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【ダウン症児と私37】進級で後輩をうらやましく思うも、療育を再決意

4歳の春、ユキトくんは幼稚園の年中さんになり、新しく後輩たちが入園してきました。今回は、後輩の子どもたちをうらやましく思いながらも、ユキトくんのペースに合せた子育てに頑張るナナさんへお話を伺いました。この4月から弟のマサトくんは保育園に入園し、ナナさんはユキトくんと2人の時間をいままで以上に取ることができるようになりました。

 

春を迎え、新しいお友だちの入園でお兄ちゃんに

Q.2つ目の福祉幼稚園で新しい春を迎え、幼稚園に変化はありましたか?

A.入園から1年が過ぎ、ユキトは年中になりました。年中と言っても、ユキトの通っている歩けない子のコースは、年齢で区切ってはいないので、いろいろな年の子どもたちが一緒に過ごしています。3月までは2歳年上のお兄ちゃんがいましたが、卒園して小学生になりました。同時に新しい子どもたちが入園して来ました。新しいクラスは7人で、同級生の4歳児が1人、3歳児が1人、2歳児が3人、1歳児が1人です。そのうちダウン症が5人います。

 

小さな子を見て、ユキトくんの当時を思い出す

Q.福祉幼稚園だと1歳児、2歳児の入園もあるのですね。

A.はい。ユキトも最初の福祉保育園では2歳児コースに通っていました。1歳や2歳の子どもたちを見ると、とても小さくて可愛いし、「ユキトにもこんな時期があったな」と懐かしい気持ちになります。子どもたちにはそれぞれの成長ペースがあるので、比べてはいけないと思いながらも、ユキトはダウン症のなかでも成長発達がかなり遅いので、「ユキトは1歳のとき、こんなに体幹がしっかりしていなかったな」「ユキトが2歳のときはこんなに動けなかったな」と、いつもいつも比較してしまう自分がいます。

 

Q.後輩の子どもたちとユキトくんは、どんなところが違っているのですか?

A.歩けないコースへ新しく入ってきたお友だちは、ユキトよりも明らかに成長発達が早く、先生の絵本や紙芝居を見れたり、模倣やまねっこもします。ユキトが目標としていることを、同じダウン症の2歳、3歳年下の子どもが笑顔でやっているので、とてもうらやましいと思ってしまいます。ユキトは年長でもこの幼稚園へ通う予定ですが、同じ歩けないコースの1歳、2歳の後輩たちは、幼稚園へ入園する年齢になったら、一般の幼稚園への入園を希望しているそうです。

 

「いいな」と思うものの、今やるべき療育を頑張る決意をもつ

Q.とはいえ、4歳のユキトくんは、1歳、2歳の子よりできることもあるのでは? 

A.現在のところ1番歩けているのはユキトです。でもユキトが2歳のときは、この子たちのように動けていませんでした。子どものペースでそれぞれ頑張っているので、比べてはいけないと思うのですが、先生の絵本や紙芝居が見れたり、模倣ができたりする後輩を見て、正直「いいなー」と思いました。そんななかで私は、療育をしっかりと頑張っていくことを、再度決意しました。

 

Q.療育で特に頑張ろうと思ったのは、どんなことですか? 

A.ユキトがおとなしいのもよく1人で遊んでいるのも、私はユキトの性格だと思っていたのですが、先生からはコミュニケーション能力の発達が遅れているからだと教えていただきました。そこで先生に、ユキトがお友だちと楽しく遊べるようになるには、どうすればいいかをうかがったところ、まずはママとの関係作りをしっかりすることをアドバイスされました。ママとの関係ができたら、次はパパやおじいちゃん・おばあちゃん、その次はほかの大人たちに興味をもち、最後にお友だちへ関心を示すようになるのだそうです。

 

弟の入園で、ユキトくんと過ごす時間を増やす

Q.ユキトくんとママの関係作りは、弟さんがユキトくんに嫉妬している状況では、大変ですね

A. 実は、この4月から弟を保育園に預け、ユキトとの時間を意識的にもつようにしました。本来ならユキトを出産してから2人の時間を長くもつべきだったかもしれませんが、すぐに弟を妊娠してひどい悪阻になったので、おばあちゃんに預けることが多く、長く一緒に過ごせませんでした。弟の出産後もなかなか大変で、バタバタした毎日でした。今は、ユキトも柔らかい物が食べれるようになって食事の心配も減り、私の気持ちも落ち着いて来ました。時間は4年も経ってしまいましたが、弟を保育園にお願いして、ユキトと2人の時間を過ごしています。今のユキトは、いっぱい遊んで、いっぱい甘えて楽しんでいます。

 

ダウン症の基礎知識37:コミュニケーションの発育は周りから

ユキトくんがおとなしかったのは性格だけではなく、周囲を認識したりコミュニケーション力の発育が遅れているためだと教えてもらったナナさん。解決策として、ママとの関係作りをしっかりするようにとアドバイスを受けました。子どもは、周りの働きかけから、周囲を認知したり、言葉を覚えていきます。子どもがまだしゃべれなくても、近くにいるママが、「どうしたの?お母さんですよ~」「赤が好き?」「ボール遊びしようか?」などと、積極的に声掛けすることで、子どもは外の世界への興味や関心をもつようになります。すぐに結果が出なくても、いつかはできるようになるもの。何にしても、積み重ね、繰り返しが大切ですね。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。