、ヘラを向こう側へ倒して、PPバンド手前へ寄せ、ヘラを抜きます。今度は、さっき拾わなかった方の経糸をヘラで拾っていきます。ヘラの上になる糸と下になる糸が、さっきとは反対になります。これも端まで拾い終わったらヘラを立てて空間を作り、PPバンドを入れて手前に寄せましょう。もう1度ヘラで経糸を拾って、PPバンドを入れます。合計で3枚入りました(写真右下)。 

 

緯糸の準備をする

緯糸は何かに巻き付けておくと作業がしやすくなります。メモ用紙を折ったもの、ダンボール、牛乳パックなど、なんでも良いので、2cm幅くらいの厚い紙に、刺しゅう糸を巻き付けておきましょう。

 

織り始める

織り始めも、PPバンドのときと同じ要領で、ヘラで経糸を拾います。このとき上になる糸と下になる糸は、3枚目のPPバンドと逆になるように拾ってください。端まで拾い終わったらヘラを立てて、空間を作ります。そこへ右から緯糸を入れます(写真左下)。入れたらヘラを倒し、倒したヘラで刺しゅう糸を手前にぐっと寄せて緯糸を詰め、ヘラを抜きましょう。 

 

2段目を織る

2段目では、ヘラで1段目と逆の糸を拾います。ヘラを立てて空間を作ったら、緯糸を左から入れます。このとき、左から入れた緯糸は1段目の緯糸と約30~45°になるようにします。角度を付けることで、織り縮みが出過ぎるのを防ぎます。そして、ヘラを倒して手前にぐっと寄せて緯糸を詰め、ヘラを抜きます。緯糸の角度は、3段目以降も同じ角度に揃えて作業すると、織り縮みが均等になってきれいに出来上がります。

 

2段目と3段目の間で、織り始めの緯糸の端の処理をする

3段目以降も2段目の要領で繰り返します。織り始めの緯糸の端が右側に出ているので、3段目を織るときに、一緒に入れ込みましょう。糸の拾い方でいろいろな織り方ができますが、今回の1本おきの拾い方では、「平織り」が出来上がります。

 

緯糸が詰めきれなかった場合

ヘラだけでは、緯糸が詰め切れず、前の段との間が開いてしまったときは、くしを使って緯糸を詰めましょう。次の段をヘラで拾って緯糸を入れる前に、1度ぐっと手前に寄せても、緯糸を詰めることができます。

 

緯糸の色を変える

緯糸の色を変えるときは、織り始めと同じように行います。それまでの緯糸は、すぐにまた使うのかどうかで処理が変わります。すぐにまた使う予定がある場合、切らずに脇に置いて、新しい糸で次の段に進みます。糸を切らないで違う糸を入れる場合は、緯糸の太さにもよりますが、せいぜい5段以内で元の糸に戻しましょう。もう使わない場合や、しばらくほかの緯糸を使う場合は、4~5cmくらい残して切っておきます。

 

緯糸と経糸を始末する

どんどん織り進んで行って、織った長さが横幅より3~5mm程度長くなったら、織り終わりの始末をします。今回は10.3cmを超えたところで始末しました。始末するのは、緯糸の端と、経糸の2点です。緯糸の端は4〜5cmほどの長さを残して切り、刺しゅう針だけで緯糸の近くの経糸を3~5目ほどすくったあとに、刺しゅう針の穴に緯糸の端を通して、針を引っ張って緯糸を経糸の中へに入れ込みます。経糸は釘近くで切って、4本ずつ一重結びにします。なるべく織った布の近くで結びましょう。

 

仕上げをする

経糸を結び終わったら、経糸の房を好きな長さに切り揃えます。綿素材や麻素材など、水洗いに強い糸を使っている場合は、このあと1度軽く水洗いして乾かすと糸が落ち着きます。毛糸や絹糸を使った場合は、素材にあった条件で水に通しましょう。これでコースターの完成です!

 

アレンジ

製作時間の目安は、織機の製作に30分~1時間くらい、コースターは初めてだと2~3時間くらいです。慣れてくるとコースターなら1時間くらいで作れるようになります。

慣れてきたら、経糸にも刺しゅう糸など色の糸を使ってみたり、糸を2本取りで使ってみたり、布を細長く裂いたものを糸の代わりに使ってみたりと、糸の色・太さ・素材で、出来上がりの雰囲気がさまざまに変化します。今回は単純な平織りでしたが、経糸の拾い方を変えれば綾織りや模様織りなども可能です。織り機の釘の間隔を狭めれば、もっと密な布を作れる織機になり、釘の本数を増やせば広い幅の布が作れる織機になります。いろんな部分をアレンジして、布作りを楽しんでみてくださいね。

 

手織かたそうもく

草木染めをしたり、型染めをしたり、綿や毛を紡いだり、織ったりして、鳥取県の自然を取り入れた布を作っています。機械ではなくて人間の手だからできることってなんだろうな、と考えながらやっています。minneはこちら、Creemaはこちら