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【これからは予防の時代11】ガン発生のメカニズムから見た「乳ガン予防」
2016年 6月 15日 00:15
乳ガンの2大要因は「エストロゲン」と「家族歴」であり、前回はエストロゲンと更年期や閉経の関係性をお話しました。そこで今回は、一般的なガン発生のメカニズムをお伝えし、そこから乳ガンの予防を考えたいと思います。
ガンになる基本のメカニズム
「ガン」になるのは、身体の細胞が分裂のときに突然変異を起こして「ガン細胞」ができてしまうからだと、聞いたことがある人も多いでしょう。基本としてはそのとおりです。でも実際にガンが発病するには、突然変異が一定量、蓄積しなければならず、時間がかかります。ですので、ガンは子どもよりもお年寄りの方が多いのです。
細胞分裂の突然変異はなぜ起きる?
この細胞分裂のとき「突然変異がなぜ起きるか」ですが、細胞が分裂するときのDNA複製のミスです。通常はミスが起こると修復されるのですが、この修復がうまくいかないと突然変異が発生してしまいます。ですので、細胞分裂を促進する物質は、発ガンも促進してしまいます。
ガン予防の原則
ここまでのお話から分かるとおり、ガン予防の原則は、細胞の突然変異の蓄積を防ぐことです。発ガンに至らない数の遺伝子が変異した細胞では、ガンは発病しません。突然変異が、ガンになる個数に達しなければいいのです。例えば発症に7個の突然変異が必要とすると、6個までの突然変異では発症しません。現在の突然変異が4つならば、残りの3つの突然変異が起こらないように生活すればいいのです。
女性ホルモンとガンの関係
前回お話したとおり、女性ホルモンの「エストロゲン」は乳腺細胞の増殖を促すので、乳ガンを促進します。ですので、乳ガンの予防も治療も、初経開始時期、閉経時期、分娩回数、授乳期間、ホルモン補充療法などの、患者の女性ホルモン状況によって変化してきます。この女性ホルモンと乳ガンの関係については、次回詳しくお話する予定です。
乳ガンのエストロゲン以外の原因と予防
乳ガンの発生には、エストロゲン以外にも、遺伝、環境といった多くの因子が関与します。ですので、遺伝的に乳ガンになるリスクが高い人は、努力でできる予防を心がけましょう。具体的には、節酒、禁煙、運動、ダイエットなどです。逆に言えば、お酒、タバコ、運動不足、肥満がガンのリスクとなります。またリスクの状況に応じて、適切な時期に検診を受けることで、早期発見していくことも大切です。