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【これからは予防の時代27】遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群の方の検診と予防
2017年 2月 8日 20:00
前回は、「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」かどうかを検査する方法をご紹介しました。今回は、遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群と診断されてしまった場合、どのように乳房の検診をし、ガンを予防していくかをご紹介します。ガンリスクは年齢が上がるごとに上昇しますので、年代ごとに実施する検査方法も変化していきます。
乳房の検診と予防
遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群の方への、乳ガンを予防するための検診は、年齢ごとに以下のような形で行ないます。
- 18歳から、乳房の自己検診を行なう
- 25歳から、医療機関で半年~1年に1回の頻度で視触診を受ける
- 25~29歳、あるいは、家族が乳ガンを発症した最も早い年齢から、1年に1回の頻度でMRI検査(MRI検査ができなければマンモグラフィ検査)を行なう
- 30歳~75歳では、1年に1回のMRI検査とマンモグラフィ検査を行なう
- 75歳以上では、個別対応
- 乳ガンの治療をした場合、治療後は、残っている乳房組織に対して1年に1回のマンモグラフィとMRI検査を継続する
- 乳ガンリスクを下げるために、ガンを発症する前に乳房を切除する「リスク低減手術」について検討し、医療従事者と話し合う
乳ガン検査と被爆による、ガンリスクの関係
30〜39歳では、マンモグラフィ検査による被爆歴と乳ガン発症の間には、因果関係はありませんが、30歳未満では、あらゆる被爆を伴う検査歴が、乳ガンリスクを上昇させます。しかし、BRCA1/2遺伝子に変異のある女性が70歳のときに乳ガンを発症するリスクは、39〜57%と高い確率です。そしてMRIが乳ガン検出できる確率(感度)は77〜100%で、マンモグラフィは16〜40%、超音波検査が16〜40%と比べ、圧倒的に高いものとなっています。
「遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群」のガン検査にはMRIが最適
これらのことから、BRCA1/2遺伝子に変異のある女性に対しては、診断の精度、安全性を重要視すると、乳房MRI検査が最も有効と考えられます。しかし乳房MRI検査は、現在は保険適用外です。そのため、検査費用や造影剤によるリスクを考えて、一般の検診では導入していないのです。