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【二十四節気11】日の名前であり、時季の名でもある「秋分」
2017年 9月 23日 11:00
1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「白露」の次は昼と夜の長さが同じになる「秋分」です。今回は「秋分」を挟んで7日間続く「お彼岸」、そのお供え物「おはぎ」、「中秋の名月」について紹介します。お彼岸に故人を偲ぶ理由や、おはぎの意味が言えると、子どもにも教えられますね。お彼岸を過ぎると、空気がひんやりと秋らしくなり、夜空に浮かぶ中秋の名月を楽しむ時季がやってきます。
昼と夜の時間がほぼ同じになる「秋分」
太陽が真東から上り真西に沈む秋の日を「秋分」と呼び、この日は昼と夜の時間がほとんど同じになります。また、この日から始まる節気も「秋分」と呼び、2018年は9月23日(日)から10月8日(月)まで続きます。仏教の浄土思想では、西の遥か遠くに極楽浄土があるとされ、真西に太陽の沈む春分と秋分が極楽浄土に最も近い日と考えられていたことから、日本では先祖や亡くなった人を偲ぶ仏事が行なわれるようになり、これが「お彼岸」です。お彼岸は、春分と秋分の日を挟んで7日間続き、春分または秋分の日を中日、その前後3日間を加えた7日間で、「彼岸会(ひがんえ)」という仏事を行ないます。この時期は、宗派にかかわらずお墓参りをして、おはぎを供える風習が現代にも残っています。
<参考>
「彼岸」の意味、「おはぎ」の由来、子どもに教えられますか?
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/lifestyle/1161468.html
もうすぐ「お彼岸」、知っておきたい正しい「お墓参りのマナー」
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/lifestyle/1162809.html
お彼岸にお供えするのは「おはぎ」?「ぼたもち」?
お彼岸にお供えするおはぎは、うるち米やモチ米をついた餅を、小豆のあんで包んだお菓子。古来、小豆の赤色には魔除けの力があるとされ、祝いの席や儀式の食材として使われてきました。おはぎは、「五穀豊穣」の感謝を餅へ、「魔除け」の意味を小豆餡へ込めてお供えしたのが始まりとされています。小豆の粒が秋の七草の1つ「萩の花」と似ているため「御萩(おはぎ)」と呼ぶようになったという説がありますが、地域によって材料や作り方、呼び名が異なります。地域によって、餅を包むあんが小豆の粒あんやきな粉のものを「おはぎ」、小豆のこしあんを「ぼたもち」と呼び分けたり、うるち米の餅を「おはぎ」、モチ米の餅を「ぼたもち」と呼び分けたり、ふた口程度で食べられる小さいものを「おはぎ」、それ以上の大きさのものを「ぼたもち」と呼ぶなど、さまざまです。
中秋の名月は、里芋をいただく「芋名月」とも
湿度の高かった夏が過ぎて秋になると、空気に含まれる水蒸気の量が減って月がくっきり見えるようになります。満月を鑑賞する「お月見」はこの時季の風物詩ですが、もともとは中国から伝わった風習です。平安時代には日本でも、貴族が美しい月を見ながら詩を詠み、管弦を楽しむ宴が催されていました。お月見は、月が明るく見える満月のなかでも、1年で最も空が澄んだ時期の「十五夜(旧暦8月15日)」がよく知られていて、別名「中秋の名月」として愛されています。日本では十五夜が里芋の収穫時期と重なることから「芋名月(いもめいげつ)」と呼ばれることもあり、月見団子と一緒に里芋など旬の農作物や、稲穂に見立てたススキを飾って、月にお供えします。2018年の「十五夜」は9月24日(月)です。
「里芋」には、お腹の働きを助ける効果がある
「秋分」のころ収穫の時期を迎える里芋は、稲よりも早く縄文時代に渡来しました。親芋に子芋ができ、さらに孫芋……と多くの芋が付く姿から、子孫繁栄のシンボルとして祝い事の料理にも使われます。里芋の主成分は、デンプンとタンパク質で、芋類のなかでもカリウムが多く、食物繊維、ビタミンB1・B2を含みます。里芋独特のヌルヌルに含まれる「ムチン」は、肝臓を丈夫にして、タンパク質の消化と吸収を高め、胃潰瘍や腸炎を予防する効果があります。食物繊維は腸を整える働きもあるので、便秘がちという人は積極的に摂ると良いでしょう。
秋分の次は、草木に付いた露も凍り始める「寒露」
「秋分」を過ぎると夜が長くなり、日に日に秋が深まっていきます。次の節気は、空気が冷え込むようになり露も凍りそうになると言われる「寒露」です。渡り鳥が空に列をなして飛び、菊が見ごろとなる季節。次回は、「寒露」に旬を迎える「鯖(サバ)」と、人々に広く愛され日本の国花でもある秋の花「菊」にまつわる話をご紹介します。お楽しみに!