老師オグチの家電カンフー

白物家電「ハ行」が付くメーカー名が多い説

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
ハ行が付くメーカー名が多い

少し前、よく売れたトヨタのクルマは、その名前にことごとく「ラ行」が入っているという説が話題になりました。現行の車種では、ヤ ス、カ ーラ、プ ウス、ア ファード、ク ウン、センチュ ー、ハ アー、 ンドクルーザー、 イズ、 R AV4、ハイ ックス、スープ と、ラ・リ・ル・レ・ロのいずれかの文字が見られます。懐かしい所では、ソア 、セ カ、セ シオ、スター ットなど。ラ行の音は軽快さを感じさせるので、クルマの名前に適しているのではと言われていますが、真偽の程は分かりません。英語だとLとRの両方がラ行に入るから必然的に多くなるなんて夢のない意見もありますが。

さて、家電の場合は、製品名よりはメーカー名でまず選択される傾向が強いです。買うときもそうですし、「うちの炊飯器は象印」「テレビはソニーの50インチ」などと、家にある家電を伝えるときも基本メーカー名を出すと思います(マニアックな人が相手でない限り)。製品名がメーカー名より一般的になっているケースは、ルンバ(アイロボット)ぐらいしかパッとは思いつきません。

家電は1つのメーカーから出す種類が多いので、個々のブランド名を認知させるための広告宣伝費はクルマほど出せないという背景があるのでしょうか。なので、バルミューダが製品名を、ほぼ「BALMUDA The ○○」で統一してきたのは正しい戦略ですね(なにこの上から目線)。

というわけで、製品名より社名がブランドに直結する家電メーカーですが、白物家電(生活家電)の場合は、「ハ行」から始まるのが多いです。

ハ:ハイアール、パナソニック、バルミューダ、バーミックス、バーミキュラ
ヒ:日立、ビタントニオ
フ:フィリップス、富士通ゼネラル、ブラウン、ブルーエア、ブルーノ

先ほどのトヨタの車名と同じように、ハ行がどこかに入っていればOKなら、東芝、シャープ、三菱電機、ティファール、ケルヒャー、ツインバード、象印マホービン、タイガー魔法瓶、アイロボット、エコバックス、アビエンと出るわ出るわ(製品名であれば、ルンバもですね)。

これって、言語学的に何か理由があるのでしょうか? 素人考えですが、アルファベットのH(ハイアール、日立)の他に、P(パナソニック、フィリップス)、B(バルミューダ、ブラウンなど)と破裂音がインパクトを与える効果があるのかもしれません。パッとかバッって日本の地名や名字には珍しいせいか印象に残りやすい。地名と言えば、小学生の時に高田馬場の駅名を聞いたときは衝撃を受けました。「タカダッノバッバッ」と破裂音が3つも入ってますからね。

これから家電メーカーを設立する人の参考になれば幸いです。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>