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【和菓子歳時記22】初夏を告げる和菓子「若鮎」と、アユモチーフの和菓子
2017年 5月 18日 07:00
6月初めの「鮎漁の解禁」の少し前になると、和菓子店にはアユの形をしたお菓子が並びます。今回は、このアユの形をした和菓子「若鮎(ワカアユ)」を紹介します。アユは独特の香りをもつことから「香魚」、1年で一生を終えることから「年魚」など、多くの呼び名で親しまれている魚です。和菓子では、「若鮎」のほか、日本全国で広くアユをモチーフにしたものが作られています。
日本料理では初夏の代表的な食材・アユ、和菓子にも
6月ごろから市場に並ぶアユは、日本料理では初夏の代表的な味覚とされています。また柳葉のような姿は、初夏と夏の和菓子のモチーフとしても多く使われます。アユは、秋に河口付近で卵から孵り、稚魚時代を海で過ごし、春に河川を遡上して、渓流で成長し、夏の終わりに産卵のために河口付近に戻る回遊魚です。稚魚時代はプランクトンなどを食べる肉食性なのに、成長すると川底の藻やコケなどを食べる草食性に変わる特殊な食性があるそうです。春から夏にかけては「若鮎」、夏の終わりから秋は「落ち鮎」と呼ばれます。
お腹に求肥や小豆あんを詰めた「若鮎」
「若鮎」は、春から夏にかけて川を遡上するアユの姿をかたどった和菓子です。小麦粉を卵などで溶き、鉄板で薄く焼いた生地で求肥や小豆あんを包み、焼印で目やヒレを付けてアユの形に仕上げたもの。皮はどら焼きのような柔らかいものと、パリッとした煎餅のように固いものがあります。腹の部分には、求肥を包むことが多いですが、名古屋では味噌あん、関東圏ではつぶあんやこしあん、羊羹を包んだものなどもあります。
初夏から夏の和菓子のモチーフに使われるアユ
和菓子の世界でのアユは、「若鮎」のほか、「上生菓子」のモチーフにも多く使われます。寒天を材料にした透明な錦玉羹(きんぎょくかん)を水に見立て、アユのモチーフを組み合わせて渓流を表現したお菓子や、砂糖や寒天を煮詰めて固めてからアユの形に抜いた「若鮎のお干菓子」を、水をモチーフにした飴菓子と一緒に並べてしつらえることも。スマートで涼しい雰囲気のあるアユのモチーフは夏のお茶席でも人気です。
まとめ
日本の川魚のなかでもアユは人気ですね。夏休みはアユ釣りやキャンプなど、涼しく楽しい渓流遊びを楽しみにしている方もいるのではないでしょうか。アユのいる渓流の復活を目指して、稚魚を放流している自治体も多くあるようです。アユのいる美しい渓流が、末永く日本全国に残るといいですね。