藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

お風呂スピーカーで音に浸かる、ぜいたくバスタイム

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
防水ポータブルシアタースピーカー「MAGSPEAKER DUO」

スマホで動画コンテンツを頻繁に観るようになって2年ほど経過してしまった。ハマる前からうすうす感づいてはいたが、大変に麻薬みのある危ない娯楽だ。

ものによっては音声だけを楽しむ動画コンテンツも多く、概ね掃除や洗い物などの家事をしながら聞くものは本当に音だけを聞いているのだが、それもほとんどはスマホの内蔵スピーカーで済ませてしまっている自分に、あるときふと気づいた。

実はこの原稿を書いているのは2024年のクリスマスイブなのだけれど、筆者には忘れられないクリスマスプレゼントがある。1981年、7歳の冬にサンタから貰ったポータブルカセットレコーダーで、モノラルスピーカーのついた、大分小型の機械だった。

実を言えば本当はソニーのウォークマンが欲しかった。しかし我が家のサンタの懐事情的にウォークマンは高すぎたのだろう。別の国内メーカー製のそれはシルバーで無骨だった。モノラルをステレオにする端子付きのヘッドフォンもセットでもらったので、ウォークマンに似せてきているのは子供ながらに理解できた。けれどもその思いやりというか、現実的な予算の事情の気配を感じたこともあり、筆者は7歳の時点で「何か」を察してしまった。

うれしい、しかし少し哀しい、ほろ苦い記憶だ。そして端子をかませ、両耳から聞こえるようにはなっていたが、その音質はやはりステレオのそれではなく、筆者はステレオサウンドに焦がれ続けた。遥か後、高校合格祝いに本当のウォークマンを手にするのだが、それはほぼ10年後の話である。

とはいえ正直スピーカーやヘッドフォンの細かいうんちくは、筆者はよくわからない。知り合いや友人に本物のマニアがいるが、何を言っているのか全くわからない程度にわからない。けれどかつての私はもっと、音質というか、覆われる感じというか、音に対しての没入感というか、もう少しこだわりがあったのではないか? そういえば家から「ステレオコンポ」の類が一切なくなって何年経つのだろう。全く思い出せない。

リズムの防水ポータブルシアタースピーカー「MAGSPEAKER DUO」。久しぶりにスピーカーらしいスピーカーを手にしたな、と思った。スイッチを入れ、Bluetoothでスマホと繋ぐ。コロンとした手のひらサイズのスピーカーを右と左に置いて、普段内蔵スピーカーで聴き慣れている音楽を流す。

ステレオだ、と思う。

手のひらサイズのスピーカーを2個使用する

スマホの本体は洗面所に置いたままスピーカーだけをユニットバスに持ち込み、底部マグネットで壁に貼り付ける。冬の風呂場は湯気で一杯だが防水なので大丈夫。浴室の照明を消すと、スピーカーに灯ったあかりが浴室にゆらゆら揺れる。肩まで湯に浸かる。同時に、音にも浸かりきる。良い。

同じリズムのスマホ専用防水ケース「RHYTHM MAGCASE S」にスマホを収めて動画コンテンツごと臨場感たっぷりのステレオサウンドで楽しむこともできる。冬の長湯の友だ。

かつてポータブルカセットレコーダーを手にし、自分の好きな音楽と一緒に出かけられることが夢のように幸せだったあの地点からだいぶん遠くに来た。

2025年。ほんとに未来世界だな。

スタンドで充電を行なう
藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。