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【和菓子歳時記24】天の川輝く「七夕」の和菓子、機織りから宇宙まで!?
2017年 7月 1日 06:30
「七夕」にまつわる和菓子が、店頭に並ぶ季節になりました。今回は、星や夜空、笹飾り、短冊などをモチーフに、透明な錦玉羹などを用いて工夫を凝らした、清涼感あふれる七夕の和菓子をご紹介します。地域によっては旧暦で七夕祭りを行なうところもあるので、これらのお菓子は七夕を過ぎても、7月を通してお目に掛かることができます。
中国から伝わったロマンチックな「七夕伝説」
七夕は、奈良時代に中国から伝わりました。もともとは、女性が織姫にあやかって機織りや針仕事の上達を願うお祭りでした。これに織姫(織女)と彦星(牽牛)の「七夕伝説」が融合します。天の川をはさんだ織女(しょくじょ)星と牽牛(けんぎゅう)星が、最も光り輝いて見える旧暦7月7日が年に1度の逢瀬の日となりました。2つの星の輝きを逢瀬に重ねるなんて、とってもロマンチックですね。
七夕の伝統菓子は存在しない?
七夕は、日本で重要な「五節句」に数えられていますが、「端午の節句の柏餅」のように、七夕に決まって食べる和菓子は存在していません。奈良~平安時代には、小麦粉を縄状に編んだ「索餅(さくべい)」と呼ぱれる中国伝来の菓子が食べられていたようですが、江戸時代にはお菓子の伝統はなくなり、代りに行事食としてそうめんが食べられるようになりました。そうめんは「素麺」以外に「索麺」とも書かれることから、「索餅」の代りに普及したことがうかがえます。
題材は夜空!銀河、宇宙…伝統を越えたアイデア菓子
伝統的な七夕の和菓子が存在しなくても、多くの和菓子店が古くから「七夕」にちなんだ和菓子を作っています。近年では「夜空」や「星」、「宇宙」などをモチーフに取り入れることで、いわゆる“和”の発想を超えたものも増えています。ようかんを夜空に見立てて星のように金箔を散らしたもの、寒天で作る透き通った錦玉羹、白あんを青く着色して天の川や銀河を思わせる練り切りなど、工夫を凝らした独創的な和菓子が多く作られています。
糸巻きなど、針仕事にまつわる古典モチーフも健在
また七夕用の和菓子には、古くからのモチーフである糸巻きや機織り機などをかたどったものもあります。これらは優しく愛らしいイメージのものが多く、七夕が機織りや針仕事の上達を願う女性のためのお祭りだったことが伝わってきます。また、笹飾りに使われる五色の短冊も、菓子に彩りを増すため、よく使われるモチーフです。
まとめ
七夕には「これ」と決まった伝統菓子はありませんが、せっかくの機会なのでご家庭でも、手軽にオリジナルのお菓子を作ってみては?水ようかんに金箔を星のように散らしたり、水色に着色したゼリーへ星型に抜いたフルーツなどを添えるだけでも見映えがします。七夕の夜にぜひ、味わってみて下さいね。